版画 平版画(リトグラフ)

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 美術 > 版画 > 版画の解説 > 平版画(リトグラフ) 

版画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/07 05:20 UTC 版)

平版画(リトグラフ)

平版画とは石版画、リトグラフと呼ばれているもので、油が水をはじく原理を利用している。1798年頃、アロイス・ゼネフェルダーが偶然に原理を発見し、以降ロートレックなどの画家が斬新で芸術性の高いポスターをこの方法で描いた。以前は巨大な石に描いていたが、近年は扱いやすいアルミ板を使うことが多い。専用のアルミ板などに油分の強いチョーク、クレヨン、油性のペンシル(ダーマトグラフ)などで描き、アラビアゴムや薬品を塗って、版を作る。注意する点は版にインクを塗る際、版が常に水で濡れていなければならないことである。紙に刷る度に、インクと水分が紙に移るので、版にインクを盛る前に必ず水で版を濡らす必要がある。そうしないとすぐに白いままにしておきたい部分にインクが付いてしまい、版が駄目になる。

孔版画

孔版画(こうはんが, : screenprinting または : serigraphy)とは、インクが通過する穴とインクが通過しないところを作ることで製版し、印刷する技法。「孔」とは「突き抜けた穴」の意味である。[2] 孔版画にはたくさんの種類の技法が存在するが、特に歴史が長く、よく知られているものは、ステンシルとシルクスクリーンである。スクリーンは、英語の : screen が語源で、細かい穴がたくさんある布状の網目のシートのことである。昔は絹の布が孔版画の版の材料として使われたが、現在ではさまざまな材質のスクリーンが使われる。糸と糸の間の隙間がある絹の布は英語で silk screen (シルク・スクリーン)だが、silk screen を使った孔版画は英語で silk screen printing (シルク・スクリーン・プリンティング)と言う。しかし、現代は絹は孔版画に使われないので、孔版画の技法や日本語で言うところのシルクスクリーンの技法は、英語で screen printing (スクリーン・プリンティング)または serigraphy (セリグラフィ)と言う。screen print または serigraph とは、 screen printing または serigraphy と呼ばれる版画の技法を使って作られた版画作品を呼ぶ言葉である。

もし「印刷」の意味に製版の意味を含まず、紙の上にインクを付ける、狭義の意味だとすれば、孔版画の製版の方法にはたくさんの種類があるが、印刷の方法の種類は少ない。孔版画の典型的な印刷方法は、製版された版のスクリーンと紙を密着させ、スクイージー: squeegee)でインクをスクリーンの穴を通して紙へ押し出すというものである。

孔版画の製版の方法の例として、切り抜かれた型紙をスクリーンに貼るカッティング法、スクリーンに感光によって固まる乳剤を塗り、光を通す部分と通さない部分を描いた原画をスクリーンに合わせて露光して製版する直接法、特殊な描画材で描いた上に乳剤を塗って描画材の部分のみを剥離させる直間法、露光でスクリーンに定着する感光乳剤を利用する写真製版法などがある。

孔版画の他の種類の技法として、謄写版、コロジオン版画または毛筆謄写版と呼ばれるもの、プリントゴッコまたは新孔版画と呼ばれるもの、サン描画スクリーン技法、メディウムはがし刷り版画などがある。

詳しくは、シルクスクリーンを参照。

美術品としての版画

版画作家によって制作される商業的な版画作品は、油彩画などと異なり、一回の作成で作られた版から何点かの作品が一度に刷られる[3]。刷られる部数は作品や作家によってまちまちであり、美術品としての価値を鑑定した上で、作家とプロデュースする関係者によって決められる[3]

オリジナル版画

版画作家自らがたずさわった作品はオリジナル版画と呼ばれる。日本の版画画商団体である日本現代版画商協同組合では、オリジナル版画について以下のように定義している[4]

  1. 版画を制作する目的で、作家が下絵を描き、作家自身が木版、銅版、石版、孔版などを自刻(製版)したもの。
  2. 作家自身が自分の手で刷ったり機械(プレス)にかけて刷ったりした作品、もしくは作家の監督下で職人がその指示どおり刷ったもの。
  3. 完成した作品の一枚一枚を作家が容認したもの、もしくは職人が製版し、刷り上がった作品を作家自身が容認したもの。
  4. 完成した作品の版面左下に限定番号(エディション・ナンバー)を、右下に自筆署名したもの(例外もある)。
  5. あらかじめ決めた限定部数を刷り終わった版には、斜線一本か〆印を入れ、あるいは版に穴をうがつなどして、原版を廃版(レイエ)する。

エスタンプ

エスタンプは、オリジナルの作者または権利者の了解を得たうえで、オリジナル作品を原画として第三者の手によって版画の技法を用いて制作された版画作品である[3]。エスタンプには余白部にそれと分かる刻印などが付く場合もあるが、オリジナルと見分けが付きにくいものも多い。エスタンプも部数が限定されており、オリジナル版画をしのぐ市場価値を持つ作品もある[5]




  1. ^ 『版画の技法と表現』、町田市立国際版画美術館、1987年、13頁(ISBNなし)
  2. ^ 『版画の技法と表現』、町田市立国際版画美術館、1987年、14頁(ISBNなし)
  3. ^ a b c 島田 1990, pp. 226-228.
  4. ^ グループ・ギャラリー 1990, pp. 118-119.
  5. ^ グループ・ギャラリー 1990, pp. 120-123.


「版画」の続きの解説一覧



版画と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「版画」の関連用語

版画のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



版画のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの版画 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS