活字 概説

活字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/24 03:31 UTC 版)

概説

活版印刷を行うための凸型の字型のことであり、金属などの直方体(四角柱)のひとつの面に文字の形(字形)を左右反対に浮き彫りにしたもの。浮き彫りされた文字にインクがのせられ、紙に圧力をかけて押しつけられることで、文字が紙に印刷される。

種類

古くは製であったが、後に金属製が主流になった。木製の活字の場合は彫刻刀で彫って作られる。金属製の場合は、彫る方法と鋳造する方法の2通りがあるが、鋳造では一度母型を作ると大量に複製が作れ利便性が高いため、ほとんどが鋳造である。近・現代の金属製のものは、一般に、を主成分にスズアンチモンを加えた3元合金鋳造してつくる[2]。一般には鉛73~87%、スズ1~7%、アンチモン12~20%の三元合金が選ばれているが、この割合が選ばれるのは、低融点で、溶融した際の流動性・鋳造後の型離れがよく、活字の鋳造がしやすいからである[3]。→#種類

歴史

活字は古いものではの慶暦年間 (1041年~48年) に畢昇 (ひっしょう) が膠泥を利用してつくったものに遡ることができると言われており[2]、現存する最古の活字による印刷物として北宋崇寧年間(1102年-1106年)の「観無量寿経」がある。ヨーロッパではドイツのヨハネス・グーテンベルクによって鉛合金を用いた金属活字が1445年頃にマインツで実用化され、これが近・現代の活字の基礎となっている[2]。→#歴史

活字の大きさ

活字の「文字の大きさ」は、欧米では「point ポイント」という単位で示す。省略形は「pt」で表記する。たとえば「16pt(16ポイント)」「20pt(20ポイント)」などと言う。0.3514mmを1ポイントとする[4]。一般の書籍の印刷物では、最小は4ポイント、最大は36ポイントが用いられる[4]。 日本では古くから「号数」で大きさを表す方式があったが、日本でも欧米同様に「ポイント」で示す方式にほぼ統一されてきている[4]

横幅

欧米の活字の文字面の横幅は、文字の種類、一文字ごとに異なる。例えば「a」と「i」では文字の横幅が異なり、活字の横幅も文字ごとに異なる。それに対して、日本語の活字の場合は、基本的に、全て正方形の文字面を持っていて、同一ポイント数ならば横幅も同じである。

高さ

金属活字の「高さ」、つまり柱状体(直方体)の「長さ」は、基本的に規格によって統一されている。それによって、さまざまな文字の活字を組み合わせた時に、印刷面がすっきりと揃うようになっている。もしも活字の「高さ」が不ぞろいであると、組版した版面に凹凸が生じ、紙に押しつけられる圧にばらつきが生じ、印刷にムラが生じてしまう。ただし、日本ではJIS日本工業規格)では23.45ミリメートルと定めていたのにもかかわらず、実際には各社で異なっていて、高さが23.32mmのものもあれば、23.45mmのものもあった[3]。→#活字の大きさ

複数文字がひとつになった活字
2文字がまとめて浮き彫りになった活字もある。写真はアルファベット「 f 」と「 t 」の2文字が組み合わさり独特の形になって浮き彫りになった ひとつの活字。

基本的にはひとつの活字には一文字が浮き彫りにされているが、アルファベット(欧文)などでは2文字が組み合わさって独特の形に変形する場合もあるので2文字がまとめて浮き彫りになっている活字もある。

使用法
棚の中に、多種類の活字が整然と並べられている様子。組版職人が原稿を見つつ、この棚から活字を拾ってゆく。
組版職人が、原稿の文章を一文字一文字確認して、棚(や箱の中)から金属活字を一文字一文字ひろいあつめ、一旦 手元の容器に並べる。

活字を実際に活版印刷で使用する場合は、通常、印刷所の中に組版(くみはん)作業を行う場所があり、そこに活字が多種類、整然と並べられた棚があり、組版職人は、まず原稿に書かれている文章(=テキスト)を見て、手作業で、活字を一文字一文字 活字の棚から見つけて 拾うようにして手元の容器に集め、それを木製の枠などの中に並べてゆき、並べ終ったら楔(くさび)状の器具を挟んで活字群をしっかりと固定するという作業を行う。活字が多数 組まれたものを「活版」という。活字が多数集まった状態のものにインクをのせて、紙などに圧をかけて押しつけることで 文章が紙に印刷される(つまり、活版印刷が行われる)。

使用が減った経緯

活字は20世紀後半まで非常にさかんに用いられていて、書籍の本文(文章)の印刷と言えばほとんど全てが活字を用いた印刷だったが、その後、写植写真植字機(に 主にオフセット印刷を組み合わせる方法)が登場したことで小規模な印刷所以外では使用が大きく減った。さらに、1980年代後半~1990年台にはDTPソフトウェアとレーザープリンターが開発されて比較的安価に販売されるようになり、それらを組み合わせてオフセット印刷などで使用する方法が登場すると、それまで活版印刷を続けていた印刷所も移行した結果、活字はほぼ使われなくなった。現在では特殊な用途で細々と使われているにすぎない。


  1. ^ デジタル大辞泉
  2. ^ a b c d 『ブリタニカ国際大百科事典』「活字」
  3. ^ a b 『日本大百科全書』(ニッポニカ)、「活字」
  4. ^ a b c 『マイペディア』「活字」
  5. ^ カーター: 162-164
  6. ^ 漆侠編『遼宋西夏金代通史 四』第四章四
  7. ^ カーター: 166-7。
  8. ^ 天理大学附属天理図書館『分類補註李太白詩文集』
  9. ^ 韓国国立中央博物館『武芸諸譜翻訳続集』
  10. ^ 堀川,2010,pp. 149-158
  11. ^ 清水晴風著『東京名物百人一首』明治40年8月「東京築地活版製造所」国立国会図書館蔵書、2018年2月10日閲覧
  12. ^ スバルにおける 「椋鳥通信」 - 山口徹、早稲田大学教育学部学術研究第53号、2005年






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