破局噴火 今後予想される破局噴火

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破局噴火

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 08:56 UTC 版)

今後予想される破局噴火

アメリカ合衆国イエローストーン国立公園には、公園の面積に匹敵する(8,980 km2)超巨大なマグマ溜まりが存在することが確認されている。約220万年前、約130万年前、約64万年前の計3回破局噴火を起こしており、現在貯留している9,000 km3のマグマ溜まりが噴出した際には、人類の存亡の危機となることが予想されている[19]。約64万年前の比較的小さな噴火でも、ワシントン州セント・ヘレンズ山1980年の噴火(VEI=5)の1,000倍の規模である。そして噴火の周期は約60万年であり、既に最後の噴火から64万年経過している。

イエローストーン国立公園では地震が活発化しており、21世紀初頭の10年間で公園全体が10cm以上隆起し、池が干上がったり、噴気が活発化するなど危険な兆候が観察され、新たに立ち入り禁止区域を設置したり、観測機器を増設したりしている。アメリカ地方紙デンバーポスト英語版は、米国地質監査局のリーズ地質科学者が、イエローストーン公園内の湖の底で高さ30m以上、直径600m以上の巨大な隆起を発見したと伝えている。

イギリスの科学者によるシミュレーションでは、もしイエローストーン国立公園の破局噴火が起きた場合、3 - 4日内に大量の火山灰がヨーロッパ大陸に着き、アメリカの75%の土地の環境が変わり、火山から半径1,000 km以内に住む90%の人が火山灰で窒息死し、地球の年平均気温は10度下がり(場所によっては12度)、その寒冷気候は6年から10年間続くとされている[20]

神戸大学の研究チームは、2014年10月22日、カルデラを形成するような巨大噴火が日本列島で今後100年間に発生する確率は約1%とする試算結果を発表した[21]。2014年に始まった原子力規制委員会における川内原子力発電所の再稼働をめぐる議論では、複数のカルデラが存在する南九州における巨大噴火のリスクをどの程度見積もるかが論じられている[22]が、そのような破局的噴火が発生した場合には鹿児島市を含む鹿児島県の本土部がほぼ全域にわたり壊滅することを意味するため鹿児島県の集団移転も考えなければならず、そのような事象が現実的に考えられるのか慎重に考えるべきとの意見もある。


  1. ^ 例えば、トバ湖の噴火と同時期にヒトDNAの多様性が著しく減少する「ボトルネック(遺伝子多様性減少)」が見られることから、この噴火で当時の人類の大半が死滅したという説もあるくらいである(トバ・カタストロフ理論
  2. ^ 『死都日本』文庫版275p
  3. ^ 『死都日本』文庫版 421, 431p
  4. ^ 『死都日本』文庫版 490 - 491p
  5. ^ 現代社会は破局災害とどう向き合えばよいのか 小山真人静岡大学教育学部総合科学教室) 『月刊地球』2003年11月号掲載
  6. ^ a b c 高橋正樹(2012)、超巨大噴火と「火山の冬」 エアロゾル研究 Vol.27(2012) No.3 秋 p.278 - 283
  7. ^ 実際にピナトゥボ山の火山噴出物は中間圏に達している。大気のてっぺんの名前は?(名古屋大学太陽地球環境研究所) (PDF)
  8. ^ 「総特集:大規模カルデラ噴火-そのリスクと日本社会」海洋出版(株)発行、『月刊地球』2003年11月号
  9. ^ 「死都日本」シンポジウム―破局噴火のリスクと日本社会―講演要旨集
  10. ^ 藤田 崇(大阪工業大学名誉教授)「深成岩の特性とその見方」 社団法人斜面防災対策技術協会
  11. ^ ラガリータ・カルデラで、2800万年前の噴火が起きた際には5000 km3ものマグマの噴出があった。「いつか必ず発生する「超巨大噴火」」『ニュートン』2010年11月号(2010年9月25日発売)
  12. ^ 高橋正樹『破局噴火-秒読みに入った人類壊滅の日』祥伝社(2008年9月26日)ISBN 9784396111267
  13. ^ Shimizu, et al. (2024). “Submarine pyroclastic deposits from 7.3 ka caldera-forming Kikai-Akahoya eruption”. Journal of Volcanology and Geothermal Research (108017). doi:10.1016/j.jvolgeores.2024.108017. 
  14. ^ a b Shinji Takarada; Hideo Hoshizumi (2020). “Distribution and Eruptive Volume of Aso-4 Pyroclastic Density Current and Tephra Fall Deposits, Japan: A M8 Super-Eruption”. Frontiers in Earth Science. doi:10.3389/feart.2020.00170. 
  15. ^ a b c 平成31年度原子力規制庁委託成果報告書 巨大噴火プロセス等の知見整備に係る研究(1)”. nsr.go.jp. 原子力規制委員会 (2019年). 2020年12月8日閲覧。
  16. ^ 町田洋日本人 はるかな旅(2) 歴史を変えた火山の大噴火.巨大噴火に消えた黒潮の民』2001年 NHKスペシャル「日本人」プロジェクト編、NHK出版、p161 - 184
  17. ^ 便宜上、領土問題が発生している地域は実効支配しているしている国側で扱う
  18. ^ VOGRIPA -Search. 2019年11月18日閲覧。
  19. ^ 「超巨大火山 イエローストーン」『ナショナルジオグラフィック』2009年8月号
  20. ^ 映画『2012』の大災難は現実となるか スーパー火山が噴火周期に”. 大紀元 (2010年8月23日). 2012年9月10日閲覧。
  21. ^ “巨大噴火:100年で1% 神戸大チーム、発生確率を解析”. (2014年10月22日). http://mainichi.jp/select/news/20141023k0000m040085000c.html 2014年10月23日閲覧。 
  22. ^ “巨大噴火「予知困難」=火山学者、審査疑問視-160キロ圏カルデラ五つ・川内原発”. 時事通信. (2014年7月16日). http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_energy-genpatsu-sendai20140716j-02-w330 2014年10月23日閲覧。 


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