観光 観光業者とその業務(ツーリズム)

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観光

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 16:49 UTC 版)

観光業者とその業務(ツーリズム)

大型のクルーズ客船(2021年)
モンゴルの観光バス(2009年)

観光業者の間では、ツーリズムという言葉は自分たちの業務や組織運営や組織を指す言葉である。彼ら自身を指しているのである。昔は、物見遊山的なバスツアーなどを提供していればよかったが、近年では人々はそういったサービスでは満足しないので、近年の観光業は、体験型観光も提供するようになっている。

観光業者の行為の光と影

観光業者による、特定の場所の商業主義的な選定や、大規模な業務の展開と膨大な数の人々をその場所へ連れてゆくことは、大きな影響をその場所に引き起こす。このような現象は「観光地化」と呼ばれる。

観光政策

ヨーロッパの観光政策

ヨーロッパの観光政策では観光事業と世界遺産などの歴史的建造物の保存と活用が特に着目されている[22]

イタリア、フランス、イギリス、アメリカ等の欧米諸国では歴史的建造物の修復や再生、旧市街地の活性化など先進的な取り組みが実施されている[22]

古城を改修したパラドール(2013年)

また、スペインでは観光事業に歴史的建造物の保存と活用を積極的に結びつける観光政策がとられてきた[22]。具体的には歴史的建造物のパラドールとしての活用である。スペインでは1960年代に観光ブームがおこり増大する観光客に対応するために新築のパラドールが次々と建設された[43]。しかし、新築のパラドールの増大は既存の歴史的建造物の中に矛盾する要素を取り込むこととなったとの問題が指摘され、1960年代に建設されたパラドールにはのちに廃止されたものも多い[43]。その後、パラドールを設置する場合にはできる限り古い建物を活用し、芸術的価値・歴史的価値を検討し、その建物が宿泊施設として利用可能かどうか専門家委員会が判断する仕組みが導入されている[43]

日本の観光政策

嵯峨野の竹林を観光する人々(2018年)

観光基本法(1963年)の制定に際し、法案作成の事務作業をした衆議院法制局では、観光の法的定義を試みたものの困難であると断念し、観光概念は世間で使われているものと同じ意味であるとしたと伝えられている[44]

1986年には、貿易摩擦を背景として、当時の運輸省が「海外旅行倍増計画(テン・ミリオン計画)」を打ち出し、日本人による海外旅行が促進された[45]

観光政策審議会の「今後の観光政策の基本的な方向について」(答申第39号、1995年6月2日)」では、観光の定義を「余暇時間の中で、日常生活圏を離れて行うさまざまな活動であって、触れ合い、学び、遊ぶということを目的とするもの」とし、時間・場所(空間)・目的の3つの面から規定している[13][46]

さらに、「21世紀初頭における観光振興方策について」(答申第45号、2000年12月1日)によると、「いわゆる『観光』の定義については、単なる余暇活動の一環としてのみ捉えられるものではなく、より広く捉えるべきである。」としている[注釈 1][8]

小泉内閣のもとで2003年からビジット・ジャパン・キャンペーンが始まり、2007年には観光基本法に代わり観光立国推進基本法が施行され観光立国推進基本計画が閣議決定されるなど、「観光立国」に向けた取り組みが行われるようになる[47]

