脚本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 19:20 UTC 版)
ハコ書き
- 脚本・戯曲
- テーマの訴求。尺(時間)の制限。シーンとシークエンスの整理などの作業。例えば起承転結を四つのハコに見立てたものを、大バコと言い、さらに具体的に構成したものを小バコという。台詞まで書かない、ト書きの積み重ねが多い。この時点で制作者や演出部との打合わせをする。
- 大バコ
- 大まかな構成。ここではトーンを統一するが具体的なことは書かない。テーマを「起承転結」に落とし込んでいく作業のみに限られる。
- 「結」、落としどころ(ラスト・シーン)を決めてから、ストーリーの雰囲気を掴む「起」(ファースト・シーン)を考え、「承」でストーリーを転がして「転」でサプライズを作る場合が多い。
- 中バコ
- シークエンスの考え方。大バコで作った「起」(ファースト・シーン)の中にも「起承転結」がある。ここで主要人物をどう紹介するかなどを作る。「承」の中での起承転結は、主要人物の葛藤、絶望、新たなる希望などでドラマを作る。後半にサプライズがあれば、ここで伏線を張る。ストーリーで一番長く面白く見せる場所。「転」の中での起承転結では、今までの「起」「承」が助走であれば、ここでジャンプし高く跳躍する場所。サプライズがあれば先に作ってから「承」に伏線を張る場合が多い。高いジャンプが着地した場所が、「結」の中での「起」になり、テンポのよい「承転結」(ラスト・シーン)を作っていく。
- 小バコ
- シーンの考え方。必要ならばカット・バックやモンタージュなどを挿入し、シークエンスをさらに細かく作り込む。「起」の「起」の中での起承転結では、主要人物または主人公が暴力的ならばアクションで始めるのか、逆に優しい人物に見せるのか。誰に対してその行動を取らせるか。クセや特徴、眼鏡は掛けているか、昼か夜か、雨は降っているか、降った後かなど、決定していく。「起」の「承」の中での起承転結では、もうストーリーは始まっているのか、これから巻き込まれていくのか、主人公に相棒がいるならここで出すか、二人の相性はよいのかなどを作り、「起」の「転」の中での起承転結では、敵対する相手が出ているなら、それにどう対処するか、主人公と相棒は相対する性格ならば、ここでその性格を明確にする。「起」の「結」の中での起承転結では、主人公、または相棒の立てた方法にどちらかが引っ張られていく、または別な登場人物が助けを求めにくるならそれを決定し、「承」の「起」の中の起承転結につなげていく。
- ここまでで、「大バコの起承転結」からさらに「中バコの起承転結」、そして「小バコの起承転結」まで具体化し、必要ならば「小バコの起承転結の中の起承転結」まで具体化する。各々の人物像が浮かび上がる、または確定しているはずなので、言うべき台詞も決まることが多い。また、あえて台詞を作り込むことで人物を強調させる。
- なお、作家または作品によっては、上記のように順序を踏まえて書く。他に、大バコから小バコに移る。または小バコを書いてから、大バコに直して整理するなどの方法をとる。
- ^ a b c d e 『日本大百科全書』「脚本」
- ^ a b 『日本大百科全書』「シナリオ」
- ^ “シナリオ”. 国語 英和 和英 カタカナ 漢字 - Infoseek マルチ辞書. 三省堂. 2008年11月5日閲覧。
- ^ 田中純一郎『日本映画史発掘』 冬樹社、1980年、160-161頁
- ^ 中川裕幸、他「特集《平成19年度著作権・コンテンツ委員会》: アニメの著作権」『パテント』第61巻第8号、日本弁理士会、2008年、11-47頁、NDLJP:8226018。
- ^ a b 加藤君人『コンテンツビジネスにおける各種契約』経済産業省/ユニジャパン、2018年 。
- ^ a b 酒井麻千子「著作者の同一性保持権と「慣行」に関する一考察」『東京大学大学院情報学環紀要 情報学研究』第77号、東京大学大学院情報学環、2009年8月、167-181頁。
- ^ 田中宏和「著作者人格権に関する課題と検討: 著作者人格権の不行使特約と放棄の問題を参考に」『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』第29巻、岡山大学大学院社会文化科学研究科、2010年、111-130頁、doi:10.18926/20324。
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