狙撃手
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狙撃任務に伴う心的外傷
米陸軍特殊部隊の狙撃手として33人以上の命を戦場で奪い、「死神」との異名を持つニコラス・アービングは、PTSDの苦痛について、以下のように述べた[23]。
同じ夢を何度も見た。銃弾を受けてバラバラになった男の顔や手足がまとわり付いてくる。二〇〇五年、十八歳の時だった。イラク南部に赴任した翌朝。装甲車に、うつろな目をした男が運転する車が近づいてきた。「撃て、早く撃て」。四カ月の訓練で覚えた通りに狙いを定め、引き金を引いた。弾は男に当たった。車には手製爆弾が積まれていた。これが戦場か。初めて人の命を奪った戸惑いと、役目を果たしたという手応えが同時にやってきた。射撃を命じた下士官は言った。「興奮はやがて消え、人を撃った感触だけが残る」その夜は落ち込んだ。人を殺してはいけないと教えられてきた。あの男に家族はいるのか-。
五年後に第一線を退いた後も、頭上を飛ぶ戦闘機を見ると、逃げ惑うアフガンの子供たちの姿が頭をよぎった。風が運んでくる乾いた土のにおいは、射殺した兵士の顔を思い出させた。その都度、自分が正しいと信じてきたことと罪悪感の間を行き来した。PTSDに悩み、自ら命を絶った仲間は知っているだけで十二人。運を天に任せよう。自分も二年前、回転式のピストルの弾倉に一発だけ弾を込め、頭に当てて引き金を引いた。弾は出なかった。 — ニコラス・アービング、東京新聞2017年6月26日朝刊
狙撃手をテーマにした作品
映画・テレビドラマ
- 『ジャッカルの日』(1973年)
- 『パニック・イン・スタジアム』(1976年)
- 『ゴルゴ13 九竜の首』 (1977年)
- 『狙撃 THE SHOOTISTシリーズ』(1989年、東映Vシネマ)
- 『山猫は眠らない』シリーズ(1993年~)
- 『最後の弾丸』 (1994年、日豪合作映画)
- 『スナイパー/狙撃』(1996年)
- 『スターリングラード』(2000年 アメリカ映画)
- 『フォーン・ブース』(2002年)
- 『恋人はスナイパー』(2002年)
- 『レッドスナイパー 独ソ最終決戦』前編、後編(2002年、ロシア・ベラルーシ合作のテレビ番組、4回構成)。視聴者からの評価はかなり低い。
- 『ザ・シューター/極大射程』(2007年)
- 『スナイパー』 Liberty Stands Still(2002年)
- 『スナイパー 連続狙撃犯』(2003年、アメリカ)。アメリカ ワシントンD.C.の連続狙撃事件が原案。
- 『アメリカン・スナイパー』 (2014年)
- 『ロシアン・スナイパー』 (2015年、ロシア・ウクライナ合作)原題:BITVA ZA SEVASTOPOL(セヴァストポリ包囲戦)
- 『ザ・ウォール』(2017年、イラク戦争時の実在のイラク人狙撃手、ジューバが登場する)
小説
- 『最後の遭遇』(柘植久慶) - 太平洋戦争終戦間際のボルネオにおけるオーストラリア新兵と日本軍狙撃手の静かなる死闘。
- 『ジャッカルの日』(フレデリック・フォーサイス、1971年)
- 『戦士シリーズ』(柘植久慶) - 事故により婚約者を殺害した主人公が日本を脱出し、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ内戦に狙撃手として参加。
- 『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)
漫画・アニメ
- 『ゴルゴ13』シリーズ
- 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 凍える機械』 - 「魔弾の射手」
- 『湯けむりスナイパー』 - 引退した狙撃手(殺し屋)が、温泉宿で人生をやり直す。
- 『シティーハンター』
- 『緋弾のアリア』 - レキ
- 『名探偵コナン 異次元の狙撃手』
- 『グリザイア』シリーズ
- 『最後の狙撃兵』秋本治
- 『ルパン三世』シリーズ
ゲーム
- 『サイレントスコープ』シリーズ
- 『スナイパーエリートV2』(Xbox 360/PS3/Wii U)
- 『スナイパーエリート4』(Windows/Xbox One/PS4/Switch)
- 『スナイパー ゴーストウォリアー』 (PS3)
- 『sniper elite 3』
- ^ This sniper, known as 'The White Death,' is credited with more than 500 kills (英語で)
- ^ How a Finnish farmer became the world's deadliest sniper (英語で)
- ^ How “White Death” Simo Häyhä Became The Deadliest Sniper In History (英語で)
- ^ 『ミリタリー・スナイパー 見えざる敵の恐怖』(刊:大日本絵画、著:マーティン・ペグラー、訳:岡崎淳子)pp. 9-12
- ^ 同著 p. 12
- ^ クリス・マクナブ、ウィル・ファウラー著コンバット・バイブルp291コラム「狙撃の達人カーロス・ハスコック」
- ^ "Hotshot sniper in one-and-a-half mile double kill". The Sunday Times. 2 May 2010.
- ^ "Super sniper kills Taliban 1.5 miles away".
- ^ “QuickTarget Unlimited Lapua Edition exterior ballistics software”. Web.archive.org (2009年6月29日). 2009年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月1日閲覧。
- ^ Lapua: Downloads: Lapua Bullets CD Data[リンク切れ]
- ^ “L96 Sniper Rifle and L115A3 Long Range Rifle”. Mod.uk (2007年2月20日). 2011年6月1日閲覧。
- ^ “Weather Underground History for Kandahar, Afghanistan - Month of November 2009”. Wunderground.com (2011年5月21日). 2011年6月1日閲覧。
- ^ カナダ兵、3.5キロ先のISIS戦闘員狙撃 CNN news(2017年6月23日), 2017年6月23日閲覧。
- ^ a b “The Sniper, SWAT Teams Grow In Number”. CBS News. (2001年1月25日) 2008年5月4日閲覧。
- ^ a b c かのよしのり著『狙撃の科学 標的を正確に撃ち抜く技術に迫る』2013年2月25日、SBクリエイティブ、P14-15、ISBN 978-4-7973-6963-2。
- ^ “Gastonia Police Department - Sniper School”. 2012年7月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月4日閲覧。
- ^ “Police sniper watches from roof, Sydney”. Australian Broadcasting Corporation (2007年9月6日). 2008年5月4日閲覧。
- ^ Scanlon, James J. (2010年). “The Columbus Ohio Police”. The Columbus Ohio Police. 2010年5月7日閲覧。 - News footage of sniper shooting gun out of a persons hand
- ^ a b イラクの反乱軍に『撒き餌』したとして訴えられた米軍狙撃手, Fox News 25 September 2007 「他の二人のレンジャー狙撃手が被告になったケースにおける生成供述と証言によれば、陸軍は潜在的な敵に「撒き餌」して、その餌にひっかかった者は誰でも殺すという機密の計画があることを示した」、「被告となった3人の狙撃手のうちの2人を聴取した法廷の写しによれば、機密扱いの「撒き餌」計画の存在をいくつかの引用している。」
- ^ a b c 米国は『撒き餌』で反乱軍を誘おうとしている, ワシントン・ポスト
- ^ 米軍狙撃兵がイラク人に「撒き餌」をしたことで起訴された, Pauline Jelinek and Robert Burns, The Associated Press, Tuesday, 25 September 2007
- ^ ドイツでタイ国王がBB弾で「狙撃」、これがタイなら...... ニューズウィーク日本版(2017年6月22日), 2017年6月23日閲覧。
- ^ 東京新聞; 北島忠輔 (2017年6月26日). “元米軍スナイパーの証言 罪悪感…命絶つ仲間多く” (日本語). 東京新聞電子版 (株式会社中日新聞社) 2017年6月28日閲覧。
- 1 狙撃手とは
- 2 狙撃手の概要
- 3 語源
- 4 日本における狙撃手
- 5 狙撃任務に伴う心的外傷
- 6 参考文献
- 狙撃手のページへのリンク