気道感染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 05:30 UTC 版)
漢方薬治療
気道感染に対する漢方薬治療による症状緩和について述べる。風邪症候群に関しては体質である虚実と時間経過によって用いる漢方薬が異なる[4]。帝京大学医学部外科准教授の新見正則によると麻黄(エフェドリン)が飲める場合が体質強壮な実証であり、麻黄が飲めない場合が体質虚弱な虚証となる[5]。麻黄は狭心症がある場合は使用できない。動悸の副作用があるため注意が必要である。
- かぜ症候群やインフルエンザの予防
- かぜ症候群やインフルエンザの予防には補中益気湯(ほちゅうえっきとう、ツムラ41番)を1日3包内服する。4週間程度内服は継続してもよい。もし補中益気湯が内服できないようならば小柴胡湯(しょうさいことう、ツムラ9番)を1日3包内服する。
- かぜ症候群のひきはじめの諸症状の緩和
- 発熱がないがかぜ症候群を疑う諸症状がある場合西洋医薬では処方がないが漢方薬治療ではいくつかの処方が知られている。咽頭痛や咽頭の違和感にたいしては麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を1日だけ3包内服する。鼻汁に関しては小青竜湯(しょうせいりゅうとう、ツムラ19番)を1日だけ3包内服する。お腹がゆるくなったといった腹部症状の場合は五苓散(ごれいさん、ツムラ17番)を1日だけ3包内服する。
- かぜ症候群(実証)
- 発熱がありかぜ症候群の急性期で実証ならば麻黄湯(まおうとう、ツムラ27番)を数時間ごとに1包内服する。目安としては1日6包内服し汗が出始めれば柴胡桂枝湯(さいこけいしとう、ツムラ10番)を1日3包で3日間内服する。子供の場合は柴胡桂枝湯に変更しなくともすぐに軽快することが多い。麻黄湯を内服できなさそうな実証ならば葛根湯(かっこんとう、ツムラ1番)を数時間ごとに1包内服する。目安としては1日6包内服し汗が出始めれば柴胡桂枝湯(さいこけいしとう、ツムラ10番)を1日3包で3日間内服する。発症から1日以上く経ったかぜ症候群で実証ならば柴胡桂枝湯を1日3包で3日間内服する。
- かぜ症候群(虚証)
- 麻黄湯や葛根湯が内服できない場合は麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう、ツムラ127番)を1日3包で1日内服する。発症翌日からは麻黄附子細辛湯に桂枝湯(けいしとう、ツムラ45番)を併用してそれぞれ1日3包で3日間継続する。症状が長引いた場合は麻黄附子細辛湯に補中益気湯(ほちゅうえっきとう、ツムラ41番)をそれぞれ1日3包で7日分継続する。全く麻黄を受け付けない虚証や妊娠時のかぜ症候群には香蘇散(こうそさん、ツムラ70番)を1日3包で3日間内服する。症状が長引く場合は参蘇飲(じんそいん、ツムラ66番)を1日3包で7日間ほど内服する。
- インフルエンザ
- インフルエンザを疑う急激な発熱や関節痛が認められた場合は虚証であっても麻黄湯(まおうとう、ツムラ27番)を数時間ごとに1包内服すると自覚症状が軽快することがある。抗ウイルス薬は併用してもよい。
- ^ Global health estimates: Leading causes of DALYs (Excel) (Report). 世界保健機関. 2020年12月. Download the data > GLOBAL AND BY REGION > DALY estimates, 2000–2019 > WHO regions. 2021年3月27日閲覧。
- ^ a b c d e 英国国立医療技術評価機構 2008, Chapt.1.4.
- ^ Is It a Cold or the Flu? (Report). アメリカ国立アレルギー感染症研究所. 2015年4月.
- ^ 漢方治療のABC ISBN 9784260175074
- ^ 本当に明日から使える漢方薬―7時間速習入門コース ISBN 9784880027067
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