素数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 02:13 UTC 版)
素数生成式
n番目の素数を求める素数生成式は存在しないと主張されることがあるが、これは誤りである(ウィルソンの定理やミルズの定理を用いたものが存在する)[26]。しかしながら、そのような式で実効的に計算可能なものは知られていない。
以下は1964年に Willans C.P. が報告したウィルソンの定理に基づく公式で、n番目の素数 pn を求めることができる:
1変数多項式
オイラーの発見した式:
- f(n) = n2 − n + 41
は、自然数 n が n < 41 で全て素数となる。これは、虚二次体 の類数が 1 であることと関係している[28][29]。一般に、0 ≤ n < p で多項式 f(n) = n2 − n + p が素数の値を取るとき、素数 p の値を「オイラーの幸運数」[30]という。オイラーの幸運数は p = 2, 3, 5, 11, 17, 41 の6つのみであり、これらはすべてヘーグナー数と対応する。
ルビーの多項式:
- f(n) = 36n2 − 810n + 2753
は n = 0, …, 44 で全て素数となる。 同様に
- 103n2 − 3945n + 34891 (Ruby)
- 47n2 − 1701n + 10181 (Fung)
は n = 0, …, 42 で全て素数となる。
- 36n2 − 2358n + 36809 (Willium)
は n = 0, …, 44 で絶対値は全て素数となる。
高い次数での多項式はあまり知られていないが
- n3 − 34n2 + 381n − 1511 (Goetgheluck)
- 2n3 − 45n2 + 331n − 3191 (Goetgheluck)
は n = 0, …, 25 で絶対値は全て素数となる。 ただし n3 − 34n2 + 381n − 1511 の n = 9, 12, 13 で −107 を取るなど、同じ素数が何度も出現する場合がある。
多変数多項式
多変数の多項式では、全ての素数を生成することができる式がいくつか知られている。例えば、k + 2 が素数となる必要十分条件は、次のディオファントス方程式が自然数解を持つことである[31]:
- wz + h + j − q = 0
- (gk + 2g + k + 1)(h + j) + h − z = 0
- 16(k + 1)3(k + 2)(n + 1)2 + 1 − f2 = 0
- 2n + p + q + z − e = 0
- e3(e + 2)(a + 1)2 + 1 − o2 = 0
- (a2 − 1)y2 + 1 − x2 = 0
- 16r2y4(a2 − 1) + 1 − u2 = 0
- n + l + v − y = 0
- (a2 − 1)l2 + 1 − m2 = 0
- ai + k + 1 − l − i = 0
- [{a + u2(u2 − a)}2 − 1](n + 4dy)2 + 1 − (x + cu)2 = 0
- p + l(a − n − 1) + b(2an + 2a − n2 − 2n − 2) − m = 0
- q + y(a − p − 1) + s(2ap + 2a − p2 − 2p − 2) − x = 0
- z + pl(a − p) + t(2ap − p2 − 1) − pm = 0
注釈
- ^ どの素数も他の自然数の積では表せないためこれ以上小さい生成系は存在しない。
- ^ ユークリッドによる証明では、変数・数式・任意の個数を示すパラメーター n を使用せずに、定められた個数が 3個の素数 Α, Β, Γ の場合に証明している。これを「準一般的」な証明という。詳細は素数が無数に存在することの証明#ユークリッドを参照。
- ^ レオンハルト・オイラーによる。現代的な用語で言えば、リーマンゼータ関数のオイラー積表示を用いる[20]。
- ^ ジョージ・ポーヤによる[20][21]。
- ^ ヒレル・ファステンバーグによる。en:Furstenberg's proof of the infinitude of primesを参照。
- ^ 素数が無数に存在することの証明#サイダックを参照[22]。
- ^ 『天書の証明』第1章[21]を参照。原論文は Erdös, P. (1938-07), “Über die Reihe ∑ 1/p” (German) (PDF), Mathematica, Zutphen B: 1-2。
出典
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- ^ 例えば David E. Joyce's のユークリッド原論についてのコメンタリー Book VII, definitions 1 and 2 を参照。
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- ^ φ関数についてはSierpiński 1988、p. 245を参照。約数関数についてはSandifer 2007、p. 59を参照。
- ^ "Arguments for and against the primality of 1".
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- ^ オンライン整数列大辞典の数列 A001223
素数と同じ種類の言葉
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