航空母艦 世界の空母保有国

航空母艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/18 14:05 UTC 版)

世界の空母保有国

2024年現在、実践・実用的空母を有する国は9か国で、詳細は下記の通りである。

  1. アメリカ合衆国 - ジェラルド・R・フォード級ニミッツ級
  2. 日本 - いずも型ひゅうが型
  3. 中華人民共和国 - 福建山東遼寧
  4. イギリス - クイーン・エリザベス級
  5. イタリア - カヴールジュゼッペ・ガリバルディ
  6. インド - ヴィクラントヴィクラマーディティヤ
  7. フランス - シャルル・ド・ゴール
  8. ロシア - アドミラル・クズネツォフ
  9. タイ王国 - チャクリ・ナルエベト

空母以外の航空機搭載艦船

水上機母艦

水上機を搭載し、その行動基地としての役割を持つ軍艦。水上機以外を搭載する航空母艦が登場する前の第一次世界大戦当時、航空母艦とは水上機母艦を指すのが一般的であった[42]

水上戦闘艦

イタリアの「カヴール(C550)」は巡洋艦を表す「C」の船体分類記号を付与されている

航空母艦の登場直後より、水上戦闘艦、特に大型である戦艦重巡洋艦に航空母艦としての機能を付与することが検討されていた。イギリス海軍は、クイーン・エリザベス級戦艦レナウン級巡洋戦艦の主砲塔の上に滑走台を設置したが、発進は出来ても着艦は不可能だった[87]ワシントン海軍軍縮条約で戦艦や空母などの保有制限が課されたことで本格的な検討が着手された[88]

このうち航空戦艦については、日本海軍の「伊勢」、「日向」がこれに改装された。艦尾の主砲2基を撤去して、後甲板上を飛行機格納庫、その上方の甲板を飛行甲板として、彗星22機を搭載してカタパルト2基によって発進させる計画であった。「山城」「扶桑」についても同様の改装が計画されたが実現しなかった[88]

一方、航空巡洋艦 (Aircraft cruiserについては、当初はアメリカ海軍が熱心に研究しており、ロンドン軍縮条約では、アメリカの働きかけにより、巡洋艦の合計保有量のうち25パーセントには飛行甲板を装着してよいという規定が盛り込まれた。アメリカ海軍では、1935年には飛行甲板巡洋艦 (FLなる新艦種も制定されたものの、結局は小型に過ぎて実用性に乏しいとして断念された[88]。ただし航空巡洋艦については、航空母艦とは別に、水上機母艦の系譜としての検討も行われており、日本では利根型重巡洋艦および軽巡洋艦「大淀」、またスウェーデン海軍の巡洋艦「ゴトランド」が建造された[19]

なお戦後のヘリ空母・軽空母は、しばしば巡洋艦としての記号・呼称を付与されている。イギリス海軍のインヴィンシブル級は計画段階では全通甲板巡洋艦(Through Deck Cruiser, TDC)と称されていたほか[79]、イタリア海軍の軽空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」および「カヴール」も巡洋艦を表す「C」の船体分類記号を付与されている[89]。またソ連海軍のキエフ級は航空巡洋艦[83]、「アドミラル・クズネツォフ」は重航空巡洋艦と称される[28]

またこのほか、日本海軍の伊四百型潜水艦特殊攻撃機晴嵐」3機を搭載できたこともあり、潜水空母と俗称されることもある。

商船

大西洋の戦いが激烈さを増すのに伴い、船団護衛での洋上航空戦力の必要に対応して、連合国は護衛空母の建造を進めるのと並行して、商船に航空艤装を設置して航空機の運用に対応したMACシップを配備した。これは船団中の1隻として自らも貨物輸送に従事しつつ、必要に応じて飛行機を発進させて対潜哨戒と攻撃を行うものであり、乗員は固有船員であって、飛行科および砲員のみが海軍軍人であった[90]

なお日本海軍では護衛空母という名前で分類した[8]。日本陸・海軍でも、タンカーを改正して補助空母として使用できるように艤装した特TL型がある[90]

また1970年代から1980年代にかけて、アメリカ海軍では、コンテナ船をヘリ空母として使えるよう、20フィート・コンテナを組み合わせて航空艤装を構築できるようにしたアラパホ・システムを開発した。これ自体は試作の域を出なかったが、イギリス海軍は、試作品を借用して試験を行ったのち、民間船を改造した航空支援艦として「アーガス」を取得した[91]

