武者ガンダム 武者ガンダムの概要

武者ガンダム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/16 10:25 UTC 版)

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概要

一般にガンダムシリーズの作品群のうち、鎧武者姿のガンダム及びこれらが主人公を務めるシリーズを称して武者ガンダムと呼ぶ。特に等身が小さくデフォルメ(スーパー・デフォルメ: SD)されている「SDガンダム」シリーズにおけるものが一般的である。舞台設定が日本の戦国時代を意識したものとなっているため、個体名には外国語を思わせるカタカナ表記を避け武者頑駄無(むしゃがんだむ)と漢字で表記をすることも多い。

一部シリーズに登場する「鉄機武者」と「ムシャジェネレーション」を除き、SD武者ガンダムシリーズでの武者は機械(ロボット)ではなくあくまで意志を持つ一個の生命体として描かれており、種族個体として人間と多少の差異はあれど、ほぼ同様に成長していく。擬人化ならぬ〈人間の擬ガンダム化〉というべき解釈の余地が設けられているのも他のSDガンダムシリーズとは異なる特徴である。

武者ガンダムの展開

SD以前

武者ガンダムの初出は、「コミックボンボン1985年6月号掲載の漫画『プラモ狂四郎』(原作クラフト団・作画やまと虹一)において主人公の四郎が、茂合岩男との決戦のためにオリジナルデザイン・スクラッチビルドした1/144スケールの模型としてでこの時の呼称は「武者ガンダム」で、SDではなく通常の等身のデザインであった。

戦国時代の武者をモチーフにした鎧兜や刀などをガンダムに装備させた斬新なデザインの発想は、元来サンライズ製作のロボットアニメが『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』『機動戦士ガンダム』と代々主役メカのデザインモチーフを日本の武者に求めてきた伝統に由来する。ラフデザインはクラフト団代表の安井尚志によるもので、クリンナップはやまと虹一とされる[1]このため後述の経緯でSD化された後でも、安井・やまと作品を元デザインとする武者ガンダムには企画原案として安井とやまとの名がクレジットされている。この後に作中には「武者ガンダムMk-II」「武者Ζガンダム」などの発展型モデルが登場する事等から、単純に初代ガンダム(RX-78-2)に鎧武者の格好をさせたものと思われがちだが、漫画の中ではガンダムMk-IIをベースとし作られているため、実際には各部のディテールにはガンダムMk-IIの意匠も混在しており、SD戦国伝以降に定着した「特定のモビルスーツの武者バージョン」という単純な解釈には収まらない『武者ガンダム』という機体として独立している。

武者ガンダムMk-IIのデザインはときた洸一[1][注 1]。武者ガンダムMk-IIの名は「『武者ガンダム』の後継機」という意味合いを『機動戦士Ζガンダム』の命名基準に準じて「Mk-II」と表現したもので、モビルスーツとしてのガンダムMk-IIの意匠は各部に盛り込まれているものの(初代武者ガンダムにもそもそもガンダムMk-IIの要素が含まれるのは前述の通りである)、フェイスはガンダムMk-IIの後継機であるΖガンダム風の意匠が採用されている。

さらに後に登場する武者Ζガンダムのデザインはやまと虹一[3]。全体のモチーフこそΖガンダムが基にはなっているが、特徴であったウェイブライダー変形機構やフライングアーマーを廃し、騎馬サポートメカとのドッキングという独自の特徴を有しており、脚部の意匠はRX-78のものがほぼそのまま流用されている。このドッキング機構「ケンタウロススペシャル」は安井尚志の原作で指定されていた設定であり、デザインされる際には武者ガンダムとしては異例の西洋甲冑のイメージも採り入れられている。

なお、初代武者ガンダムに関しては続編『新プラモ狂四郎』でも再登場を果たしている。さらに、これらのデザインはSDアレンジを加えて最初期のSD武者ガンダムシリーズに流用された為、上記のような「武者頑駄無摩亜屈(ムシャガンダムマークツー)」のフェイスはΖガンダム風の所謂ゼータ顔をしている、あるいは「武者精太頑駄無(ムシャゼータガンダム)」の脚がRX-78の意匠を採用しているなどの特徴はそのまま残っている。

