泡 生物と泡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 16:12 UTC 版)

生物と泡

体液を利用して泡を作り、これを活用している生物に、アサガオガイやアワフキムシがある。卵を守るために泡で巣を作る例もある。ベタなどは水面に浮かぶ泡の層に卵を含ませ、モリアオガエルは樹上に体液をかき混ぜて作った泡の塊を作り、その内部に産卵する。

渓流においては、壺などに見られる細かい泡の堆積地で泡を採集し、顕微鏡下で観察すると、ここに水中の微小な顆粒が捕らえられており、特に水生不完全菌胞子が多量に見られることが知られている。専門の研究者はよくこれを採集の試料として用い、ここから胞子を拾い出して培養することを試みる。

産業等への応用

発泡した液体は通常より流れ去りにくく、泡自体が汚れを浮かせる働きもある。このため日用品の各種洗剤・洗浄剤やそり用シェーヴィングフォームなどに泡入り製品があるほか、泡入りの水も普通の水より洗浄効果が高いため、機械洗浄や工場排水処理といった工業用途にも使われる[5]

泡の大きさを細かくすることで、実用での使い道はさらに広がる。従来はマイクロバブルナノバブルと呼称されてきた。2017年6月、国際標準化機構(ISO)は、直径100未満の泡を「ファインバブル」と総称し、1㎛以上を「マイクロバブル」、それ未満を「ウルトラファインバブル」に分ける規格を決めた。「ウルトラファインバブル」はブラウン運動により、保存方法によっては数年間、泡が浮上せず液体中にとどまることもある。

用途としては前述のような洗浄のほか、水揚げした窒素の泡入り水に入れて鮮度を保持したり、酸素の泡入り水で農作物の食味を良くしたり取り組みが日本では実際に行われている。関連する企業・団体による一般社団法人ファインバブル産業会が設立されている[6]。ファインバブル産業会の推計によれば、ファインバブルの日本国内市場規模は2010年時点で200億円[5]

このほか一般社団法人 日本マイクロ・ナノバブル学会も活動している[7]。同学会代表理事の大平猛によると、ナノバブルが植物の生育を促す理由は、泡の帯電性が葉緑素の増加を助けるためと考えられ、水中の溶存酸素による効果とは異なる。植物の品種により適切な帯電性、帯電率、濃度が異なるため、学会としてマニュアルの作成を進めている[5]

古くからある他の用途としては、泡消火薬剤を使う消火器があるほか、発泡スチロールポリスチレン樹脂を発泡させることにより製造される。

食料品における泡

炭酸飲料
二酸化炭素を溶解させた飲料を炭酸飲料と呼ぶ。二酸化炭素の水に対する溶解度は温度が上がると小さくなるため、容器に注いだり口に含んだりすると、二酸化炭素の気泡がはじけ、独特の清涼感が生まれる。アルコール分を含まないソフトドリンクと、アルコール分を規定以上含むアルコール飲料がある。
ホイップクリーム
牛乳の成分からできたクリーム(生クリーム)の代替品として、植物油を撹拌して気泡を含ませ、クリームに似せたホイップクリームがある。
豆腐
豆乳に凝固剤(にがり)を加え、凝固させて豆腐を製造する際、泡の発生を抑えるための消泡剤が添加されている。

  1. ^ 浅野康一 『物質移動の基礎と応用』 丸善、2004年、137頁。ISBN 4-621-07356-7 
  2. ^ 【動画】アラスカの湖からメタンの泡の悪循環「今は北極の冷蔵庫が開きっぱなし」と研究者ナショナルジオグラフィック日本版サイト(2016年9月5日)2018年5月13日閲覧。
  3. ^ イエローストーン国立公園の「Mudpots」アメリカ合衆国内務省ナショナルパーク・サービス(2018年5月13日閲覧)。
  4. ^ 「マグマの複雑な泡の構造が火山の爆発的噴火を促すことを解明」東北大学(2017年12月4日)2018年5月13日閲覧。
  5. ^ a b c 「マイクロ・ナノバブル水-微細な泡で植物を活性化 農業現場に浸透」『日本農業新聞』2020年1月13日(18面)
  6. ^ 【サイエンスview】小さな泡の大きな力■国際規格「0.1ミリ未満」■鮮度保持や汚れ洗浄『読売新聞』朝刊2018年4月29日(くらしサイエンス面)。
  7. ^ 一般社団法人 日本マイクロ・ナノバブル学会(2020年2月4日閲覧)


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