漢文訓読 読解

漢文訓読

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 13:47 UTC 版)

読解

楚人有鬻盾與矛者(『韓非子』「難編(一)[16]」)

というがあり

楚人有盾與一レ矛者

と返り点を付されていたとき、まず下、二が付されている字を飛ばして次の字へ読み進む。レ点はそれが付されている字の上の字を飛ばして付されている字をまず読み、つぎに上の字に返って読めという指示である。次の字に新たに返り点があればそれに従う。即ち、例句は

楚人盾矛與鬻者有

(楚人に盾と矛と[17]を鬻ぐ者有り) [18]という順で読むということを示す。 (「鬻」は「ひさぐ」。売ること。 「與」は「ともに」)

最後に現代日本語に訳すると

の人に、とを、ともに売る者があった。[19]

日本以外における漢文訓読

日本において独自に発達したと考えられているが、朝鮮半島の釈読口訣や、契丹ウイグルなどにおいても同様の返り読みの試みが見られ、自国の言語で訓読的な解釈方法が行われた地域がかならずしも日本に限定されたものではなく、中心地域の権威語に対する周辺諸地域における共通の受容法ではないかとする動き[20]もある。

参考文献

関連項目


  1. ^ 大辞泉小学館 
  2. ^ 寺島良安 『倭漢三才圖會』(復刻版)吉川弘文館 (原著1906年11月21日)。 
  3. ^ 渡部温 編 『標註訂正・康煕字典』講談社 (原著1991年)。 
  4. ^ 佐川繭子「「漢文教授ニ関スル調査報告」の基礎的研究」, 二松学舎大学21世紀COEプログラム「日本漢文学研究の世界的拠点の構築」 (14), pp.45-62, 2019年3月
  5. ^ 金 文京 『漢文と東アジア—訓読の文化圏』岩波書店 (原著2010年8月20日)。ISBN 9784004312628 
  6. ^ Tsukimoto, Masayuki (2000年10月31日). “大東急記念文庫蔵続華厳経略疏刊定記巻第五の訓点について”. 鎌倉時代語研究. 2019年12月14日閲覧。
  7. ^ 月本雅幸 (2010-08-20). “大東急記念文庫蔵続華厳経略疏刊定記巻第五の訓点について”. 鎌倉時代語研究. http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00026733 2019年12月14日閲覧。. 
  8. ^ 平安時代の式部省大学寮、博士職が用いたもの
  9. ^ 日本の漢字1600年の歴史. ペレ出版. pp. 141-142. ISBN 9784860643003 
  10. ^ レ点が字の左上に書かれるのだから、右掲例のようにレ点とその他の返り点とが重なる場合、なぜレ点が下になるかがわかる。例では「矛」の左上にあるレ点と「與」の左下の一点とが重なっている。レ点が字の左下に書かれるなどとする説明が『大辞泉』『大辞林』などの「返り点」の項目でなされるが、誤りである。また、レ点とその他の返り点が重なっている場合、その点が「一レ点」「上レ点」などと一つの返り点であるかのように説明されることもあるが、これも誤りである。
  11. ^ 明治45年(1912年)3月の「漢文教授に関する文部省調査報告」より転載
  12. ^ ただし19世紀の一部の図書では行末に返り点があるという。
  13. ^ 沢田総清『漢文教授法概説』芳文堂、1937年、漢文訓読法 -131頁。
  14. ^ 「吾日三省吾身」と訓点を施し「吾日に三たび吾が身を省みる」と読まれることもある。先ほどとは順序が異なっていることに注意。
  15. ^ Kanbun | The Unicode Standard (PDF)”. 2017年7月30日閲覧。
  16. ^ 恐縮であるが、リンク先ではテクストが異なるため、「盾」を「楯」につくる。
  17. ^ ここで「與」(:与、拼音: )は連詞として「A(と)B」の形で使われる場合、「與」字がひらがなになおされて「AとBと」と書き下される。
  18. ^ 「者」を「もの」と読む訓読ではわかりにくいが、「者」は短語をつくる結構助詞であってこれ自体が名詞ではない。「鬻~矛者」でひとつの名詞性短語である。また、訓読では謂詞「有」の主語が「鬻~矛者」であるかのように誤解されるかもしれないが、実際には主語は「楚人」であって「鬻~矛者」は賓語である。したがって句式は第一句式SVではなく第二句式SVOである。このように訓読が白文の構造を保たない場合がある。
  19. ^ 中国語には時制がないので、訓読にはそれが現れないが、訳するときに文脈から補うことになる。ただ、例句の場合、原文ではこのあとに「譽(ほ)メテ(これ)ヲ(い)ハク~」と句が途切れないから、気にしなくて良い。
  20. ^ 石塚、2001,小助川,2012





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