真打 講談

真打

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/06 15:06 UTC 版)

講談

  • 講談では、東京の講談協会日本講談協会がそれぞれ真打制度を導入している。
    • 日本講談協会と提携する落語芸術協会(芸協)に所属する講談師のうち、芸協での寄席修行を受けた一部の講談師が芸協でも「真打」として扱われ(三代目神田山陽神田京子神田鯉栄神田蘭六代目神田伯山[4])、芸協の定席で昇進披露が行われる。芸協内の寄席修行を受けずに途中入会した講談師(神田陽子、神田紫神田紅三代目神田松鯉[4])については、芸協の香盤では「色物」として真打の扱いを受けていなかった(ただし、主任を務めることもあった)が、2019年12月頃より芸協内での香盤が一本化され、前述の芸協内で前座修行を受けた講談師とともに「講談」の枠内で「真打」の扱いを受けるようになった[注釈 7]。なお、例外として芸協内で寄席修行を受け、現在は日本講談協会から離脱している日向ひまわりについては「講談」枠内に入らず、通常の芸協の落語家の香盤序列で真打に列せられている。また、2019年に途中入会した神田阿久鯉については「講談」の枠内で「真打」の扱いであるが、入会から間もないこともあってか芸協の香盤内では別枠とされている。それぞれの団体の興行の兼ね合いもあり、基本的に日本講談協会での真打披露興行が先行して行われ、その後(芸協にも加入している講談師については)芸協での披露興行が行われることが多い[注釈 8]
    • また、講談協会または日本講談協会と落語協会にも所属する講談師については非常に少数である[注釈 9]ため、落語協会の香盤では「講談」として別枠となっているが真打の扱いを設けていない(ただし、講談師も定席で主任を務めることがある)。
  • 落語や漫才と異なり、上方講談でも少人数かつ3団体(上方講談協会大阪講談協会なみはや講談協会、さらにこれらに属さない講談師も存在)に分かれているが、それぞれ独自に真打制度を導入している。

注釈

  1. ^ 小福の師匠である初代雷門福助が戦後東京を離れて、名古屋で旅館を経営する傍ら、地元の大須演芸場の高座に上がるようになったことも背景とされる。
  2. ^ (江戸落語家の)慣習として師匠が死去した場合、二ツ目以下の弟子は他の真打の門下に移籍する事が通例となっていることから、一門の中心として獅篭を「真打」に据えることで、なごや雷門一門を守るという意図もあったとみられる。
  3. ^ これらの事実は、獅篭が師匠である小福の没後にコラムで言及している[8]。その後、獅篭には2018年に入門した登龍亭獅鉄(旧名:雷門獅鉄)、2021年に入門した登龍亭篭二、2023年に入門した登龍亭篭登と三人の弟子がおり、獅篭の弟弟子の登龍亭幸福に2022年に入門した登龍亭幸吉も含め、いずれも「前座」の身分を称している(前座修業を終えた獅鉄は2021年11月に年季明けしている)。
  4. ^ ただし、講談師の抜擢真打運用例はあり、日本講談協会及び落語芸術協会に所属する神田松之丞(当時)は、2016年に新宿末廣亭の席亭推薦で抜擢による真打昇進が打診されたが、この時は芸協の理事会で否決されている。その後、桂歌丸芸協会長没後の2018年末の理事会で改めて松之丞の抜擢真打昇進が諮られ、2020年2月新宿末廣亭中席から真打に昇進(同時に6代目神田伯山を襲名)している。後述する芸協内の落語家と講談師の香盤序列が整理される以前は、講談師としての香盤序列は守られる一方で芸協内の当時の香盤上は9人抜きとなっていた。
  5. ^ 例外として立川晴の輔は番組内で不定期に行われる「若手大喜利」コーナーのレギュラー出演者であったことから、番組内で真打昇進披露を行っている。また、2009年11月15日放送回では円楽一門会の2名(三遊亭大楽三遊亭王楽)とともに立川志遊が昇進披露を行っており、立川ぜん馬とともに出演している。
  6. ^ ただし、漫才協会所属芸人のうち正式に「真打ち」となっていないコンビも、定席のトリ(主任)を務めたり、弟子を採ったりしている(例:おぼん・こぼんなど)。また、死別などによりコンビが解散しピン芸人となった場合でも、実質的に「真打ち」と変わらない扱いを受けることがある(例:内海好江没後の内海桂子Wコロン解散後のねづっちなど)。詳細は漫才協会#真打ち制度を参照。
  7. ^ 香盤は日本講談協会での序列に準ぜられるため、真打の序列は松鯉、陽子、紫、紅、山陽、京子、鯉栄、蘭、伯山(2023年3月現在)となる。なお、神田真紅の真打昇進が2023年4月に発表されている(芸協での昇進披露は2024年5月に予定)。
  8. ^ 例外としては六代目神田伯山の真打昇進・襲名披露興行で、芸協における例年の披露興行の時期(通常は5月)から外れた2月に単独で行われる昇進披露であったこともあり、芸協での披露が先行して行われた。
  9. ^ 四代目宝井琴柳四代目宝井琴調(以上、講談協会所属)、神田茜(日本講談協会所属)の3名のみ(2023年5月現在)。

出典

  1. ^ 立川流の「二つ目、真打ちへの昇進基準」はなぜ厳しかったか 大事なことはすべて立川談志に教わった(立川談慶) - 一個人 2018年5月30日
  2. ^ a b 朝日新聞デジタル:真打ち選び、基準は実力?年季? 東京落語で試行錯誤 - 朝日新聞デジタル(アーカイブ)2012年5月16日
  3. ^ 吉川潮『戦後落語史』新潮社、2009年12月20日、205頁。ISBN 9784106103438 
  4. ^ a b c d 協会員プロフィール - 落語芸術協会
  5. ^ “円楽 落語芸術協会に加入 落語界“統一”へ一歩”. デイリースポーツ. (2017年6月28日). https://www.daily.co.jp/gossip/2017/06/28/0010321145.shtml 2017年7月6日閲覧。 
  6. ^ 2019年度真打昇進について - 落語芸術協会 2019年12月28日
  7. ^ 東方落語とは? - 東方落語ホームページ
  8. ^ 『長屋の花見』の巻 | 達人に訊け! - 中日新聞プラス 2016年4月8日(アーカイブ分)
  9. ^ 令和6年 春 真打昇進決定 - 一般社団法人 落語協会 2023年4月1日
  10. ^ 落語協会、12年ぶり抜てき真打ち 次世代ホープの林家つる子、三遊亭わん丈が来年3月昇進 - スポーツ報知 2023年4月1日
  11. ^ 令和三年二月 桂 宮治 真打昇進について - 落語芸術協会 2020年3月17日
  12. ^ 昇太会長が決断「新しいスターを」29年ぶり抜てき真打ち誕生 来年2月に桂宮治が5人抜き昇進 - スポーツ報知 2020年3月17日
  13. ^ 蝶花楼桃花 真打昇進から4カ月の落語協会史上最速で初トリ決定 - デイリースポーツ online 2022年6月10日
  14. ^ 立川こはる、令和5年5月5日に真打ち昇進「魔法をかけられる人になりたい」立川流初の女性真打ち - スポーツ報知 2022年11月20日
  15. ^ 日記「真打昇進披露興行大初日」 - 九代目春風亭柳枝オフィシャルブログ「柳枝の一筆啓上」Powered by Ameba 2021年3月22日
  16. ^ 『東京かわら版 2022年5月号』東京かわら版、2022年4月28日、27頁。ISBN 9784910085210 
  17. ^ コロナ禍でできること、できないこと…知恵と配慮の真打ち昇進披露宴 - 読売新聞オンライン 2022年4月22日


「真打」の続きの解説一覧




真打と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「真打」の関連用語

1
しんじん 隠語辞典
100% |||||

2
格真打 隠語辞典
78% |||||

3
真語 隠語辞典
78% |||||

4
膝代り 隠語辞典
78% |||||

5
切前 隠語辞典
74% |||||

6
取り 隠語辞典
72% |||||

7
切三 隠語辞典
72% |||||

8
楽屋真打と称された芸人の例 ウィキペディア小見出し辞書
70% |||||

9
三つ目 隠語辞典
56% |||||

10
『元祖』と『真打』 ウィキペディア小見出し辞書
56% |||||

真打のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



真打のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの真打 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2023 GRAS Group, Inc.RSS