2008年10月1日国土交通省外局として「観光庁」が発足し、第1種旅行業者の登録は、従来の国土交通省大臣登録から観光庁長官登録に変わった。

脚注

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注釈

  1. ^ a b 2000年度版『観光白書』では「兼観光」という言葉が用いられており、楽しみを兼ねる商用旅行の存在も観光の一形態として認められている[13]
  2. ^ Clare A. Gunnは、レクリエーションは公共が関与する事業であるとしている[10]。一方、日本交通公社『余暇社会の旅』(1974年)p277では、レクリエーションは肉体・精神の回復、観光は精神の発展にあるものとされている[4]
  3. ^ 「名どころは これを都の案内者 圖會はしらとも 思ふうつし画」とあり、現在でいうところの旅行ガイドブックのような役割を担っていたことがうかがえる[28][29]
  4. ^ 具体的には湯治[32]
  5. ^ 「他国の制度や文物を視察する」、転じて「他国を旅して見聞を広める」の意[3]
  6. ^ 幕末維新ミュージアム霊山歴史館副館長の木村幸比古は、「他国の本質的な物事、優れた光、天下の風光をくまなく観る、理解する」という意であると解説する[36]
  7. ^ 用語としての観光は、朝日新聞データベース「聞蔵」による検索結果によれば、当初は固有名詞に使用されるケースしかない。普通名詞として使用された初めてのケースは、1893年10月15日に日本人軍人による海外軍事施設視察に使用された「駐馬観光」である。その後日本人軍人から外国人軍人、軍人以外の者の海外視察等へと拡大してゆき、最終的には内外の普通人の視察にも使用されるようになっていったが、いずれも国際にかかわるものである点ではかわりはなかった。
  8. ^ 一方、外国人武官による大日本帝国陸軍の視察などに「観光」の語を使用する事例も確認される[5]
  9. ^ 戦後に静岡県熱海市長を務め、『観光立国』を刊行。
  10. ^ 朝日新聞データベース「聞蔵」による記事検索では、ツーリストは1913年から外国人にかかわるものとして使用されているが、原語のtourist自体が当時原語国で外国人にかかわるものに限定されていたのかの立証は、これからの研究課題である。ツーリズムという用語については朝日新聞データベース「聞蔵」によれば、戦前は検索されないどころか、昭和末期までほとんど検索結果に表れてこない状況である。なお、観光が国内観光、国際観光を区別しないで使用されるようになったのは、戦後連合国の占領政策が終了する時期、つまり日本人の国内観光が活発化する頃からである。
  11. ^ 「観光」という言葉は国内の旅行に関しても昭和初期から一部で使用されるようにはなっていた。たとえば1936年に国際観光局が発行した「観光祭記念 観光事業の栞」には「日本国中の年も村落も、それぞれその土地を美しく立派にし、観光客の誘致を図ること、之は日本国内の問題ですから国内観光事業と呼ぶことができます」と記されている。

