滋賀県 経済・産業

滋賀県

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 06:09 UTC 版)

経済・産業

滋賀県は、日本有数の消費地である京都・大阪を支える農業県であった。滋賀県内の農業は稲作中心で、県内の耕地面積のほとんどを水田が占めている(2011年の水田率国内第2位)[22]。滋賀県で生産された米は「江州米」または「近江米」として知られる。戦後の第2次産業・第3次産業の発展に伴い、県内の農家の多くは兼業農家であり、2010年の副業農家率は国内第3位である[22]。また滋賀県は日本茶発祥の地とされ、江戸時代には政所茶が宇治茶と並ぶブランド茶として名を馳せ、現在も甲賀市土山町(土山茶。県内最大の栽培面積・生産量)と信楽町朝宮(「朝宮茶」。日本五大銘茶のひとつ)を中心に栽培が行われている[23]。その他、第1次産業においては、琵琶湖における漁業(アユビワマス・セタシジミなど)、湖東地方を中心とする近江牛の生産などが盛んである。

現在は西日本有数の工業県であり[24]2010年の工業生産出荷額は6兆5,741億円に達する[25]。県内総生産に占める第二次産業製造業の割合は40%を超え、全国1位である[3]。主要な工業生産品には近世からの伝統産業である日野・甲賀地方の医薬品(特に置き薬)があり、2011年の医薬品生産額は2,506億円(全国11位、シェア3.6 %)となっている[26]。また滋賀県内には既述の医薬品を含め主に9つの地場産業が存在する[27]


「環境先進県」としても知られており、県内には新エネ省エネ蓄電池水処理バイオなどの環境関連企業・技術・人材・教育機関が集積している他、「医工連携」プロジェクトによる医療・健康機器分野の成長が期待されている[28]。また第3次産業を主体に、県内の就業者数は一貫して増加している。

2012年の滋賀県の GDP(県内総生産)は、人口で上回る鹿児島県熊本県のそれよりも大きい[29]。一人当たりの県民所得(県民経済計算)についても2013年度で第4位となっており、全国トップクラスとなっている[30]。 今後の中期経済成長率については民間シンクタンクによれば、「堅調な人口動態と若年人口比率の高さ」・「京阪神と名古屋の中間経済圏としての立地と交通利便性」・「産業集積度や産学官連携推進」などにより、全国上位と予測されている[31]

また厚生労働省の報告書「平成27年版 労働経済の分析」によると、2012年時点における滋賀県の有業者数あたりの専門職人材(研究者・技術者・医師・会計士・教員などの専門的職業従業者)比率は、東京都・神奈川県・京都府に次ぐ高さとなっており、当県に専門的・技術的職業の人材が集積している[32]完全失業率は全国平均未満[33] であり、比較的堅実である。

滋賀県内の第3次産業活動については、県庁所在地である大津市や人口が密集している草津市を中心とした湖南地域にやや偏っている。またびわ湖環境ビジネスメッセや滋賀ビジネスパートナーといった経済イベントが開催されているほか、滋賀経済同好会では近江商人の哲学・精神を守り、広げていく活動が行われている。

本店を置く企業

滋賀県ゆかりの企業

他多数。


注釈

  1. ^ 琵琶湖の鮎は琵琶湖に留まったままでは大きく成長しない。近江の商人もそれと同様に、近江から出ていった方が大成できるという意味。
  2. ^ 総務省の2010年(平成22年)国勢調査によると、2005年(平成17年)から2010年(平成22年)の人口増減率が47都道府県中5位(首都圏を除くと沖縄県に次いで2番目)
  3. ^ ただし、びわ湖放送が当該天気予報コーナーをネットしたかどうかは不明。
  4. ^ 北川(北川水系)と藤古川(木曽川水系)を除き、全て淀川水系である。
  5. ^ 浅井郡・伊香郡の変更以外で、1950年(昭和25年)4月1日の時点で大宝律令以来の郡と区域が異なっていたのは以下の地域。
    神崎郡葉枝見村(現:彦根市)の愛知郡への移行(1896年)
    坂田郡相撲庭(現:長浜市)の東浅井郡への移行(1889年(明治22年))
    大津市(1898年(明治31年)に市制移行、滋賀郡離脱。1950年(昭和25年)時点では坂本以北と瀬田川以東を含まず)・彦根市(1937年(昭和12年)に市制移行、犬上郡離脱。1950年(昭和25年)時点では鳥居本・高宮と荒神山・河瀬以南含まず)・長浜市(1943年(昭和18年)に市制移行、坂田郡離脱。1950年(昭和25年)時点で平成の大合併直前の市域と同じ)の市制移行による郡からの離脱
    栗太郡物部村(現:守山市)の野洲郡への移行(1921年(大正10年))など。
  6. ^ 以前の呼称は大津・志賀地域
  7. ^ 以前の呼称は湖南地域。
  8. ^ 以前の呼称は中部地域。
  9. ^ 湖北地域とともに東北部地域とされることがある。
  10. ^ 以前の呼称は湖西地域。
  11. ^ 琵琶湖に面している自治体は琵琶湖の面積を含む。
  12. ^ 教育テレビは大阪放送局管轄。なお県内には教育テレビの中継局が所在する。
  13. ^ 第2放送は大阪放送局管轄。大阪府羽曳野市の送信所からの直接受信。
  14. ^ 放送免許範囲の問題から地上波では受信可能なのにもかかわらず、当初はケーブルテレビ局での再送信が認められなかった。

