聴牌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/15 14:49 UTC 版)
待ちの種類
聴牌時において待ち牌がm種類存在することを「m面待ち」あるいは「m面張(メンチャン)」と言う。四面子一雀頭、すなわち4つの完成面子と1つの対子によって成立する役を聴牌している場合には、聴牌時において手牌に含まれる未完成面子の形によって待ち牌が何種類あるか決定される。
待ち牌が3種類以上ある場合を多面待ち、または多面張(タメンチャン)という。多面待ちの中には、一見しただけでは待ちの判別が難しいものが多数ある。そのようなものについては、ある程度の訓練が必要である。また、四面張以上の複雑な形の場合は、パターンを丸暗記してしまったほうが早いこともある。頻出する多面張形はそれほど多くはない。
以下、待ち牌の種類の数について詳述する。なお、は完成面子、は雀頭を意味する。いずれも待ち牌には影響しない牌によって構成されている(または完成面子の場合は副露面子・暗槓のように公開されて完全に独立している)ものとする。
一面待ち
基本的な形式は上記の嵌張待ち、辺張待ち、単騎待ち、及び国士無双の一面待ちであるが、この他にも四枚使いによって本来の待ちが潰れて一面だけの待ちになることもある。
- シャンポンの一面待ち
シャンポン待ちは二面張とは限らない。以下のように一方の待ち牌を既に自分で4枚使用している場合はシャンポンの一面待ちとなる。この場合もシャンポン待ちに変わりはないので、待ちによる符は得られない。この場合、待ち牌の枚数は最大で1種類2枚。
- 両面の一面待ち
両面待ちにも一面待ちとなるケースがある。やはり形式は両面なので待ちによる符は得られない。この場合、待ち牌の枚数は最大で1種類4枚。
- ノベタンの変則形
後述するノベタンの端にある数牌のうちいずれがさらに刻子を形成している場合、その数牌を4枚使用しているため、結局ただの単騎待ちと同じ一面待ちになる。この場合、待ち牌の枚数は最大で1種類3枚(すでに自分で1枚使用しているため)。
二面待ち
基本的な形式は上記の両面待ち、双碰待ちがあるが、基本的な待ちの形式の派生形として次のようなものがある。
ノベタン
単騎待ちの変則形で、連続する数牌が1枚ずつ4枚並んだ形。端にある2種類の数牌が待ち牌となる。待ち牌の枚数は最大で2種類6枚(端の数牌を自ら1枚ずつ使用しているため)。両面待ちと同じように、筋を待つが同時に単騎待ちなので、「両面単騎」とも言われることがある。
亜両面
両面待ちの片方が雀頭にも取れるような形。待ち牌の枚数は最大で2種類6枚。
変則二面待ち
- 数牌nの暗刻子と、数牌n±2との複合
嵌張待ちとも単騎待ちともとれるため、待ち牌は2種類になる。待ち牌の枚数は最大で2種類7枚(数牌n±2を自ら1枚使用しているため)。
- 数牌nの暗刻子、n±1,n±2,n±3の順子とn±5の複合
嵌張待ちとも単騎待ちともとれるため、待ち牌は2種類になる。待ち牌の枚数は最大で2種類7枚(数牌n±5を自ら1枚使用しているため)。
三面待ち
三面待ちには、1-4-7、2-5-8、3-6-9など単一の筋を待つ三面張(狭義の三面待ち)と、1-4-3、2-5-4など複数の筋を待つ変則三面張の2種類がある。狭義の三面張以外の三面張を変則三面張とするもので、頻出する変則三面張には特に名称がつけられている場合もある。
狭義の三面待ち
両面搭子と順子とがm,m+1,m+2,m+3,m+4という形で複合する場合である。これを三面待ちと呼び、他の変則三面待ちと区別する場合もある(狭義の三面待ち)。ピアノ待ちと呼ばれることもある。わずか5枚の牌によって最大で3種類11枚もの待ち牌を持つことが可能であり、良い待ちのひとつとされる。
4枚の牌によって成立する三面待ち
数牌nの暗刻子に、数牌n±1が1枚くっついている形である。最も少ない枚数の牌によって構成される三面待ちでもある。nを刻子とみることも雀頭とみることもできるため、三面待ちとなる。待ち牌の枚数は最大で3種類11枚。異なる筋の牌が待ち牌に含まれるため、狭義の三面待ちよりも良い待ちであるとされる場合もある。
7枚の牌によって成立する三面待ち
ノベタンと順子の複合
順子にノベタンが複合している三面待ちには以下の2種類がある。
ノベタンと暗刻の複合
ノベタンと暗刻で間が1つ開いている形。
- (例)
- 待ちは の三面張。間の開いていない連続な形の場合は五面張になる。
エントツ形
順子の端の牌が計3枚あり、うち2枚がシャンポンの一方を構成する場合である。シャンポン待ちとみることも、両面待ちとみることもできる。待ち牌の枚数は最大で3種類7枚。この形は頻繁に見られるため、他の変則三面張と区別して煙突待ちあるいはエントツ形と名前が付いている。
暗刻の複合によって単騎待ちも成立する両面待ち
7枚の数牌がn,n,n,n±1,n±2,n±2,n±3によって構成される場合、3枚ある数牌nを雀頭とみる場合の両面待ちと刻子とみる場合の単騎待ち(もしくはカンチャン待ち)との複合により、三面待ちとなる。待ち牌の枚数は最大で3種類9枚。
単騎待ちと嵌張待ちが成立する三面待ち
一盃口形の三面待ち
数牌nの刻子がn-1の対子と、n+1の対子にはさまれる形である。nを刻子とみる場合のシャンポン待ちと、雀頭とみる場合の単騎待ち(あるいはカンチャン待ち)との複合により、三面待ちとなる。待ち牌の枚数は最大で3種類5枚。
4枚使いが含まれる三面待ち
10枚の牌によって成立する三面待ち
- 完成面子1つのほかに対子が5つあり、うち4つが連続する数牌によるものである場合
連続する数牌対子の両端のいずれを雀頭とみるかによって、2通りのシャンポン待ちが成立することから三面待ちとなる。数牌の対子が3つしか連続していない場合は単なるシャンポン待ちに過ぎないことに注意する必要がある。待ち牌の枚数は最大で3種類6枚。
- シャンポンの他にリャンメンにも取れる一盃口含みの形
連続する暗刻2つに対子が1個くっついている形の場合、もう1つの対子とシャンポン待ちを形成するだけでなく、両面待ちも成立する。
- 10枚の数牌がm,m,m±1,m±2,m±2,m±3,m±4,m±5,m±5,m±5という構成である場合
m±5を刻子とみることも雀頭とみることもできるため、三面待ち(両面待ちとカンチャン待ちの複合)となる。待ち牌の枚数は最大で3種類9枚。
- 1から9までの数牌10枚によって構成される三面待ち
ノベタンによる二面待ちとみることもカンチャン待ちとみることもできるため、三面待ちとなる。待ち牌の枚数は最大で3種類10枚。この形が成立するパターンは2通りしかない。
13枚の牌によって成立する三面待ち
13枚の数牌がm,m,m,m±1,m±1,m±1,m±1,m±2,m±2,m±2,m±2,m±3,m±3という構成である場合、三面待ちとなる。m,m±1,m±2の順子が3つあると考えた場合の両面待ちと、m,m±1を刻子、m±2を雀頭とみた場合の一面待ち(本来両面待ちであるが一方を4枚使用しているため)との複合である。待ち牌の枚数は最大で3種類7枚。
四面待ち
7枚の牌によって成立する四面待ち
三面張と単騎待ちの複合
2筋の両面待ち
一盃口形の四面待ち
4枚使いが含まれる四面待ち
- (例1)
- 待ちは 。四萬を雀頭とするなら五萬が暗刻となり、4-7萬の両面待ちになる。五萬を雀頭とするなら高目一盃口の形の3-6萬待ちになる。すなわち、4枚使いの牌のまたぎが両方とも待ちになっている。「またぎ筋全部」のパターンとして覚えておくべき形。
- (例2)
- 待ちは で同じ。こちらは4枚の牌によって成立する三面待ちにおける単騎部分がノベタンとなり、暗刻部分と重なったものに相当する。暗刻と重ならない方向にノベタンとなった場合は五面待ちとなる。
暗刻2つと単騎が連続した形
- (例)
- 待ちはの四面張。2・3萬のシャンポン、4萬の単騎、2-5萬の両面に解釈できる。なお2つの暗刻の間に単騎の牌がはさまっている形は五面待ちになる。
10枚の牌によって成立する四面待ち
暗刻に三面ノベタンがくっついている形
- (例)
- 待ちは の四面張。この場合、暗刻と三面ノベタンに1つあいだがあいている不連続形である。間の開いていない完全な連続形になっている場合、四面張ではなく六面張になる。
2つの暗刻にノベタンがはさまっている形
- (例)
- 待ちは の四面張。この場合、暗刻とノベタンに1つあいだがあいている不連続形である。間の開いていない完全な連続形になっている場合、四面張ではなく八面張になる。
2つのエントツ形によって成立する四面待ち
両面待ち2つとシャンポン待ちが重なったもの。
5連続対子
シャンポン待ちと三面待ちの複合
シャンポン待ちと両面の複合
13枚の牌によって成立する四面待ち
三面シャンポンとエントツ形の複合
三面シャンポンに一盃口形の三面待ちが重なった形
- (例)
- 待ちはの四面張。6萬を暗刻と考えれば2・5・7萬の三面シャンポンになり、全体を二盃口と考えれば6萬の単騎(嵌張)。合わせて四面待ち。