出典

  1. ^ デジタル大辞泉. “観光”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年5月3日閲覧。
  2. ^ a b c d 世界大百科事典. “sightseeing”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年5月3日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 日本大百科全書. “観光”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年5月3日閲覧。
  4. ^ a b c 溝尾 2015, pp. 4–6.
  5. ^ a b c d e f g h 千相哲「「観光」概念の変容と現代的解釈」『商經論叢』第56巻第3号、九州産業大学商学会、2016年3月22日、 1-18頁、 ISSN 1349-7375
  6. ^ 井出明 (2012年3月). “日本におけるダークツーリズム研究の可能性 (PDF)”. 進化経済学会論集No.16. 進化経済学会. 2022年5月3日閲覧。 “tourism という言葉は、通常「観光」と訳される。観光という訳語を当てた場合、その定義は「非日常性」と「非営利性」を持つとともに、一般的にはレジャーの一種として捉えられ、娯楽性のある楽しいものとして認識される。しかし、ダークツーリズムが意味するところは、レジャーや娯楽とは離れた対極に位置していると言って良い”
  7. ^ a b 2.ニューツーリズムの概念”. www.mlit.go.jp. ニューツーリズム創出・流通促進事業. 観光庁 (2010年7月1日). 2022年5月3日閲覧。
  8. ^ a b c 観光政策審議会. “II.21世紀初頭の観光振興を考える基本的視点”. 21世紀初頭における観光振興方策 ~観光振興を国づくりの柱に~(答申第45号). 国土交通省. 2022年5月4日閲覧。 “また、「観光」という言葉は、中国の四書五経の一つ「易経」の一文である「観国之光」が語源とされているが、それは「国の文化、政治、風俗をよく観察すること」、「国の風光・文物を外部の人々に示すこと」というような意味・語感を有していたといわれていること等も考えあわせると、いわゆる「観光」の定義については、単なる余暇活動の一環としてのみ捉えられるものではなく、より広く捉えるべきである。”
  9. ^ SIGHTSEEING” (英語). Lexico Dictionaries. Oxford dictionary. 2022年5月3日閲覧。 “The activity of visiting places of interest in a particular location.”
  10. ^ a b c d e f 溝尾 2015, pp. 2–4.
  11. ^ 溝尾 2015, pp. 12–13.
  12. ^ TOURISM” (英語). Lexico Dictionaries. Oxford dictionary. 2022年5月2日閲覧。 “The commercial organization and operation of holidays and visits to places of interest.”
  13. ^ a b c d e 竹内 et al. 2018, pp. 1–4.
  14. ^ プログレッシブ 仏和辞典 第2版. “tourisme”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年5月2日閲覧。
  15. ^ 加藤一輝 (2021年9月27日). “グザヴィエ・ド・メーストル『部屋をめぐる旅 他二篇』訳者解題”. note. 幻戯書房編集部. 2022年6月2日閲覧。
  16. ^ Editions Larousse. “Définitions : tourisme - Dictionnaire de français Larousse” (フランス語). www.larousse.fr. 2022年5月2日閲覧。 “Action de voyager, de visiter un site pour son plaisir.”
  17. ^ 世界大百科事典. “観光”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年5月3日閲覧。
  18. ^ UNWTOの資料の中で観光客(Tourists)の定義について教えてください。”. UNWTO (2019年2月25日). 2022年5月5日閲覧。
  19. ^ OECD Glossary of Statistical Terms - Tourism Definition” (英語). stats.oecd.org. 経済協力開発機構 (2001年9月25日). 2022年5月5日閲覧。 “Tourism is defined as the activities of persons travelling to and staying in places outside their usual environment for not more than one consecutive year for leisure, business and other purposes not related to the exercise of an activity remunerated from within the place visited.”
  20. ^ a b 石井 2022, 前編 第1部 第1章 旅の始まり
  21. ^ a b c d 竹内 et al. 2018, pp. 11–16.
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  24. ^ 小林麻衣子「英国人のグランドツアー : その起源と歴史的発展」『Booklet』第18巻、慶應義塾大学アート・センター、2010年、 36–50。
  25. ^ 石井 2022, 前編 第4部 第1章 新しい旅の形
  26. ^ 石井 2022, 後編 第1部 序章 近代ツーリズムとは
  27. ^ 石井 2022, 後編第1部 第5章 大陸間旅行の発展:帆船から蒸気船へ.
  28. ^ 藤川玲満「秋里籬島の狂歌 : 籬島社中と名所図会に関して」『清心語文』第18号、ノートルダム清心女子大学日本語日本文学会、2018年9月26日、 14–28、 ISSN 1345-3416
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  31. ^ a b c 竹内 et al. 2018, pp. 16–19.
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  33. ^ a b 【明治あとさき 維新150年】(1)旅/寺社参詣から文化観光へ 岩倉具視、京都再生へ「誘客」の妙手『読売新聞』朝刊2018年1月1日
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  35. ^ a b c 寺前秀一 (2008年). “地域観光政策に関する考察”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 2022年5月4日閲覧。
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  42. ^ 富田 昭次『ホテルと日本近代』(学芸出版)
  43. ^ a b c 『現代スペイン情報ハンドブック 改訂版』三修社、2007年、41頁
  44. ^ 運輸省観光局監修『観光基本法解説』学陽書房1963年p.208
  45. ^ 第2章第1節 2 バブル経済とその崩壊(昭和61年(1986年)~平成14年(2002年))”. www.mlit.go.jp. 平成25年版 観光白書. 国土交通省. 2022年5月8日閲覧。
  46. ^ 観光政策審議会 (1995年6月2日). “今後の観光政策の基本的な方向について(答申第39号)”. www.mlit.go.jp. 国土交通省. 2022年5月5日閲覧。 “なお、本答申においては、観光の定義を「余暇時間の中で、日常生活圏を離れて行う様々な活動であって、触れ合い、学び、遊ぶということを目的とするもの」と考える。”
  47. ^ 観光立国推進基本法”. www.mlit.go.jp. 観光庁. 2022年5月5日閲覧。


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