法人税法 法人税法における重要概念

法人税法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/01 13:41 UTC 版)

法人税法における重要概念

  • 益金(法人税法第22条第2項)
  • 損金(法人税法第22条第3項)
  • 一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(法人税法第22条第4項)

納税義務者

内国法人は、全世界所得に課税される。外国法人は、国内源泉所得のみに課税される。

内国法人

法人税法上の内国法人の分類。次の5つに区分される。

  1. 公共法人
  2. 公益法人等
  3. 人格のない社団等
  4. 協同組合等
  5. 普通法人

外国法人

法人税法上の外国法人の分類。次の4種類に分類している。

  1. 公共法人(納税義務無し)
  2. 公益法人等
  3. 人格のない社団等(法人税法第3条)
  4. 普通法人

計算方法

基本

基本原則は以下の計算式である。これに、特例などを調整する。

法人税額=(益金-損金)×法人税率

別段の定め

益金

法人税法等における益金または損金の別段の定め(税法固有の調整項目)としては、例えば次のようなものがある。

受取配当等の益金不算入(法人税法23条、米:Dividends-received Deduction, DRD)
配当は会社の税引後の利益剰余金から株主が受け取るものである。つまり、支払配当は、利子と異なり、支払法人の損金とはならず課税を受けていることになる。これを受け取った法人において、再度課税すると二重課税が生じるため、会計上は収益となる受取配当等の一定額を益金の額に算入(課税所得からマイナス)しないこととされている。

損金

役員給与の損金不算入(法人税法34条)[1]
役員に対する給与(役員報酬、役員賞与)は、次の例外を除き、損金の額に算入しない。
「定期同額給与」、「事前確定届出給与」、「業績連動給与」。いずれも不相当に高額な部分の金額などを除く。
一定の使用人兼務役員の使用人分給与や役員退職給与は損金として認められる。
役員には「みなし役員」が含まれるが、「使用人兼務役員になれない役員」は使用人兼務役員から除かれる。
寄附金の損金不算入(法人税法37条)
税務上の寄附とは、無償で金銭を交付したり、時価よりも安く資産を譲渡したりすること。
通常、営利企業は利益獲得を目的とすることから、寄附は一般的に経費性が乏しく多分に利益処分的な性質があるとされる。このため寄付は、会計上は費用とされるとしても、税務上は限度額をオーバーする金額は損金の額に算入されない(課税所得にプラスする)。
交際費等の損金不算入(租税特別措置法61条の4)
原則、税務上は会社の接待費を損金の額に算入しない。
戦後高度経済成長期に飲食・遊興を行う社用族が流行ったが、交際費は冗費としてこれを戒める政策目的から制定された。

留保金課税

特定同族会社においては基本の法人税額に追加して、留保金に対しても課税される。詳細は留保金課税を参照。

組織再編税制

組織再編があった場合に一定の要件を満たしたときに、例外として簿価での移転があったものとして、資産の移転に伴う譲渡損益を生じさせないよう調整させる規定。例えば、適格合併、適格分割、適格現物出資、適格現物分配、適格株式交換、適格株式移転などがある。

グループ法人税制

完全支配関係がある内国法人間での譲渡取引、法人による完全支配関係がある内国法人間での寄付金、受贈益など、一定の場合に税務調整が必要となる。

収益事業と非収益事業

法人税法施行令第五条では、以下を収益事業と定めており、一部の公益法人の非収益事業は剰余金配当と残余財産分配(みなし配当)が一切出来ないため、それに伴う税務がある。

公益法人等及び人格のない社団等は、収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければならない(施行令第六条)。




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