節足動物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/12 08:12 UTC 版)
人間との関わり
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食文化
節足動物は人間の食文化と深く関わっている。食材・食品の生成・農作物の繁殖などに貢献するものがあれば、食害を与えるものもある。
食材とされる節足動物の中で甲殻類は特に代表的で、カニ・エビなどの十脚類は世界中に魚介類として一般的である。それ以外の甲殻類、例えばアミ・オキアミ・フジツボなどにも食用とされる場合がある。クモ・サソリ・ムカデ・昆虫などという一般に「虫」と扱われる節足動物の中でも、地域により一般的な食材とされる種類がある(昆虫食)。蜂蜜(ミツバチによる)やミルベンケーゼ(チーズダニによる)[183]のように、特定の節足動物の生態行動による産物が食品とされるものがあり、カイガラムシのように分泌物(ラックカイガラムシなどによるシェラック)や色素(コチニールカイガラムシなどによるコチニール)が食品添加物として用いられるものもある[184][185][186]。また、節足動物は農作物の重要な授粉者であり、例えば2005年中の節足動物の授粉は1530億ユーロに値するほどの経済価値をもつと推定され、これは当時人間の食品に用いられる農業生産の9.5%を占める[187]。
一方で、人間の食材や食品を食害する節足動物もあり、特に農作物を食害するものは農業害虫に含まれる。このような害虫とされる種類を持つ節足動物は、バッタ(蝗害など)・カメムシ(ミナミアオカメムシなど)・アブラムシ・甲虫(コクゾウムシなど)・鱗翅類(農作物を食害するイモムシとケムシ)などの昆虫のみならず、ダニ(ハダニなど)・ヤスデ[188]にも食害を与える種類がある。
観賞
節足動物は観賞目的でペットとして飼育されることが多い。その範囲は幅広く、陸生の昆虫やクモガタ類から水生の甲殻類まで及ぶ。有名なものとして甲虫(カブトムシ、クワガタムシなど)・十脚類(ヤドカリ、ザリガニなど)[189]・オオツチグモ[190][191]などが挙げられる。一部の分類群に対して累代飼育方法や飼料が開発され(昆虫ゼリーなど)、また節足動物そのものが飼育キットとセットで販売されることもある(カブトエビ、アルテミアなど)[192]。
医学
医学の分野に貢献・利用されることが代表的な節足動物としてカブトガニが挙げられる。この類の血リンパには細菌の内毒素と反応して凝固する成分をもち、その毒素を検出するための試薬として用いられる[193][194]。他には一部の昆虫が地域により伝統薬として用いられ、その防御用の化学物質が現代医学で新しい薬品などの開発に繋がる可能性も示される[195]。
一方、ヒトに対して刺咬・吸血・接触・寄生・媒介などにより疾患を発生させ、衛生害虫に含まれる節足動物もある。これは吸血性で感染症を媒介するカやマダニが代表的で、例えばハマダラカが媒介するマラリアは、2000年から2020年間に全世界では約17億人が感染し、そのうち約1,060万人が死亡していると推定される[196]。
日本に生息し、疾患を発生させる危険性をもつ節足動物は、以下の例が挙げられる[197]。
- 刺咬性のもの
- 吸血性のもの
- 接触性のもの
- 鱗翅類(昆虫類) - ドクガやチャドクガなどの毒針毛とイラガなどの毒棘による皮膚炎[201]。
- 甲虫類(昆虫類) - アオバアリガタハネカクシから分泌されるペデリンによる皮膚炎[201]。アオカミキリモドキなどから分泌されるカンタリジンによる水疱性皮膚炎[201]。ミイデラゴミムシから噴射されるガスに含まれるベンゾキノンによる皮膚炎[201]。オサムシ類やマイマイカブリから噴射されるメタアクリル酸による皮膚炎[201]。
- カメムシ類(半翅類) - クサギカメムシの分泌液による皮膚炎[201]。
- サソリモドキ類(クモガタ類) - アマミサソリモドキやタイワンサソリモドキから噴射される酢酸を含む液体による皮膚炎[201]。
節足動物と同じ種類の言葉
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