湿地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/26 05:19 UTC 版)
湿地の開発と保全
上述のように、湿地は生物の生育・生息環境として重要な地域であると同時に、人間の利用の場としても重要であり、しばしば開発の対象となる。たとえば河川などはダムの設置、干潟やマングローブなどは沿岸海域の埋立などが行われている。そのため、多数の条約や法令等により湿地の保全・保護が図られており、いくつかの地域ではラムサール条約や鳥獣保護区等の登録・指定を受けている。
また、サンゴ礁に関しては直接的な開発行為の他にオニヒトデによる捕食や海水温の上昇に伴う白化現象による影響も懸念されており、沖縄県に位置する石西礁湖では、自然再生事業が推進されているほか、西表石垣国立公園の海中公園地域にも含められている。
世界の湿地
- 世界最大級の湿地
- パンタナル :総面積 140,000 - 195,000km2。世界最大の湿地。
- スッド :総面積 30,000 - 130,000km2。
- ニジェール内陸デルタ :総面積 78,000km2[6]。
湿地と地名
「地名は土地の履歴書」という表現があるが、洋の東西を問わず、古くから引き継がれてきた伝統的地名というものはその土地の過去における有り様を伝えていることが少なくない[7][8]。日本を例にとれば、北関東から北海道にかけてもともと湿地であった所の地名は「〜谷地(やち)」と付けられている[要出典]
湿地園
湿地の庭、湿地園(英:Bog_garden ボグガーデン[9])とは、永久に湿った(ただし湛水によってではなく)土壌を用い、そのような条件で生育する植物や生物の生息地を作る庭園の一種である。作庭方法は、既存の庭の水はけ悪さを利用してもよいし、池のライナーや他の材料を使って人工的に水を溜め込むようにしてもかまわない。ただしこのような構造は水が完全停滞しないように、少量の浸透を許容しなければならない。例えば、池のライナーは数回貫通させる必要がある。
一般的に沼地を利用した庭は庭池や他の水辺に隣接した浅い領域からなるが、水が高いレベルから低いレベルに流出しないよう注意する必要がある。持続可能な最小の深さは40–45 cm (16–18 in)とされているが、水はけの良い砂利をライナーの上に敷き、沼の表面下に穴あきホースを使用することで湿潤を確保することができる[10][11][12]。
湿地帯や根の周囲に浅い水を好む植物(縁辺植物)には以下のようなものがある[11]。
- ハナショウブ
- マーシュマリーゴールド
- ビーナス・フライトラップ(ハエトリグサ)
- ドロセラ・アデラエ(モウセンゴケ属)
- アイリスプードココルス(イエローフラッグ)
- ロベリア・カーディナリス(Lobelia cardinalis)
- コバンコナスビ (クリーピングジェニー)
- ミツガシワ (ボグビーン)
- ワスレナグサ (ミズワタリソウ)
- ゼンマイ
- ペルシカリア アンプレクシカウリス (レッドビストート)
- イブキトラノオ (ビストル)
- ピンギキュラ(キンポウゲ科)
- プリムラ・プルウェルレンタ(カンゾウ)(サクラソウ属)
- サラセニア(北米産のピッチャープラント)
- フトイ ゼブラヌス(シマイネ)
- Scrophularia auriculata ゴマノハグサ属Variegata (ウォーターフィグワート)
- トロリウス(Trollius)×カルトルム(フキノトウ)
- タヌキモ属(ブラダーウォート)
日本には箱根湿生花園、名古屋市東谷山フルーツパーク湿地園、東山動植物園湿地園などがある。
脚注
- ^ Merriam-Webster, wetland.
- ^ Roger Lincoln, Geoff Boxshall and Paul Clark (1998). A dictionary of ecology, evolution and systematics, 2nd ed, Cambridge University Press, p.317.
- ^ 国土地理院地理調査部環境地理課 「調査報告書(国土地理院技術資料D1-No.419) 参考資料2:湿原・湿地の定義に関する参考資料」2004年3月
- ^ 外務省ホームページラムサール条約の日本語訳
- ^ 日本の重要湿地500[1]
- ^ “ニジェール共和国 地下水モニタリング・ネットワークシステム建設計画及びギダン・マガジダリハビリ計画 プロジェクト ファインディング調査 報告書” (pdf). (公式ウェブサイト). 社団法人 海外農業開発コンサルタンツ協会[2] (1992年7月). 2012年10月12日閲覧。
- ^ “自然災害と地名のつながり”. 早稲田ウィークリー. 早稲田大学. 2020年5月8日閲覧。
- ^ “地名は水害の履歴書”. www.mlit.go.jp. 国土交通省. 2020年5月8日閲覧。
- ^ 第5回 ボグガーデン | ベストガーデンプラン集 - コメリ
- ^ Robinson, Peter (1999). 池と水辺 (RHS practical guides). United Kingdom: Dorling Kindersley. pp. 80. ISBN 0751347124
- ^ a b Collins complete garden manual. United Kingdom: HarperCollins. (1998). pp. 290. ISBN 0004140109
- ^ HarperCollins|publisher=HarperCollins|page=230
湿地と同じ種類の言葉
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