炎上 (ネット用語) 予防法

炎上 (ネット用語)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/11 23:59 UTC 版)

予防法

炎上を発生させないための最も確実な方法は、ブログはコメント欄、企業のウェブサイトであれば問い合わせフォーム・掲示板といった「炎上が発生しうるような場」を、初めから設定しないことである[36]。コメント欄などを設置する場合でも、炎上につながるような、無礼・不謹慎な発言、犯罪行為の告白、尊大な言動、価値観の押し付けや否定、意見が対立しやすいトピックへの言及などの発言をしないように注意することで、ある程度は炎上を予防することができる[37][38]

収束方法

炎上が発生してしまった場合は、まずはじめに実際に自分に非があったと認めるかどうかを判断するべきだと、炎上に関する書籍など[39]では指摘されている。

非を認める場合、早急に被害者と世間に対し誠意のある謝罪コメントを発表することが良いとされる。この時、謝罪文に言い訳や抗議など謝罪以外の要素を含めると却って反発を招く可能性があるため、そういったことは書かない方が良い。脅迫・中傷への対応が必要であれば警察へ通報したり、弁護士に相談したりするなどの対処を淡々と行う。

非を認めない場合、断固として批判に対して反論を続けるか、徹底的に無視することとなる。個人のブログであれば炎上後も高い頻度でブログを更新することによって、過去のログまで丹念に調べるような閲覧者を除けば、火種となった記事が閲覧されにくくなるので、そのまま終息する場合もある[40]。サイトやブログを閉鎖してしまうという対処法もあるが、炎上発生直後の閉鎖は却って事を大きくしてしまう危険性がある。またネット上での抗議先がなくなったことにより、関係者の居住地や職場など現地訪問を試みる動きが加速する可能性もある。特にブログなどで炎上の火種となった記事だけを削除するなどの対処は、隠蔽行為と解釈されて批判の激化を招きかねず[41]、Googleのキャッシュやウェブ魚拓などから削除したサイトの中身が閲覧できるようにされることがあるとされる[42]

伊地知晋一による分類に沿って考える場合、批判集中型については率直に謝罪するか持論を継続し、議論過熱型は静観し、荒らし型は黙々と削除して対処するのが望ましい、とされる[43]

山本一郎は、炎上した時の具体的な対策について、速やかな消火のためには「かなり早い段階で謝罪する」ことが肝要だと述べている。お詫びの仕方も「お騒がせしてすみません」と、世間を騒がせたこと、関係者に迷惑をかけたことについて全方位に低姿勢で謝罪する方が良い。嘘をついたり、事実はそうでも部下や関係者がやったと釈明したりするのは最悪の一手であり、監修したのは自身であることを認めるべきである。一方で、初手の有力な方法として「徹底的に無視する」ことも採用し得る。この場合は、その件に一切触れない心構えが必要で、炎上の規模の見極めが重要である。騒ぎが大きくなり過ぎると、謝罪が遅れることで取り返しのつかない話になりやすい。問題が起きて釈明が無ければ、関係者の界隈はその誠実さを疑う。鎮火を促す最後の方法は、ネットで騒ぐ連中を次々と訴えること。行き過ぎた、間違った情報を元に話題を炊きつけている人物を特定し、黙々と、徹底的に、全て訴える方法を提案している[44]

中川淳一郎は、「身内の擁護はかえって炎上を劇化させる」と指摘し、周囲の人間は当事者の事を想うのであれば、ほどぼりが冷めるまで静観するべきだとしてる。ネットの作法がわからないまま、身内同士で炎上する本人を擁護し、ネットの意見を「素人は黙ってな」的に上から目線でバカにすることは、ネットで更に嫌われ、攻撃の対象になってしまう。自分に否があるなら、すぐに謝るという判断が下せるか。逆に相手に間違いがあるなら、訴訟も辞さない強さを持てるか。それができないなら、黙っていた方がいいと諭し、「インターネットを甘く見るな」ということに尽きると強調した[45]

