海江田万里
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/25 03:45 UTC 版)
海江田 万里 かいえだ ばんり | |
---|---|
内閣広報室より公表された肖像 | |
生年月日 | 1949年2月26日(74歳) |
出生地 | 日本 東京都杉並区 |
出身校 | 慶應義塾大学法学部政治学科卒業 |
前職 |
野末陳平参議院議員秘書 経済評論家 |
所属政党 |
(税金党→) (日本新党→) (市民リーグ→) (旧民主党→) (民主党(鳩山G→)→) (民進党→) (旧立憲民主党→) 立憲民主党(近藤G) |
称号 | 法学士(慶應義塾大学・1972年) |
配偶者 | あり |
サイン | |
公式サイト | 海江田万里 OFFICIAL SITE 立憲民主党 東京1区総支部長 |
第68代 衆議院副議長 | |
在任期間 | 2021年11月10日 - 現職 |
衆議院議長 |
細田博之 額賀福志郎 |
内閣 | 菅直人第2次改造内閣 |
在任期間 | 2011年4月11日[1] - 2011年9月2日[1] |
第14代 経済産業大臣 | |
内閣 | 菅直人第2次改造内閣 |
在任期間 | 2011年1月14日[1] - 2011年9月2日[1] |
内閣 | 菅直人第1次改造内閣 |
在任期間 | 2010年9月17日 - 2011年1月14日 |
選挙区 |
(旧東京1区→) (比例東京ブロック→) (東京1区→) (比例東京ブロック→) (東京1区→) 比例東京ブロック |
当選回数 | 8回 |
在任期間 |
1993年7月19日 - 2005年8月8日 2009年8月30日 - 2014年11月21日 2017年10月23日 - 現職 |
その他の職歴 | |
初代 旧立憲民主党税制調査会長 代表:枝野幸男 (2018年 - 2020年) | |
第10代 民主党代表 (2012年12月25日 - 2014年12月15日) | |
第5代 民主党政策調査会長 代表:鳩山由紀夫 (2002年10月1日 - 2002年12月13日) | |
初代 市民リーグ代表 (1995年12月22日 - 1996年9月28日) |
原子力経済被害担当大臣(菅直人第2次改造内閣)、経済産業大臣(第14代)、内閣府特命担当大臣(経済財政政策、科学技術政策)、宇宙開発担当大臣(菅第1次改造内閣)、衆議院決算行政監視委員長、同経済産業委員長、同財務金融委員長、旧立憲民主党税制調査会長(初代)、民主党代表(第10代)、民主党政策調査会長(第5代)、市民リーグ代表などを歴任[2]。
経歴
生い立ち
父親の四郎は毎日新聞の記者であり、安倍晋太郎の上司であった。中華人民共和国や台湾にいたことがあり、万里の名前は万里の長城に因むことから、海江田は「中国とのかかわりは、生まれた時から」と語る[3]。また四郎は鹿児島県出身で、大学を卒業するまでの本籍は鹿児島県日置郡金峰町(現、南さつま市)だったことから、海江田は「鹿児島は私の故郷」という[4]。母親はカトリック信者[5]。
東京都立鷺宮高等学校、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。大学では現代東南アジア論を担当していた松本三郎に師事した。
経済評論家として
慶應大卒業後、タレント政治家であった野末陳平の秘書を経て、自身もタレント、経済評論家として独立。テレビ、ラジオ、雑誌などで税金や経済情勢の解説者として幅広く活躍した。『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』(フジテレビ)にも「海江田総理(当時の海部総理のパロディ)」として出演したことがある。バブル経済で財テクブームが到来すると一般向けの財テク指南書を多く出版したが、この中で安愚楽牧場の投資商品を推奨していたことが後に問題視される。また、1989年4月から1991年3月まで『TXNニュース THIS EVENING』(テレビ東京)の土曜メインキャスターを務めたほか、同年10月から1993年3月までは『海江田万里のパワフルサタデー』(朝日放送テレビ)という冠番組もあった。
政界へ
1986年、第14回参議院議員通常選挙に税金党公認で東京都選挙区から出馬し、落選した。
1993年、第40回衆議院議員総選挙に日本新党公認で旧東京1区から出馬し、初当選した。1994年9月に日本新党を離党。民主新党クラブを経て、1995年に山花貞夫ら日本社会党を離党したグループを糾合して市民リーグを結成し、代表委員(党首)に就任。翌1996年、村山富市の首相辞任に伴う首班指名選挙では、市民リーグ所属衆議院議員5名が海江田に投票。その後、新党さきがけを離党した菅直人や鳩山由紀夫らの主導による旧民主党結党に市民リーグとして合流する。1996年の第41回衆議院議員総選挙では東京1区から出馬し、自由民主党の与謝野馨に敗れたが、比例東京ブロックで復活当選した。
1997年10月、金正日の朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長推戴を記念する祝賀宴に参加した[6]。
1999年、国旗及び国歌に関する法律案の衆院本会議における採決で反対票を投じた。2000年の第42回衆議院議員総選挙では東京1区から民主党公認で出馬し、与謝野を破り当選した。同年、民主党東京都連会長に就任。同年12月には在日本朝鮮人総連合会の招請による民主党の訪朝団に参加し、北朝鮮を訪問した[7]。
2002年には党政策調査会長に就任した。2003年、第43回衆議院議員総選挙では再度与謝野を破り当選した(与謝野も比例復活)。
2005年の第44回衆議院議員総選挙に東京1区から民主党公認で出馬したが、与謝野に敗れ、比例復活もできずに落選した。
2009年8月の第45回衆議院議員総選挙では東京1区から民主党公認で出馬し、与謝野を破り4年ぶりに当選した(与謝野も比例復活)。総選挙後、民主党選挙対策委員長代理に就任した。
2010年9月民主党代表選挙に一旦は出馬する意向を表明し、小沢一郎にも出馬の意向を伝えた。しかし、当の小沢が出馬の意向を示したため自身の出馬表明を撤回、代表選挙での小沢への投票を明言した。小沢は菅直人に敗れた。同年9月に発足した菅第1次改造内閣では内閣府特命担当大臣(経済財政政策、科学技術政策)に就任し、初入閣した。また、国務大臣として宇宙開発担当[注 1]の補職を受けた。
2011年1月、菅第2次改造内閣では、経済産業大臣に横滑りした。この内閣改造では小選挙区のライバルである与謝野馨も、それまでの海江田の役職であった内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)の後任として入閣した。与謝野の入閣に関し、海江田は「人生というものは不条理だ」と感想を述べた。4月11日、国務大臣として原子力経済被害担当[注 2]の補職を受けた。
6月、経済産業大臣(当時)の海江田は東京電力が求めていた福島第一原子力発電所事故の汚染水流出を防ぐ遮水壁設置の先送りについて、「中長期的課題」とすることを条件に容認した[8]。
7月7日、原子力損害賠償支援機構法案の成立をめどに辞任する意向を表明し[9]、8月12日には菅内閣が総辞職する前に辞任する意向を示した[10]。8月19日、2011年民主党代表選挙に立候補する意向を固め、小沢一郎に支援を要請。会見では小沢の党員資格停止処分の見直しを示唆した[11]。23日、内閣総辞職前の辞任を撤回[12]。8月26日、内閣総理大臣の菅直人に辞表を提出するが受理されず[13]。同日、民主党代表選への出馬を正式表明[14]。28日の討論会などでは、民主党のマニフェスト見直しに関する自民・公明両党との三党合意について「継続するかどうかは新執行部で決めるのがいい」と述べ、白紙で臨む考えを示した[15]。
29日の民主党代表選挙では1回目の投票で最多の143票を獲得。野田佳彦との決選投票では177票を獲得したが、215票の野田に及ばなかった。この要因として、選挙戦で鹿野道彦陣営から山田正彦を引き抜き反発を招いたことや、TPPを推進する姿勢がぶれたことが挙げられている[16]。なお翌日の衆議院本会議における内閣総理大臣指名選挙では、小沢を慕う松木謙公より一票を投じられている[17]。2011年9月、野田内閣の発足に伴い経済産業大臣を退任し、衆議院財務金融委員長に就任。
2012年12月16日の第46回衆議院議員総選挙では東京1区から民主党公認で出馬し、自民党新人で当時38歳の山田美樹に敗れたが、比例復活で6選。 12月22日、総選挙の結果を受けて民主党代表を辞任した野田の後任を決める民主党代表選挙に立候補を表明した[18][19]。出馬に際して、「あえて火中の栗を拾う(覚悟で今度の代表選に臨む決意をした)。(民主党の創立者の1人として)党を立て直す責任がある」と心境を明かした。12月25日の代表選挙で90票を獲得し、馬淵澄夫を下して民主党代表に選出された[20]。なお民主党初の比例代表により当選した代表である。
2013年8月16日、新華社日本語経済ニュースにより、海江田が中国共産党機関紙・人民日報系の国際情報紙・環球時報の取材の中で『「(安倍晋三が)戦後秩序を戦前に戻そうとしている」「歴史認識問題で、安倍首相は戦後の国際秩序を再び戦前に戻そうとしている。だが、そんなことはアジア各国のみならず国際社会全体が賛同しない」』と述べた事が報道され[21]、また同記事の中で環球時報が海江田を『日本で「親中派」と呼ばれる海江田代表』と評している事が報道された[21]。
2014年12月14日の第47回衆議院議員総選挙は代表となってから初めての総選挙であり、自らも東京1区から出馬した。民主党は改選前から11議席増やして73議席としたが、自身は前回と同じく山田美樹に敗れ、さらに比例東京ブロックでも復活当選できず落選となった。野党第1党党首が落選するのは、1949年1月の第24回衆議院議員総選挙で日本社会党委員長であった片山哲(第46代内閣総理大臣)が落選して以来、65年ぶりのことである[22]。この結果を受け、総選挙の翌日の12月15日に記者会見を開き、民主党代表を辞任することを表明した[23][注 3]。
2015年1月15日、民主党代表を辞任。同年12月9日、辻元清美の政治資金パーティー「政治活動20年へ、感謝と飛躍の集い in 東京」に参加[24]。
2016年3月27日、民進党が設立。同党に所属する[25]。
立憲民主党
2017年9月28日、民進党は希望の党への合流を決定[26]。9月29日、希望の党代表の小池百合子は「リベラル派排除」を宣言。記者団に「全員を受け入れるということはさらさらありません」と語る姿、記者会見でにこやかに「排除されない、ということはございませんで、排除いたします」と答える姿が何度もテレビに流れた[27][28]。
同年9月30日未明、共同通信が「枝野幸男が無所属で出馬する方向で検討に入った。考え方の近い前議員らとの新党結成も視野に入れている」と報道[29]。同日中に民進党の前職、元職計15人の「排除リスト」が出回る。海江田の名もその中に挙がった[注 4]。
同年10月2日夕方、枝野は新党「立憲民主党」を結党すると表明した[32][33]。同日、海江田は新党へ参加する意思を表明[34]。立憲民主党が設立された10月3日、希望の党は衆院選の第1次公認192人を発表。同党が東京1区に弁護士の松沢香を擁立したことが明らかとなった[35][36]。10月4日、立憲民主党に加わった長妻昭らは国会内で記者会見し、衆院選の東京都の小選挙区に海江田など16人を擁立する方針を明らかにした[37]。同日、日本共産党東京都委員会は立憲民主党や社民党と共闘するため、東京1、5、6、7、18、21区について新人候補の擁立を取りやめると発表した[38]。
同年10月22日の第48回衆議院議員総選挙に立憲民主党公認で東京1区から立候補し[39]、自民党の山田美樹に3021票差で勝利し、国政に返り咲いた[40]。11月1日、立憲民主党より赤松広隆が衆議院副議長に就任することに伴い、赤松が務めていた最高顧問の役職に就いた[41]。
2018年、党の税制調査会長並びに財務金融部門会議の初代部会長に就任[42]。 11月、衆議院決算行政監視委員長に就任した(党税調会長併任)。
2020年9月15日、旧立憲民主党と旧国民民主党は、2つの無所属グループを加えた形で新「立憲民主党」を結成[43]。海江田も新党に参加し、常任顧問となった。
2021年10月31日、第49回衆議院議員総選挙で再び山田に敗れるも比例復活により8選[44][45][46]。11月10日、衆議院副議長に選出[47]。
政策・主張
憲法
- 憲法改正について、2017年のアンケートで「どちらかと言えば反対」と回答[49]。2021年のアンケートで「反対」と回答[50]。
- 9条改憲について、2021年の毎日新聞社のアンケートで「反対」と回答[51]。
- 憲法を改正し緊急事態条項を設けることについて、2021年の毎日新聞社のアンケートで「反対」と回答[51]。
外交・安全保障
- 安全保障関連法の成立について、2017年のアンケートで「評価しない」と回答[49]。
- 「他国からの攻撃が予想される場合には敵基地攻撃もためらうべきではない」との問題提起に対し、2021年のアンケートで「どちらかと言えば反対」と回答[50]。
- 「北朝鮮に対しては対話よりも圧力を優先すべきだ」との問題提起に対し、2017年のアンケートで「反対」と回答[49]。2021年のアンケートで「どちらかと言えば反対」と回答[50]。
- 普天間基地の辺野古移設について、2021年のアンケートで「反対」と回答[50]。
- 徴用工訴訟などの歴史問題をめぐる日韓の関係悪化についてどう考えるかとの問いに対し、2021年の毎日新聞社のアンケートで回答しなかった[51]。
ジェンダー
- 選択的夫婦別姓制度の導入について、2017年、2021年のアンケートで「賛成」と回答[49][50]。
- 同性婚を可能とする法改正について、2017年で「どちらとも言えない」と回答[49]。2021年のアンケートで「どちらかと言えば賛成」と回答[50]。
- 「LGBTなど性的少数者をめぐる理解増進法案を早期に成立させるべきか」との問題提起に対し、2021年のアンケートで「賛成」と回答[50]。
- クオータ制の導入について、2021年の毎日新聞社のアンケートで「賛成」と回答[51]。
その他
- アベノミクスについて、2017年のアンケートで「どちらかと言えば評価しない」と回答[49]。
- 安倍内閣による森友学園問題・加計学園問題への対応について、2017年のアンケートで「評価しない」と回答[49]。
- 森友学園への国有地売却をめぐる公文書改竄問題で、2021年5月6日、国は「赤木ファイル」の存在を初めて認めた[52]。しかし5月13日、菅義偉首相はファイルの存在を踏まえた再調査を行わない考えを報道各社に書面で示した[53]。9月の自民党総裁選挙で総裁に選出された岸田文雄も10月11日、衆議院本会議の代表質問で再調査の実施を否定した[54]。国の対応をどう考えるかとの問いに対し、同年の毎日新聞社のアンケートで「さらに調査や説明をすべきだ」と回答[51]。
- 「治安を守るためにプライバシーや個人の権利が制約されるのは当然だ」との問題提起に対し、2017年のアンケートで「反対」と回答[49]。
- 「原子力発電所は日本に必要だと思うか」との問いに対し、2021年の毎日新聞社のアンケートで「必要ない」と回答[51]。
注釈
- ^ 「宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため企画立案及び行政各部の所管する事務の調整」を担当。
- ^ 「福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故による経済被害への対応を政府一体となって円滑に推進するため企画立案及び行政各部の所管する事務の調整」を担当。
- ^ 片山以前には日本国憲法下の例は無く、大日本帝国憲法下の1936年第19回衆議院議員総選挙で落選した、立憲政友会の鈴木喜三郎総裁までさかのぼる。
- ^ 2017年9月30日に出回った「排除リスト」15人の内訳は以下のとおり。前職は安住淳(宮城5区)、枝野幸男(埼玉5区)、野田佳彦(千葉4区)、長妻昭(東京7区)、初鹿明博(東京16区)、菅直人(東京18区)、阿部知子(神奈川12区)、篠原孝(長野1区)、近藤昭一(愛知3区)、赤松広隆(愛知5区)、岡田克也(三重3区)、辻元清美(大阪10区)。元職は海江田万里(東京1区)、手塚仁雄(東京5区)、櫛渕万里(東京23区、報道時)[30][31]。
- ^ しかし、基本的に消防の所管官庁は総務省消防庁のため、主任の大臣は総務大臣の片山善博であり、経済産業大臣は所管外のため、その命令に従う必要はない。また東京消防庁の消防官は東京都に所属する地方公務員であるため、国に直接処分する権限はない。
出典
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- ^ a b 風知草:首相インタビュー余話=山田孝男毎日新聞 2013年01月28日
- ^ 日本 中国 ティーンエイジ アンバサダー10周年記念事業 日中小大使10周年同窓会 &2018 日本 中国 ティーンエイジ アンバサダー 実施報告書
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