脚注


注釈

  1. ^ a b 第十三、飛行機母艦「フューリアス」ノ全景[3] 獨國大海艦隊投降当時英國大艦隊ハ「フューリアス」「ヴィンディクティヴ」「アーガス」「ペガサス」及「ナイラナ」ノ五飛行機母艦ヲ有シ此ノ五隻ヲ以テ一航空戰隊ヲ編成シアリタリ本写真ハ其ノ旗艦「フューリアス」ナリ
    「フューリアス」ハ前部ニ発艦、後部ニ著艦滑走台ヲ有シ大小合セテ十八隻ノ飛行機ヲ格納スト称セラルル一万九千頓三十二節ノ巡洋艦ナリ 仝艦以上ノ攻撃力ト仝等以上ノ速力ヲ併有スル軍艦ハ世界中英國大艦隊ニ「レパルス」「レナウン」ノ二巡洋戰艦ト「カレッジアス」「グロリアス」ノ二巡洋艦アルノミ
    此ノ種母艦ハ艦隊戰闘ニ必要ナルノミナラス敵國領土内ノ所要ノ物件ニ対シ飛行機襲撃ヲ決行スルニ最適ノモノナリ。之レカ侵撃ヲ防クニハ潜水艇、飛行機及巡洋戰艦ノ併用ヲ俟ツノ外良策ナキカ如シ 研究ヲ要スル大問題ナリ。
  2. ^ 軍縮で日本が廢棄を主張する航空母艦 彼女が持つ任務如何[4](中略)依つて左に海軍中佐加藤尚雄氏によつて説明された航空母艦に關する話を紹介する
     航空母艦の話
     航空母艦とはどんな任務を持つて居る軍艦か、は名前の通り航空機の母艦である。艦内に澤山の飛行機を積み込んで居るふねである。然し母親が子供を抱いて居るやうに只飛行機を腹の中に入れて居るだけなら今日のやうに航空母艦がさわがしく論ぜることもなからう。
     とは前記のやうに澤山の飛行機を搭載して艦隊と一緒に又は單獨に行動し、いざといふ時にその子供の飛行機をどん〱艦から出發させて、或は敵情を偵察させたり或は敵艦の爆撃や雷撃、(魚雷で攻撃すること)をやつたり敵の飛行機を撃ち落させたりするのであつて、海上では空中兵力の根據地となるものである。だから航空母艦の勢力の大小といふことは、やがて海軍の空中武力の大小といふことに非常な關係があるから、軍縮會議などでやかましい問題となるのである。繰り返していふ、航空母艦はの根據地となる艦である。然もそれが非常な速力で遠いところへどしどし行動出來る移動根據地である。
    ほんとの航空母艦と水上機母艦
    ウソの航空母艦があるわけではないがワシントン會議ロンドン會議で航空母艦と定められたものは飛行機の發着が自由に出來る飛行甲板のあるのを航空母艦といふのであつて、そういふ飛行甲板がなくてを積んで居るのは補助航空母艦といでもいふのである。故にほんとの航空母艦では艦上機といつて陸上機と同じやうに車輪を持つた飛行機を用ゐ、それで飛行甲板を陸上飛行場のやうに滑走して出發し又この甲板へ降りて來て止まるのである(以下略)(記事おわり)
  3. ^ 現在まで左舷側にアイランドを設けたのは日本の「赤城」と「飛龍」のみ。
  4. ^ a b クイーン・エリザベス級では、垂直ではなく斜めに着艦するSRVL (Shipborne rolling vertical landing方式とすることもある[26]
  5. ^ この「ハーミーズ」は第一次世界大戦勃発後の1914年10月31日にUボートによって撃沈された。艦名は空母「ハーミーズ」に受け継がれた。
  6. ^ 第一次世界大戦に参加した水上機母艦「アーク・ロイヤル」は新造空母に艦名を譲り、「ペガサス」と改名した(第一次世界大戦に参加した水上機母艦「ペガサス」は既に除籍済み)。
  7. ^ 対外的には10,050トンの空母として発表した[55]
  8. ^ なお誤解されることが多いが、マレー沖海戦イギリス東洋艦隊を攻撃して戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」と「レパルス」を撃沈したのは日本海軍の陸上攻撃機一式陸上攻撃機九六式陸上攻撃機)である。北大西洋や地中海では、ドイツ空軍やイタリア空軍の陸上攻撃機がイギリス戦艦や巡洋戦艦を攻撃しているが、撃沈に到った艦はない。
  9. ^ 大西洋艦隊に所属していたニューメキシコ級戦艦ノースカロライナ級戦艦は健在であった。
  10. ^ 空母「赤城」「加賀」「飛龍」「蒼龍」、重巡「三隈」。
  11. ^ 大西洋では正規空母「レンジャー」が活動しており、また護衛空母も何隻か就役している。
  12. ^ 1942年8月以降、第二艦隊司令長官近藤信竹中将と第三艦隊司令長官南雲忠一中将では、近藤中将が先任のため南雲を指揮する立場にあった。
  13. ^ 太平洋戦争開戦後の1942年8月31日、軍艦籍となり「大鷹」と改名した[68]。艦艇類別等級では大鷹型航空母艦となる。
  14. ^ ただしその後も、アメリカ海軍の対潜空母(CVS)と同様にS-2艦上哨戒機やA-4艦上攻撃機、ヘリコプターを搭載して行動を継続した艦もあった[81]
  15. ^ 他の2種類はAH-64攻撃ヘリコプターF-117ステルス攻撃機であった[85]

出典

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