分類

田代光輝による分類

コンピュータ利用教育学会(CIEC、シーク)にて田代光輝は、炎上の発生する原因に注目し、以下のような5種類に分類している[46]

反社会的な行為の告白
窃盗器物損壊などの犯罪や、未成年者の飲酒喫煙といった触法行為を武勇伝的に報告してしまったために炎上するというもの。一度注目されるとブログの過去ログなどをチェックされて、さらに粗探しが行われる可能性もある。
知識不足
著名人・知識人が専門外の話題に言及するなどして知識不足を露呈してしまった場合に、その権威を挫くために、ここぞとばかりに批判が殺到するというもの。
特定ターゲットへの悪口・軽蔑
国籍学歴趣味などの属性について、特定の対象へ否定的な言及をしたために反感を買って炎上するというもの。
提灯記事
企業が著名なブロガーに金銭的報酬を与える代わりにその企業の製品をブログで取り上げてもらうといった行為が行われる際に、それが金銭のやりとりを伴ったものであるということをブログ上できちんと公表していなかった場合(いわゆるステルスマーケティング)、ブログの読者から裏切り・騙しとみなされて非難されやすい。
利益誘導
自分や自分が所属する組織に対する肯定的な言及を自身の身分を隠して行ったことにより、自作自演として非難の対象となる、というもの。

小林直樹による分類

『日経デジタルマーケティング』記者の小林直樹は、炎上のパターンを以下の6つに分類している[47]

やらせ捏造自作自演
CIECでの分類にもあるように、企業側が自らにとって好都合な内容の情報を他者を騙って発信していることが暴露された場合など。
なりすまし
別人がソーシャルメディアのなりすましアカウントを取得し、本人の知らないところでトラブルを引き起こして炎上にいたる場合。
悪ノリ
例えば飲食店の従業員がふざけて食品を不衛生に扱う動画を動画共有サービスに投稿することによって[48]企業に批判が集中するというように、悪ノリがきっかけとなって炎上に至る場合。
不良品、疑惑、不透明な対応
企業が提供するサービス・商品の品質に問題があったり、それを疑われたり、その時の釈明に問題があったりしたために批判が集中する場合。
コミュニティー慣習・規則の軽視
企業がTwitterなどのソーシャルメディアを利用したマーケティングを行う際に、担当者がそのコミュニティの暗黙の規範などに疎かったために反感を買ってしまうようなケース。
放言、暴言、逆ギレ
アルバイトから幹部まで、その企業に属する誰かがソーシャルメディア上で迂闊な発言をしたことがきっかけとなる場合。ネット上での投稿だけでなく、現実世界での失言がきっかけとなって炎上に至ることもある。

その他の分類

伊地知晋一は、炎上を反社会的な行為の自慢や、非常識・幼稚な主張を行ったりして批判が殺到する「批判集中型」のほか、「議論過熱型」「荒らし」の3種類に分類し、実際にはそれらが複合的に組み合わされて炎上が起こるとしている[49]

ライターの中川淳一郎は、炎上を「義憤型」「いじめ型&失望型」「便乗&祭り型」「不満&怒り吐き出し型」「嫉妬型」「頭を良く見せたい型」の6つに分類している[50]




