第37回スーパーボウル 背景

第37回スーパーボウル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 23:42 UTC 版)

背景

第37回スーパーボウルは、1997年10月15日にワシントンD.C.で行われたNFLオーナー会議でサンフランシスコで開催することが決定したが、スーパーボウル開催に必要とされた新スタジアムの建設計画が頓挫し、1999年5月26日にアトランタで開催されたオーナー会議でサンディエゴが開催地に決まった。カリフォルニア州ではその後、リーバイス・スタジアムで行われる予定の第50回スーパーボウルまでスーパーボウルが開催されていない。この大会は日中に開催された最後のスーパーボウルとなった。このシーズン、マイティダックス・オブ・アナハイムスタンレー・カップに進出した。スーパーボウルとスタンレー・カップファイナルが同じ州で開催されるのは、10年前の1993年パサデナローズボウル第27回スーパーボウルが開催され、ロサンゼルス・キングスがスタンレー・カップファイナルに進出して以来史上2度目のことであった。

ジョン・グルーデンによるレイダースの再建

1995年にオークランドに戻った後、1997年には4勝12敗に終わるなど、レイダースは低迷していた。ジョン・グルーデンヘッドコーチが就任し、1998年1999年は8勝8敗でシーズンを終えた。1999年に獲得したベテランQBリッチ・ギャノンは、チームオフェンスをNFL5位に押し上げた。2000年、12勝4敗でAFC西地区優勝を果たしたが、AFCチャンピオンシップゲームボルチモア・レイブンズに3-16で敗れた。その後、プロボウルWRジェリー・ライス、DTトレース・アームストロングを獲得、2001年もAFC西地区優勝を果たしたが、タック・ルール・ゲームと呼ばれるようになるニューイングランド・ペイトリオッツとのディビジョナルプレーオフで敗れた[2]

グルーデンを獲得したバッカニアーズ

アル・デービスは、NFLのヘッドコーチに最も給料を出し渋るオーナーとして知られていた。グルーデンもその例外ではなく、デービスは2000年ニューイングランド・ペイトリオッツロバート・クラフトオーナーがドラフト指名権と引き替えにニューヨーク・ジェッツからビル・ベリチックを獲得したように、ドラフト指名権4つと引き替えにグルーデンをバッカニアーズにトレードした。バッカニアーズはドラフト1巡指名権2つ、2巡指名権2つ、800万ドルをグルーデン獲得のためにレイダースに渡した。バッカニアーズは当時強力なディフェンスを持っていたが、スーパーボウル優勝には、オフェンスの再建が必要と見られていた。

バッカニアーズは長年弱小チームであり[3]、チーム創設から最初の20年間でプレーオフ出場はわずか3回であった。1996年トニー・ダンジーヘッドコーチ、モンテ・キフィンディフェンスコーディネーターが就任すると、ディフェンスラインマンのウォーレン・サップ、ラインバッカーのデリック・ブルックス、ディフェンシブバックのロンデ・バーバージョン・リンチを中心にディフェンスは改善され、1997年にはNFL3位、1998年にはNFL2位、2000年にはNFL3位のディフェンスとなった。

ダンジーヘッドコーチが指揮した6年間のうち、チームは4回プレーオフに出場したが、強力なディフェンスに反してオフェンスはリーグ最低レベルであり、プレーオフでは負け続けた。

グルーデンが就任したもののバッカニアーズの攻撃はこの年NFL25位のトータル5222ヤード獲得にとどまった。QBブラッド・ジョンソンは、パス451回中281回成功、3049ヤード、22TD、6INTでプロボウルに選ばれた。RBマイケル・ピットマンがチームトップの718ヤードを走り1TD、59回のレシーブで477ヤードを獲得した。プロボウルに選ばれたFBマイク・オルストットが548ヤードを走り5TD、35回のレシーブで242ヤード、2TDをあげた。WRキーショーン・ジョンソンはチームトップの76回のレシーブで1088ヤード、5TD、キーナン・マカーデルは61回のレシーブで670ヤード、6TDをあげた。

ディフェンスはNFLトップで[1]、トータルディフェンスで1試合あたり252.8ヤード、パスディフェンスで1試合あたり155.6ヤード、平均12.3失点、許したTDパス10回、31インターセプト、相手QBのQBレイティングはわずか48.4であった。

ブルックス、リンチ、サップ、シミオン・ライスがプロボウルに選ばれた。ブルックスはチームトップの87タックルをあげるとともに、5インターセプト、2インターセプトリターンTD、1ファンブルリカバーTD、サップからのラテラルパスを受けたTDと4TDをあげた。ラインバッカーが1シーズンに4TDをあげたのはNFL史上初めてであった。ディフェンスはレギュラーシーズンとプレーオフで合計9TDをあげた。ライスはチームトップの15.5サック、サップは7.5サック、2インターセプト、CBブライアン・ケリーはチームトップの8インターセプトをあげた。

グルーデンが退団したレイダース

グルーデンを失い、1998年からオフェンスコーディネーターを務めていたビル・キャラハンがヘッドコーチとなったレイダースは[4]、AFCトップの11勝5敗でシーズンを終えた。パスオフェンスはNFLトップの4689ヤード、トータルオフェンスはNFL2位の6451ヤードを獲得した。

