缶コーヒー 缶コーヒーとリサイクル

缶コーヒー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 23:19 UTC 版)

缶コーヒーとリサイクル

缶コーヒーを生産する飲料工場から排出される産業廃棄物の大半は抽出後の「コーヒーかす」である[38]。工場の規模によっては排出量が中途半端なため、処理業者に処分を依頼せざるを得ない場合もある。かすが発生しないインスタントコーヒーやコーヒーエキスなどに原料としての期待が寄せられた時期もあったが、品質の点でドリップ方式に劣るため主流になることはなかった。コーヒーかすの処理については公害が社会問題として表面化する1970年代にはすでに懸念材料となっており、近代に至るまでその有効利用法が模索されている。同じ嗜好飲料でもビール製造時に排出されるモルト粕ビール酵母などは再利用価値が高いことに比べ、コーヒーかすは用途の幅があまり広くない。ポピュラーな手段として土壌改良剤への再利用があるが、排出量と再利用量にギャップがありすぎるため必ずしも有効というわけではない。

再利用の例

缶コーヒーのバリエーション

コーヒー入り炭酸飲料
コーヒー入り炭酸飲料は世界各国で周期的に発売される傾向がある。その個性的な風味は好き嫌いが極端に分かれるため、好奇心や目新しさで話題を呼ぶものの、定番化まで至らず販売終了となることが多い。古くは1954年(昭和29年)に東京の鳥井飲料が『コーヒーサイダー』の名で商品化しており、「一家揃って晩餐後楽しめるもの」として好評を博したといわれる。缶入りでは1975年(昭和50年)にアートコーヒーが『コーヒースカッシュ』の名で発売。2005年(平成17年)にもリバイバル販売された。ほかに、ネスレ日本コーヒースカッシュ』(1989)、『スパークリング・カフェ』(2006)、UCC『フルスロットル』(2013)など。日本国外ではコーラ飲料との融合が多く、ペプシコ『Pepsi-Kona』(1995)、『Pepsi Kaffe』(2004)、コカ・コーラ『Coca-Cola Blāk』(2006)などがある。
フレーバー缶コーヒー
デザートコーヒーなどとも称される。欧米を発端とするグルメコーヒー・ブームに呼応して、日本でも1995年(平成7年)頃からアーモンドヘーゼルナッツキャラメルバニラシロップなどの風味を効かせたフレーバー缶コーヒーが販売されるようになった。しかしいずれもジャンルの一角を形成したといえるほどの成功には至らず、むしろこの流行はチルドカップ市場で発達している。サッポロ『ヘーゼルナッツ風味コーヒー・オレ』(1995)、ダイドー『カフェ・ア・ラ・モード』(1995)、キリンビバレッジ『ファイア メンソール』(2008)、日本コカ・コーラ『ジョージア 塩キャラメル・コーヒー』(2008)、アサヒ飲料『WONDA フレーバーズ』(2013)など。
珈琲豆入り缶コーヒー
1977年(昭和52年)に『ベルミーコーヒー・ビーンズパック』の名でカネボウフーズより発売された。内部がフィルターで仕切られた二層構造になっており、缶底に仕込まれた本物のコーヒー豆から自販機の加温を利用して直接コーヒーを抽出する仕組み。
1999年(平成11年)に『豆入りコーヒー』の名で宝酒造より発売された。あらかじめ缶の中にコーヒー液やミルクと一緒にコーヒー豆を封入しておき、製造時の加熱殺菌を利用してコーヒーを抽出することで香りや旨みが缶内に封じ込められるという製法。
加熱機能付き缶コーヒー
1987年(昭和62年)に『だんだんあつあつコーヒー』の名でAGFより発売された。日本酒の特殊容器に使用されていた加熱機構を缶コーヒーに採用したもので、生石灰を反応させて発熱を起こす仕掛けが施されている。
烏龍茶入り缶コーヒー
1988年(昭和63年)に『烏龍珈琲』の名で森永製菓より発売された。
海洋深層水入り缶コーヒー
2009年(平成21年)に『LonCafe』の名で株式会社GOより発売された。
エナジー系缶コーヒー
2013年(平成25年)にアサヒ飲料が『WONDA パワーブレンドコーヒー』を発売。缶コーヒーにエナジードリンクの成分を配合した。また2014年(平成26年)には興和が『コーワ パワードコーヒー』の名で発売、ローヤルゼリーなどのパワー成分に3つのビタミンが配合されている。

缶コレクター

日本には日本国外のビール缶コレクターズクラブ『Brewery Collectibles Club of America』のようなコーヒー缶コレクター団体は存在しない。しかし個人単位でコレクターは数多く存在し、Web上などでそのコレクションの一部を見る事ができる。しかし、希少な缶が高い金銭価値を持っていたとしても、それらが詳しく体系化されるような活動はあまり盛んではない。また、日本以外の国においてコーヒー缶コレクターが存在する可能性があるが、存在したとしてもごく少数にとどまると推測される。


  1. ^ ただし500mlはコーヒー入り清涼飲料規格の「小岩井 The カフェオレ」としてペットボトルで展開される。
  2. ^ 当時は「一日あたり5本以上飲用」と定義されていることもあった(スタバも参入!長期低迷から一転、「缶コーヒー市場」が盛り上がる理由 日経トレンディネット 2008年11月21日)。






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