発声 種類

発声

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 07:28 UTC 版)

種類

発声は声帯振動の有無により以下の2種類に分類される。

  • 有声音: 声帯同士が接近し声門を狭まり、呼気により励起された声帯が周期的に震動して発される音
  • 無声音: 声帯同士が開き声門が広がり、呼気がそのまま通過して乱流雑音のみが発される音

また声帯振動の様式により次のようにも区分される(声区)。上の区分ほど息が漏れ(閉鎖が短い/無い、Oq 大)、下ほど閉鎖が長くなる。

  • ささやき声(whispering): 声帯声門が閉じつつも、軟骨声門の部分が開いて息がもれるときに出る音。無声音の一種
  • 息もれ声(breathy voice/falsetto): 軟骨声門の部分が開いて息が漏れていながら、声帯声門の部分にもわずかに隙間が生じ、声帯震動が起こって出る音
  • 地声(modal voice): 声帯全体が開閉を繰り返して発生する音
  • きしみ声(creaky voice/vocal fly): 軟骨声門が閉じ、声帯声門の上の部分がわずかに開いて緩やかな声帯震動がおこる音

発声の違いは声門開閉の違いであるため、声門体積速度も発声方法ごとに異なる。そのため音波に含まれる倍音成分に影響を与え、結果として声の音色に影響を及ぼす。息もれ声・ファルセットでは声門の一部が開放されたままになり[14]、有声音と無声音が同時に発声される。

モデル

ソース・フィルタモデルをはじめとした音声分析音声合成において、発声は様々な形でモデル化される。声門体積速度 あるいはその微分波形をモデル化する場合が多い。

単位インパルス

時間領域のデルタ関数を声帯音源として解釈するモデルである。線形予測符号(LPC)で利用される[15]。声門体積流の波形に由来する調波構造は単位インパルスで表現されず、声道特性とともにフィルタとして表現される[16]

Lijencrants-Fantモデル

Lijencrants-Fantモデル(LF-model[17])は4つのパラメータを用いた微分声門体積流 のモデルである[18]。F-modelの派生型である[19]

Rosenberg-Klattモデル

Rosenberg-Klattモデル(RK model)は多項式による微分声門体積流 のモデルである[20]

脚注

[脚注の使い方]

  1. ^ 「声紋とは?」 日本音響研究所、閲覧2012-8-25
  2. ^ 法科学鑑定研究所 「音声の個人性」閲覧2012-8-25
  3. ^ Oqは様々な方法で測定され、それぞれバイアスがある. 画像診断系 : 声門辺を区画化して各部開閉の平均値. : 常時閉鎖してる区画を除いた. : 開口部が存在すればOpen判定とするOq. : 全長中50%区画の開口でOpenとするOq. OT-50: 開口度50%を開口判定とするOq. : 時間一次微分の正負ピークで開閉判定. : x=anterior/mid/posterior線区のみでの Oq. : 5本の平均. multiline kymography. 電磁気系 : 電極変位の一次微分正負ピークで開閉判定. : EEG閾値越えをContact Quotientとした差分. 音声系 : フォルマント補正したfo強度/2fo強度差 Yokonishi, et al. (2015). Relationship of Various Open Quotients With Acoustic Property, Phonation Types, Fundamental Frequency, and Intensity.
  4. ^ "O. Q. = Fraction of Cycle During Which Glottis Is Open / Duration of Entire Cycle" R TIMCKE, et al. (1958). Laryngeal vibrations: measurements of the glottic wave. I. The normal vibratory cycle.
  5. ^ "characteristics of vocal-fold vibratory movement ... In this context, the open quotient Oq is a glottal source parameter ... It is defined as the ratio of the glottal open time over the fundamental period." Nathalie Henrich. (2005). Glottal open quotient in singing: Measurements and correlation with laryngeal mechanisms, vocal intensity, and fundamental frequency.
  6. ^ ソース・フィルタモデルにおける「ソース」に相当.
  7. ^ "肺から送られてくる呼気が、喉頭にある左右1対のひだである声帯(vocal folds)を振動させると、喉頭原音 (glottal sound) が発せられます。" Arai Laboratory. 発声. 上智大学.
  8. ^ "喉頭原音だけを直接聞くことはできませんが、様々な研究によって喉頭原音に関するモデルが提案されています。" Arai Laboratory. 発声. 上智大学.
  9. ^ "声門を通過する気流の体積速度である声門体積速度(glottal volume velocity)" Arai Laboratory. 発声. 上智大学.
  10. ^ "非対称の三角波が間隔を開けて並んでいるような時間波形になります。その形状の特徴として、開くときは声門を流れる気流は緩やかに増加し、声門が閉じるときは急激に減少することがあげられます。" Arai Laboratory. 発声. 上智大学.
  11. ^ "気流が急激に遮断されることで時間波形に「鋭い角」が生まれ、高い周波数にも豊かな倍音成分を持つことにつながります。" Arai Laboratory. 発声. 上智大学.
  12. ^ 「赤ちゃんの言葉の発達と前言語期の音声・喃語」 閲覧2012-8-26
  13. ^ a b 柳田早織, 今井智子, 榊原健一 ほか、「【原著】前言語期の音声発達」 『音声言語医学』 2011年 52巻 1号 p.1-8, doi:10.5112/jjlp.52.1
  14. ^ Table 1 of Yokonishi, et al. (2015). Relationship of Various Open Quotients With Acoustic Property, Phonation Types, Fundamental Frequency, and Intensity.
  15. ^ "LPC分析法では, 白色雑音あるいは単一インパルスを入力とした全極型声道フィルタの応答を音声信号として考える." 高橋. (2018). 音域が広い歌声の声帯音源波形と声道形状の推定に関する研究.
  16. ^ "声帯音源のスペクトル特性と声道の周波数伝達特性を区別できず, 音源と声道フィルタ特性は全極型ARフィルタにまとめて表される." 高橋. (2018). 音域が広い歌声の声帯音源波形と声道形状の推定に関する研究.
  17. ^ "It is referred to as the LF-model." Fant, et al. (1985). A four-parameter model of glottal flow.
  18. ^ Fant, et al. (1985). A four-parameter model of glottal flow.
  19. ^ Fant, G. (1979). Glottal source and excitation analysis.
  20. ^ Klatt & Klatt. (1990). Analysis, synthesis, and perception of voice quality variations among female and male talkers.


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