衝突被害軽減ブレーキ 事故・トラブル

衝突被害軽減ブレーキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/08 03:59 UTC 版)

事故・トラブル

  • 2013年11月10日、埼玉県深谷市のマツダ系ディーラーにて開催された試乗会で、被害軽減ブレーキ機能が付いたマツダCX-5のブレーキ機能のデモ中にCX-5が暴走し、運転していた客と販売会社の従業員が負傷した。運転していた客がアクセルを全開にしたため、被害軽減ブレーキ機能の作動限界速度である30km/hを超えてしまい、停止するはずのマットの手前で止まらずその後ろのフェンスに衝突したものである。販売会社の従業員については、説明責任により業務上過失傷害の疑いで書類送検され、運転者についても必要以上にアクセルを踏みこんで同乗者にけがを負わせたことから自動車運転過失傷害の疑いで書類送検されている[50]。この事故を受けてマツダは、被害軽減ブレーキ機能の体感試乗会を自粛している。なお被害軽減ブレーキには故障や異常はないとマツダは発表している[51]
  • UDトラックスは2016年3月18日、2014年モデルのクオンの被害軽減ブレーキが前方車両がいなかったにもかかわらず、阪神高速5号湾岸線六甲アイランド北出入口付近、魚崎浜出入口付近、住吉浜出入口付近、中島出入口付近で、それぞれ高架橋や道路の継ぎ目を前方車両と判断する誤作動を起こしていたことを明らかにした。UDトラックスは当該区間を走行する際は被害軽減ブレーキを解除するように呼びかけ[52]、2016年7月29日に被害軽減ブレーキのリコールを国土交通省に届け出た[53]
  • 2016年11月27日、千葉県八千代市の日産自動車販売店で運転支援機能を搭載したセレナに試乗した男性が信号待ちをしていた車に追突し乗っていた夫婦に全治二週間のけがを負わせた。男性は同社の営業社員と同乗していたが営業社員が「ブレーキを踏まなくて大丈夫」と指示したことや事故当日は日没後で雨も降っており被害軽減ブレーキは機能しなかったことが原因であった[54]。これを受けて千葉県警交通捜査課と八千代署は2017年4月14日、同店店長と営業社員を業務上過失傷害容疑で、試乗していた男性を自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、千葉地検に書類送検した[55]
  • 2019年2月1日、日野自動車といすゞ自動車はジェイ・バス製造の2017年 - 2018年モデルのセレガガーラの一部の被害軽減ブレーキにおいて、高速道路の料金所付近で発進操作を行う際、前方車両と料金所ブースを一体の固定物と判断し、かつ一定の車間距離が保たれているにもかかわらず被害軽減ブレーキが作動する誤作動を起こしたり、高速道路のトンネル内の照明を前方移動物と判断し、トンネル内で誤作動を起こしていたことを明らかにした。日野自動車といすゞ自動車は2019年2月1日から被害軽減ブレーキのサービスキャンペーンを実施している[56][57]

注釈

  1. ^ トヨタは2012年(平成24年)に自動停止可能な衝突被害軽減ブレーキを発売しているが、レクサス・LS以外の自動停止能力は低く、自動停止に消極的だった。

出典

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