SD以後

武者ガンダムは『プラモ狂四郎』完結後も、1987年ガシャポンガシャポン戦士スーパーディフォルメガンダムワールド」MK13『武者ガンダム』、および1988年のプラモデルSDガンダム BB戦士No.17『ムシャガンダム』、元祖SDガンダムNo.14『武者精太』としての立体化、また1987年のファミコンソフト『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』でのボスキャラクターとしての採用、1988年のカードダス「SDガンダムワールド」パート4での「武者ガンダムMk-II』(127)の登場等をそれぞれの契機として、SD体型での商品展開が行なわれることとなった。以後次々と武者タイプのモビルスーツが立体化されていく。

これと前後して最初の武者ガンダムのストーリーライン「SD戦国伝」が生まれているが、この成り立ちはプラモデルシリーズ「SDガンダム BB戦士」の組立説明書に掲載されていた漫画『コミックワールド』(MARSHIこと今石進作)を端緒とする。実質上のSD戦国伝第1話と言えるBB戦士No.17『ムシャガンダム』における『コミックワールド』第11話「七人の頑駄無」は本来、今石が後の展開を意識せず即興的に描いたものであったが、この設定が原型となり以後のBB戦士「武者七人衆編」シリーズが展開することとなった。ガンダムに「頑駄無」の字をあてたのも今石の発案である[1]。『コミックワールド』でも武者ガンダムをモチーフとしたストーリーは「武者七人衆編」と題されて連載形式となり、ここから今石のデザインとともに新たな設定が生まれ新商品に繋がるというサイクルが自然発生的に生まれている(例えばBB戦士No.42として発売される『殺駆三兄弟』の初出はBB戦士No.23『武者精太』付属の『コミックワールド』第17話である)。

同時期、BB戦士のデザインクリンナップを担当した鳥山劣こと横井孝二もコミックボンボン誌上でのプラモデルのタイアップ作品である連載ギャグ漫画『元祖! SDガンダム』に武者ガンダムを積極的に描きキャラクター性を拡げていった。しかしこうした現場では『コミックワールド』を描く今石と『元祖! SDガンダム』を描く横井の間に連携はなく、互いに無計画に展開を進めていたという[1]

こうした一種場当たり的なキャラクター展開が進む一方、BB戦士の販売元バンダイはそれまでと将来の商品展開を総括して整合性のあるストーリーラインに纏めるために、コミックボンボン誌と連携し1989年6月号より「SD戦国伝」と題したタイアップ企画を展開する。これらは主にボンボン誌上のグラビア・特集記事の形でイラストやプラモデルの写真と文字情報を中心に構成されており、文芸設定はレイアップの平松昭彦が担当した[1]。この新設定によって武者ガンダムのみならずそのシリーズ展開自体に物語性が付与され、SDガンダムというジャンルの中から「武者ガンダム」というジャンルが独立していった。

またコミックボンボン誌上ではSD戦国伝のストーリーラインと平行して、プラモデル(BB戦士)としてのSDガンダムを主な題材にした漫画『超戦士ガンダム野郎(ハイパーせんしガンダムボーイ)』(原作クラフト団・作画やまと虹一、1989年1月号より)も連載されている。主人公天地大河(あまち・たいが)の愛用したオリジナル武者ガンダム「天地大河スペシャル」がBB戦士シリーズで『農丸頑駄無 天地大河スペシャル』として発売され、SD戦国伝の世界観の中でも農丸頑駄無のデザインに流用されたことに顕著なように、『超戦士ガンダム野郎』とBB戦士シリーズでも密接なタイアップ展開が行なわれた(こうした漫画発の商品展開への流用は横井孝二の『元祖! SDガンダム』でも同様であるが、漫画の性質上BB戦士と「SD戦国伝」シリーズへの流入は行なわれなかった。他に、BB戦士の改造作例紹介記事『G研』や、読者公募によるオリジナルSD武者ガンダムがカードダスやガシャポンに多くフィードバックされている)。

やまとは『超戦士ガンダム野郎』連載のかたわら、ムック『完全保存版 SD武者ガンダム全百科』(コミックボンボンスペシャル38・1989年)掲載の読み切り漫画『SD武者ガンダム風雲録』を経て、翌1990年デラックスボンボン」創刊とともに同名の連載『SD武者ガンダム風雲録』(原作・クラフト団)を執筆。『コミックワールド』が2ページ1話という性質上描ききれなかったSD戦国伝の物語を、文芸設定に合わせ長編ストーリーとして纏め上げた。また1989年、この連載に先行してOVAシリーズ『機動戦士SDガンダム』の映画版『機動戦士SDガンダムの逆襲』でもオリジナルストーリー「SD戦国伝 暴終空(あばおわくう)城の章」としてSD戦国伝の初のアニメ化が行なわれている。翌年1990年にはOVA『機動戦士SDガンダム』でもSD戦国伝のエピソードがアニメ化されている(第3巻・第5巻)。

