自衛隊 階級

自衛隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/04 22:17 UTC 版)

階級

自衛隊階級
区分 陸上自衛隊 海上自衛隊 航空自衛隊
幹部 将官 陸将 海将 空将
将補 陸将補 海将補 空将補
佐官 一佐 一等陸佐 一等海佐 一等空佐
二佐 二等陸佐 二等海佐 二等空佐
三佐 三等陸佐 三等海佐 三等空佐
尉官 一尉 一等陸尉 一等海尉 一等空尉
二尉 二等陸尉 二等海尉 二等空尉
三尉 三等陸尉 三等海尉 三等空尉
准尉 准陸尉 准海尉 准空尉
曹長 陸曹長 海曹長 空曹長
一曹 一等陸曹 一等海曹 一等空曹
二曹 二等陸曹 二等海曹 二等空曹
三曹 三等陸曹 三等海曹 三等空曹
士長 陸士長 海士長 空士長
一士 一等陸士 一等海士 一等空士
二士 二等陸士 二等海士 二等空士

概要

諸外国の軍隊の階級制度とほぼ同じ位置づけとなるが、憲法9条との兼ね合いから軍隊色を薄める目的で、旧日本軍のものから名称を変えている。

  • 」は基本的に中将に相当する。1962年(昭和37年)12月1日以前は陸上幕僚長海上幕僚長航空幕僚長及び、統合幕僚会議議長(現在は統合幕僚長)においても同階級章であり、諸外国では中将待遇であった。現在では、統合幕僚長・陸上幕僚長・海上幕僚長・航空幕僚長の職にある者はその在任期間中は大将待遇となる。ただし、あくまで職に対する地位や待遇であって、自衛隊には大将に相当する階級は存在しない[83]
  • 「将補」は少将に相当し、その役職により、俸給表では「将補(一)」「将補(二)」に分けられている。
  • 将官に関しては、上記のほかに補職によりアメリカ軍の准将~大将の取り扱いを受ける、いわゆる対外的な階級区分が内在している[84]
  • 「1佐」「2佐」「3佐」はそれぞれ大佐中佐少佐の佐官に相当する。「1佐」も俸給表では三段階に分けられている。
  • 「1尉」「2尉」「3尉」はそれぞれ大尉中尉少尉の尉官に相当する。
  • 「准尉」は准士官に相当する(上級曹長階級の創設に伴い廃止予定・曹士の能力活用及び上級曹長 (階級)も参照)。
  • 「曹長」「1曹」「2曹」「3曹」は、旧陸軍の曹長軍曹伍長および旧海軍の上等兵曹一等兵曹二等兵曹などの、いわゆる下士官に相当する。曹までが職業自衛官で定年制となる。
  • 「士長」「1士」「2士」はそれぞれ旧陸軍の上等兵一等兵二等兵および旧海軍の上等水兵一等水兵二等水兵などの、いわゆるに相当する。陸士は2年(一部の技術系は初任期のみ3年、以後2年)、海士と空士は3年(初任期のみ、以後2年)の任期制と、採用後2年9月以後おおむね7年以内に曹へ昇任する一般曹候補生の非任期制に別れ、任期制隊員は任期中に曹への昇任試験に合格すると3曹となる。

幕僚長の階級章

統合幕僚会議議長については統合幕僚会議議長章[85]を、他の三幕僚長は幕僚長章を左胸に着けるのみで、もともと3つ桜[86]の最高階級である陸将・海将・空将は大将でも中将でもなく、旧日本軍では3つ星(桜)は「大将」であり、一方アメリカ軍などでは3つ星は「中将」であるという状況下で、曖昧な立場にあった。1959年に第3代航空幕僚長・源田実F-X調査団として渡米した際、3つ星(桜)の源田は4つ星だが対等の米空軍参謀総長(大将)より格下の「中将」の待遇を受けたため抗議したが認められず、現地で源田は星章を一つ増やして4つ星の階級章を付けた。この行動を規定違反として問題視する声が上がったが、帰国後自衛隊の服装規則そのものが改正され、1962年(昭和37年)12月1日、「自衛隊法施行規則の一部を政正する総理府令」(昭和37年総理府令第67号)[87]により、陸上幕僚長・海上幕僚長・航空幕僚長及び、統合幕僚会議議長(現統合幕僚長)たるは階級章が正式に桜花4つ、海上自衛隊の冬制服上衣の袖章では金太線1本(金中線4本分)に金中線3本となり、海外における大将相当の階級章を付けるように改正され、同時に幕僚長章は廃止された。

1佐(一)

陸上自衛隊においては1佐(一)職にある自衛官が乗車する車両には紅色や白色に赤枠を設けて他と区別した台座に帽章1個(星一つの車両標識)が掲げられ、将官に準じて扱われる例がある。1佐で着任した副師団長や将補職の部隊長、団から隊へ縮小改変予定の団長、副旅団長、師団幕僚長、その他1佐職(一)がこれに該当し、これらは諸外国軍の准将相当とされる。海上自衛隊には護衛隊群司令や航空群司令等、本来は将補の役職に就く1佐(一)を代将と位置づけ、司令部乗艦の自衛艦のメインマストに白地に赤色桜星1つの代将旗の掲揚や、使用公用車両を通常の陸運局ナンバーの黒塗り乗用車(通常1佐までは自衛隊ナンバーのライトバン)とし、車両標識も紺色プレートに銀色桜星1つを掲示する等、将補並の待遇をする。自衛隊内では代将が呼称として使われることは無いが、諸外国軍からはコモドー(代将)の呼称を受ける[88]

