破局噴火
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第四紀のVEI-7以上の噴火
日本国内
日本ではVEI-7以上の噴火は7000年 - 1万年に1回程度の頻度で発生している。最後のイベントは約7,300年前の鬼界カルデラ[12]。太字はVEI-8。
- 7,300年前 - 鬼界:幸屋(船倉)降下軽石・及びintra-plinian flowとして船倉火砕流 → 大地震 → 竹島(幸屋)火砕流・及びco-ignimbrite ashとして鬼界アカホヤ火山灰。総噴出量 133–183 km3 DRE以上[13]。
- 3万年前 - 姶良:大隅降下軽石・及びintra-plinian flowとして垂水火砕流 → 妻屋火砕流 → 入戸火砕流・及びco-ignimbrite ashとして姶良丹沢テフラ。総噴出量 380 - 430 km3 DRE[14]。
- 3.9万年前 - 屈斜路:屈斜路Ⅰ火砕流。総噴出量 45〜87 km3 DRE。
- 4.6万年前 - 支笏:マグマ水蒸気爆発 → 降下軽石 → 火砕流噴火。総噴出量 100〜130 km3 DRE。
- 8.8万年前 - 阿蘇:Aso-4火砕流。総噴出量 380 - 790 km3 DRE[14]。
- 9.5万年前 - 鬼界:長瀬火砕流・及びco-ignimbrite ashとして鬼界葛原火山灰。総噴出量 138 km3 DRE。
- 10万年前 - 御嶽山 - Pm-Ⅰテフラ。総噴出量 30 km3 DRE。
- 10.5万年前 - 阿多 - 阿多火砕流。総噴出量 188 km3 DRE。
- 10.6万年前 - 洞爺:洞爺火砕流。総噴出量 38〜77 km3 DRE。
- 11.5〜12万年前 - 屈斜路:屈斜路Ⅳ火砕流。総噴出量 180〜370 km3 DRE。
- 13万年前 - 阿蘇:Aso-3火砕流。総噴出量 96 km3 DRE。
- 14.1万年前 - 阿蘇:Aso-2火砕流。総噴出量 32 km3 DRE。
- 17.5万年前 - 阿寒:阿寒第2テフラ。総噴出量 56.8km3 DRE。
- 20〜30万年前 - 鬼首:池月凝灰岩。総噴出量 18〜61km3 DRE。
- 24万年前 - 阿多:阿多鳥浜火砕流。総噴出量 60 km3 DRE以上。
- 26.6万年前 - 阿蘇:Aso-1火砕流。総噴出量 32 km3 DRE。
- 33〜34万年前 - 加久藤:加久藤火砕流。総噴出量 50〜156 km3 DRE。
- 43〜45万年前 - 姶良?:辺川-笠森5テフラ
- 48〜53万年前 - 姶良?:竹山-笠森10テフラ
- 52〜53万年前 - 小林 - 小林火砕流・及びco-ignimbrite ashとして小林-笠森11テフラ。総噴出量 156 km3 DRE。
- 60万年前 - 上宝:上宝火砕流・及び貝塩上宝テフラ。総噴出量 50 km3 DRE。
- 60万年前 - 霧島? - 下門-笠森18テフラ
- 87万年前 - 猪牟田:耶馬渓火砕流・及びピンク火山灰
- 100万年前 - 猪牟田:今市火砕流・及びアズキ火山灰
- 100万年前 - 玉川 - 玉川溶結凝灰岩D。総噴出量 32 km3 DRE。
- 100万年前 - 十勝三股:十勝三股火砕流。総噴出量 130 km3以上。
- 110万年前 - 塔のへつり:西郷火砕流
- 130万年前 - 塔のへつり:芦野火砕流
- 140万年前 - 塔のへつり:隈戸火砕流
- 160万年前 - 白沢天狗山:SK100-Kd24テフラ
- 165万年前 - 爺ヶ岳:大峰-SK110テフラ(kd25)
- 175万年前 - 穂高:恵比寿峠火砕流・及び恵比寿峠-福田テフラ(Kd38)。総噴出量 380 km3 DRE。
- 176万年前 - 穂高:丹生川火砕流・及び穂高-Kd39テフラ。総噴出量 300 km3 DRE。
- 176〜200万年前 - 飛騨山脈のどこか:北沢溶結凝灰岩
- 176〜200万年前 - 穂高?:曽根原溶結凝灰岩
