竹槍 爆竹槍(爆槍)

竹槍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/24 20:46 UTC 版)

爆竹槍(爆槍)

第二次世界大戦末期の日本では「対人用爆竹槍」(爆槍)という兵器が実在した。簡単に言うと竹槍の先に爆薬を詰めたものである。

陸軍技術研究所によって考案され、配備された自活兵器のひとつ。2メートルほど長さの竹筒の先端に爆薬と簡易信管を装着し、これで敵を突くと先端が爆発して敵を殺傷するという自爆兵器である。本来の刺突爆雷は棒の先に爆雷を付けた物であるが、物資の窮乏のため爆雷を用意できず、竹筒の先に直接爆薬と信管を詰めた。爆薬はダイナマイト、安全装置は厚紙などの有り合わせの物を使い、信管も釘や針金などで自作した撃針を雷管に付けただけの簡単な構造であった [1]。運用法は竹槍術に準ずる。

また実戦で使用されたかは不明であるが、爆槍を巨大な弓矢で飛ばす兵器や、爆槍の末尾に推進火薬を詰めてロケット弾にした「対空噴進爆槍」という対空兵器まで考案されていた [2]ナチス・ドイツ製の携帯用対空ロケット砲フリーガーファウストに近い運用法であったと見られる。

なお、このように物資が窮乏する中で正規の兵器に対抗するためにありあわせの物やガラクタで作った兵器全般を自活兵器といい、大戦末期の日本軍では陸軍技術研究所をはじめ、各部隊単位でもいくつも試行錯誤していた。陸軍技術研究所は竹で作った爆槍の他にも、簡易投擲器である弩弓、和紙とコンニャク糊で作った大陸間兵器である風船爆弾など数々の兵器を開発している。なお、前述の通り「竹槍」自体は「自活兵器」ではなく、陸軍で正式に採用された「制式兵器」である。

参考文献

  • 呉座勇一『一揆の原理』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2015年(原著2012年)、Kindle版、位置No.全3065中 2135-2185 / 70-71%頁。ISBN 978-4480096975 

関連項目

  • 竹槍事件 - 第二次世界大戦中に日本で発生した言論弾圧事件
  • 竹槍三百万本論 - 1930年代前半に大日本帝国陸軍大将文部大臣荒木貞夫が主張した、日本本土に竹槍を三百万本配備すれば本土防衛は可能と言う論。
  • 陸軍技術研究所陸軍技術本部) - 第二次世界大戦中に、本土防衛兵器である竹槍をはじめとする数々の自活兵器の開発を主導した大日本帝国陸軍の機関。
  • 狼筅 - 枝葉がついたままの竹に穂先をつけた槍
  • コクヨ - 竹槍教練を行う際に必要となる激突台や仮標などを販売していた、1942年当時の教育施設向けソリューションサービス大手。国誉軍教品販売所(現・コクヨファニチャー教育事業部)。
その他

  1. ^ Monjali Dilapisi 1.500 Bambu Runcing(krjogja.com 参照日:2018.5.17)
  2. ^ 笹間良彦『図説 日本武道事典』柏木書房。
  3. ^ 太田牛一『別本御代々軍記』(「太田牛一旧記」
  4. ^ 呉座勇一, 2015 & Kindle版、位置No.全3065中 270-293 / 9-10%.
  5. ^ a b c 呉座勇一, 2015 & Kindle版、位置No.全3065中 222 / 7%.
  6. ^ 呉座勇一, 2015 & Kindle版、位置No.全3065中 232-244 / 8%.
  7. ^ 枢密院決議・一、刀剣銃砲槍戟仕入刀剣仕込銃竹槍棍棒ノ類携帯禁止ニ関スル件決議案・明治三十一年二月五日決議」 アジア歴史資料センター Ref.A03033947900 
  8. ^ 愛国陣営を見る 大阪時事新報、1932年12月17日
  9. ^ 東京市の大貯水池計画に地元民、必死の反対」、東京日日新聞、1934年10月13日
  10. ^ 10月31日 台湾憲兵隊長より今回の事件を軍に於ては霧社事件と名付け此の用語を定せり」 アジア歴史資料センター Ref.C10050156200 
  11. ^ 秦郁彦『昭和史の秘話を追う』 2012年
  12. ^ Semangat bambu runcing di era digital - merdeka.com
  13. ^ Silat Bambu Runcing Dari Selaawi Catat Rekor Dunia - Infodesaku
  14. ^ a b Lanning, Michael; Cragg, Dan (1992). Inside the VC and the NVA: The Real Story of North Vietnam's Armed Forces. Ivy Books. pp. 120–168 
  15. ^ FM 3-05.70. Survival” (PDF). Army Intelligence and Security Doctrine. 米国科学者連盟(FAS). pp. 197-198 (2002年5月). 2024年1月25日閲覧。 "Figure 12-4. Bamboo Spear"とある。
  16. ^ 『武器事典』p.136、市川定春、新紀元社、1996年
  17. ^ FM 3-05.70』12-7, Headquarters, Department of the Army, 2002
  18. ^ 『非常時の認識と青年の覚悟』p.38、荒木貞夫著、1934年、文明社
  19. ^ 『建国の肇に還れ』p.14、帝国傷痍軍人会佐賀県支部編、1936年
  20. ^ ファッシズムと大衆の支持、神戸又新日報、1932年5月9日、神戸大学附属図書館デジタルアーカイブ
  21. ^ 一例として、第二次上海事変で1937年に上海の東華紡績の工場に駐屯した輜重兵が竹槍を支給されたと記述する陣中日誌を挙げる。「陣中日誌 自昭和12年11月1日至昭和12年11月30日 輜重兵第114連隊第1中隊(2)」 アジア歴史資料センター Ref.C11111352600 
  22. ^ 一例として、第二次長沙作戦で1942年に現在の湖南省長沙市長沙県陰山に駐屯した衛生班がバンザイ突撃を覚悟するところまで劣勢となった「竹槍を造り覚悟する」と題する陣中日誌を挙げる。「第2次長沙作戦2 明第9029部隊(衛生隊)その2」 アジア歴史資料センター Ref.C11112099600 
  23. ^ [証言記録 市民たちの戦争]悲劇の島 語れなかった記憶 ~沖縄県・伊江島~ NHK 戦争証言アーカイブス
  24. ^ 『実録太平洋戦争 第5巻』p.14、1960年、中央公論社
  25. ^ 大森洋平『考証要集2 蔵出し NHK時代考証資料』文春文庫 ISBN 978-4-16-791198-0 P.167
  26. ^ Membuat Bambu Runcing untuk Perjuangan (1945) - youtubeの映像






竹槍と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「竹槍」の関連用語











竹槍のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



竹槍のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの竹槍 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS