瓦 瓦の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/07 07:01 UTC 版)

日本閑谷学校講堂(国宝)の窯変瓦の屋根

概要

歴史的に見れば、用いられてきた瓦のほとんどが粘土を焼いて作られていたものであり、他の素材のものはあまりなかった。「瓦」という漢字は、もともとは屋根[2]の建材に限らず、粘土素焼きしたもの全般を意味している[注 1][注 2]

ドイツでは、粘土製のものをZiegel(ツィーゲル=煉瓦)またはDachziegel(ダッハ・ツィーゲル=屋根の煉瓦)、セメント製のものをDachstein(ダッハ・シュタイン=屋根の石材)と呼んでいる。

歴史

瓦は、洋の東西を問わず古くから用いられている[1]。しかし、瓦が誰によっていつごろ発明されたかはよくわかっていない[4]

発見されている世界で最も古い瓦は中国の陳西省西安の近郊から出土したもので薄手の平瓦である[4]。中国では王朝の時代に陶製の瓦が作られていたという記録があり、春秋戦国時代の瓦は遺物として残っている[1]

西洋ではたとえばギリシアでは古代ギリシアの時代から、民家は茅葺き屋根と並んで瓦屋根も用いられていた。パルテノン神殿も、(現在では遺跡になり、上部の屋根が消失し、下から空が見えてしまい、下から見ると白っぽい石製の柱やファサードばかりが眼につく建物になってはいるが)もともと神殿として使われていた当時は木材で小屋組がされた屋根があったのであり、屋根の表面は大理石の瓦で覆ってあったのである。


注釈

  1. ^ 瓦という字、概念が用いられているのは、他にも煉瓦(れんが)など。
  2. ^ 英語では屋根瓦は「(roof)tiles」と呼ばれる。「tile」は「cover 覆い」という意味のラテン語: tegulaを語源としておりそれが古英語tileとなったものであり[3]、tileも主として粘土を焼いて作られており、屋根や壁を覆うことに使われているわけである。英語では屋根瓦を指す場合にも「tile」と言うだけでも大丈夫だが、「屋根覆い」という分類をはっきりさせる場合に「roof tile」と言う。
  3. ^ 参考:JIS A5402:2002[10]
  4. ^ ただし、その際は桟瓦や本瓦は用いず、試し割り専用の瓦、又は棟積みに用いる熨斗瓦を使う。

出典

  1. ^ a b c 日本大百科全書『』 - コトバンク
  2. ^ 屋根』 - コトバンク
  3. ^ 出典:Oxford Dictionary
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 瓦の歴史”. 姫路市電子じばさん館(姫路市・公益財団法人 姫路・西はりま地場産業センター). 2020年8月3日閲覧。
  5. ^ a b 三浦正幸著『城のつくり方図典』小学館 2005年
  6. ^ a b チタン瓦の五重塔公開=浅草寺”. 時事通信 (2017年6月13日). 2017年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月15日閲覧。
  7. ^ セメント瓦屋根ってどんな特徴があるの?
  8. ^ 沖縄で普及した「セメント瓦」 今や工場は1軒だけ 最後の職人「需要ある限り作り続ける」
  9. ^ 役瓦”. weblio. 2023年1月30日閲覧。
  10. ^ JISA5402:2002 プレスセメントがわら
  11. ^ a b c d e 前場幸治『古瓦考(相模国分寺千代台廃寺)』冬青社、1993年
  12. ^ EcoKawara|テラゾーや瓦舗装やリサイクル舗装や二重床のタイルに最適
  13. ^ a b Roofing Tiles Market | Size, Share | Growth, Trends | Industry Analysis | Forecast | Technavio(英語)
  14. ^ a b 近藤豊著『古建築の細部意匠』大河出版 1972年
  15. ^ 日本セラミックマシナリー協会編『セラミックマシナリーハンドブック』日刊工業新聞社 2006年7月
  16. ^ 『日本書紀』21巻 崇峻天皇
  17. ^ - 香川県三豊市- 宗吉瓦窯跡
  18. ^ 菱田哲郎『丹後地域の古代寺院』(『丹後地域史へのいざない』ISBN 978-4-7842-1348-1 所収)、2007。
  19. ^ 小山市公式サイト、小山博物館『国指定史跡「乙女不動原瓦窯跡」』
  20. ^ 三里町公式サイト「水殿瓦窯跡」
  21. ^ 山本清一「古代瓦 文化財の守り神◇姫路城や東大寺の屋根修理、技術継承へ職人育成◇『日本経済新聞』朝刊2018年4月5日(文化面)
  22. ^ 一般社団法人 日本伝統瓦技術保存会(2018年5月4日閲覧)
  23. ^ 一井 純 (2017年9月9日). “市場75%減、日本の「屋根瓦」は生き残れるか 「地震に弱い」というイメージが瓦業界を直撃”. 東洋経済新報社. 2020年1月19日閲覧。
  24. ^ 経済産業省における住宅関連施策の動向” (PDF). 経済産業省製造産業局生活製品課住宅産業室 (2019年5月). 2022年1月10日閲覧。
  25. ^ 金井直子 (2016年8月). “耐震性は大丈夫!? 「瓦屋根」の魅力と注意点とは”. SUUMOジャーナル. 2019年10月11日閲覧。
  26. ^ 国交省、新築の瓦屋根はガイドライン工法を義務化に=瓦屋根の告示基準改正”. 株式会社住宅産業新聞社 (2020年7月). 2020年8月3日閲覧。
  27. ^ 建築:令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策 - 国土交通省”. 国土交通省. 2021年2月21日閲覧。
  28. ^ 瓦屋根の緊結方法が強化されます - 国土交通省” (PDF). 国土交通省. 2022年1月10日閲覧。
  29. ^ 経済産業省における住宅関連施策の動向” (PDF). 経済産業省製造産業局生活製品課住宅産業室 (2019年5月). 2022年1月10日閲覧。
  30. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 現在(平成24年12月)粘土瓦の産地は24箇所 全国に点在 石州瓦工業組合
  31. ^ 瓦5 国内の瓦産地による呼称
  32. ^ 粘土瓦産地 - 大和製瓦株式会社
  33. ^ 瓦のはなし
  34. ^ 福井県瓦工業協同組合
  35. ^ 京瓦とは 浅田製瓦工場
  36. ^ 城島瓦 久留米観光コンベンション国際交流協会
  37. ^ a b 瓦師』 - コトバンク
  38. ^ 幕府御用瓦師の工房跡を発掘/大阪、瓦屋町遺跡”. 四国新聞社. 2022年12月28日閲覧。
  39. ^ 御用瓦師寺島家文書 一括(49点)”. 大阪市. 2022年12月28日閲覧。
  40. ^ ひと@東海:鬼師 岩月久美さん(54) 鬼瓦で新たな試み /愛知”. 毎日新聞. 2022年12月28日閲覧。
  41. ^ 小林信明編『新選漢和辞典』小学館、1963年。
  42. ^ 阿辻哲次著『部首のはなし 2』 中央公論新社 2006年


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