義務教育 ヨーロッパにおける義務教育

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 学問 > 教育 > 普通教育 > 義務教育の解説 > ヨーロッパにおける義務教育 

義務教育

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/17 20:41 UTC 版)

ヨーロッパにおける義務教育

イギリス

イギリスでは1870年の初等教育法により近代的な公教育の制度が始まった[7]。義務教育導入の背景には児童の保護や治安の維持などがあったといわれている[5]。公教育制度は1918年のフィッシャー法により実質的に整備された[7]。1944年のバトラー法で義務教育の年限は9年から10年となり、その後11年に延長された[7]

イギリスにおける教育制度は複線型であるが、1988年の教育改革法で義務教育の全国共通カリキュラムを設けた[7]

イギリスの義務教育は16歳までの11年だが、学校の区切りと義務教育年限が一致していないため、16歳の生徒の就学には様々な形がある[5]。2015年の法律で義務教育後18歳までは教育または職業訓練のいずれかを受ける義務があるとされている[5]

イギリスでは教育の無償の期間が13年間(義務教育11年+2年)とされている[5]。無償の内容は授業料の不徴収である(教科書は学校に備え付けられている物品とされており家庭でも自由に購入できる)[5]

イタリア

イタリアでは、6歳からの10年間が義務教育である[5]

オランダ

オランダでは、5歳からの13年間が義務教育である[5]

スペイン

スペインでは、前期中等教育まで(10年間)が義務である。

フランス

フランスでは教育法典フランス語版において、以下と定められている。

L.131-1条: 6歳以上16歳未満のフランス人及び外国人の男女両性の子どもに関して、教育は義務である。

L.132-1条; 幼稚園及び幼児学級において行う公教育、ならびにL.131-1条に定める義務教育の期間に行う公教育は、無償とする。 中等教育を行う公立のリセ及びコレージュの生徒、ならびに中等段階の公立学校におけるグランゼコール準備学級および高等教育準備学級の生徒に関して、教育は無償とする。

— フランス教育法典

義務教育の年限は10年である[5][8]

  • 初等教育 - エコール・プリメール (5年間、小学校相当)
  • 前期中等教育 - コレージュ(4年間、中学校相当)
  • 後期中等教育 - リセなど(ただし義務教育として扱われるのは満16歳に達するまで[8]

フランスでは教育の無償の期間が12年間(義務教育10年+2年)とされている[5]。無償の内容は授業料の不徴収と教科書の貸与である[5]

ドイツ

ドイツ連邦共和国では、子供には「教育を受ける権利」と「就学する義務」の両方が定められている[9]。また、児童・生徒及び保護者に既成の学校教育を拒否する権利は認められておらず、不登校が発覚した場合は、本人は登校を強制され、保護者も処罰される。これはナチス・ドイツヒトラー政権当時の1938年に制定された、現在も有効な条文で[10]、いわば徴兵制と同様の強制力を持つものとなっている。第二次世界大戦敗戦後、「日本は皇室制度を維持し、ドイツは教育制度を維持した」と言われており[11]、ドイツの教育制度は日本の学制改革のような大きな改革がなかったのが一因である。ただし不登校でホームスクーリングをしている例は500家庭あるとされる[12]

ドイツの義務教育の年限は6歳からの13年間である(複線型であり9年間・10年間・12年間の場合あり)[5]

ポーランド

ポーランドでは、15歳までの前期中等教育が義務教育である。

ノルウェー

ノルウェーでは、グレード10までの前期中等教育が義務教育である。




  1. ^ a b マット・リドレー『進化は万能である: 人類・テクノロジー・宇宙の未来』大田 直子, 鍛原 多惠子, 柴田 裕之, 吉田 三知世訳 早川書房 2016 ISBN 9784152096371 pp.233-235.
  2. ^ 米国での初等・中等教育の垂直的編制における一般教育と職業教育との関連問題 31ページ 2010年8月1日閲覧。
  3. ^ a b 桑原敏明・真野宮雄『教育権と教育制度』、第一法規出版
  4. ^ 混同している例:『「教育」の常識・非常識―公教育と私教育を巡って(早稲田教育叢書)』 安彦忠彦 112ページ - 『現代教育制度論』 熊谷一乗 80ページ - 両書ともアマゾンのなか見検索で閲覧可能。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap 学校制度(学制)-諸外国との比較”. 教育再生会議 (2013年11月26日). 2017年9月1日閲覧。
  6. ^ ノーマライゼーションを実現する障害者のための特別学校”. Scandinavian Tourist Board. 2009年2月21日閲覧。
  7. ^ a b c d 井上和幸、佐野茂、広岡義之 編『教育学基本マニュアル改訂版』創言社、2001年、83頁
  8. ^ a b 井上和幸、佐野茂、広岡義之 編『教育学基本マニュアル改訂版』創言社、2001年、85頁
  9. ^ 中央教育審議会義務教育特別部会 (2005年2月28日). “各国の義務教育制度の概要”. 我が国の義務教育制度について. 文部科学省. 2009年8月27日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ 編集部「国外脱出を迫られる「ホームスクーリング」の家族」、『週刊金曜日』第699号、金曜日、2008年4月。
  11. ^ 複線型教育の必要性 中村豊久 2010年8月1日閲覧。
  12. ^ ドイツマスコミスキャン~学校忌避に禁固3か月 JanJan 竹森健夫 2010年8月1日閲覧。
  13. ^ 井上和幸、佐野茂、広岡義之 編『教育学基本マニュアル改訂版』創言社、2001年、86頁
  14. ^ 学校教育法 第16条、第17条
  15. ^ 学校教育法 第144条
  16. ^ 学校教育法施行令
    第20条 小学校、中学校、中等教育学校及び特別支援学校の校長は、当該学校に在学する学齢児童又は学齢生徒が、休業日を除き引き続き7日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合において、その出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは、速やかに、その旨を当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に通知しなければならない。

    (教育委員会の行う出席の督促等)
    第21条 市町村の教育委員会は、前条の通知を受けたときその他当該市町村に住所を有する学齢児童又は学齢生徒の保護者が法第17条第1項又は第2項に規定する義務を怠つていると認められるときは、その保護者に対して、当該学齢児童又は学齢生徒の出席を督促しなければならない。
  17. ^ 学校教育法 第18条
  18. ^ 4年制の尋常小学校の場合、第3学年修了で義務教育終了とみなされたかどうかは不明である。
  19. ^ 茶谷[2013:44]
  20. ^ 沖縄夜間中学にも不況の波:珊瑚舎スコーレの動画においては、アナウンサーが自主夜間中学に対してこれは義務教育であるとしている。
  21. ^ なお、学齢期を超過した者であっても、各教育委員会の判断において、新たに入学・編入学を許可することは禁止されていない。
  22. ^ 京都市内の公立中学校・不登校の在日4世を退学に 母子で国賠訴訟[リンク切れ](民団新聞)
  23. ^ 在日外国人の義務教育・中学校退学事件、国家賠償請求 JANJAN
  24. ^ 勝訴!在日コリアン4世中学生不就学裁判【大橋】
    「原告Aは、2度目の退学届の受理に際して、HN校長から、退学と転学の違い及び退学によって原告Aが被る不利益について説明を受けなかった結果、指導要録の引継ぎや卒業認定の問題等、退学によって被る不利益について十分に検討することができず、原告母による退学届の提出に対して主体的に関与することができなかったことにより精神的苦痛を被ったと認められる。」(中略)「以上の諸規定、通達等及び原告Aが現に近衛中学校に在籍していたことなどからすると、憲法26条の規定する教育を受ける権利が外国人に及ぶかどうかという問題は措くとしても、原告Aは、引き続き近衛中学校に在籍し続け、あるいは、転学に当たっては指導要録等の引継ぎを受けるなどして、卒業の際には卒業認定を受けるべき法的利益を有していたと認めるのが相当である。」
  25. ^ 歴史の節で前述のように、原文においては完全な年齢主義だが、移行措置と戦時特例により課程主義が残った。
  26. ^ より正確に表現するには、「尋常小学校、国民学校初等科の非卒業者」などと学校を個別に挙げることになる。
  27. ^ 戦前の制度において「義務教育の修了」の語句を用いた場合は、学齢期間中に尋常小学校を卒業したことを意味し、「義務教育の終了」の語句を用いた場合は、前記のことの他、尋常小学校を卒業しないうちに学齢を超過したことも意味する。なお学齢超過後に尋常小学校を卒業した場合に「義務教育の修了」と言えるかについては本来微妙である。
  28. ^ 児童手当法 - 「義務教育終了前の児童(十五歳に達した日の属する学年の末日以前の児童をいい、同日以後引き続いて中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に在学する児童を含む。以下同じ。)」





義務教育と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

カテゴリ一覧

全て

ビジネス

業界用語

コンピュータ

電車

自動車・バイク

工学

建築・不動産

学問

文化

生活

ヘルスケア

趣味

スポーツ

生物

食品

人名

方言

辞書・百科事典

すべての辞書の索引

「義務教育」の関連用語

義務教育のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



義務教育のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの義務教育 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2018 Weblio RSS