- 200万年前 - 爺ヶ岳?:丹生子溶結凝灰岩
- 200万年前 - 爺ヶ岳?:一宇田溶結凝灰岩
- 200万年前 - 爺ヶ岳?:霊松寺溶結凝灰岩
- 200万年前 - 古焼山?:玉川溶結凝灰岩R4。総噴出量 84 km3 DRE。
- 220万年前 - 爺ヶ岳?:穂高3テフラ
- 220〜230万年前 - 白沢天狗山?:谷口-Tspテフラ
大規模な火砕流噴火によってカルデラが形成された、或いは大規模火砕流・広域テフラで噴出量不明のイベント
- 完新世 - 黒瀬西海穴
- 後期更新世以降 - 硫黄島
- 第四紀 - 明神海丘
- 51万年前 - 北海道中部のどこか:上旭ヶ丘軽石流
- 62万年前 - 豊肥火山地域のどこか:誓願寺-栂テフラ
- 58万年前 - 鬼界:小瀬田テフラ
- 78万年前 - 鬼界?:安房テフラ
- 80万年前 - 向町:芦沢火砕岩など
- 110万年前 - 白滝:オロピリカ火砕流
- 110〜135万年前 - 北海道道央?:支笏泥溶岩[15]
- 125万年前 - 十勝:十勝火砕流
- 130万年前 - 豊肥火山地域のどこか:敷戸テフラ
- カラブリアン期後半 - 仙岩地熱地域:椈森牧場火砕流
- 140万年前 - 田沢湖:太平湖火砕堆積物
- 159万年前 - 北海道道央?:壮瞥火砕流[15]
- 162万年前 - 赤井川:長沢火山噴出物中部
- カラブリアン期? - 栗駒地熱地域:小野田火砕流
- 180万年前 - 仙岩地熱地域:倉沢溶結凝灰岩
- 178〜197万年前 - 仙岩地熱地域?:Kd44-中テフラ
- 190万年前 - 野平:半太郎沢溶結凝灰岩
- 190万年前 - 十勝?:美瑛火砕流
- 206万年前 - 赤井川:長沢火山噴出物下部
- 210万年前 - 飛騨山脈のどこか:坂東2-O1テフラ。大隅石を含む。
- 215万年前 - 飛騨山脈のどこか:OM1-OK2テフラ
- 180〜300万年前 - 大畑:大畑層
- 200〜300万年前 - 赤倉:奥羽山層
- 250万年前? - 七ツ森:宮床凝灰岩
- 260万年前 - 南九州のどこか:山之口火砕流
- 前期更新世〜中新世末期? - 北海道道央?:滝ノ上火砕流[15]
日本におけるVEI-7以上の噴火は、加久藤より上位(33万年前以降)の陸上のイベントについては網羅されていると思われるが、これより下位、あるいは海底火山については網羅しきれていない可能性がある。
- 7300年前に鹿児島県南方沖の海底火山(鬼界カルデラ)で起きた巨大噴火が、当時の南九州で栄えていた縄文文化を壊滅させたことは、考古学上よく知られている[16]。東北地方や朝鮮半島でも赤橙色を帯びた“アカホヤ”と呼ばれる火山砕屑物が見つかっており、極めて規模の大きな破局噴火であったとされる。火砕流は半径100 kmの範囲に広がり、大分県でも50 cmもの厚みのある火山灰層が観察される。
- 阿蘇山では分かっているだけでも過去4回大きな噴火を起こし、約9万年前に起きた噴火は最大級の「破局噴火」であった。この噴火で阿蘇山は山体が崩壊。根子岳だけが唯一残されたが、奇妙な姿を残したのは、その影響を受けていると考えられる。その後、カルデラ湖が一時期出来ていた。カルデラの真ん中に中央火丘が隆起・噴火し、現在の姿になった。
日本国外の中期更新世以降のVEI-7以上の噴火
78万年前から現在までにおけるVEI-7以上の噴火[17][18]。太字はVEI-8。
- 1815年 - タンボラ:1812年から噴火が始まり、クライマックスの1815年4月10日から4月12日にかけてウルトラプリニアン噴火が発生した。噴出量 4 1km3 DRE。噴火に伴う死者7〜12万人。→ 1815年のタンボラ山噴火
- 1257年 - リンジャニ:噴出量 40 km3 DRE.
- 946年 - 長白山:白頭山-苫小牧テフラ。噴出量 30 km3 DRE.
- 3600年前 - サントリーニ:ミノア噴火。 噴出量 82 km3 DRE.
- 4300年前 - セロ・ブランコ:噴出量 48 km3 DRE.