出典

  1. ^ 「近江を制するものは天下を制す」信長、秀吉ゆかりの“城の国”…埋もれた山城を発掘“地方創生”に”. 産経WEST (2015年3月12日). 2017年1月15日閲覧。
  2. ^ 新評論「地域再生 滋賀の挑戦」(森川稔編集)より。
  3. ^ a b 滋賀県なんでも一番|滋賀県ホームページ”. 滋賀県. 2023年1月15日閲覧。
  4. ^ 企業「環境先進県進出はメリット」(読売新聞)[リンク切れ]
  5. ^ 田中, 将隆 (2014年2月19日). “数字でみる滋賀県:積雪量世界記録11.82メートル /滋賀”. 毎日新聞 地方版/滋賀 (志賀: 毎日新聞社): pp. 27 
  6. ^ 国会図書館レファレンス共同データベース
  7. ^ 「琵琶湖研究所所報 (1986)」 流域を読む(姉川編)2 - 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター
  8. ^ a b 国土交通省気象庁・気象統計情報
  9. ^ 観測地点名は彦根地方気象台の「防災情報で使用する地点名」に拠った。
  10. ^ 国土交通省気象庁・気象統計情報・過去の気象データ検索
  11. ^ 『角川日本地名大辞典 25 滋賀県』1979年、角川書店、24頁。
  12. ^ 県内の市町一覧/滋賀県
  13. ^ 古代近江の三都 大津宮 紫香楽宮 甲賀宮 保良宮の謎を解く サンライズ出版 (2021/3/5) P5
  14. ^ 滋賀県のはじまり - 滋賀県
  15. ^ 敦賀県廃止、越前国敦賀郡並びに若狭国を滋賀県へ編入の件 - 滋賀県歴史的文書【明い81(3)】
  16. ^ 滋賀県県政史料室 - 滋賀県(日本海に面した滋賀県の地図)
  17. ^ 若狭・越前四郡離脱に関する建議書 - 滋賀県歴史的文書【明お76合本5(31)】
  18. ^ 【コラム1】滋賀県庁舎の移転騒動 - 滋賀県
  19. ^ a b c 奥平真也. “滋賀県人口微増、草津や守山で増加 国勢調査”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASPD36W7KPD1PTJB00F.html 2022年4月29日閲覧。 
  20. ^ 日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)
  21. ^ 全国比較でみる滋賀県の財政状況[リンク切れ]より。
  22. ^ a b 滋賀県内の農業、JA滋賀中央会、2014年1月26日閲覧
  23. ^ 近江の茶、滋賀県農政水産部、2014年1月26日閲覧。
  24. ^ 内閣府の2006年(平成18年)度県民経済計算によると、総生産に占める第2次産業の割合が46.7 %で1位。
  25. ^ 平成22年滋賀県工業統計調査 による。
  26. ^ 厚生労働省都道府県別医薬品生産金額 厚生労働省、2023年11月3日閲覧
  27. ^ 豊かな自然と歴史の流れの中で育まれた地場産業”. 滋賀県中小企業団体中央会. 2023年11月3日閲覧。
  28. ^ 滋賀健康創生特区が指定
  29. ^ 県内総生産額ランキング 都道府県格付研究所、2023年11月3日閲覧
  30. ^ 内閣府平成25年度県民経済計算 一人当たり県民所得ランキング 社会実情データ図録、2023年11月3日閲覧
  31. ^ 桑畠滋 (2011年12月14日). “2020年度までの都道府県別成長率予測”. ニッセイ基礎研究所. 2023年11月3日閲覧。
  32. ^ 平成27年版 労働経済の分析 -労働生産性と雇用・労働問題への対応-(第4章第3節) 厚生労働省
  33. ^ 総務省統計局・労働力調査(基本集計)都道府県別結果
  34. ^ 滋賀ふるさと観光大使 西川貴教氏の大型野外フェス、タイトル、第二弾出演アーティスト発表!(県政eしんぶん)
  35. ^ 2014年9月現在、2015年9月30日閲覧
  36. ^ 滋賀の大学 滋賀県、2020年10月7日閲覧。
  37. ^ 都道府県別四年制大学生数 都道府県別統計とランキングで見る県民性、2020年10月7日閲覧。
  38. ^ ほぼ日刊イトイ新聞みうらじゅんに訊け! ―この島国篇―、2008年6月15日、2010年6月20日閲覧。
  39. ^ 国土交通省発表内閣総理大臣賞 より。
  40. ^ 京都新聞による 京都府・滋賀県の市郡別各紙朝刊部数データ京都府・滋賀県の新聞のシェアデータ から、中日新聞(前者データの「その他」と後者データの「F紙」)の滋賀県および県内各市郡での部数・シェアがわかる。
  41. ^ 『角川日本地名大辞典 25 滋賀県』1979年、角川書店、25頁。
  42. ^ NHKが1996年に実施した「全国県民意識調査」によると、「『よそ者』というような言葉が、この地域ではまだ生きている。」という項目で2位。
  43. ^ 祖父江孝男「県民・日本人気質」河出書房新書編集・発行(木津川計『含羞都市へ』61-62頁)
  44. ^ 『風俗文選(森川許六 選)・和漢文操(各務支考 編)・鶉衣(横井也有 著)』藤井紫影、武笠三諸 校訂、有朋堂書店(有朋堂文庫)1918年(大正7年)38頁
  45. ^ 新潮社「近江路散歩」より
  46. ^ 司馬遼太郎『街道をゆく』より「近江というこのあわあわとした国名を口ずさむだけでもう、 私には詩がはじまっているほど、この国が好きである」
  47. ^ 京都新聞記事「平成23年 滋賀県、昨年の観光客が最多に」
  48. ^ 京都新聞記事「湖国ラーメン 戦国期へ」
  49. ^ 読売新聞記事「旅行企画、県などブランド認定」
  50. ^ 第1次ナショナルサイクルルートを指定しました!
  51. ^ 文化庁「文化財指定等の件数






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