衆議院 概説

衆議院

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 05:59 UTC 版)

概説

衆議院議場

日本国憲法下で参議院とともに国会を構成している一院である(日本国憲法第42条)。参議院と同じく、全国民を代表する選挙された議員で組織される。

衆議院の優越

衆議院の任期(4年)は参議院の任期(6年)より短く、衆議院は任期途中での解散がある。因みに、日本国憲法施行後、衆議院が任期満了を迎えたのは1回しかない[2]。より忠実に民意を反映できると解されていることから、参議院に対して優越的地位が認められている(衆議院の優越)。

議決上の優越

法律案の議決
衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる(憲法59条2項)。
内閣総理大臣の指名、予算の議決、条約の承認
内閣総理大臣の指名、予算の議決、条約の承認について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が、衆議院の議決から一定期間内に議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする(憲法60条2項61条67条2項)。
会期の決定
会期の決定について、両議院の議決が一致しないとき、または参議院が議決しないときは、衆議院の議決したところによる(国会法13条)。

なお、憲法改正の発議などについては優越はない。

権限上の優越

予算先議権
予算は、先に衆議院に提出され、審議される(日本国憲法第60条1項)。
内閣不信任決議権
内閣不信任決議は、衆議院のみが行うことができる(日本国憲法第69条)。内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院を解散しない限り、総辞職しなければならない。なお、個々の国務大臣に対する不信任決議を行うこともできるが、法的効果はない。

衆議院のみに認められる権能として、内閣不信任決議権のほか参議院の緊急集会でとられた措置に対する同意権(日本国憲法第54条第3項)がある[3]

構成

定数

議員定数は法律で定められる。具体的には、日本国憲法第43条第2項の規定に基づき公職選挙法第4条第1項に明記されている。

1947年(昭和22年)5月3日日本国憲法が施行されて、初めて召集された第1回国会は、新憲法施行の直前の1947年(昭和22年)4月25日に執行された第22回衆議院議員総選挙で選出された議員により構成された。この総選挙は、第92回帝国議会で新憲法に考慮して改正した衆議院議員選挙法(同年3月31日公布)に基づいて行われた。選出方法は中選挙区制で、定数は466人

1950年(昭和25年)に衆議院議員選挙法を廃止して、新たに「公職選挙法」を制定した。このときは、選出方法・定数とも変わらず、中選挙区制・定数466人と定められた。1953年(昭和28年)には現在の鹿児島県奄美市および大島郡に属する奄美群島復帰により「奄美群島区」が設けられたことで1増の467人1964年(昭和39年)に19増の486人1971年(昭和46年)には沖縄復帰により「沖縄全県区」が設けられたことで5増の491人となり、1975年(昭和50年)に20増の511人と増員された後は、この定数が1986年(昭和61年)まで続いた。定数是正の直接の理由は、第二次世界大戦後の都市部の食糧難とインフラ壊滅状態から戦中の疎開地に都市住民が留まっていた状態で定数割り当てがなされたことに加え、農業の機械化と産業構造の変化によって農村人口が減少し一票の格差が5倍前後にまで膨れ上がったことによる。ただ、増員のみが続発した背景には、当時の日本が人口増を続けていたことに加え、減員が現職議員の失職に繋がるものであることや、政権を担う与党にとって不利な定数変更とならないことに配慮した、などの点が指摘されている。

1983年(昭和58年)、一票の格差が3倍以上に達する場合には憲法14条に違反するとも解される最高裁判所判決が出された。これを受けて、1986年(昭和61年)に初めての減員を含む8増7減(8選挙区で1人ずつ増員し、7選挙区で1人ずつ減員。差し引き1増)の512人となる。さらに、1992年(平成4年)には9増10減(9選挙区で1人ずつ増員し、10選挙区で1人ずつ減員。差し引き1減)の511人となった。

1993年(平成5年)、いわゆる政治改革の一つとして選挙制度改革が論じられた。その結果、従来の中選挙区制は廃止され、小選挙区比例代表並立制が導入された。同時に定数も改定され、511人から500人(小選挙区300人、比例代表200人)に減員された。2000年(平成12年)に比例代表の定数について20削減され、定数は480人(小選挙区300人、比例代表180人)となった。なお、議員1人当たりの人口は26.7万人であり、これはOECD加盟国34ヶ国中33位[4]と、人口に対して定数が非常に少ない部類に入る。2014年(平成26年)に小選挙区の格差是正により5減され、475人(小選挙区295人、比例代表180人)となった。

2017年9月28日の解散により行われた第48回衆議院議員総選挙は、同年6月施行の選挙区改正により小選挙区では0増6減(青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県で各1減)、比例代表区では0増4減(東北、北関東、近畿、九州の4ブロックで各1減)が実施され、定数465人(小選挙区289人、比例代表176人)となった。これにより衆議院の定数は、日本国憲法施行後最少となる。

公職選挙法、区画審理法が改正され、各都道府県の議席が国勢調査の人口に応じたアダムズ方式で決められるようになった。10年毎の国勢調査で見直され、5年毎の簡易国勢調査では較差が2倍以上になった場合は区割り変更で対応される[5]

