神社 神職

神社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 15:05 UTC 版)

神職

神主(かんぬし)は本来、神社における神職の長を指していたが、現在では神職と同じ意味で用いられる。神官(しんかん)は祭祀を司る職業のこと。

歴史

起源

神社の起源は、磐座(いわくら)やの住む禁足地(俗に神体山)などでの祭事の際に臨時に建てた神籬(ひもろぎ)などの祭壇であり、本来は常設ではなかった。例としては沖縄御嶽(ウタキ)のようなものだったと考えられる。

創建が古い神社には現在も本殿がないものがあり、磐座や禁足地の山や島などの手前に拝殿があるのみの神社[注釈 12]、社殿が全く無い神社[注釈 13]がある。「神社には常に神がいる」とされたのは、社殿が建てられるようになってからだと言われる。

古代中国にも土地神などを祀る「社」が存在したが、屋根が付いた社を建てるのは「喪国の社」(『礼記』郊特性)とされ、日本の社とは異なる。そのため、多くの神社に社殿が造営された背景について諸説が述べられた。社会の発展により自然から人格神へと信仰の対象が変わったためとする説[12]、仏教寺院の影響を相互に受けたとする説[13]、武器や貢納物を納めた神庫(ほくら)が先行して存在したとする説[14]、7世紀後半以後に国家が一部の社にのみあった神庫を全国に建設したとする説[15]などがある[16]

古社はそれぞれの縁起により御神体の近くに社殿を構える事[注釈 14]が多い。新しく神社を造営するときは、適当な場所に分霊氏神を祀った。場所の選定の仕方は様々で、縁起から選ぶ[注釈 15]、清浄な場所を選ぶ[注釈 16]、参拝のしやすさで選ぶ[注釈 17]などがある。社殿を海上・山頂、現代ではビルの屋上などに祀ることもある。

近代国家と神社制度

明治維新直後より近代的な中央集権化に適応する新たな体制の整備が始まった[17]。律令神祇官の家柄である白川家・吉田家をはじめとする近世までの制度が廃止され、政府内に神社行政機関が設置された[17]。また、古代以来の神仏習合(神仏混淆)を解消する神仏分離が行われ、明治4年に封建的な土地支配制度を廃止する社寺領の上地が実施されたのち、全国の神社が「国家の宗祀」と定められ、神社に関するあらゆることが、国家の法制度によって規定されてきた[17]。戦前はいわゆる「国家神道」も「神社」と称した[18]

神社行政機関の変遷

  • 1868年(明治元年)1月 - 2月   神祇事務科[19]
  • 1868年(明治元年)2月 - 閏4月  神祇事務局[19]
  • 1868年(明治元年)閏4月 - 1869年(明治2年)7月 (太政官内)神祇官[19]
  • 1869年(明治2年)7月 - 1871年(明治4年)8月 (太政官外)神祇官[19]
  • 1871年(明治4年)8月 - 1872年(明治5年)3月  神祇省[19]
  • 1872年(明治5年)3月 - 1877年(明治10年)1月 教部省[19]
  • 1877年(明治10年)1月 - 1900年(明治33年)4月 内務省社寺局[19]
  • 1900年(明治33年)4月 - 1940年(昭和15年)11月 内務省神社局[19]
  • 1940年(昭和15年)11月 - 1946年(昭和21年)2月 (内務省)神祇院[19]

近代社格制度

明治4年に、神社を「国家の祭祀」として、基本的な制度が改められた[19]。伊勢神宮を除く全国の神社は官社と諸社に大別され、官社は官幣・国幣の各々を大中小社、諸社は府・藩・県・郷・無格の各社に分類された。ただし廃藩置県のため、藩社への列格はなかった[19]。明治5年に別格官幣社が設定され、楠木正成を祭る湊川神社が最初に列せられた[19]。別格官幣社は皇室や国家のために偉勲を残した人物を祀る神社が主に列格した[19]。官国幣社は、神社祭祀令により、大祭、中祭、小祭が規定された。国家の祭祀にふさわしくない神社は淘汰され、1898年(明治31年)あった約20万社は、1916年(大正5年)には約12万社になった[19]

宗教法人化

1945年(昭和20年)12月 連合国最高司令官総司令部(GHQ)は国家管理下にある神社を「国家神道」と呼び、その廃止を命令した[17]。同じくGHQに制定された宗教法人令に基づき、他の宗教団体と同様宗教法人となった[17]。民間の神社団体である皇典講究所、大日本神祇会、神宮奉斎会が発展的に解消して、神社本庁になった[17]。神社本庁は単立宗教法人となった一部の神社や、ほかの神社神道系包括団体に所属する神社を除く、約8万の神社から組織される包括宗教法人である[17]

主な信仰

多くの神社は、有名な神社から祭神を分霊(ぶんれい)【または勧請ともいう】している。分霊とは、祭神の分霊(わけみたま)を他の神社で祀ることである。ロウソクからロウソクへ灯を移すように、神道の神は無限に分霊することができ、そうしても本来の神威は損なわれないとされる。分霊した神社は、その祭神に応じた名称がつけられる。以下に主な神社の名称とその祭神を挙げる。