旗章

海上自衛隊の指揮官旗(大日本帝国海軍将旗に相当)は、指揮権の所在を示すものであり、群司令・艦隊司令官等の指揮権を有する将官の階級の桜星の数を配した物を掲揚する。自衛艦隊司令部には自衛艦隊司令官の海将と自衛艦隊幕僚長の海将補の二人の将官がいるが、司令部のポールには自衛艦隊司令官の指揮権を示す桜星3つの海将旗のみが掲揚される。帝国海軍において、艦隊司令長官(中将または大将)と艦隊参謀長(少将)の二人の将官がいても、艦隊旗艦に掲揚される将旗は司令長官のもののみであったのと同様[89]

車両標識は指揮官職ではなくとも、将官はその階級の数の桜星を掲示する。将官の階級や標識、掲揚旗をその桜星の数で、将補をツースター、将をスリースター、陸海空幕長をフォースターと呼ぶ事があり、内閣総理大臣、防衛大臣の標識、掲揚旗はファイブスターとなる。内閣総理大臣旗、防衛大臣旗は地の色が異なる(自衛隊の旗参照)。




注釈

  1. ^ 自衛隊法第3条第1項は、自衛隊を「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」組織であると表現している。
  2. ^ 国際法上は軍隊として機能しているものの、憲法第9条との兼ね合いから正式に国軍化されておらず、政策的な制約が多く存在する。憲法が特別裁判所の設置を禁じているため、軍法会議も有しない。しかし、ハーグ陸戦条約が定めるところの交戦資格を持つ団体の条件を有しており、国際的に軍隊として扱われている。装備や編成も軍隊に準じており、各種制約を加味しても国際法上の軍隊と見なされている。
  3. ^ 栗栖弘臣は2000年に上梓した『日本国防軍を創設せよ』中でこう述べた――「国民の生命、身体、財産を守るのは警察の使命(警察法)であって、武装集団たる自衛隊の任務ではない。自衛隊は『国の独立と平和を守る』(自衛隊法)のである。『国』とは、わが国の歴史、伝統に基づく固有の文化、長い年月の間に醸成された国柄、天皇制を中心とする一体感を享受する民族、家族意識である。決して個々の国民を意味しない」。
  4. ^ 防衛省職員自衛官のほか事務官等(防衛書記官防衛部員など)から構成されているが、そのほとんどは同時に自衛隊員でもある。
  5. ^ 「自衛隊」の定義について規定する自衛隊法第2条第1項には「政令で定める合議制の機関並びに防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四条第二十四号又は第二十五号に掲げる事務をつかさどる部局及び職で政令で定めるものを除く」との除外規定が含まれており、防衛省に属する機関のうち独立行政法人評価委員会、防衛人事審議会、自衛隊員倫理審査会、防衛調達審議会、防衛施設中央審議会、防衛施設地方審議会、捕虜資格認定等審査会、防衛省地方協力局労務管理課については「自衛隊」の範囲から除外されている(自衛隊法施行令第1条第1項・第2項)。従って、「自衛隊」と「防衛省」とでは組織の範囲が完全に一致するわけではない。
  6. ^ 実質為替レート アメリカドル(2016年)
  7. ^ 発祥は防衛庁(当時)詰めの新聞記者と指摘されている[21]
  8. ^ 学説については野中俊彦高橋和之中村睦男高見勝利『憲法(1)第4版』(2006年)有斐閣、164-166頁も参照のこと。
  9. ^ 違憲判決として、2009年現在、1973年の長沼ナイキ事件札幌地方裁判所判決、2008年4月17日のイラク派遣事件の名古屋高等裁判所判決、の2例があるが、いずれも下級審の判決である。
  10. ^ 佐々淳行の次男が通っていた小学校の日教組組合員の女教師が、父親が警察官・自衛官である生徒を立たせて「この子達の親は悪人です!」と吊し上げた。佐々は激怒し、教師は家庭訪問を行ったが、その席で反省の弁は無く、自民党や自衛隊、警察を口汚く罵るばかりであったが、教育委員会に訴え出て免職させると佐々が言うと、教師は一転して土下座して謝罪しはじめた。この際、この教師は「日教組の組織をあげて戦う」と発言したという[131]
  11. ^ 産経新聞社会部次長大野敏明は、1996年2月2日付産経新聞東京夕刊において、「自衛隊員の息子として教師から虐めを受け、登校拒否になった」「同じく自衛官の息子だった友人は内申書の評価を下げられた、親の職業を言いたがらない者もいた」と述べている。
  12. ^ 最も被害の大きかった広島県では、土砂崩れや土石流が多発して死者・行方不明者が31人に上った。6月29日の夕方から被害が拡大しはじめ、死者・行方不明者が続々と確認される中、20時の時点で自衛隊から広島県に対して災害派遣要請の必要性の確認が行われた。これを受け広島県は広島市の意向を確認したが、広島市は自衛隊の派遣は必要ないとして断っている。一夜明けた30日、被害はさらに拡大。結果、6月30日午前4時の時点で広島市は県へ災害派遣要請を行った。産経新聞は1999年7月1日の記事で『秋葉忠利・広島市長は「何かできなかったかという思いはある。教訓として生かしたい」と述べたそうだが、冗談ではない。その能力を十分に持っている自衛隊を活用する気がなかったとしか思えない。自分のイデオロギーのために広島市民の生命をないがしろにした、重大なる「人災」と言っても過言ではないだろう』と批判した。この件では、広島市が対策に忙殺されており、広島県も災害対策本部の設置が遅れ、情報を消防庁に送ることが遅滞していたため、国土庁総理大臣官邸に連絡することが出来ないまま時間が経過していた。災害派遣要請の決め手となる被害地域の航空写真が広島市消防局長の手元に届いたのは30日午前零時であり、その4時間後には広島県知事に対して自衛隊派遣要請が行われている[133][134][135]

出典

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