自由民主党 (日本) 派閥

自由民主党 (日本)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 04:04 UTC 版)

派閥

閨閥

自民党およびその前身たる保守政党から輩出された歴代首相の多くが同一の閨閥に属する[179]

支持者

都市部と地方部

都市部と過疎地の経済格差の是正を重視する政策を踏襲してきた自民党は、農山漁村や地方小都市からの支持が根強かった。環太平洋パートナーシップ協定を推進するなど自由競争による経済効率を重視する政策への転換を図った。小泉政権時は、マスコミ報道を効果的に利用した「劇場型政治」や「ワンフレーズポリティクス」などと評され、従来の自民党支持層とは異なる都市部無党派層・従来政治に関心が無かった層からも幅広い支持を集めた。第44回衆議院議員総選挙では党広報担当の世耕弘成が民間企業の広告代理店と協力して自らのイメージを高め対勢力のイメージを落とそうとするメディア戦略を行った(B層」も参照)。

それでもなお、「人口密度の低い地方の自治体は自民党の得票率が高く、人口が密集した都市部になるにつれて下がる傾向」があると指摘される[180]。その理由としては「戦後、農協などを媒介した基盤を地方に持っていたこと」が挙げられる[180]

自治体別

自民党は内閣総理大臣経験者を全国最多の8人輩出している山口県(山口県は衆参両院議員が全員自民党所属であるだけでなく、山口県は知事や県内全19市町の首長全員が自民党所属である)を中心とした中国地方四国地方九州地方や、北陸三県(富山県石川県福井県[181]など、西日本の地方部に強固な地盤をもつ。そのほか原子力発電所のある地方自治体でも自民党の得票率が比較的高い[182]

年代別

年代別では、特に18・19歳と20代、そして70歳以上で票を多く集める傾向にある[183][184]

これにより、「自民党は70歳以上の高齢者だけでなく、若年層からも支持されている」と結論づけるメディアもある。しかし、「若年層では『支持政党なし』とする割合が高く、その層の多くが選挙で棄権するために、自民党への投票の割合が相対的に高くなっているだけである」とも指摘される[185]

三春充希によれば、「年代別の政党支持率は自民党の支持率は70歳以上で最も高く、60代、50代、40代がこれに続き、30代以下の支持率は相対的に低くなっている[186] 」としている。

一方、NHK第49回衆議院議員総選挙の際に実施した出口調査によれば、比例代表の投票先として1番自民党の割合が高いのは18、19歳、次に多いのは20代だった[187]。また、第48回衆議院議員総選挙の出口調査では20代で自民党への投票の割合が50%であり、2021年の衆議院選挙では41%に下がったと報道された[188]

年収別

第24回参議院議員通常選挙2016年)において東京都選挙区で当選した6候補の自治体別得票率(所属政党別)と自治体別平均世帯年収の相関。データは東京都選挙管理委員会および総務省統計局による[189][190]

過去10年間の自民党支持率の推移を世帯年収別に見ると、2005年には富裕層から貧困層までほぼ同じ割合が自民党を支持していたのに対し、2015年には富裕層における自民党支持が増えた一方で貧困層における支持は低下したとされる(以下の表を参照[191]。朝日新聞は、世帯収入300万円未満の層では自民党離れが進み、無党派層が増えているとしている[191]

自民党支持率の推移(世帯年収別)[191]
世帯年収 2005年12月 (%) 2015年3月 (%)
 
1000万円以上
43
46(3)
1000万円未満
750万円以上
37
48(11)
750万円未満
500万円以上
40
41(1)
500万円未満
300万円以上
42
41(1)
300万円未満
 
40
36(4)

また、総務省統計局のデータによると、「第24回参議院議員通常選挙2016年)の東京都選挙区では、自民党の候補者(中川雅治および朝日健太郎)は平均世帯年収が高い自治体でより多くの票を獲得していたのに対し、平均世帯年収が低い自治体では票を伸ばすことができなかった」とされる(右グラフを参照)。

支援団体

政治資金団体

1976年(昭和51年)1月1日指定。法人系の支援団体でもある。自由国民会議同様個人会員は日本国籍を有する者に限られ、外資系企業が法人会員になることや在日外国人が個人会員になることは政治資金規正法の規制により不可能である。

党友

1977年(昭和52年)創設。「自民党にモノ言う応援団」を標榜している。党員が加入することも可能。日本国籍を有する者に限られる。

音楽団体

以下の団体は、自民党より組織内候補を擁立している。

宗教

朝日新聞によると、第23回参議院議員通常選挙(2013年)において、自民党の比例区当選候補を支援した宗教系の支援団体は以下の通り[193]