主な神社名 本社 主な祭神 主な神使
神明神社・天祖神社・皇大神社・大神宮(お伊勢さん) 伊勢神宮内宮 天照大御神
八幡宮・八幡神社 宇佐神宮 八幡神応神天皇
天満宮・天神神社・北野神社・菅原神社 太宰府天満宮
北野天満宮
菅原道真
宗像神社 宗像大社 宗像三女神
厳島神社 厳島神社 宗像三女神
八坂神社・祇園社 八坂神社 素盞嗚尊
津島神社・天王社・須賀神社 津島神社 素盞嗚尊
氷川神社 氷川神社 素盞嗚尊
諏訪神社 諏訪大社 建御名方神 白蛇
日吉神社・日枝神社・山王社(山王さん) 日吉大社東本宮 大山咋神
松尾神社 松尾大社 大山咋神
熊野神社 熊野三山 熊野神
白山神社 白山比咩神社 菊理媛神
熱田神社 熱田神宮 熱田大神(草薙剣
浅間神社 富士山本宮浅間大社 木花咲耶姫命
鹿島神社 鹿島神宮 武甕槌命 鹿
香取神社 香取神宮 経津主命 鹿
春日神社 春日大社 武甕槌命経津主命 鹿
愛宕神社 愛宕神社 迦具土神
秋葉神社 秋葉山本宮秋葉神社 迦具土神
金毘羅神社・琴平神社(こんぴらさん) 金刀比羅宮 金毘羅神(現在は大物主神
住吉神社 住吉大社 住吉大神
多賀神社 (お多賀さん) 多賀大社 伊邪那岐命伊邪那美命 せんじきさん(
貴船神社・貴布祢神社 貴船神社 闇淤加美神・高淤加美神
出雲神社 出雲大社 大国主命 海蛇鶺鴒
塩竈神社 鹽竈神社 塩土老翁神
賀茂神社 賀茂別雷神社(上賀茂神社)
賀茂御祖神社(下鴨神社)
賀茂別雷神
大鳥(鷲・鳳)神社 大鳥大社(西日本) 日本武尊・大鳥連祖神
鷲宮神社大鷲神社(東日本) 日本武尊
大神神社・三輪神社(三輪明神) 大神神社 大物主命
稲荷神社 伏見稲荷大社 宇迦之御魂神保食神ほか穀物神
淡嶋神社 淡嶋神社 少彦名命淡島神
猿田彦神社・佐田神社・大田神社・白髭神社
賽神社・道祖神
椿大神社 猿田彦神
恵比寿(恵比須・戎)神社 西宮神社 蛭子命(ひるこ・えびす
美保神社 事代主命
大山祗神社 大山祇神社 大山祇神
三島神社 大山祇神社 大山祇神
三嶋大社 大山祇神事代主命
御嶽神社・御岳神社 御嶽神社 造化三神
阿蘇神社 阿蘇神社 健磐龍命(阿蘇十二神)
山神社 大山祇神山神

なお、神社名と一般的な祭神名が一致しない神社もある。また近代に新造された靖国神社招魂社護国神社)などもある。


注釈

  1. ^ 神社に寺院のような本尊というものはなく、現存する神像彫刻はすべて平安時代以降のものばかりである[7]
  2. ^ 鹿島神宮・八坂神社・春日神社・宗像神社・日枝神社など。
  3. ^ 稲荷神社・住吉神社・八幡神社・天満宮・丹生都比売神社など
  4. ^ 倭文神社など。
  5. ^ 平安神宮・八重垣神社など。
  6. ^ 招魂社・祖霊社など。
  7. ^ 六所宮・四柱神社など。
  8. ^ 浅間神社など。
  9. ^ 伏見稲荷大社・函館八幡宮など。
  10. ^ 絵馬は後世に馬の代わりに奉納されたものであるため。
  11. ^ 明治神宮外苑など、商業的な営みも行っている。
  12. ^ 大神神社石上神宮宗像大社など。
  13. ^ 熊野那智大社の元宮である飛瀧神社など。
  14. ^ 磐座の近くに社殿がある越木岩神社など。
  15. ^ 一族発祥の地や、菅原道真の場合、遠流の地(太宰府)など。
  16. ^ 明治神宮の造営候補地など。
  17. ^ 本来は山頂にあった日光二荒山神社など。