2017年(平成29年)改選後の議席数
小選挙区 定数289人(改選数289人)
289 / 465

下図の数字は各都道府県の小選挙区数を示す。都道府県選挙区の定数ではない。

比例代表 定数176人(改選数176人)
176 / 465

選挙

衆議院議員の選挙は、小選挙区比例代表並立制によって行われる。小選挙区比例代表並立制とは、選挙人が小選挙区比例代表のそれぞれに1票ずつ投票する制度。被選挙人(立候補者)は、小選挙区と比例代表の双方に立候補することができる(重複立候補制度)。

なお、1993年(平成5年)の第40回衆院選挙までは、中選挙区制大選挙区制の一種)で行われていた。

選挙資格と被選挙資格

選挙資格及び被選挙資格は法律で定められる(日本国憲法第44条本文)。

  • 選挙資格:18歳以上の日本国民(公職選挙法第9条第1項)。
    • 2015年(平成27年)6月17日に改正公職選挙法が成立し、第24回参議院議員通常選挙の期日の公示日である2016年(平成28年)6月22日から選挙権年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられた(18歳選挙権[6]
  • 被選挙資格:25歳以上の日本国民(公職選挙法第10条第1項1号)。
    • なお、選挙区で300万円、比例区で600万円の供託金を納めなければならない。

任期

衆議院議員の任期は4年だが、衆議院が解散された場合には任期満了前に失職する(日本国憲法第45条)。

院内勢力

議員は、院内では会派(院内会派)を作って行動することが多い。院内会派とは、2人以上の院所属議員で結成する団体のことである。政党とほぼ重なるものの、2つ以上の政党で一つの会派を作ったり、無所属議員が院内会派に所属することもある。その院の各委員会の委員数や、発言・質問の時間配分などは、政党ではなく会派の所属議員数によって左右される。衆参両院とも、慣例により議長と副議長は会派を離脱する。

衆議院の構成[7] (2021年12月22日時点の議席)
会派 所属党派 党派別議員数 議席数
与党 295
自由民主党 自由民主党 263 263
公明党 公明党 32 32
野党 167
立憲民主党・無所属 立憲民主党 95 97
社会民主党 1
無所属 1
日本維新の会 日本維新の会 41 41
国民民主党無所属クラブ 国民民主党 11 11
日本共産党 日本共産党 10 10
有志の会 無所属 5 5
れいわ新選組 れいわ新選組 3 3
無所属・欠員 3
無所属 議長: 細田博之(自由民主党)
副議長: 海江田万里(立憲民主党)
2 3
無所属 1
欠員 0 0
合計 465


衆議院における各種要件(参考)
人数 内容
100人 憲法改正原案の提出(国会法68条の2)
憲法改正原案の修正の動議(国会法68条の4)
50人 予算を伴う議案の発議(国会法56条1項前段)
本会議での予算の増額あるいは予算を伴う法律案の修正の動議(国会法57条)
本会議での予算の修正の動議(国会法57条の2)
議長・副議長・仮議長・常任委員長の信任・不信任に関する動議若しくは決議案の発議(衆議院規則28条の2)
内閣の信任・不信任に関する動議若しくは決議案の発議(衆議院規則28条の3)
40人 議員懲罰の動議(国会法121条3項)
20人 予算を伴わない議案の発議(国会法56条1項前段)
本会議での予算の増額あるいは予算を伴わない議案の修正の動議(国会法57条)
会期前に逮捕された議員の釈放要求の発議(国会法34条の3)
質疑終局の動議(衆議院規則140条)
討論終局の動議(衆議院規則141条)
起立採決の要求(衆議院規則157条)
10人 本会議の公開停止の発議(国会法62条)
党首討論への参加要件(院内交渉団体の資格を満たす野党党首のみ)

  1. ^ 議長細田博之(自由民主党)・副議長:海江田万里(立憲民主党)を含む。
  2. ^ 任期満了で衆院選は1度のみ 3年超の解散は11回” (日本語). 日本経済新聞 (2021年1月4日). 2021年10月17日閲覧。
  3. ^ 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、119-122頁
  4. ^ OECD諸国の国会議員1人当たりの人口、人口当たりの議員数(2011年) ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存《2017年10月14日閲覧》
  5. ^ [1]
  6. ^ “選挙権年齢「18歳以上」に 改正公選法が成立”. 47NEWS. (2015年6月17日). https://web.archive.org/web/20150617032536/http://www.47news.jp/CN/201506/CN2015061701001110.html 2017年10月14日閲覧。  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  7. ^ 会派名及び会派別所属議員数”. www.shugiin.go.jp. 2021年12月23日閲覧。
  8. ^ a b c d e 衆議院の役員等一覧”. 衆議院. 2018年10月26日閲覧。
  9. ^ 本会議・委員会等~情報監視審査会 - 衆議院Webサイトより
  10. ^ 国会について~本会議の主な議事(5 議案の審議) - 衆議院Webサイトより
  11. ^ a b c 百瀬孝 1990, p. 40.
  12. ^ 衆議院議事速記録 昭和21(1946)年6月29日 本会議、大村国務大臣発言(P137)参照
  13. ^ a b c d 石倉賢一「国会会議録について」 、2021年2月9日閲覧。






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