  1. ^ 田中 & 山口 2016, p. 5.
  2. ^ 田中 & 山口 2016, pp. 12-13.
  3. ^ 「ネット公共圏と炎上をめぐる問題」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』238頁
  4. ^ バズる(バズル)とは”. コトバンク. 2017年10月26日閲覧。
  5. ^ 『ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性』34-36頁
  6. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』84頁
  7. ^ 「ネット公共圏と炎上をめぐる問題」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』245頁
  8. ^ 小倉秀夫 (2005年4月16日). “コメントスクラムについて”. 小倉秀夫の「IT法のTop Front」. Wired Vision. 2008年12月27日閲覧。
  9. ^ 「ネット公共圏と炎上をめぐる問題」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』245-246頁
  10. ^ a b c 五十嵐祐 吉田俊和、橋本剛、小川一美(編)「メディアコミュニケーションの普及は、私たちに何をもたらしたか?」『対人関係の社会心理学』ナカニシヤ出版 2012 ISBN 9784779506932 pp.193-197.
  11. ^ a b 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』47頁
  12. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』25-26頁
  13. ^ a b 平井智尚 (2012). “なぜウェブで炎上が発生するのか ―日本のウェブ文化を手がかりとして”. 情報処理学会誌 (29): 62. 
  14. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』28頁
  15. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』136頁
  16. ^ 『ソーシャルメディア炎上事件簿』18頁・60頁など
  17. ^ 「ポストised、変化したことは何か1」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』472頁
  18. ^ 「ポストised、変化したことは何か1」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』474頁
  19. ^ SNS炎上、供養します 住職も批判経験「仏教の大義」 - 朝日新聞
  20. ^ [1]
  21. ^ 『効果がすぐ出るSEO事典』岡崎良徳 2016年1月28日
  22. ^ [2]
  23. ^ ネット炎上、参加者わずか2.8% それなのに拡散するのはなぜ?
  24. ^ 「ブログ炎上」『学びとコンピュータハンドブック』68-72頁
  25. ^ 蜷川真夫 『ネットの炎上力』 文藝春秋、2010年、128頁 ISBN 978-4166607396
  26. ^ 『ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」』165頁
  27. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』102-105頁
  28. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』107-108頁
  29. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』17頁・20-22頁
  30. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』67-68頁
  31. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』46-47頁
  32. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』65-66頁
  33. ^ AERA』2013年8月26日号「SNS新リスクの護身術」
  34. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』21-22頁
  35. ^ 『「容疑者の父親」とデマ拡散した11人特定、立件へ”. TBSニュース (2018年3月30日). 2018年3月30日閲覧。
  36. ^ 『ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」』153頁
  37. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』98-101頁
  38. ^ 『ソーシャルメディア炎上事件簿』148-149頁
  39. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』110-116頁、『ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」』134頁を参照
  40. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』81頁
  41. ^ 「ブログ炎上」『学びとコンピュータハンドブック』71頁
  42. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』45頁
  43. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』19-20頁
  44. ^ a b 『GQ』でボツになった「五輪エンブレム」佐野研二郎さんのネット炎上関連の原稿と経緯について”. Yahoo!ニュース (2015年9月10日). 2015年9月10日閲覧。
  45. ^ a b 五輪エンブレム問題 声あげない業界、陰謀論に憤り 中川淳一郎氏”. withnews (2015年9月2日). 2015年9月2日閲覧。
  46. ^ 「ブログ炎上」『学びとコンピュータハンドブック』69-71頁
  47. ^ 『ソーシャルメディア炎上事件簿』第2章
  48. ^ いわゆるバイトテロ
  49. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』18-20頁
  50. ^ 『ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」』145-150頁
  51. ^ 「祭られた人々」(晋遊舎) 20頁
  52. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』20頁
  53. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』19-20頁・61頁・79頁・113頁
  54. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』などで使用されている
  55. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』66-68頁
  56. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』70-71頁
  57. ^ 『ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性』40-41頁
  58. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』63頁
  59. ^ 『ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性』41頁
  60. ^ 『ネット炎上であなたの会社が潰れる!―ウェブ上の攻撃から身を守る危機管理バイブル』94-96頁
  61. ^ 『ソーシャルメディア炎上事件簿』166-167頁
  62. ^ 藤代裕之 (2011年9月1日). “まんべくん騒動にみる「炎上マーケティング」の教訓”. 日本経済新聞. 2012年2月9日閲覧。
  63. ^ チャイム(社会面コラム)、『産経新聞』朝刊2018年10月8日(2018年10月24日閲覧)。
  64. ^ 北田暁大「ディスクルス(倫理)の構造転換」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』159頁
  65. ^ 濱野智史「まえがき」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』4頁
  66. ^ 『ブログ炎上 〜Web2.0時代のリスクとチャンス』146-148頁
  67. ^ 『ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」』64-70頁




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