シャンポンの他にリャンメンにも取れる一盃口含みの形とエントツ形の複合
五面待ち
暗刻にノベタンがくっついた形
2つの暗刻の間に単騎の牌がはさまっている形
九連宝燈を順子2個分縮めた形。
手牌全体がエントツ形になっている形
三面待ちと複合したエントツ四面張と2つのエントツ形による四面張が複合した形。四面子一雀頭の形として、複数の色の待ちを持つものとしては最高の待ち数であり、複数色待ちの五面張はこのパターンに限られる。
2つのエントツ形が重なっている形
一盃口とノベタンが重なった形
4枚使いが含まれる五面待ち
- (例1)
- 待ちは の五面張。前述の2筋の両面待ちにおける片方の筋を順子1つ伸ばした五面待ちの中には、このような4枚使いとなるパターンも存在する。また、4枚使いが含まれる四面待ちの(例1)に順子1つを加えた形にも相当する。
- (例2)
- 待ちは の五面張。前述の4枚使いが含まれる四面待ちの(例2)を順子1つ伸ばした形のうち、五面待ちになる1例である。
- (例3)
- 待ちは の五面張。前述の4枚使いが含まれる三面待ちの例は、順子が1つ連なることで最大五面待ちとなる可能性がある。
エントツ型と5連続対子が重なった形
一盃口と一盃口形の四面待ちが連続した形
- (例)
- 待ちはの五面張。5萬が出れば二盃口となるが、どこを一盃口と考えるかによって待ちが変わる。567を一盃口と見なせば2-5待ち。345を一盃口と見なせば5-8待ち。234を一盃口と見なせば残りの部分は「一盃口形の四面待ち」になり、5678待ち。
六面待ち
九蓮宝燈から暗刻を1つ除いた形
5連続対子に順子が重なった形
5連続対子と順子で端の2牌または3牌が重なった形は六面待ちとなる可能性がある。なお5連続対子と順子の端の牌同士が1つだけ重なった形では五面待ちになる。また、同じ5連続対子に順子が3牌重なった形であっても2233344455566のように真ん中で重なった形では5連続対子と同じ四種類の待ちのみとなる。
- (例1)
- 待ちはの六面張。5連続対子に順子の2牌が重なった形(2233445566+567)と考えれば2356待ち。さらに一盃口+暗刻2つと単騎が連続した形(223344+5556667)と考えれば5678待ち。
- (例2)
- 待ちはの六面張。5連続対子に順子の3牌すべてが重なった形(2233445566+456)と考えれば2356待ち。暗刻2つを分割して(2233444+555+666)一盃口形の四面待ちと見なせば1234待ち。また一盃口を分割して(223344+4555666)、暗刻2つと単騎が連続した形と考えて3456待ちなどと解釈できる。
2筋の三面待ち
4枚使いが含まれる六面待ち
- (例)
- 待ちは の六面張。前述の4枚使いが含まれる四面待ちの例は、いずれも順子1つ伸ばした形において最大で六面待ちになる可能性がある。なお順子2つ伸ばした13枚の形も考慮すればさらにいくつかの4枚使いのパターンがある。
七面待ち
九連形
九蓮宝燈を順子1個分縮めた形。
七連宝燈
純正九蓮宝燈の形は他の同じ色の全ての牌であがれるという特徴を持つが、この特徴を持つ形は他にもう8通りある。四枚使いの牌があるため九面待ちにはなっていないが、同色の牌の全てが当たり牌となっている。これらのうち七面待ち、八面待ちのものをそれぞれ七連宝燈、八連宝燈と呼ぶことがある。
七連宝燈は2種類ある。
5連続対子と暗刻が連続した形
一盃口とエントツ型2つとノベタン(3面単騎)が含まれる形
八面待ち
四面子一雀頭の形における八面待ちは以下の二種類に限られる。
九連形
九蓮宝燈を順子1個分縮めた形。
八連宝燈
八連宝燈は6種類あるが、本質的には下の3つだけで、もう3つはこれらを1から9まで逆にしたものである。
九面待ち
純正九蓮宝燈
純正九蓮宝燈の形は四面子一雀頭の形では唯一の九面張の形であり、最大の待ち数の形である。九連宝燈は役満だが、純正九面張になっているこの形は、ルールによってはダブル役満とされる場合もある。この聴牌に至るまでに1枚でもその色の牌を捨てているとフリテンとなってしまうため、完成すればあがり易いものの、完成させるまでが非常に困難である。
十三面待ち
国士無双十三面張
上記の国士無双の十三面待ち。
- ^ 天和・地和・人和も、「形式聴牌」のまま和了れるが、「形式聴牌」と言及される機会は少ないといえる。
聴牌と同じ種類の言葉
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