友好団体

支持を表明しているとされる団体

郵政民営化が問われた2005年衆院選以降は自民党議員だった郵政造反組で結成された国民新党を支援していた。しかし、2013年参院選では改正郵政民営化法の成立を受け、再び自民党を支援した[194]
組織内候補を擁立している[195]
  • 全国老人福祉施設協議会
他の介護関係団体とともに、組織内候補を擁立している[195]

対外関係

アメリカ合衆国

親米保守を基調としており、特にアメリカ合衆国共和党とは日米安全保障条約、また韓国太平洋諸国との同種の二国間軍事同盟[注釈 33]に基づく東アジア外交を重視し、さらには党史にも述べられているように結党に関与している。およそ50年間にわたり政権を執ってきた自民党もその条約体制を概ね支持する共和党政権とは保守右派の理念で共鳴するため外交関係を重視してきた。

発足以来、アメリカにおいて共和党の対立政党である民主党による政権はケネディジョンソンカータークリントンオバマバイデン大統領などに関しては一定のパイプを有するものの、民主党は東アジアにおける安全保障政策および東アジア外交を重視しない方針を採る場合が多いため、自民党とは距離がある。

共和党政権では、新保守主義新自由主義に基づく経済戦略と国際戦略により協力した中曽根康弘政権とレーガン政権、小泉純一郎政権とブッシュ政権、安倍晋三政権とトランプ政権がそれぞれ外交関係を重視していた。

中華人民共和国

中華人民共和国は1949年の成立以降、中国共産党による事実上の一党独裁政治が続き、将来的な民主化を望む立場であるものの、親中である。日中友好議員連盟には多数の議員が所属し、現在は二階俊博が会長を務めている。また、北京オリンピックを支援する議員の会において会長を務めた河野洋平など100人以上の議員が参加している。なお、日中緑化推進議員連盟には二階俊博、桜田義孝らが所属している。

中華民国

日中国交正常化以後、国交が断絶している中華民国台湾)については、戦前中国国民党や結成時の民主進歩党とは交流が行われなかったものの、現在では外交関係を重視している。日華議員懇談会には多数の議員が所属し、岸信介など親台派の議員も数多く存在した。現在は古屋圭司が会長を務めており、2019年5月現在で287名の議員が所属している。

また、2015年当時の総裁である安倍晋三は、日華友好を主たる目的とする亜東親善協会(現:日本台湾親善協会)の会長を首相就任前まで務めていた[196]。なお、中華民国との交流は自由民主党青年局を通じて行われる。

大韓民国

大統領制である大韓民国(韓国)とは日韓議員連盟が組織されており、自民党議員は177名が参加している。会長は菅義偉、幹事長は武田良太額賀福志郎。2012年12月に発足した第2次安倍内閣は、日韓関係修復のため第46回衆議院議員総選挙の総合政策集に明記していた政府主催による「竹島の日」記念式典の見送りを決定[197] したほか、自民党の額賀福志郎を首相特使として派遣し朴槿恵次期大統領との首脳会談を要請した[198]

朝鮮民主主義人民共和国

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)については、朝鮮半島の南北分断固定以後は韓国同様にその存在を認めておらず(国際連合加盟国ではあるものの国家承認なし)、朝鮮労働党との交流は主に日本社会党が「友党」として積極的に行ってきた。その中で1990年(平成2年)には金丸信が日本社会党の田邊誠と共同で訪朝団を結成し(金丸訪朝団)、国交正常化や統治時代の補償とともに『南北朝鮮分断後45年間についての補償』という約束を自民党、社会党、朝鮮労働党の3党で交わしている。北朝鮮による日本人拉致問題の発覚後は、表立った交流は事実上行われていない。


