荒らし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 03:19 UTC 版)
概要
インターネットにおける荒らしとは、「インターネット上で他人を意図的に挑発し、争いや感情的な反応、コミュニケーションの分断を引き起こす欺瞞的で破壊的な行為」と定義される[3]。
英語ではVandal またはVandalism という。他に、釣り用語のトローリングに引っかけて、「煽り」(参加者の感情を逆撫でするような発言)や「釣り」(参加者の反応を誘うような発言)など暴言や詭弁を吐いて議論を別方向にずらすことをTrollingと呼ぶ。なお、ウィキペディアにおける荒らしは Vandalism(ヴァンダリズム) といい、多くの言語でこれに準じる語を用いている。
荒らしの心理的背景
ネット荒らしが生じる原因としては、インターネット上のコミュニケーションに匿名性があり心理学的に人を凶暴にさせやすいこと[4]、文字だけであり論理が強調され感情を和らげる要素に乏しいこと、送信ボタンを押せば簡単に送信できるため頭を冷やしたり再検討する時間が与えられないこと、「人間は自分が見たいと思うものを見る」という性質により悪意に取ってしまうことなどが指摘されている[5]。
心理学的には、ネット荒らしを行う者は、社会的孤立との統計学的相関関係が強いことが指摘されており、他者への加害傾向やダークテトラドとの相関も強いとされる[1]。すなわち、ダークテトラドに含まれる4つの特性(マキャベリズム傾向・サイコパシー傾向・自己愛性傾向およびサディズム傾向)が強い者[注釈 1]ほどネット荒らしを行いやすいとされ、かつ、社会的孤立の強さはこれらの各特性(ただし自己愛性傾向は除く。)と相互作用を生じさせ、荒らしの行いやすい傾向を増幅させる関係にある[2]。
また、セルフコントロール能力が低い者が荒らしを行いやすいとされる[2]。
荒らしの犯罪性
悪質性が高いものと判断された場合は、犯罪(電子計算機損壊等業務妨害罪・脅迫罪・名誉毀損罪など)として刑事事件に発展する場合もある[注釈 2]。
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かつて掲示板荒らしの権化と呼ばれた「アリス・リデル」[7]は自著[要文献特定詳細情報]の中で、「最も迷惑かつ最も犯罪となりにくい行為」と呼んでいる。
注釈
- ^ ただし、これらの特性が強いことは、当該個人が「邪悪」であるということを意味しない。そもそも「特定の個人は邪悪である」という考えは危険であることに留意する必要がある[6]。
- ^ お笑い芸人であるスマイリーキクチの公式ブログのコメント欄を荒らした者が脅迫罪および名誉棄損罪で摘発されている(スマイリーキクチ中傷被害事件)。
出典
- ^ a b 増井啓太 2018, p. 89.
- ^ a b c d 増井啓太, 田村紋女 & マーチ 2018, p. 608.
- ^ 増井啓太, 田村紋女 & マーチ 2018, p. 603.
- ^ ショウ 2019, Kindle版、位置No. 1782/4368.
- ^ 碓井真史. “ネットではなぜ激しい争いが起こるか 掲示板荒らし、ネット上の非難中傷”. 心理学総合案内 こころの散歩道. 2022年1月10日閲覧。
- ^ ショウ 2019, Kindle版、位置No. 491/4368.
- ^ “アリス・リデル”. 掲示板荒らしの悪行まとめ@ウィキ. 2017年2月24日閲覧。[信頼性要検証]
- ^ 増井啓太, 田村紋女 & マーチ 2018, p. 609.
- ^ ショウ 2019, Kindle版、位置No. 1815/4368.
- ^ ばるぼら 2005, p. 153。なお、アンダーグラウンドでない一般的なサイトの掲示板が荒らされた場合の対策方法について述べられたものである。
- ^ “ネットを使ったいやがらせや迷惑行為”. 総務省. 2022年5月6日閲覧。
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