爾雅 爾雅の概要

爾雅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/21 20:16 UTC 版)

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儒教では周公制作説があるが、春秋戦国時代以降に行われた古典の語義解釈を初の学者が整理補充したものと考えられている。『漢書芸文志には3巻20篇と記載されているが、現行本は19篇である。

漢唐の古文学清朝考証学において非常に重視され、後には十三経の一つに挙げられている。唐代には石経(開成石経)にも刻まれた。

構成

巻頭3篇は同義語を分類したもの。これらは例えば「初・哉・首・基・肇・祖・元・胎・俶・落・権輿は始という意味である」(釈詁)という形式をとる。「釈詁」篇は古人が用いた同義語を分類し、「釈言」篇は日常語を、「釈訓」篇はオノマトペを主とする連綿語(2音節語)などの同義語を分類している。

以後の「釈親」「釈宮」「釈器」「釈楽」「釈天」「釈地」「釈丘」「釈山」「釈水」「釈草」「釈木」「釈蟲」「釈魚」「釈鳥」「釈獣」「釈畜」は、事物の名前や語義を解説している。

釈畜では、などの毛色に基づく品種分類が述べられており、当時の畜産技術の水準が窺える[1]

注釈

注釈には西晋郭璞の注・北宋邢昺疏の『爾雅注疏』(『十三経注疏』所収)、邵晋涵『爾雅正義』・郝懿行『爾雅義疏』などがある。

影響

『爾雅』の不足を補う書物として著者不明の『小爾雅』やの張揖『広雅』が作られた。の朱謀㙔『駢雅』は連綿語を専門に集めた書物である。明末清初方以智『通雅』は名物学に秀でる[2]

北宋の陸佃『埤雅』と南宋の羅願『爾雅翼』はいずれも動植物名を『爾雅』の篇立てにならって分類、解説している。

日本への影響

日本では律令制大学寮において、『文選』・正史と並んで紀伝道(文章道)の教科書として重んじられた。『爾雅』を規範として平安中期、源順が『和名類聚抄』を編んでいる。また江戸時代、貝原好古貝原益軒の養子)が『和爾雅』(1694年)を、新井白石が『東雅』(1719年、「東方の爾雅」の意)を作っている。

関連項目

外部リンク


  1. ^ 加地伸行 『加地伸行著作集1 中国論理学史研究 経学の基礎的探求』研文出版、2012年 (原著1983年)、407-409頁。ISBN 978-4876364022 
  2. ^ 青木正児 『中華名物考』平凡社〈東洋文庫〉、1988年 (原著1959年春秋社)。ISBN 4582804799 32頁。


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