滑空 発航法

滑空

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/13 04:44 UTC 版)

発航法

グライダーは動力を備えていないので、離陸するために様々な動力源を利用する。パイロットは、そのいずれかを選択しなければならない。

飛行機曳航法と地上曳航法ではテクニックが全く異なるので、国によっては両方法の利用を飛行免状で分けているところもある。

飛行機曳航

グライダーの飛行機曳航は、通常は単発の軽飛行機が行うが、モーター・グライダーも曳航することを許されている。曳航機は、グライダーを必要な高度まで上昇させ、グライダーのパイロットがそこで曳航索を離脱する[26]。曳航索には弱いリンクが組み込んであり、急加重がかかるとそこが切れ、曳航中の機体にダメージを及ぼさない。

曳航中のグライダー・パイロットは、曳航機に対して上下いずれかの位置をとる[27]。「ロウ・トウ」(低位置曳航)は曳航機の後流の下、「ハイ・トウ」(高位置曳航)は後流の上の位置で[28]、オーストラリアでは通常はロウ・トウ、アメリカとヨーロッパではハイ・トウを使う[29]。まれに、1機の曳航機が2機のグライダーを曳航することもあり、そのときは短い曳航索でハイ・トウ、長い曳航索でロウ・トウを行う。

地上発航

ウインチ曳航

グライダー発航法には、地上に定置した重い車両に載せたウインチで曳航する方法もある[30]。ヨーロッパのグライダー・クラブではウインチ曳航が広く利用され、飛行機曳航は補助的な方法である。ウインチの動力は通常は大きなディーゼルエンジンであるが、油圧モーターや電動モーターもある。

ウインチは、グライダーに取り付けた長さ1,000~1,600 mの高張力鋼または合成繊維の曳航索を巻き取る。グライダーは短時間で急角度の上昇の後に、曳航索を高度400~700 mで離脱する。

ウインチ曳航の利点はコストが安い点であるが、飛行機曳航にくらべると到達高度は低く、、離脱後の数分間で上昇気流を見つけない限り、飛行時間は短い。ウインチ曳航では曳航索が切断する危険があるので、パイロットはそれに対処する訓練を受ける。

自動車曳航

地上発航法には自動車曳航もある[31]が、このような直接曳航には、舗装路面・馬力のある自動車・長い鋼索が必要で、現在ではほとんど行われない。

曳航車の運転手は、静かに曳航索のたるみを取ってから急激に加速を行い、グライダーは凧のように上昇する。適当な迎え風があれば、1.5 kmの滑走路で400 mくらいの高度を獲得できる。自動車曳航、砂漠の乾湖でも使われる。

自動車曳航の応用として、「逆曳き法」が行われている。

曳航車は滑走路の風上でグライダーに正対し、曳航索は後方の滑車で180度向きを変えてグライダーに取り付ける。曳航の状況は、ウインチ曳航の場合に近い。

ゴム索発航

ゴム索発航はグライダー草創期の方法であるが、緩やかな斜面の丘の頂上から強い風に向かって発航させるときには、時として現在でも利用されることがある。ゴム索は何条ものゴムバンドの束で、「バンジー(Bungee)」とも呼ばれる[32]

ゴム索発航では、グライダーの主車輪を小さなコンクリート製の溝の中に入れておき、ゴム索の中央部をウインチ曳航用のフックに掛ける。ゴム索の両端にはそれぞれ3~4人が付き、左右に分かれてやや斜めに引っ張る。ゴム索の張力が充分に高くなったならば、パイロットはブレーキを離し、車輪は溝から飛び出し、グライダーはちょうど離陸できるだけのエネルギーを加えられ、丘から飛び去ることになる。


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