皇居
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 06:59 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動皇居 The Imperial Palace | |
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![]() 皇居正門石橋 | |
分類 | 宮殿、御所、宮内庁、宮中三殿など皇室関連施設の収容地 |
所在地 | |
面積 |
〈宮内庁管理部分〉 約1.15km2 〈総面積(含 皇居外苑)〉 約2.30km2 |
前身 | 江戸城、宮城(皇居の旧称) |
現況 | 皇居 |
事務所 | 宮内庁管理部 |
事務所所在地 | 東京都千代田区千代田1番1号 |
公式サイト | 皇居(宮内庁) |
古くは宮城(きゅうじょう)と公称され、皇城(こうじょう)や皇宮(こうぐう)などとも称せられたが、第二次世界大戦後は「皇居」の呼称が広く用いられるようになった。
概要
以前は宮城と公称されていたが、第二次世界大戦後に廃止され、現在は特別史跡「江戸城跡」一帯を指して皇居と呼んでいる。公式の英語表記は「The Imperial Palace」である。天皇の平常時の住居である「御所」や各種公的行事や政務の場である「宮殿」、宮内庁庁舎などがある。
平安京への遷都(794年〈延暦13年〉)から東京奠都(1869年〈明治2年〉)までは京都にあり、御所(ごしょ)[注釈 1]や禁中(きんちゅう)、禁裏(きんり)、内裏(だいり)などと呼ばれていた。現在の京都御所(京都市上京区)は、もとは里内裏として用いられ(後述の「#皇居・宮の歴史」参照)、南北朝時代以後は正式な御所となっていたもので、明治維新後の東京行幸に伴い留守となり使われなくなったが、荒廃した御所の様子を嘆いた明治天皇の指示により、隣接する京都仙洞御所や京都大宮御所とともに保存された。なお、行幸後に首都機能が東京に移った際、明確な遷都の法令が発せられなかったので、京都御所を現在も皇居とみなす向きもある(詳細は「東京奠都」を参照)。しかし明治以降、京都御所に近代的居住機能が付加されることはなく、平安時代の様式を伝える最高格式の紫宸殿(正殿)や日常生活の場である常御殿などが保存され、文化財となっている。
皇居の呼び名は、史料や古典文学に登場するものの現在では使われない表現を含めると様々ある。内裏、御所、大内(おおうち)、大内山、九重(ここのえ)、宮中(きゅうちゅう)、禁中(きんちゅう)、禁裏、百敷(ももしき)、紫の庭(むらさきのにわ)、皇宮(こうぐう)、皇城(こうじょう)、宮城、大宮、雲の上、雲居など非常に多い。
現在の皇居
明治以降の皇居は、幕末まで徳川将軍家が居城としていた江戸城跡にある。江戸城の内郭(内堀内)には、本丸、二の丸、三の丸、西の丸のほか、西寄りの部分には「吹上」と呼ばれる庭園があった。「吹上」はかつては屋敷地であったが、明暦の大火(1657年(明暦3年))以降、火除け地として、建物が建てられないようになっていた。
皇室関連施設のうち、宮殿や宮内庁庁舎などは旧西の丸に位置するが、天皇の住まいである御所は江戸城の「吹上」、現在の「吹上御苑」に建てられている。旧西の丸と吹上御苑は道灌堀という堀で隔てられている[注釈 2]。城郭としての江戸城は本丸、二の丸、三の丸および西の丸部分のみを言い、道灌堀の西側にある庭園部分は厳密には江戸城には含まれないので、御所は城郭としての江戸城跡に建っているわけではない[要出典]。皇居と呼ばれる区域は、旧西の丸地区・吹上御苑と皇居東御苑からなる宮内庁の管理用地の区域を指す場合と[2][3]、この区域に環境省管轄の皇居外苑を加えた区域を指す場合がある[4]。
皇居は東京の代表的な観光名所であり、人工衛星パノラマ画像プログラムのGoogle Earthでは、世界のランドマークの一つとして登録されている。旧江戸城の本丸、二の丸、三の丸の一部分は皇居東御苑として、1968年(昭和43年)10月1日以降、一般公開されている[5]。皇居の制限エリアを一般人が訪問できる機会としては、「皇居一般参観」のほか、毎年1月2日と天皇誕生日に行われる「一般参賀」や桜が見ごろの4月初旬と紅葉が見頃の12月初旬に行われる「乾通りの通り抜け」などがある[6]。また、皇居の周囲を取り囲む12の濠(堀)から成る皇居外周地区の歩道は、都心にありながら緑豊かな場所であり、ジョギング(皇居ラン)や散策の場としても親しまれている[7]。
皇居の宮内庁管理部分の住居表示は、東京都千代田区千代田1番1号(郵便番号100-0001)で[1]、居住していなくても登録できる本籍地として人気が高い住所になっている。また、国有財産としての皇居の価値は、2146億4487万円となっている(財務省資料に基づく、2009年5月時点)[8]。
注釈
出典
- ^ a b c 所在地 宮内庁(2020年9月6日閲覧)
- ^ 宮内庁 (2013年7月4日). “皇居全体図”. 宮内庁. 2018年2月2日閲覧。
- ^ 環境省 (2017年11月20日). “皇居外苑(全域)の案内図”. 環境省. 2018年2月2日閲覧。
- ^ a b 森谷美香; モノ・マガジン編集部 (2016年4月27日). “「皇居」の真実をどれだけ知っていますか”. 蘊蓄の箪笥 100章. 東洋経済オンライン. p. 2. 2018年2月2日閲覧。
- ^ 皇居東御苑 宮内庁(2018年10月30日閲覧)
- ^ 皇居乾通り一般公開について 宮内庁(2018年10月30日閲覧)
- ^ “皇居外周地区”. デジタル大辞泉(コトバンク). 2021年1月24日閲覧。
- ^ 『皇室 Our Imperial Family』43号(扶桑社、2009年)15頁
- ^
2021年(令和3年)9月7日内閣告示第2号「天皇皇后両陛下の皇居へ御移転が定められた件」. 天皇皇后両陛下の皇居へ御移転が定められた件(令和三年内閣告示第二号). - ウィキソース.
- ^ 最後の秘境 皇居の歩き方. 株式会社小学館. (2019年10月20日)
- ^ “皇居で厳かに大嘗祭 14~15日、内部は「秘儀」”. 日本経済新聞. 2019年11月14日閲覧。
- ^ 宮内庁 (2017年8月1日). “皇室用財産:(別表)皇室用財産一覧表”. 宮内庁. 2018年2月2日閲覧。
- ^ 皇居へ行ってみよう - 宮内庁キッズページへようこそ!!
- ^ 千代田区 (2017年9月4日). “千代田区ホームページ - 千代田区行政基礎資料集(平成29年版)”. 千代田区. 2018年2月2日閲覧。
- ^ “皇居ランナーに注意喚起の看板”. MSN産経ニュース. (2010年1月29日). オリジナルの2010年5月28日時点におけるアーカイブ。
- ^ 皇居ランニングポータルサイト
- ^ “宮内庁参観音声ガイドアプリの運用開始についてのお知らせ”. 宮内庁ホームページ. 2017年5月18日閲覧。
- ^ “皇居外苑の魅力(3)”. 一般財団法人国民公園協会 皇居外苑. 2017年5月12日閲覧。
- ^ 都市見つめる「緑の島」皇居『毎日新聞』朝刊2021年11月16日くらしナビ面(2021年11月21日閲覧)
- ^ 「皇居の自然(2)タヌキ調査 陛下の発案で」『読売新聞』夕刊2018年10月25日7面
- ^ 国立科学博物館皇居生物相調査グループ『皇居・吹上御苑の生き物』世界文化社、2001年、255ページ。ISBN 978-4-41-801303-6。
- ^ “千鳥ヶ淵環境再生プランの策定について”. 環境省ホームページ. 2017年5月12日閲覧。
- ^ “皇居外苑濠に生息するヘイケボタル保護の取組(平成28年度)”. 環境省ホームページ. 2017年5月12日閲覧。
- ^ 皇居吹上御苑での自然観察会宮内庁ホームページ(2021年1月25日閲覧)。
- ^ 「明治天皇の皇城図発見/オーストリア・ハンガリー帝国使節団、焼失前作成■玄関から大広間描写■対外交流史浮き彫り」『日本経済新聞』朝刊2019年8月22日社会面掲載の共同通信配信記事、同日閲覧。
- ^
1888年(明治21年)10月27日宮内省告示第6号「皇居御造営落成ニ付自今宮城ト称セラル件」. 皇居御造營落成ニ付自今宮城ト稱セラル件. - ウィキソース.
- ^ 原武史:【歴史のダイヤグラム】柿生の「離宮」と柳田國男『朝日新聞』土曜朝刊別刷り「be」2020年5月23日4面(2020年9月6日閲覧)
- ^ 松浦総三著『天皇裕仁と東京大空襲』(大月書店)
- ^ 入江相政著『入江相政日記』第2巻(朝日新聞社)
- ^ 御文庫(おぶんこ)附属庫(ふぞくこ)関係の資料 宮内庁:当庁が管理する先の大戦関係の資料の公表について(戦後70年に当たって)平成27年8月1日(2020年9月6日閲覧)
- ^ 「ここから、戦後は始まった 御文庫附属室と玉音原盤公表」[リンク切れ]asahi.com
- ^
1948年(昭和23年)7月1日宮内府告示第13号「皇居を宮城と称する告示廃止」. 皇居を宮城と称する告示廃止. - ウィキソース.
- ^ 建て替えられなかった御所
- ^ 高尾亮一『宮殿をつくる』(求龍堂、1980年)。新宮殿造営を詳しく説明している。著者は宮内庁の担当者。
- ^ 1993年(平成5年)12月9日『官報』第1297号皇室事項「皇太后陛下の御在所の名称変更」
- ^
1989年(昭和64年)1月7日内閣告示第3号「天皇皇后両陛下の御在所が定められた件」. 天皇皇后両陛下の御在所が定められた件. - ウィキソース.
- ^ 1993年(平成5年)12月9日内閣告示第6号「天皇皇后両陛下の皇居へ御移転が定められた件」
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