自然治癒力 自己防衛機能

自然治癒力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/24 08:43 UTC 版)

自己防衛機能

免疫機能は非常に高度で精密(あるいは複雑)なシステムである。免疫機能を担っている要素の例としては「リンパ球」が挙げられる。「リンパ球」というのは総称であり、現在のところ「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」「B細胞」「T細胞」などが知られている。ナチュラルキラー細胞は腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に携わっている。B細胞は体液性免疫や抗体産生に携わっている。T細胞は細胞性免疫に携わっている。

自然に起こる創傷治癒

身体で起こる創傷治癒の過程については多くの研究報告がある。

たとえば深い切り傷で起こる創傷治癒の過程を見てゆくと、まず受傷部に流入してくる血液により血栓が形成され、血中のフィブリノーゲンが結合し、線維束を形成する。

炎症反応、異物除去

受傷6〜24時間は、周辺の毛細血管から好中球が滑り出てくる(好中球は、もし創(そう、傷口)が不潔な場合、細菌などを貪食処理する)。そして好中球は短時間で消滅する。 受傷後12〜48時間は、単球が創内に集まってくる。単球はアメーバ状に形をかえつつ、細菌や組織分解物の貪食を開始し、次第に捕食消化する能力を高めてゆく。これは単球がマクロファージに分化し、活性化マクロファージへ変化したことを意味する(もし、創内に向かってマクロファージが集まらなかったり力が弱かったりする場合は、分解物が除去できず炎症が長く続く)。

瘢痕治癒

マクロファージによる異物の除去作業が終了するころに、毛細血管の新生が起こり、線維芽細胞が出現する。 線維芽細胞はコラーゲン、タンパク質、多糖類を合成し、細胞間腔に分泌を開始する。線維芽細胞によるタンパク質合成には十分な酸素と栄養素が必要で、毛細血管の新生は、線維芽細胞にそれを供給する役割を果たしている(毛細血管は、周囲の血管から発芽状に発生、創内へとループ状に発育し、網目状になる)。コラーゲン分子は凝集し、原線維となり、瘢痕組織が形成され、創の修復が進む[9]

この過程にかかわる注意点として、 コラーゲンは線維芽細胞の中にある粗面小胞体で合成されるが、水酸化されてから細胞から分泌される。もし水酸化が進まないと、線維束化されず、治癒は延滞してしまう。コラーゲン線維の水酸化には、ビタミンCが欠かせないとされる[10]

受傷後12〜48時間の、創に近い表皮細胞の端は、細胞が外観を失い、無定形化および膨化し、移動し、凝血内にある血清タンパク質や線維素の切れ端を貪食消化する(これは細胞分裂の準備を行っている)。そして、連続性を備えた細胞層を形成しつつ、正常な外観を取り戻してゆき、表皮再生と真皮での治癒がほぼ同時に完了する。

参考文献


  1. ^ Grube, C. M. A (1954) “Greek medicine and the Greek genius” Phonix 8 123-135 JSTOR
  2. ^ Neuburger, M. (1944) "An Historical Survey of the Concept of Nature from a Medical Viewpoint" Isis 35 (1): 16–28 JSTOR
  3. ^ a b 『自然治癒力の不思議』、244頁
  4. ^ 米山公啓『自然治癒力のミステリー』p.10
  5. ^ 米山公啓の『自然治癒力のミステリー』が書かれたのは1998年のことであり、この当時、この書物に書かれていたとおりのことが、実際に日本の医療現場では横行していた。日本では、抗生物質の過剰処方を自身が行ってしまっていることに気付いていない医師が多かった。その後、幾名もの善意の勇気ある医師によって抗生物質の過剰処方に関する厳しい指摘が続いた。そうした指摘が続いたおかげで、ようやく、日本の医師会もそうした不適切な行為が横行している状態について反省せざるを得なくなり、放置できなくなった。(ようやく、遅まきながらのことであるが)その後、かぜ症候群と鑑別されて抗生物質が安易に投与されることは減少しており、投与される薬は高熱の場合の対症療法としての解熱鎮痛剤が大半である、と日本呼吸器学会はサイトで主張し。(出典:一般社団法人日本呼吸器学会 かぜ症候群 [1]。)(自分が属する集団について反省を行い、厳しい指摘をした米山公啓らとは異なり、呼吸器学会は、過去の自分たちの過ちについてはっきり記述せず、都合の良い記述だけを書く、という医療界にありがちなパターンの記述でお茶を濁した。)
  6. ^ 『自然治癒力のミステリー』p.11
  7. ^ https://wired.jp/2017/08/31/alternative-medicines-toll-on-cancer-patients-death-rate-up-to-5x-higher/
  8. ^ 『自然治癒力のミステリー』p.186-188
  9. ^ これらの過程がうまくゆけば、受傷後およそ2週間でタンパク質合成が終了し、組織改造の過程が開始する。コラーゲン線維の断裂と線維束化が起き、周辺の損傷を受けなかった組織の線維束と同様の外観になるように改造が進み、周辺の結合織との連続性ができてくる(『自然治癒力の不思議』、95頁)
  10. ^ 昔から壊血病の人は、負傷した際に未治癒になってしまう人が多いこと、また壊血病はビタミンC欠乏が原因であることが知られていた。これらの因果関係については1926年にウォルバックによって証明された。(『自然治癒力の不思議』、98頁)
  11. ^ スティーブン・ロックは医学博士。ハーバード大学医学大学院精神科助教授。精神神経免疫学研究のためのマッカーサー基金の顧問。


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