福島第一原子力発電所事故の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/11 02:15 UTC 版)
日本国外における影響
スリーマイル島原子力発電所事故(1979年3月28日)やチェルノブイリ原子力発電所事故(1986年4月26日)に伍する、史上最悪の原子力災害の一つであり、旧ソビエト連邦よりも格段に原発の安全策が講じられていると目されていた日本でこのような大惨事が発生したことは、各国のエネルギー政策に大きな影響を与えた。ドイツとイタリアは、脱原子力への方向を加速させた[265][266]。
震災直後の各国で問題発言やデマなども流布した(東日本大震災関連の犯罪・問題行為参照)。
2011年4月15日、ロシア連邦の放射線に関する政府機関・医学生物学庁のウラジーミル・ウイバ長官は、東京都内の大使館において、同館敷地内で観測された放射線量が0.07μSv - 0.10μSvであり、これはモスクワの水準(0.17μSv - 0.20μSv)の約半分にとどまるとの調査結果を公表した[267]。医学生物学庁から東京に派遣されたチームは大使館員や在日ロシア人の健康調査等を行った上で、「東京の放射線量は人体に悪影響はない」「現時点で放射能汚染はない」と述べ、これを受けてウイバ長官は「観光を目的とした渡航制限を解除」するようロシア外務省に勧告する意向を明らかにした[267]。
- 諸外国による食品の輸入規制
食品から放射性物質が検出されたことにより、日本の食品、主として、東北・関東地方の農水産物および静岡のお茶について、諸外国が輸入規制の措置を取った[268][269][270]。
2023年8月時点で、日本の一部都県の食品につき輸入を停止している国・地域は香港、中国、台湾、マカオ、韓国である。
2018年11月24日、台湾では日本の5県産食品(福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)の禁輸継続について賛否を問う住民投票があり、賛成多数で「禁輸継続」となった[271]。
日本の全てまたは一部の食品に証明書を求めている国・地域がフランス領ポリネシア、ロシア。
また、48の国と地域が事故後に何らかの制限や規制を行っていたが完全に解除した[272]。
日本は、海産物の輸入禁止措置を解除しない韓国に対して、世界貿易機関(WTO)紛争処理小委員会に提訴。2018年2月22日、恣意的または不当な差別に当たるとして、措置を不当とする判断を得たが、韓国側は貿易機関の上級委員会へ提訴し、輸入規制を継続した[273]。2019年4月12日上級委員会は韓国の措置を妥当と認め、日本側の敗訴で終わった[274]。
注釈
- ^ いずれも放射性セシウムの値である。放射性セシウムの値が核種ごとに出典に別々に記載されている場合は、その和を記載している。
- ^ 大野駅周辺の一部などでも立ち入りができるようになったため。
- ^ 復興拠点外の長泥曲田公園内も該当する。
- ^ 南相馬市にも帰還困難区域があるものの該当世帯無し。
- ^ 双葉駅周辺は3月4日、大野駅周辺は3月5日、夜ノ森駅周辺は3月10日にそれぞれ避難指示を先行解除した。
- ^ 「100Bq/kgを超えるものは、乳児用調製粉乳を水道水に溶かして与える等、乳児による水道水の摂取に使用しないよう指導すること」としている。
- ^ 事故直後の1年間は、BSS (IAEA, 1996) ならびにその他のWHOおよびIAEAの関連刊行物 (WHO,1988; IAEA,1997,1999) に記載されているように、食材に関しての一般的アクションレベルが適用される。『WHO飲料水水質ガイドライン』(2008年) による。
- ^ シーベルトは放射線の種別による人体に与えるダメージの差を考慮した放射線の実効線量の単位であるため、人体の健康に関する指標値としては適しているが、シーベルト単位を食品の流通の規制にそのまま適用することは算定に時間がかかりすぎるなどの理由で現実的ではない。
- ^ 地方自治法 第二百四十五条の四第1項等に基づくとされる(総務省広報 総務省における今後の通知・通達の取扱い)以下、法文。
第二百四十五条の四 各大臣(内閣府設置法第四条第三項 に規定する事務を分担管理する大臣たる内閣総理大臣又は国家行政組織法第五条第一項 に規定する各省大臣をいう。以下本章、次章及び第十四章において同じ。)又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関は、その担任する事務に関し、普通地方公共団体に対し、普通地方公共団体の事務の運営その他の事項について適切と認める技術的な助言若しくは勧告をし、又は当該助言若しくは勧告をするため若しくは普通地方公共団体の事務の適正な処理に関する情報を提供するため必要な資料の提出を求めることができる。 - ^ 詳細は膨大であるため、公式議事録を参照。YouTubeなどにも質疑の動画が公開されている場合がある
- ^ 東京電力の施設だけでも、福島第二原発、6箇所の火力発電所などが被害を受けた。
- ^ なお、表立って同事故を理由としないものの、成田発着便を第三国経由とする航空会社も存在。
出典
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