- 6400年前 - マコーリー:Sandy Bay Tuff. 噴出量 41.7 km3 DRE.
- 7800年前 - クレーターレイク:Mazama Tephra. 噴出量 50 km3 DRE.
- 8400年前 - クリル湖:噴出量 75 km3 DRE.
- 1万年前 - セミソポシュノイ:噴出量 50 km3 DRE.
- 1.1万年前 - フィッシャー:Fisher Tuff. 55 km3 DRE.
- 1.9万年前 - ロングアイランド:Kiau Ignimbrite. 40 km3 DRE.
- 2万年前 - ザヴァリツキ: Zavaritsky 20ka eruption. 80 km3 DRE.
- 2.5万年前 - タウポ:en:Oruanui eruption. 530 km3 DRE.
- 3.4万年前 - ラナウ:Ranau Tuff. 65 km3 DRE.
- 3.5万年前 - バトゥール:Ubud Ignimbrite. 35.7 km3 DRE.
- 3.9万年前 - ゴレーリー:Southern sea cliffs. 100 km3 DRE.
- 4万年前 - カンピ・フレグレイ:Campanian Ignimbrite. 157.5km3 DRE.
- 4.4万年前 - ウゾン:Uzon Ignimbrite. 62.5 km3 DRE.
- 4.4万年前 - オパラ:98 km3 DRE
- 4.5万年前 - ネモ:Nemo I Ignimbrite. 50 km3 DRE.
- 4.5〜5万年前 - オカタイナ:Rotoehu Ash. 100 km3 DRE以上.
- 5.2万年前 - マニンジャウ:Maninjau paroxysmal welded and unwelded tuffs. 102.5 km3 DRE.
- 5.7万年前 - コアテペケ:Congo(CGT). 74.6 km3 DRE.
- 5.9万年前 - チナメカ:Old Pacayal Tephra. 77 km3 DRE.
- 7.5万年前 - トバ:Youngest Toba Tuff. 5300 km3 DRE. 確認される第四紀最大の噴火。
- 12.4万年前 - エモンズ:Old Crow Tephra. 95.7 km3 DRE.
- 15万年前 - カラボソス:Loma Seca Tuff - S. 88.5 km3 DRE.
- 16.1万年前 - コス:Kos Plateau Tuff. 60 km3 DRE.
- 16.4万年前 - ロスメロス:Xáltipan Ignimbrite. 115 km3 DRE.
- 18.2万年前 - コルベッティ:45 km3 DRE.
- 19.1万年前 - パカヤ:Amatitlán-L Tephra. 217.3 km3 DRE.
- 22.5万年前 - オカタイナ:Haroharo Ignimbrite. 噴出量 40 km3 DRE.
- 23万年前 - レポロア:Kaingaroa Ignimbrite. 200 km3 DRE.
- 24万年前 - ロトルア & オハクリ:Mamaku Ignimbrite. 145 km3 DRE & Ohakuri Ignimbrite. 100 km3 DRE以上. 二つのカルデラが同時に形成。
- 24万年前 - パカヤ:70 km3 DRE
- 24万年前 - オア:Qi3 Pumice. 120 km3 DRE.
- 27.5万年前 - カペンガ:Pokai Ignimbrite. 100 km3 DRE.
- 28万年前 - オカタイナ:Matahina Ignimbrite. 150 km3 DRE.
- 28万年前 - マニンジャウ:70 km3 DRE
- 30万年前 - カラボソス:Loma Seca Tuff - V. 93.75 km3 DRE.
- 30万年前 - ヴルシニオ:Bolsena Ignimbrite. 200 km3 DRE.
- 33万年前 - カペンガ:チンパンジー溶結凝灰岩。50 km3 DRE.
- 33.9万年前 - ファカマル:Paeroa Subgroup. 48 km3 DRE.
- 34.9万年前 - ファカマル:Whakamaru Group. 650 km3 DRE.
- 35万年前 - ファカマル:Rangitawa Tephra. 304 km3 DRE以上
- 37.4万年前 - ブラッチャーノ:Morphi Tephera. 80 km3 DRE.
- 41万年前 - 茂世路:Medvezhia Ignimbrite. 36 km3 DRE.
- 44.3万年前 - クリル湖:Golygin Ignimbrite. 112.5 km3 DRE.
- 45万年前 - マイポ山:Diamante Tuff. 152.5 km3 DRE.
- 50万年前 - コパウエ:40 km3 DRE
- 50万年前 - トバ:Middle Toba Tuff. 60 km3 DRE.
