歯車 歴史

歯車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/10 06:48 UTC 版)

歴史

ランタン歯車伝導装置

歯車の歴史は古く、1901年には地中海に沈んでいた古代ギリシア時代のアンティキティラの沈没船英語版から回収されたアンティキティラ島の機械は紀元前150 - 100年に製作されたと考えられているが、これは歯車を利用した天体運行計算機だった[6]。しかしこの機械と同様の複雑さを持った技術工芸品はその1000年後まで現れることはなかった[6]ウィトルウィウスは『建築について』の中で縦に回転する水車について論じたが、縦に回転する動力を横方向の回転に変換するランタン歯車と呼ばれる木製のピンを組み合わせる歯車が1世紀頃のローマ帝国で普及し、18世紀末まで日常的な歯車として利用され続けた[7]。全金属製の歯車は11 - 12世紀頃に登場したが、産業用ではなく専ら時計などの精密装置に用いられた[7]

シンボルとしての「歯車」

さまざまな国家企業(特に製造業)、団体記章等において、「工業」あるいは「労働者」を象徴する意匠として歯車が用いられており、ミャンマーアンゴラ国旗および国章イタリア中華人民共和国(中国)、ベトナムラオス国章日本共産党の党章、日本国五円硬貨工場を表す日本の地図記号等が例として挙げられる。

フィクションでは、古くはチャールズ・チャップリン監督作品『モダン・タイムス』が人間が機械の一部分のように扱われる象徴として歯車を用いており、日本の漫画アニメーション作品でも『銀河鉄道999』の機械帝国が使用している。

生体歯車

ウンカの幼虫には後ろ足に正確な跳躍のため歯車を備えている種がある。この種の成虫は摩擦を用い跳躍する。[8]


注釈

  1. ^ 摩擦面に同じ金属を使う事を「ともがね」と言い、歯車に限らず摩擦面に用いるのは基本的に避けるのがセオリーである。これは摩擦・摩耗の分野では常識であり、トライボロジーが発展する前からの経験則から知られていた事象である。
  2. ^ 三輪自動車で駆動輪が一つのものを除く。

出典

  1. ^ a b c d e 大西1997 pp11-2
  2. ^ a b c d e f g h i 大西1997 pp11-3
  3. ^ 多田隈理一郎 (2020年10月6日). “無制限の可動範囲を有する回転3自由度の球状歯車機構の開発”. 国立研究開発法人科学技術振興機構. 2024年1月10日閲覧。
  4. ^ 久保田龍之介 (2021年7月29日). “【有料記事】SNS沸騰の「球状歯車」 全方向無制限駆動で人型ロボットに衝撃”. 日経クロステック. 2021年8月17日閲覧。
  5. ^ a b c 大西1997 pp11-1
  6. ^ a b “Planetary Gears”. Nature 444: 7119. 
  7. ^ a b A-G・オードリクール『作ること使うこと:生活技術の歴史・民俗学的研究』 山田慶兒訳 藤原書店 2019年、ISBN 978-4-86578-212-7 pp.251-256.
  8. ^ “歯車”を使ってジャンプする昆虫ナショナルジオグラフィック2013年9月13日、2016年5月9日閲覧





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