痛車
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手法
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カスタムの傾向
痛車は大きく以下の2つに分かれる。
ただ、近年では「グラフィックデザイン上は前者だが既存カスタムカーとしてのレベルも高い」ということからどちらに分類するか曖昧な車両もある。
- 「一般的な痛車」
- 車のオーナーが「オタク」と認識できる程度のカスタマイズを行う(ウケ狙いも含む)。後述の「走り屋風の痛車」のようなカモフラージュを行わず、あえて痛車であることを主張する。現在はこちらが大半を占める。
- 既存カスタムカーを強く意識したもの
- 競技車両風の痛車
- レーシングカー、「走り屋」やスポコンなどをモチーフとするなど、モータースポーツ競技車両を意識したカスタマイズを行う。作品名やゲームメーカーロゴ等のステッカーを、チューニングカー風にフロントドア前側やボンネットなどに配置したり、ラリーカーやGTカーのデザインをベースに、選手名の表記などを好きなキャラクターの名前に置き換えたりする傾向にある。パーツメーカーなどのロゴを模したパロディステッカー(5ZIGEN→2ZIGENなど)も、定番のアイテムとして多用される。走り屋風の痛車のルーツは、2000年前後から出没し始めた痛車達がルーツの1つであると言われている。現在でも数多く現存しており痛車のルーツとして知られている、また地域によっては先に記載の「一般的な痛車」よりこのタイプの痛車が多い所もある。なお、この場合単なる見かけ倒しではなく車両・オーナーが本物のチューニングカー・走り屋であるケースも珍しくなく、時折痛車だけでのサーキット走行会も開催されている。さらに今日に至っては、逆に痛車化されたレーシングカーが登場するほどにまでなっている[20](レーシング痛車を参照)。
- 走り屋系以外のカスタムカーを意識したもの
- 競技車両風の痛車
既存カスタムカーとして見た場合のカスタム度
- これに関してはオーナーにより著しい差がある。ステッカー関連以外全くノーマル車である車両がある一方で、中には「痛ドリ車」など、一般的な既存ジャンルのカスタムカーとして十分通用するほどの車両も珍しくない。一例を挙げるとすれば向坂環仕様のY33シーマ(通称:いやらシーマ)の場合鈴鹿を走るチューニングカーであり、RB26へのエンジンスワップ(大型ターボなどの装備で700ps)、ロールケージの装備などが行われている。[26]
- また前述のようにステッカーや塗装などの視覚的手段を活用するジャンルだが、そのステッカーにはスポコンやD1マシンのバイナルグラフィックス、あるいはラグジュアリーカーに見られるロゴステッカーなどの手法を意識したものもある。
- また多連モニターを活用することも多いが、他のジャンルではおおむね車載専用品が使用されるのに対し、痛車の場合はTVまたはPC用の薄型ディスプレイが使われることも多く、ノートPCを設置することもある。中にはPCそのものを車両に組み込んでしまう場合もある。理由として、オタク層の中には自作PCに詳しいユーザーが多いことが挙げられる。
ベース車に関して
- 国産車、外国車を問わずクーペなどのスポーツカーや、車種により設定されているスポーツグレードのもの
- 広い平面が多く、大きなステッカーなどが貼りやすい四角い箱型の車種[27]。
- 既存カスタムカージャンルに存在しがちな「定番車種」と「マイナー車」の垣根が他ジャンルほどは感じられず、どんな車種でも楽しんだもの勝ちという雰囲気さえある。その背景にはそもそもステッカー&ペイントワーク自体がいわばワンオフまたは汎用品であることがあると思われる。前述のジャンル同様、車種も軽トールワゴン/ミニバン、スポーツ指向、高級セダン、トラック、さらには既存のカスタムカージャンルではほとんど見かけないいわゆるファミリーセダン[28]やバス、軽トラなどとベース車も多様である。
- 前述のように既存カスタムカージャンルとの掛け合わせを行うユーザーも相当数存在し、総じて言えば手法や車種に関して自由度の高いカスタムカージャンルといえる。
- ただし既存ジャンルと掛け合わせる場合、その車種選定やカスタム手法は走り屋系ならチューニングカー寄りとなるように、往々にしてそのジャンルの影響を受ける。
- 改造対象となる車種はスポーツカーが多いが、1BOXカー、セダンと多岐にわたる。スポーツコンパクト(スポコン)、ラグジー、VIPカー、バニングといった一般的なカスタムカースタイルとクロスオーバーさせた痛車も現れ始めている。また1980年代以前に製造された旧車、あるいは外国車をベースにした痛車も存在する。さらには、主として観光バスをベースにした「痛バス」なるものも少数ながら存在するが、個人で所有することが困難であるため、趣味の任意団体(サークル)所有とされるのが通常である。企業の広告目的や運輸業者のイメージ戦略により痛バス風に仕立てたものは前述のとおり「ラッピングバス」と言われ、「痛バス」とは言わない。さらに農業用トラクター[29]やコンバインといった農機をベースにする者さえいる。
装飾の手法