注釈

  1. ^ 2010年代に存在した同名の政党とは無関係。
  2. ^ 衆議院議長の額賀福志郎を含む
  3. ^ 参議院議長の尾辻秀久を含む
  4. ^ 党内には中道右派[A] や、日本会議所属議員を中心とした極右[12][13][14][15]超国家主義[16][17]とされる勢力も存在する。
  5. ^ 憲法改正(あるいは自主憲法制定[38])は自民党立党以来の党是であり[39]、2010年の綱領では「日本らしい日本の姿を示し、世界に貢献できる新憲法の制定を目指す」としている[19]
  6. ^ 西沢保・池田幸弘によれば、日本政治では純粋な経済的自由主義は見つけにくいという。自由民主党の中には、公共支出やケインズ経済学の重要性を未だ信じるメンバーも、大幅な赤字のためにこの方法を採用したがらないメンバーもおり、経済政策に関して様々な態度がある[41]
  7. ^ 地方選では自民党と日本共産党共闘することがある[47]
  8. ^ 上州戦争森奥戦争などの「名物選挙区」も存在した。
  9. ^ 新党名を自由民主党とすること、次期内閣首班として鳩山が政務を担うこと、緒方が中心となって党務を担うこと、党執行部が日常的な党務を運営すること、重要問題は代行委員の合議によること、代行委員には鳩山・緒方・三木・大野、幹事長には岸、総務会長には石井光次郎、政調会長には水田三喜男が就任すること[75]
  10. ^ さらに、残った無所属の小沢貞孝も後に社会党入りしたため、二大政党以外は退潮傾向にあった共産党の1人だけだった。
  11. ^ 社会党は自民党の半分程度であったが、全議席の1/3を確保して自民党の目指す憲法改正を阻止することには意義があった。以降概ねこの議席比率が維持できたため、「一と二分の一政党制」とも呼ばれた。
  12. ^ 従来の記録では日本国憲法下では羽田内閣羽田孜首相)の64日、明治憲法下では東久邇宮内閣東久邇宮稔彦王首相)の54日。当内閣は発足から投票日までの28日に特別国会召集までを加えた日数になる。
  13. ^ 細野豪志平沼正二郎西野太亮三反園訓。細野は11月5日、西野は12月7日に自民入党が認められた。平沼は党籍を有しながら公認漏れだったが、11月8日に自民会派入りが認められた。
  14. ^ 離党した6名のうち後に自民党に復党したのは・西岡武夫(1980年)、河野洋平(1986年)、山口敏夫(同)。新自クを離党したのは小林正巳(1980年)と、参議院議員の有田一寿(1979年8月)。
  15. ^ ちなみに単独過半数を回復した251人目は北村直人である。
  16. ^ この例を適用されたのが改革クラブから移籍した松下新平で、当時の総裁だった谷垣禎一に直接面会して了承されている[要出典]
  17. ^ もっともかつて“世界一の金持ち政党”といわれた中国国民党本部(野党転落を期に現在は売却)やフランス共産党本部(世界的建築家オスカー・ニーマイヤー設計)など、大規模な党本部施設をもつ政党は少なくない。
  18. ^ 党則89条の1では「党本部」宛に提出することとなっているが、実務は幹事長が受け付ける。
  19. ^ この適用例としては2005年に逮捕された中西一善がいる。
  20. ^ 直近の例としては郵政解散の時の亀井郁夫がいる。亀井はその後、国民新党へ移籍した。
  21. ^ この例外として上川陽子がいる。
  22. ^ そのために復党が議題に上らなかった例として郵政解散のときの野呂田芳成がいる。
  23. ^ また党分裂に積極的に関与したという理由で新党の最高幹部が除名される例もあり、最近では旧国民新党代表を経験した亀井静香や綿貫民輔、旧たちあがれ日本で共同代表を務めた与謝野馨、新党改革元代表で第19代東京都知事の舛添要一らがいる。
  24. ^ 例外として渡辺孝一は比例名簿上位登載を連続4回。
  25. ^ この例に静岡5区で4回連続小選挙区敗退した吉川赳がいる。吉川は1回目と4回目が比例復活当選、2回目は復活できなかったが、3回目は選挙後1年半近く経ってから繰り上げで比例復活した。
  26. ^ この例に埼玉5区から4回連続、合計5回比例復活した牧原秀樹がいる。牧原は立憲民主党初代党首の枝野幸男と戦っている。
  27. ^ この例に静岡6区から3回連続比例復活した勝俣孝明がいる。
  28. ^ 森田健作は2003年の総選挙で中西一善に地盤を譲った後、千葉県知事選挙に立候補するまで「東京都衆議院選挙区第二支部長」であった。
  29. ^ この例に静岡5区で旧希望の党から鞍替えした細野豪志がいる。細野は第49回衆議院総選挙で当選後、入党を認められた。
  30. ^ a b c d e 道徳再武装運動会員
  31. ^ a b c d アメリカ対日協議会関係者
  32. ^ a b 同一閨閥に属する大久保利通牧野伸顕と並び、従一位に叙されている。
  33. ^ これが為、アジア・太平洋地域に集団安全保障体制は存在しない。[要検証]
  34. ^ 総務省HP。以下端数は切り捨て。
  35. ^ 電通出身の自民党"世襲議員"は近年であれば、高村正大平井卓也中山泰秀などがいる。

出典






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