出典

  1. ^ じんじゃ【神社】” (日本語). 世界大百科事典 第2版 (1998年10月). 2013年8月2日閲覧。
  2. ^ じんじゃ【神社】” (日本語). 大辞林 第三版 (1998年10月). 2016年8月28日閲覧。
  3. ^ http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/shumu_kanrentokei/pdf/h26_chosa.pdf
  4. ^ “続報真相 改憲急ぐ安倍首相を応援する人々 「美しい日本の憲法」とは”. 毎日新聞. (2016年3月18日). http://mainichi.jp/articles/20160318/dde/012/010/017000c 2016年3月18日閲覧。 
  5. ^ 大阪府神社庁 第六支部 東大阪市参照。なお、ここにおける単立神社には式内社石切剣箭神社等も含まれている・
  6. ^ 宝賀寿男塩の神様とその源流」『古樹紀之房間』、1996年。
  7. ^ 岡田精司 2011年 6ページ
  8. ^ 岡田米夫「神宮・神社創建史」5頁。
  9. ^ 小池, 2015 & p15.
  10. ^ 明治神宮, ウェブサイト & Q&A.
  11. ^ 日本人なら知っておきたいお寺と神社, 2006 & p211.
  12. ^ 直木孝次郎「森と社と宮」(1958年)など。
  13. ^ 稲垣栄三「本殿形式の起源」(1968年)・井上寛司「古代・中世の神社と{神道}」(2006年)など。
  14. ^ 桜井敏雄「神殿の諸形式とその特質」(1982年)・木村徳国「ヤシロの基礎的考察」(1982-84年)など。
  15. ^ 丸山茂「神社建築の形成過程における官社制の意義について」(1999年)・有富純也「神社社殿の成立と律令国家」(2009年)など。なお、有富は律令国家が幣帛を全国の神社に納めるため、一部の社にのみあった神庫と同様の施設を全国の官社に設置したとする。
  16. ^ 有富、2009年論文(同『日本古代国家と支配理念』、東京大学出版会、2009年所収)による。
  17. ^ a b c d e f g 岡田[2013:290-294]
  18. ^ 宮沢俊義『憲法講話』岩波書店岩波新書〉、1967年6月1日(原著1967年4月20日)、第2版、pp. 28-29。2009年5月22日閲覧。
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n 岡田[2013:291]
  20. ^ 前田孝和「海を渡ったお伊勢さま 海外神社の今」 伊勢神宮崇敬会講演録15 伊勢神宮崇敬会(2008年)
  21. ^ 「リノベ」で復活する台湾の日本神社――歴史のなかの「自分探し」が背景に ジャーナリスト・野嶋剛/Yahoo!ニュース編集部
  22. ^ マウイ神社(Maui Jinja Shinto Shrine)存続プロジェクト|Facebook”. マウイ神社(Maui Jinja Shinto Shrine)存続プロジェクト. 2017年3月6日閲覧。
  23. ^ 南米最古の神社/東京植民地神宮の夢”. 記事の墓場(過去記事集) (2007年9月4日). 2017年3月6日閲覧。
  24. ^ ブラジル・サンパウロ 神社のない鳥居 祖国とのつながり求めた 日系人社会の象徴”. ブラジルニュース ~aperto de mão~ (2011年7月27日). 2017年3月6日閲覧。
  25. ^ 石鎚神社スザノ遥拝所=厳かに早朝の山頂で祈る=創立60周年記念奉祝大祭”. ニッケイ新聞 (2016年7月7日). 2017年3月6日閲覧。
  26. ^ 県外の三吉神社”. 太平山三吉神社. 2017年3月6日閲覧。
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  28. ^ 『パラナ州開拓神社』建立へ=ローランジアに 文連の移民100年祭事業=日本移民の恩人祭る=5種の神具(農具)も奉納”. ニッケイ新聞 (2003年5月23日). 2017年3月6日閲覧。
  29. ^ 「神戸の水」4万本陸揚げ=パラナ州パラナグア港で=一同口揃え「おいしい」=3万本を聖市式典に”. ニッケイ新聞 (2008年6月4日). 2017年3月6日閲覧。
  30. ^ クリチーバ=兵庫会館で弥生祭=両陛下縁の記念碑で”. ニッケイ新聞 (2009年3月27日). 2017年3月6日閲覧。
  31. ^ 知られざる鳥居大国ブラジル=全伯に68基以上が判明=日系のシンボルとして=昨年一気に35基増=過半数を聖州占める”. ニッケイ新聞 (2009年6月18日). 2017年3月6日閲覧。
  32. ^ 日蘭親善協会 オランダ山蔭神道斎宮”. 日蘭親善協会 オランダ山蔭神道斎宮. 2017年3月6日閲覧。
  33. ^ 水屋神報177号 水屋の神様 フランスへわたる”. 水屋神社 (2008年11月20日). 2017年3月6日閲覧。
  34. ^ 和光神社”. 光明院フランス. 2017年3月6日閲覧。
  35. ^ “Girl Power サンマリノ共和国の神社に参拝”. Girl Power. (2014年6月26日). http://girlpower.jp/?p=351 2016年5月21日閲覧。 
  36. ^ 実はヨーロッパに輸出されている日本の神社|東條英利コラム”. デイリーニュースオンライン (2014年11月9日). 2017年6月21日閲覧。
  37. ^ サンマリノ神社”. サンマリノ神社. 2017年6月21日閲覧。






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