ギャノンは、パス618回中418回成功、4689ヤード、26TD、10INTの成績でシーズンMVP[1]、プロボウルに選ばれた。418回のパス成功、パス獲得300ヤード以上の試合が10試合は、NFL記録であった。ギャノンはランでも50回走って156ヤード、3TDをあげた。18年目のベテランジェリー・ライスは92回のレシーブで1211ヤード、7TDをあげて13回目のプロボウルに選ばれた。また15年目のベテランWRティム・ブラウンは81回のレシーブで930ヤード、2TDをあげた。若手WRジェリー・ポーターは51回のレシーブで688ヤード、9TD、RBチャーリー・ガーナーはチームトップの962ヤード、7TDをあげるとともにNFLのランニングバックトップの91回のレシーブで941ヤードを獲得、4TDをあげた。RBタイロン・ウィートリーは419ヤードを走った。ザック・クロケットはブロッカーとして活躍するとともに、8TDをあげた。オフェンスラインからは、リンカーン・ケネディ、バレット・ロビンズの2人がプロボウルに選ばれた。

レイダースのディフェンスは弱点であり、パスディフェンスはNFL25位、トータルディフェンスは12位であった。その中、ベテランSロッド・ウッドソンがNFLトップの8インターセプト、2TD、ロッド・コールマンがチームトップの11サックをあげた。LBビル・ロマノウスキーは、サンフランシスコ・フォーティナイナーズで2回、デンバー・ブロンコスで2回スーパーボウル優勝を果たしており、5度目のスーパーボウル出場となった。ディフェンシブバックのトリー・ジェームズは、4インターセプトをあげた。

プレーオフ

バッカニアーズは、サンフランシスコ・フォーティナイナーズを31-6、は極寒のフィラデルフィアベテランズ・スタジアムで行われたNFCチャンピオンシップゲームでは、フィラデルフィア・イーグルスを27-10で破り、チーム初のカンファレンス優勝とスーパーボウル進出を決めた[5]。レイダースは、ニューヨーク・ジェッツを30-10[6]テネシー・タイタンズを41-24で破りスーパーボウルに進出した[7]

試合開始前の話題

レイダースが19年ぶりに優勝するかどうか注目が集まった。メディアの多くが注目したのは、グルーデンについてであった[8]。NFLコミッショナーのポール・タグリアブはヘッドコーチをトレードすることを今後禁じる声明を発表した[9]

レイダースの先発Cバレット・ロビンズはうつ病となり、チームを離脱[10]、かつてプロボウルに選ばれたこともあるアダム・トリューが代役を務めた[11]


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Bucs stop here — with a Super Bowl title”. USAトゥデイ (2003年1月26日). 2015年2月8日閲覧。
  2. ^ a b David White (2009年12月28日). “Gruden's revenge on Raiders”. サンフランシスコ・クロニクル. 2015年2月8日閲覧。
  3. ^ Buccaneers get their first shot at the NFL treasure”. smh.com.au (2003年1月21日). 2015年2月8日閲覧。
  4. ^ 第37回スーパーボウル、レイダース監督がわざと負けた?”. アメフトNewsJapan (2013年1月22日). 2015年2月8日閲覧。
  5. ^ Aaron Schatz (2005年). “Best in playoffs? Da Bears”. ESPN. 2015年1月25日閲覧。
  6. ^ Gannon leads Raiders in rout of Jets”. ESPN (2003年1月12日). 2015年2月8日閲覧。
  7. ^ John Clayton (2003年1月19日). “Raiders pass their way to San Diego”. ESPN. 2015年2月8日閲覧。
  8. ^ a b Rudy Martzke (2003年1月27日). “'Gruden Bowl' keeps fans glued to TVs”. USAトゥデイ. 2015年2月8日閲覧。
  9. ^ Rick Stroud (2003年1月17日). “NFL nixes draft picks for coaches”. セントピーターズバーグ・タイムズ. 2015年2月8日閲覧。
  10. ^ a b 殿堂入りWRライス氏、かつての指揮官キャラハン氏を批判”. NFL JAPAN (2013年1月23日). 2013年2月2日閲覧。
  11. ^ Bill Michael Cunningham (2003年1月27日). “Treu Gets The Call In Robbins' Absence”. サン・センティネル. 2015年2月8日閲覧。
  12. ^ a b c Fred Mitchell (2013年1月27日). “In their fashion, Bucs fans laugh”. シカゴ・トリビューン. 2015年2月8日閲覧。
  13. ^ Highlights of ABC's pre- and postgame shows”. ABCスポーツ (2013年4月18日). 2015年2月8日閲覧。
  14. ^ Gina Vivinetto (2013年1月27日). “Superstars belt out favorites, or lip synch them”. セントピーターズバーグ・タイムズ. 2015年2月8日閲覧。
  15. ^ RAIDER RAGE Oakland police no match for street mayhem”. サンフランシスコ・クロニクル (2003年1月27日). 2015年2月8日閲覧。
  16. ^ Dan Pompei (2003年1月27日). “Best-laid plans: How the Bucs prepared to be champions”. スポーティング・ニューズ. 2015年2月8日閲覧。
  17. ^ a b c d e Rich Cimini. “Super Bowl XXXVII: Buccaneers defense stomps Raiders in 48-21 rout”. デイリーニューズ. 2015年3月21日閲覧。
  18. ^ Most Kickoff Returns, Game”. nfl.com. 2015年3月21日閲覧。
  19. ^ Richard Weiner (2003年1月27日). “Typical Raider: Romanowski revived in Oakland”. USAトゥデイ. 2015年3月21日閲覧。
  20. ^ Dan Fitch (2010年12月23日). “The 5 highest scoring Super Bowls of all time”. betting.betfair.com. 2015年3月21日閲覧。
  21. ^ ビル・キャラハンが反論、ティム・ブラウンが弁明”. アメフトNewsJapan (2013年1月23日). 2015年2月8日閲覧。





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