SD戦国伝は「武者七人衆編」終了後も続編タイトルが次々と発表され、「SD戦国伝」3部作、続編「新SD戦国伝」4部作、「超SD戦国伝」3部作の全10章構成となり1999年に完結した(以後のシリーズ展開については#ムシャ戦記以降参照)。SD戦国伝シリーズ初期の主要なメカデザインは今石進が担当したが、後の「SD戦国伝 天下統一編」以降レイアップの寺島慎也がデザインに加わり、「新SD戦国伝 伝説の大将軍編」からは大半のメカデザインを寺島が行なっている。文芸設定を担当した平松昭彦は「武者七人衆編」以後、より密にSD戦国伝シリーズの文芸設定を担当。「新SD戦国伝 超機動大将軍」以降は平松に代わりレイアップの後輩栗原昌宏が主要なストーリーワークを務めている[1]。やまとによる漫画「SD武者ガンダム風雲録」シリーズは「新SD戦国伝 伝説の大将軍編」まで継続し、続編「新SD戦国伝 七人の超将軍編」以降は神田正宏が「新武者ガンダム」シリーズおよび「超武者ガンダム」シリーズとして漫画化を行なっている(原作・クラフト団)。

リアル武者

逆輸入というべき経緯であるが、SDに続いて八頭身の所謂リアル体型の武者ガンダムも商品化された。これらは多く元祖リアル体型の『プラモ狂四郎』版のデザインを踏襲せず、一部はSD戦国伝「武者七人衆編」の意匠に似せて再デザインされた。

プラモデルとしては1990年に発売された「モビルスーツ戦国伝」シリーズとして『武者頑駄無(ムシャガンダム)』『武者頑駄無摩亜屈(ムシャガンダムマークツー)』『武者仁宇頑駄無(ムシャニューガンダム)』の計3種がある。プラモ狂四郎版「武者ガンダム」、「武者ガンダムMK-II」がそれぞれ「特定のモビルスーツに鎧武者風の格好をさせたもの」ではなかったのに対し、モビルスーツ戦国伝版「武者頑駄無」は大河原邦男によりノーマルガンダムをベースとしてSD戦国伝における「武者頑駄無」の甲冑に独自の意匠を加えて再デザインされ、漫画『超戦士ガンダム野郎』で再度リファインを加えてSD化され「天地大河スペシャル」として登場し、後にSD戦国伝でも「農丸頑駄無」として採用される[3]。またモビルスーツ戦国伝版「武者頑駄無摩亜屈」はプラモ狂四郎版のΖガンダムベースともSD戦国伝版のゼータ顔とも異なる、ガンダムMk-II準拠の意匠となっている。「武者仁宇頑駄無」はプラモ狂四郎に登場しないSD戦国伝由来の武者であるが、モビルスーツ戦国伝版ではこのデザインにアレンジを加え、脚部に西洋的な曲面のラインを与えている。

モビルスーツ戦国伝の設定では武者ガンダムはSDシリーズや漫画と異なり巨大兵器として扱われる。付属する説明書にはアムロ・レイならぬ「阿夢呂丸」が武者頑駄無に乗り込むなど『機動戦士ガンダム』本編の物語を戦国時代風にアレンジしたストーリー解説が収められていた。プラモデルとしては関節部のポリキャップをパーツ単位ではなく組立て済みの内部フレーム状に構成した「MSジョイント」機構[注 2]や金メッキパーツを採用した、当時としては画期的な構造のガンプラだったが、それが災いしてか現在まで再発売されていない。

リアル体型のトイシリーズとしてはSD「ガンダムクロス」シリーズのスピンオフである「リアルタイプ武者頑駄無鎧(ムシャガンダムクロス)」シリーズ(『武者頑駄無摩亜屈(ムシャガンダムマークツー)』『武者精太頑駄無(ムシャゼータガンダム)』『武者駄舞留精太頑駄無(ムシャダブルゼータガンダム)』の計3種)が発売されている。これはバンダイが「聖闘士聖衣大系」で得たノウハウを応用したシリーズで、ノーマルのモビルスーツの素体の上に鎧兜を取り付けることで武者姿に変化するというものであった。

