流罪 人以外の流罪

流罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/13 09:37 UTC 版)

人以外の流罪

  • 翁丸(おきなまろ) - 平安時代(長保2年、西暦1000年)の宮廷で飼われていた犬。一条天皇の飼い猫命婦の御許を驚かせたため、犬の流刑地犬島へ送られる(『枕草子』)。
  • 五条天神 - 室町時代1421年、疫病流行を抑えるため(『看聞御記』)[34]
  • カラス - カラスが徳川綱吉の頭にフンを落したため(生類憐れみの令)。
  • ゾウ - 1413年、李氏朝鮮で何度も人間を殺したことから、順天府獐島へ流罪となった(詳細は、亜烈進卿#朝鮮最初の象[35][36]
  • ウグリチの鐘 - 教会の鐘だが、暴動を扇動したとされ、舌と耳が切り裂かれ、鞭打ちのあとにシベリアに送られた[37]

その他

  • 会社組織において地方、特に重要ではない部署に異動させられることを左遷というが、その中で特に重要性の低い部署や遠方の支店等へ異動あるいは下請け会社に出向させられた場合を「島流し」と喩えることがある。
  • インターネットの世界において、モバゲーではアカウントの一時停止処分を受けた人のことを「島流し」と呼ぶことがある。
  • 日本において、飛行機旅行の愛好家の間では、離島から帰着する際に搭乗予定の航空機が天候等の理由で到着せず欠航となり、引き続きの滞在を余儀なくされることを「島流し」と呼ぶことがある。 また、航空機が遅延により大阪国際空港の運用時間を過ぎた際に、着陸機が近隣の関西国際空港へとダイバートする事も「島流し」と呼ぶことがある。
  • 山形県飛島では、かつて「地方流し」(じかたながし)と呼ばれる島流しとは逆に、本州に流す風習があった[38]

脚注


注釈

  1. ^ この刑を導入することを主張した源賀がその根拠として用いたのが『尚書』舜典であり、儒教思想的な要素が加えられることで徒遷刑の性格を大きく変えるとともに引き続き正刑である流刑の根拠としても用いられ、更に「流刑(流罪)」の名称の由来になったとも考えられている[17]
  2. ^ 類似の措置として加害者を強制的に移住させて被害者や告発者およびその家族と接触させない「移郷」と呼ばれる措置があることから流刑の距離も居住地からの距離とする説が通説とされている。一方で、恩赦として都に近い場所に移す措置が行われる場合があり、(居住地と都が三千里以上離れているケースなど)居住地によってはさらに遠方に送られる可能性を指摘してあくまでも皇帝のいる都から遠隔地への放逐が流刑の目的であり、距離の基準は都であるとする異説もある。なお、この議論は畿内を基準とした日本の流罪の距離が中国と異なる仕組を導入したのか、中国の仕組を日本に当てはめたものかという問題にもつながることになる[18]
  3. ^ 始め保元の乱に連座して土佐へ流され、帰京後太政大臣に登ったが、治承三年の政変によって再度尾張へ流された。
  4. ^ 始め長徳の変で出雲へ流されたが、のち優詔によって但馬に留め置かれた。

出典

  1. ^ 石井良助. "流刑". 百科事典マイペディア. コトバンクより2023年8月19日閲覧
  2. ^ 『人物日本の歴史5』105頁。
  3. ^ 小石 2005, pp. 7, 12–13.
  4. ^ a b "流罪". 百科事典マイペディア. コトバンクより2023年8月19日閲覧
  5. ^ 小石 2005, pp. 14–15.
  6. ^ 渡邉俊 2016, p. 40-41.
  7. ^ 渡邉俊 2016, p. 45-48.
  8. ^ a b 渡邉俊 2016, p. 38.
  9. ^ 清水克行『喧嘩両成敗の誕生』P.94
  10. ^ 清水克行『喧嘩両成敗の誕生』P.97-98
  11. ^ 清水克行「室町幕府「流罪」考」『室町社会の騒擾と秩序』(吉川弘文館、2004年) ISBN 978-4-64202-834-9
  12. ^ a b c 山本清司「関東幕領に於ける遠島刑」『法政史学』第14巻、法政大学史学会、1961年10月、92-130頁。 
  13. ^ a b 小石 2005, p. 39.
  14. ^ 小石 2005, p. 105.
  15. ^ 手塚豐 1954, p. 1-2.
  16. ^ 手塚豐 1954, p. 19、21.
  17. ^ 辻 2010, pp. 26–31.
  18. ^ 辻 2010, pp. 78–88, 97.
  19. ^ a b Archives, The National. “The National Archives - Homepage” (英語). The National Archives. イギリス国立公文書館. 2022年10月4日閲覧。
  20. ^ 実業之日本社『ブルーガイドわがまま歩き16 オーストラリア』2016年、33頁
  21. ^ 実業之日本社『ブルーガイドわがまま歩き16 オーストラリア』2016年、70頁
  22. ^ 幕末・牟岐沖漂着の異国船 英囚人強奪の海賊船か”. 徳島新聞 (2017年6月1日). 2019年10月3日閲覧。
  23. ^ 実業之日本社『ブルーガイドわがまま歩き16 オーストラリア』2016年、160頁
  24. ^ 囚人、流刑囚 オーストラリア辞典 - 大阪大学大学院 西洋史学研究室”. www.let.osaka-u.ac.jp. 2022年9月12日閲覧。
  25. ^ Convicts and the British colonies in Australia”. オーストラリア政府. 2016年1月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月8日閲覧。
  26. ^ a b c Chronologie relative à la déportation, transportation et relégation française”. archive.wikiwix.com. 2022年10月4日閲覧。
  27. ^ a b c d e イヴ・ジャンクロ、小梁吉章「フランス刑法の200年」『広島法学』第36巻第3号、広島大学法学会、2013年1月18日、92-130頁。 
  28. ^ 遠藤 誠. “パナマの法制度の概要”. BLJ法律事務所. 2023年4月12日閲覧。
  29. ^ 市川本太郎 「日本律令の刑罰と中国思想」『国士舘大学文学部人文学会紀要』8巻 国士舘大学文学部人文学会、1976年1月、115頁。
  30. ^ 小山松吉 「我國に於ける流刑に就て」 『早稲田法学』10巻 早稲田大学法学会、1930年3月、4頁。
  31. ^ 県指定有形民俗文化財 流刑小屋こきりこの里・上梨
  32. ^ 籠の渡し五箇山 合掌の里
  33. ^ フランツ・シュミット 『ある首切り役人の日記』 藤代幸一訳 白水社 2003年 ISBN 4560073643 p.96.
  34. ^ 都市空間の変遷に関する歴史的考察”. 京都大学 (1994年3月23日). doi:10.11501/3094410. 2022年9月28日閲覧。
  35. ^ サクラ : 日本から韓国へ渡ったゾウたちの物語 著者:キムファン 出版社:学研教育出版 出版年:2007 ISBN:4052025261、9784052025266
  36. ^ 朝鮮王朝実録
  37. ^ ゲオルギー・マナエフ (5月 10, 2021). “人間扱いされたロシアの鐘:投獄、処刑されることも”. Russia Beyond 日本語版. 2023年7月8日閲覧。
  38. ^ レファレンス事例詳細(Detail of reference example)






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