監査役 フランスの会計監査役

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監査役

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 12:47 UTC 版)

フランスの会計監査役

フランスの会社の会計監査役(コミッセール・オ・コント、: Commissaire aux comptes (CAC))は、フランスの株式会社 (SA) や株式合資会社 (SCA) では必置の機関である。有限会社 (SARL) では原則として設置は任意であるが、一定の資本金を超える会社は設置する必要がある。 後述の監査役会構成員 (Membre du Conseil de surveillance)とは別の役員である。 1966年のフランス商法改正以前の法文上の名称は監査役(コミッセール、: Commissaire)であったが、出資検査役(: Commissaire aux apports)と区別するため、実務上の名称に合わせて現在の名称に改められた。

会計監査役 (CAC) は日本の会社の監査役会計監査人の両方を合わせたような役員である、その法文上の名称とは裏腹にその権限は会計監査のみならず業務監査を含む。 株式会社 (SA) の会計監査役 (CAC) は取締役会 (CA)監査役会 (Conseil de surveillance)に出席する。

会計監査役 (CAC) は、株主総会で選任・解任する。

会計監査役 (CAC) には、専門会計士(: Expert comptable)の資格が必要とされる。

会計監査役 (CAC) の職務を補佐するため、会社が会計監査役補佐 (Commissaire aux comptes adjoint)を置くこともある。

フランスの監査役会構成員

フランスの会社の監査役会構成員(: Membre du Conseil de surveillance)は、監査役会 (Conseil de surveillance)の構成員である。 ドイツの監査役と同様の役員であり、日本の株式会社監査役とは大きく異なる。 なお、会計監査役 (Commissaire aux comptes)取締役会 (CA) や監査役会に出席するが監査役会構成員とは別の役員である。

フランスの株式合資会社 (SCA) では、監査役会 (Conseil de surveillance)は5名以上で構成される。

フランスの株式会社 (SA) では、監査役会 (Conseil de surveillance) は3名以上18名以内(吸収ないし新設合併の場合は合併から3年以内は24名以内)の監査役会構成員 (Membre du Conseil de surveillance) から構成される。

フランスの監査役会構成員 (Membre du Conseil de surveillance) は、株主総会により選任・解任される。非上場会社では定款で選任することもできる。 定款の定めにより株主総会で選任される役員とは別に、従業員が直接選挙により選任する監査役会構成員を含めることができるが、その員数は三分の一を超えず最大5名までである。

フランスの株式会社 (SA) の監査役会構成員 (Membre du Conseil de surveillance) の、任期は最長6年(非上場会社の場合、定款において選任された場合は3年)である。

フランスの株式合資会社 (SCA) では、監査役会構成員は株主 (Commanditaires) であることを要する。

フランスの株式会社 (SA) では、監査役会構成員には法人もなることができるが、法人が監査役会構成員である場合は、その法人は自然人をその常任代表者として定めなければならない。 各監査役会構成員は定款に定めがある場合に限り、会社の株式を一定数保有しなければならない。

中華民国の監査役

中華民国台湾)の会社法公司法)に基づいて設立される会社公司)のうち、株式会社股份有限公司)には監査役(監察人)を設置する。なお、合名会社無限公司)、合資会社兩合公司)、有限会社有限公司)では、監査役(監察人)を設置せず、業務を執行しない社員股東)が、随時業務を執行する社員(股東)に会社の営業状況の報告を求め、財産目録、会計帳簿、計算書類等を閲覧することができる。

中華民国(台湾)の株式会社(股份有限公司)の監察人は、監査役に相当する。なお、中華民国政府による外国人の参考のための英訳では、株式会社(股份有限公司)の監察人supervisor と表記している。 株式会社(股份有限公司)の監査役(監察人)については、主に会社法(公司法)の第216条ないし第227条で規定している。

設置

会社公司)の監査役(監察人)は、株主総会股東會)で選任する。 中華民国政府または法人株主股東)の時は、監査役(監察人)に選任することができるが、代表して職務を行う自然人を指定しなければならない。また、中華民国政府または法人が株主(股東)の時は、その代表者も監査役(監察人)に選任することができる。また、代表者が2人以上ある時には、それぞれを選任することができる。 公開会社は監査役(監察人)を2人以上置かなければならない。すべての監査役(監察人)の合計持ち株比率は、証券管理機関の規定に従う。 会社と監査役(監察人)の関係は、中華民国民法における委任の規定に従う。

資格および待遇

会社公司)の監査役(監察人)は、行為能力を有する者から選任する。監査役(監察人)のうち少なくとも1人は中華民国に住所を有しなければならない。 監査役(監察人)は会社の取締役(董事執行役員(經理人その他の使用人職員)を兼任することができない。

監査役(監察人)の任期は3年を超えない。ただし、連続して再任することができる。

職務と権限

監査役(監察人)は会社公司)の業務の執行を監督する。監査役(監察人)は随時会社の業務および財務状況を調査し、監査役(監察人)は計算書類を監査し、取締役会董事會)または執行役員(經理人に提出や報告を請求することができる。 監査役(監察人)は監査の事務について、会社を代表して弁護士律師)や会計士會計師)に監査を委託することができる。 監査役(監察人)は、取締役会(董事會)に出席して意見を述べることができる。 監査役(監察人)は、取締役会(董事會)が株主総会股東會)に提出しようとする議案、書類その他を調査し、調査の結果を株主総会股東會)に報告しなければならない。監察人(監察人)この調査を、会計士(會計師)に委託することができる。 各監査役(監察人)は単独で監査権(監察權)を行使することができる。


注釈

  1. ^ 商法特例法においては、小会社(資本金が1億円以下の株式会社をさす)においてそもそも業務内容についての監査権限がなく会計監査権限しかもたない(旧商特法25条)としていたが、会社法では会社の規模で一律に規定するのではなく非公開会社について任意で限定できるとした。

出典

  1. ^ 神田秀樹『会社法〔第十一版〕』弘文堂、2009年、163頁
  2. ^ 前掲神田、163頁
  3. ^ 吉見宏「企業不正事例と規定の改訂」經濟學研究47(2)274頁
  4. ^ 前掲神田、217頁






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