渥美半島
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産業
渥美半島は、沖合に流れる暖流(黒潮)の影響で冬でも温暖な気候に恵まれ、平均気温が高く、日照時間・快晴日数は全国トップクラスと、農業に適した地理条件を持つ。特に豊川用水が完成してからは、農業が大きく発展し、日本有数の花と野菜の産地となった。[67]工業においては、1967年(昭和42年)からの臨海工業地帯の造成および企業誘致により、トヨタ自動車田原工場をはじめとする多数の企業が進出した。2011年(平成23年)現在、全国一の製造業出荷額を誇る愛知県において、田原市は県内4位の出荷額を占める。さらに、三方を海に囲まれていることから、アサリやのり、鮮魚などの漁業も盛んである。[9]2005年(平成17年)の統計によると、田原市の第一次産業従業者の割合は33.3%で全国最高であり、完全失業率は全国最低の2.39%となっている。[9]
田原市の農業
1968年(昭和43年)の豊川用水の全面通水以降、田原市では農業生産が大規模化し、全国有数の先進農業地帯となっている。特に電照菊を中心とした施設園芸は全国的に有名であり、花きの産出額は354億円と、全産出額の半分近くを占める。さらに、2006年(平成18年)の田原市の農業産出額は724億4千万円で、これも全国1位となっている。[68]農家一戸あたりの生産農業所得は580万円で、愛知県内1位である。[9]なお、農業産出額や生産農業所得に関する市町村別のデータは、調査方法等の変更により、「平成18年生産農業所得総計」を最後に公表されていない。[69]
日本一の農業産出額を誇る田原市において、1995年(平成7年)に芦ヶ池のほとりに開設された農業体験型公園。[70]正式名称は「田原市芦ヶ池農業公園」であり、公募により決定されたサンテパルクの愛称は、フランス語で健康(サンテ)・公園(パルク)を意味する。三河湾地域リゾート整備構想の重点整備地区にあって、魅力ある農業・農村を創造するための拠点として計画された。その具体的な目的は、
- 都市と農村の交流の場を作る
- 地域農業者の技術・情報・研修の場を作る
- 新たな地域産業・地域農畜産品を振興する
- 安らぎのある健康的な農村環境をつくる
ことである。[71]公園内には、農林漁業体験実習館をはじめ、ウィンナー・アイスクリームなどの手作り体験ができる体験工房、地元の農畜産物の直売所、野菜をかたどった遊具が並ぶ野菜の遊園地、小動物園、田原市で採れた野菜を使ったレストランなども整備されている。[72]
渥美半島の観光と産業の情報サービスステーションとして1992年(平成4年)にオープンした道の駅。「めっくんはうす」とは、花の芽・野菜の芽・文化の芽・産業の芽など、発展し成長する元気な「芽」を象徴するキャラクター「めっくん」が、これらの芽を発展させる「家(ハウス)」としてこの名がついた。渥美半島の観光情報拠点として、フェリーの運航状況やメロン狩り、イチゴ狩りといった観光情報を提供する案内所や、田原の観光・文化を大型マルチスクリーンで紹介するマルチビジョンが設置されている。また、渥美半島の特産品・土産物の販売コーナーでは、高級マスクメロンに加え、地元で採れた野菜を値打ち価格で販売している。地元の食材を使ったレストランもある。[73]
愛知県および近隣のリゾート圏における海陸交通の拠点として1970年(昭和45年)に完成した。渥美半島の先端にあり、三重の鳥羽市や知多半島などと伊良湖岬を結ぶフェリーの発着場としても機能している。建設当時は2階建てで、1階には待合所や出改札所、食堂などがあり、2階はこの地方の自然や文化に関する資料が展示され、伊良湖自然科学博物館となっていた。1994年(平成6年)の全面改装の際に道の駅認定を受け、現在3階建ての施設内にはメロンや野菜、海鮮などの直売所のほか、名物料理の大アサリや伊良湖ラーメンなどが味わえる食事処もある。[73]
全国有数のサーフィンスポットでもある赤羽根海岸の前に立つ道の駅。2009年(平成21年)3月にオープンした。[9]展望デッキからは太平洋を一望できるほか、道の駅内にプロサーファーが経営するサーフショップなどがある。毎日開催される「ふれあいマーケット」では、地元農家が作った野菜や花を安価で販売しており、レストランでは海を見ながらの食事も楽しむことができる。[74]
風力発電風車群
年間を通じて半島特有の強い風が吹く田原市は、風力発電施設を設置するのに適した地域であり、「たはらエコ・ガーデンシティ構想」の一環としても、風力発電の利用が推進されている。2002年(平成14年)から稼働している蔵王山展望台の風力発電設備は、年間平均風速8.3m/秒、年間設備利用率35%と、国内トップクラスの運転を続けている。さらに、2005年(平成17年)に民間企業により設置された田原臨海風力発電所では、2,000キロワット級の風力発電機11基が三河湾に面して並び、湾岸部としては国内最大級のウィンドファームを形成している。[75]
豊川下流域の丘陵台地と渥美半島、静岡県湖西地方の一部に農業用水を供給するとともに、豊橋市をはじめ東三河地域の諸都市に水道用水と工業用水を供給するために建設された総合利水施設。乏水性の洪積地帯が広く展開する東三河地域は、気候条件・農業立地条件に恵まれながら、用水不足のためしばしば干害に苦しみ、また未利用のまま放置されてきた場所も多かった。[76]1921年(大正10年)、現在の田原市高松町出身の近藤寿市郎によって用水建設が提案された。豊川用水は、1949年(昭和24年)、宇連ダムをつくる工事から始まり、19年の月日を経て1968年(昭和43年)に完成した。総工費488億円。以後この地方の農業は大きく発展し、東三河は日本を代表する農業地帯となった。[77]
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