航空自衛隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 19:34 UTC 版)
任務
平時においては日本へ領空侵犯する、もしくは可能性のある経空脅威の排除が使命である。このため領空の外側に防空識別圏(ADIZ)を設定し、日本各所に28ヶ所のレーダーサイトを設置して、状況に応じて早期警戒機、早期警戒管制機による警戒態勢を敷いている。防空識別圏に侵入する国籍不明機に対しては、まず緊急周波数である121.5MHz及び243MHzで航空無線機により無線警告を発し、さらに戦闘機によるスクランブル発進を実施する。スクランブル発進については、2006年4月7日のロシア軍機に対する百里基地のF-15J発進によって創設以来2万回を記録した。スクランブル発進で確認した目標は、統合幕僚監部が毎日公表している [20]。
有事においては、陸上自衛隊や海上自衛隊への支援として、対艦攻撃、対地攻撃、航空輸送を実施する。専守防衛の理念から、要撃(防空)戦闘に特化した傾向にある。F-15Jや早期警戒管制機、パトリオットミサイル(防衛省・自衛隊では原音に近い「ペトリオット」表記を使用)などを備えている。
また、航空機の稼働率や搭乗員の練度(年間200時間以上と言われている)も高いとされる。日米安全保障条約に基づき米空軍と強固な協力関係にあり、米空軍と共同使用の横田基地には航空自衛隊航空総隊司令部が、在日米軍司令部や米第5空軍司令部、日米共同統合作戦調整センターなどとともに設置され、三沢基地も共同で使用しているほか、日米合同演習を毎年行っている。
スクランブル
スクランブル発進回数の推移を下表に示す。2010年度以降、中国人民解放軍など中国機に対する緊急発進が急増している。ロシアは軍用機による日本周回飛行を度々実施しており、2008年には、中国の31機とロシアの193機に対するスクランブルがあった。 2018年、これは中国の航空機638機とロシアの航空機343機に増加した[21]。
年度 | 緊急発進
件数総計 |
国別内訳 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
ロシア | 中国 | 北朝鮮 | 台湾 | その他 | ||
平成20年度 | 237回 | 193回 | 31回 | 0回 | 7回 | 6回 |
平成21年度 | 299回 | 197回 | 38回 | 8回 | 25回 | 31回 |
平成22年度 | 386回 | 264回 | 96回 | 0回 | 7回 | 19回 |
平成23年度 | 425回 | 247回 | 156回 | 0回 | 5回 | 17回 |
平成24年度 | 567回 | 248回 | 306回 | 0回 | 1回 | 12回 |
平成25年度 | 810回 | 359回 | 415回 | 9回 | 1回 | 26回 |
平成26年度 | 943回 | 473回 | 464回 | 0回 | 1回 | 5回 |
平成27年度 | 873回 | 288回 | 571回 | 0回 | 2回 | 12回 |
平成28年度 | 1,168回 | 301回 | 851回 | 0回 | 8回 | 8回 |
平成29年度 | 904回 | 390回 | 500回 | 0回 | 3回 | 11回 |
平成30年度 | 999回 | 343回 | 638回 | 0回 | 0回 | 18回 |
令和元年度 | 947回 | 268回 | 675回 | 0回 | 0回 | 4回 |
令和2年度 | 725回 | 258回 | 458回 | 0回 | 0回 | 9回 |
- ^ 自衛隊、広がる任務 宇宙作戦隊発足 役割や人員…「中身ない」まま毎日新聞ニュースサイト(2020年5月18日)2023年11月30日閲覧
- ^ 防衛省設置法:第一章 防衛省の設置並びに任務及び所掌事務等 第二節 防衛省の任務及び所掌事務 (任務)第三条
- ^ 航空自衛隊について > 航空自衛隊の歴史 航空自衛隊公式サイト(2023年11月30日閲覧)
- ^ 自衛隊法:第一章 総則 (定義)第二条 4
- ^ “防衛省・自衛隊|令和5年版防衛白書|資料編|資料11 主要航空機の保有数・性能諸元”. 令和5年度版 防衛白書 資料編. 防衛省. 2023年7月28日閲覧。
- ^ 『令和5年版防衛白書』資65 自衛官の定員および現員
- ^ 自衛隊法施行令及び防衛省の職員の給与等に関する法律施行令の一部を改正する政令(『官報』平成24年3月22日 号外第63号第5面)
- ^ 防衛省、「イージス・アショア」導入の方針
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2020年1月5日). “空自を「航空宇宙自衛隊」に改称検討 政府、新領域の防衛強化”. 産経ニュース. 2020年5月6日閲覧。
- ^ 野平悠一 (2022年12月7日). “航空自衛隊改め、「航空宇宙自衛隊」へ 政府、宇宙重視で名称変更へ”. 朝日新聞 / 朝日新聞デジタル (株式会社朝日新聞社) 2022年12月8日閲覧。
- ^ “航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に名称変更へ 政府方針”. NHK NEWS WEB (日本放送協会). (2022年12月7日) 2023年1月5日閲覧。
- ^ “中国動向「秩序への挑戦」 国家戦略骨格で政府調整”. 宮崎日日新聞. 一般社団法人共同通信社 (株式会社宮崎日日新聞社) (第29413号): p. 2【総合】. (2022年12月8日) 2022年12月8日閲覧. "航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改称する。"
- ^ 内橋寿明 (2022年12月20日). “航空宇宙自衛隊、「名は体を表す」 空自トップが改称を説明”. 毎日新聞 (株式会社朝日新聞社) 2023年1月5日閲覧。
- ^ 成沢解語 (2022年12月16日). “航空自衛隊、「航空宇宙自衛隊」に名称を変更 隊員から戸惑いの声も”. 朝日新聞 / 朝日新聞デジタル (株式会社朝日新聞社) 2023年1月5日閲覧。
- ^ “「航空宇宙自衛隊」誕生へ 名称変更、戸惑う隊員も―人材確保に効果?・防衛省”. 時事ドットコム (株式会社時事通信社). (2022年12月26日) 2023年1月5日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2023年2月15日). “<独自>航空宇宙自衛隊、9年度までに改称 防衛省”. 産経ニュース. 2024年1月28日閲覧。
- ^ 増田弘『自衛隊の誕生』(中公新書)172-176頁
- ^ 増田弘『自衛隊の誕生』(中公新書)230-231頁
- ^ 武市照彦『政界風土記』国政出版室
- ^ https://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/index.html (防衛省 統合幕僚監部 報道発表)
- ^ “航空自衛隊の役割 ~わが国周辺の「空」の状況~”. 防衛省 (Ministry of Defense) (2018年8月26日). 2018年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月28日閲覧。
- ^ “主要装備|防衛省 [JASDF 航空自衛隊]”. www.mod.go.jp. 2019年8月15日閲覧。
- ^ [New門]F35Bの発着艦試験成功、自衛隊が初の「空母」を持つ理由とは 読売新聞オンライン(2021年11月18日)2023年11月30日閲覧
- ^ “女性、戦闘機パイロットに…空自が登用方針”. YOMIURI ONLINE (2015年11月11日). 2015年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月13日閲覧。
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