殺虫剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 14:38 UTC 版)
歴史
江戸時代には、イネにつくウンカという害虫のせいで、100万人近くの死者がでる大飢饉があったことから、田圃に鯨油を流してから、稲についているウンカをはらい落として窒息死させていた。しかし、鯨油が高価なことから、一般的には神仏に祈っていた[2]。
毒キノコ、タバコ(ニコチンの殺虫効果)やハエドクソウ(植物)の天然物は、古くからウジ殺しなどに用いられた。その中で除虫菊は、選択毒性により人畜に対する毒性が低いので、19世紀から盛んに製造され、日本にも明治時代に導入されて蚊取線香やノミ取り粉として用いられた。
1930年代になると、有機化学の発達により有機塩素系殺虫剤(DDTなど)や有機リン系殺虫剤が開発され、第二次世界大戦後本格的に使われるようになった。しかし有機塩素系は自然界で分解しにくく、動物やヒトの体内に蓄積するため、1960年代から有害性が問題にされ(「沈黙の春」)、その後多くの国家で製造販売が禁止され、あるいは生産が中止された。有機リン系の毒性についても、神経伝達のアセチルコリンエステラーゼを阻害する作用で、人畜に対する毒性の高いものが多かったため、なるべく毒性の低いものを求めて開発が進められた。
その後、カラバルマメの有毒なアルカロイド成分であるフィゾスチグミンを参考にして、有機リン系と同様の神経毒作用をもつカーバメート系殺虫剤が開発され、除虫菊成分(ピレトリン)を基本にした毒性の低いピレスロイド系殺虫剤(家庭用などに多く使われる)やニコチンを基本にしつつ、ニコチンの人間に対する毒性を低下させた、殺虫効力の高いネオニコチノイド系殺虫剤などが開発された。
- ^ “アース製薬、「殺虫剤」改め「虫ケア用品」に なぜ?”. ITmedia. (2017年11月29日) 2017年11月29日閲覧。
- ^ ケミカル・ワンダータウン - 経済産業省
- ^ 塗るだけで、不快な虫が寄りつきにくくなる塗料を新発売 - 関西ペイント、2015年7月2日
- ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 2』講談社、2004年、71-72頁。
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