稲畑汀子 稲畑汀子の概要

稲畑汀子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/17 09:36 UTC 版)

経歴

神奈川県横浜市[1]、父高濱年尾、母喜美の次女として生まれる。幼児期を鎌倉で過ごしたのち、1935年に兵庫県芦屋市に転居する。小学校のころから祖父高濱虚子と父年尾のもとで俳句を教わった。小林聖心女子学院高校卒業、1949年同英語専攻科在学中に病を得て中退する[2]。英語専攻科中退後、俳句修行に専念し[2]、祖父と父に同行して全国を廻る。1956年、24歳で稲畑勝太郎の孫、稲畑順三と結婚。のち2男1女の母となる。1965年ホトトギス』同人[2]1977年より『ホトトギス』雑詠選者。

1979年、父高浜年尾の死去により『ホトトギス』主宰を継承する[1]。翌1980年、夫順三が死去する。1982年より朝日俳壇選者[1]。選句に際しては「善意を持っての選句」を信条とした[3]。以後、世界各地を吟行し、諸外国との俳句親善に努める。

1987年日本伝統俳句協会を設立し会長に就任する[1]1994年NHK俳壇の講師・選者(1996年まで)。芦屋市教育委員長に就任する。2000年虚子記念文学館を芦屋に開館[1]、理事長に就任する[1]2013年10月、『ホトトギス』主宰を息子の稲畑廣太郎に譲り、同名誉主宰に就任する[1]正岡子規国際俳句賞選考委員なども務める。2019年、 第70回NHK放送文化賞受賞[4]。また、芦屋市教育委員長、地球ボランティア協会会長を務め[2]、芦屋市民文化賞、兵庫県文化賞を受賞した[2]

2022年1月、日本伝統俳句協会名誉会長(二代目会長は岩岡中正)となるが、2022年2月27日、心不全のため兵庫県芦屋市の自宅で死去[1]。91歳没。

人物

  • 代表句に「今日何も彼もなにもかも春らしく」「落椿とはとつぜんに華やげる」「初蝶を追ふまなざしに加はりぬ」「空といふ自由鶴舞ひやまざるは」など[1]。父年尾は第一句集の序文で「星野立子の句を虚子は「景三情七」といったが、汀子の句は「景七情三」といえる」と評した。カトリック信仰に裏付けられた明るさと謙譲さが特色であり、『ホトトギス』伝統の句風「有季定型」「花鳥諷詠」「客観写生」を生涯貫いた[3]花鳥諷詠の解釈については、有季定型を通じて人事を含む一切の森羅万象を詠むこと、いのちを詠むこととして、日本情緒の自然詠に限らないとの認識を示した。俳人金子兜太との季語をめぐる真っ向からの討論は話題を呼んだ[1]
  • 率直な人柄で新聞、雑誌、テレビに登場する機会が多かった[1]。「国際俳句シンポジウムなど、俳句国際化のための活動も積極的に行った。また、「人間も自然の一部」という考えを持ち[2]、自然保護のボランティア活動にも従事した。

家族


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m “俳人の稲畑汀子さん死去 「ホトトギス」名誉主宰 朝日俳壇前選者”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2022年2月28日). https://www.asahi.com/articles/ASQ2X4T3PQ2XUCLV007.html 2022年2月28日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f 俳人の稲畑汀子さん死去 俳誌「ホトトギス」名誉主宰、高浜虚子の孫 伝統俳句の継承、普及に尽力” (Japanese). 神戸新聞NEXT (2022年2月28日). 2022年6月24日閲覧。
  3. ^ a b c 「ホトトギス」名誉主宰の稲畑汀子さん、「朝日俳壇」選者を退任:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2022年6月24日閲覧。
  4. ^ ^ 「第70回日本放送協会放送文化賞」の贈呈についてNHK広報局
  5. ^ 『人事興信録 第13版 上』イ218頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月15日閲覧。


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