描かれる題材はアニメ、ゲーム(特にアダルトゲーム・ギャルゲー)・漫画のキャラクターや関連するロゴ、それらの製作会社・ブランド名のロゴなどがある。ボンネット・ドア・リアガラス・リアウイングなどにカッティングステッカーやカラーステッカーを貼り付けたものがほとんど(エアブラシなどでの塗装を行っているものは稀)である。また、すぐに脱着ができるマグネット貼付で行う場合もある。マグネット以外でも、カッティング、フルカラーをイベント前日に貼り、イベント終了後は剥がす例もある。
ライトアップなどの一般的なドレスアップがあわせて行われることもある。
キャラ系の作例としては、次のようなものがある。
- キャラクターやロゴなどのシルエットをカッティングシートでカットしたもの
- 多くの痛車がこの方法を用いた装飾を行っている。またオークションなどでも多数出回っており、カッティングシートを購入せずとも完成したものを入手することも比較的容易な為、初心者を始め、痛車の装飾には多用される。
- 業者などに依頼し、フルカラーステッカーまたはエアブラシアート(塗装)を用いるもの
- こちらは比較的上級者向けの本格的なものであり、カラーである故に仕上がりに期待できる反面、車体外装用の特殊なシートやインクを用いるため、コストが高くなるデメリットがある。
カッティングステッカー、フルカラーステッカー、エアブラシなどによる装飾の欠点としては、次のような要素がある。
- 面積が大きいステッカーを使う場合、気泡が入る事があるため、貼り方次第では汚く見えてしまうことがある。このため、中にはプロに依頼してステッカーの制作から貼り付けまでを一貫して行う方法もある。
- アダルトゲームやギャルゲーなどのキャラクターを書く場合、「同一タイトル(またはシリーズもの)」「同一ブランド(メーカー)」のキャラクターにするなど明確なコンセプト・テーマの統一性を出さないと車のデザインが破綻する恐れがあり、その補正にもコストがかかるため、慎重な作業が必要である。
- エアブラシでの装飾を行う場合、ボディに直接塗装を施すため、完全に装飾を消すにはボディ再塗装などのコストもかかる。
- ゲームメーカー及びアニメ制作会社の会社ロゴについては、商標などの理由から公式HPなどで使用を規制しているメーカーもあるため、商標権や著作権などの知的財産権に絡むトラブルの恐れがある。
- 地方自治体によっては、営利・非営利を問わず、自動車等へのラッピングが屋外広告物条例や景観条例等によって規制されている場合[30]があるほか、アダルトゲームなどの有害図書に関連するラッピングが青少年健全育成条例に抵触する場合もあるため、十分な注意が必要である。
以上の作例は一番典型的であるが「観衆受け」を重視しているため、基本的に車のデザインとしては破綻している痛車が多い。それ以外にも各種のロゴ、デザイン化したキャラクター名などで装飾した場合、一見しただけではそれと分からない場合がある。これは広義の痛車とみなされる場合が多いが、否定する者もいる。結局のところ様式を定義する機関やメディアがないため、自己の判断や周りの意見で痛車か否かを判断しているのが現状である。またアダルトゲームまたは家庭用ゲーム専門のメーカーをスポンサーにしてレース活動をしているチームも存在するが、そのゲームのキャラクターがデザインされた車両も痛車と呼ばれることがあり定義が曖昧である。
内装もオーナーの嗜好によりさまざまだが、特に痛車で見られるケースとしてぬいぐるみだけでなくキャラクターやコスプレを模倣した等身大のフィギュア(ラブドール)を乗せる、シートカバーにキャラクターがプリントされた等身大シーツや抱き枕を流用する点が挙げられる。この他にも、キャラクターが着ているコスプレそのものを載せたり、クッションなどを載せることもある。さらに、電気系統では、単純に光を放つためのLEDやネオン管、さらには、カーオーディオ・AVシステムに力を入れる者も多く、側面や後部の窓に液晶ディスプレイを設置して映像(アニメ)を流し、そのためにパソコンを車載する例も見られる。
ナンバープレートも希望ナンバー制度を利用して作品やキャラクター、企業・団体などに関連した語呂合わせの番号で登録することがある。
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- ^ アニメ関連の塗装車としてはこれ以前に『マッハGO!GO!GO!』の「マッハ号」が2002年の全日本GT選手権からGT300で参戦しているほか、2007年にはSUPER GTでKRAFTが第5戦以降『機動戦士ガンダム00』とのタイアップでガンダムエクシアをモチーフとしたカラーリングのレクサス・SC430をGT500で走らせている。
- ^ レース以外の走行を含む場合、「トヨタモータースポーツフェスティバル2010」でエヴァンゲリオンレーシング(FN09・RV8K)はフォーミュラカー初。
- ^ その後グランツーリスモ7でも同機能は収録された。
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- ^ “もはや“痛快”! アオシマ痛車プラモ第2弾は「ToHeart2」のAE86”. GA Graphic. ソフトバンククリエイティブ (2008年3月3日). 2011年5月27日閲覧。
- ^ 商標登録番号:第5145997号、出願番号:商標出願2007-124323、読み方は「イタシャ」「ツーシャ」で登録されている。
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