- 55万年前 - オカタイナ:Quartz-biotite Ignimbrite. 90 km3 DRE.
- 63.1万年前 - イエローストーン:en:Lava Creek Tuff. 900 km3 DRE.
- 65万年前 - アカトラン:Acatlán Ignimbrite. 60 km3 DRE.
- 68万年前 - カペンガ:Matahana A Ignimbrite. 65 km3 DRE.
- 71万年前 - カペンガ:Waiotapu Ignimbrite. 200 km3 DRE.
- 76.7万年前 - ロングヴァレー:en:Bishop Tuff. 625 km3 DRE.
- 78.8万年前 - トバ:Oldest Toba Tuff. 2300 km3 DRE.
- ^ 例えば、トバ湖の噴火と同時期にヒトDNAの多様性が著しく減少する「ボトルネック(遺伝子多様性減少)」が見られることから、この噴火で当時の人類の大半が死滅したという説もあるくらいである(トバ・カタストロフ理論)
- ^ 『死都日本』文庫版275p
- ^ 『死都日本』文庫版 421, 431p
- ^ 『死都日本』文庫版 490 - 491p
- ^ 現代社会は破局災害とどう向き合えばよいのか 小山真人(静岡大学教育学部総合科学教室) 『月刊地球』2003年11月号掲載
- ^ a b c 高橋正樹(2012)、超巨大噴火と「火山の冬」 エアロゾル研究 Vol.27(2012) No.3 秋 p.278 - 283
- ^ 実際にピナトゥボ山の火山噴出物は中間圏に達している。大気のてっぺんの名前は?(名古屋大学太陽地球環境研究所) (PDF)
- ^ 「総特集:大規模カルデラ噴火-そのリスクと日本社会」海洋出版(株)発行、『月刊地球』2003年11月号
- ^ 「死都日本」シンポジウム―破局噴火のリスクと日本社会―講演要旨集
- ^ 藤田 崇(大阪工業大学名誉教授)「深成岩の特性とその見方」 社団法人斜面防災対策技術協会
- ^ ラガリータ・カルデラで、2800万年前の噴火が起きた際には5000 km3ものマグマの噴出があった。「いつか必ず発生する「超巨大噴火」」『ニュートン』2010年11月号(2010年9月25日発売)
- ^ 高橋正樹『破局噴火-秒読みに入った人類壊滅の日』祥伝社(2008年9月26日)ISBN 9784396111267
- ^ Shimizu, et al. (2024). “Submarine pyroclastic deposits from 7.3 ka caldera-forming Kikai-Akahoya eruption”. Journal of Volcanology and Geothermal Research (108017). doi:10.1016/j.jvolgeores.2024.108017.
- ^ a b Shinji Takarada; Hideo Hoshizumi (2020). “Distribution and Eruptive Volume of Aso-4 Pyroclastic Density Current and Tephra Fall Deposits, Japan: A M8 Super-Eruption”. Frontiers in Earth Science. doi:10.3389/feart.2020.00170.
- ^ a b c “平成31年度原子力規制庁委託成果報告書 巨大噴火プロセス等の知見整備に係る研究(1)”. nsr.go.jp. 原子力規制委員会 (2019年). 2020年12月8日閲覧。
- ^ 町田洋『日本人 はるかな旅(2) 歴史を変えた火山の大噴火.巨大噴火に消えた黒潮の民』2001年 NHKスペシャル「日本人」プロジェクト編、NHK出版、p161 - 184
- ^ 便宜上、領土問題が発生している地域は実効支配しているしている国側で扱う
- ^ VOGRIPA -Search. 2019年11月18日閲覧。
- ^ 「超巨大火山 イエローストーン」『ナショナルジオグラフィック』2009年8月号
- ^ “映画『2012』の大災難は現実となるか スーパー火山が噴火周期に”. 大紀元 (2010年8月23日). 2012年9月10日閲覧。
- ^ “巨大噴火:100年で1% 神戸大チーム、発生確率を解析”. (2014年10月22日) 2014年10月23日閲覧。
- ^ “巨大噴火「予知困難」=火山学者、審査疑問視-160キロ圏カルデラ五つ・川内原発”. 時事通信. (2014年7月16日) 2014年10月23日閲覧。
- 1 破局噴火とは
- 2 破局噴火の概要
- 3 第四紀のVEI-7以上の噴火
- 4 今後予想される破局噴火
- 5 参考文献
- 破局噴火のページへのリンク