リアルタイプ武者頑駄無鎧の素体は元来アニメ『機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』初放映時に発売されていた1/100スケールの玩具「デラックス」[注 3]シリーズの『デラックス・ガンダム・マークII』『デラックスΖガンダム』『デラックス・ガンダムΖΖ』を流用し鎧の取り付け穴を空けたものであり、ラインナップが『Ζ』『ΖΖ』に偏っているのもそのためである。こうした経緯のためリアルタイプ武者頑駄無鎧では「武者精太頑駄無」「武者駄舞留精太頑駄無」ともにSD戦国伝の設定にある武者姿での変形は再現されておらず、代わりにモビルスーツ姿でのアニメ設定に沿った変形機構が残っている。

1989年に読み切り版『SD武者ガンダム風雲録』でやまと虹一が「暗黒武者」としてリアル体型の武者ドムを描いているが、これはやまとの独断による当時としては早すぎたアイデアで、世界観に合わないとして安井尚志から注意を受け、SD戦国伝の設定からは除外されている[1])。これ以降リアル体型の武者ガンダムはオリジナルシリーズとしてはしばらく現れていないが、SD頭身とは異なる武者として「SD戦国伝 天下統一編」の「龍将飛将」が登場、以降「新SD戦国伝 伝説の大将軍編」の「紫電鬼」、「新SD戦国伝 七人の超将軍編」での「機動武者大鋼」「覇道武者魔殺駆」等、武者達の最終形態あるいは超越的な存在としてしばしばリアル体型の武者が登場することとなった。

一方、SDシリーズ以外の世界観に限るなら、リアル体型の武者ガンダムはカトキハジメによるイラストレーション・シリーズ『GUNDAM FIX』において1998年に「モビルスーツ戦国伝」版の武者ガンダムが描かれたり、一部のガレージキットを除き15年以上の間、マスプロダクトに登場することはなかった。後2007年に発売されたPLAYSTATION 3用ゲーム『ガンダム無双』において、チーフプロデューサー堀内美康(バンダイナムコゲームス)の提案をもとに[4]、オリジナルモードのボスキャラクターとしてリアル体型の「武者ガンダム」が登場、後に設定資料集『ガンダム無双アートワークス』やトレーディングカードゲームガンダムウォー』で「真(しん)武者ガンダム」という名が正式に与えられた。2008年に発売されたPlayStation 2用ゲーム『ガンダム無双 Special』、及び2008年末に発売された続編『ガンダム無双2』においては、再度カトキハジメがデザインしティターンズカラーとなった「武者ガンダムMk-II」が「武者ガンダム」のパートナーとして登場する。

諸元
真武者頑駄無
分類 人型
全高 60(約18.18m)
重量 1600(約6t)
武装 太刀 日輪丸
槍 散光丸
薙刀 電光丸(電磁刀、頑駄無剣、電磁槍、電磁薙刀)
火砲 種子島(種子島雷振)
乗員人数 0~1人

カトキハジメによる真武者ガンダムのデザインはノーマルガンダム(ガンダムVer.Ka)をモチーフにした赤・黒・白のカラーリングの武者姿という、「SD戦国伝」「モビルスーツ戦国伝」「武者烈伝」などのノーマルガンダムベースの武者ガンダムの基本デザインを踏襲しているが、肩当ての造形や甲冑の各部を走るパイプ状の意匠など、よりメカニックな解釈が多く織り込まれている点が特徴である。設定上はモビルスーツと同等のサイズを持つ謎の機動兵器とされており、自らの意思を持ち、パイロットを持たず自律機動するというSD版武者ガンダムに似た設定が与えられている。武士を彷彿とさせる古風な口調を用い、終盤のステージにボスとして登場。他作品のライバルにあたるパイロット達も武者ガンダムの力を利用するために立ちはだかる。『ガンダム無双2』ではパイロットが搭乗するようになった。「武者ガンダム」の主なパイロットはギム・ギンガナムヤザン・ゲーブル、「武者ガンダムMk-II」のパイロットはカテジナ・ルースプルツー

同年2007年9月に『ガンダム無双』を原典としているが、名前は漢字で「真武者頑駄無」として発売された「GUNDAM FIX FIGURATION」版では、コンパチブルモデルとしてガンダムVer.Kaをベースに各所のディテールアップが行なわれている「モビルスーツ戦国伝」版武者頑駄無のリファイン版が公開されている。また、これよりやや早くバンプレストからプライズ商品「ガンダムシリーズ 騎馬武者伝 リアルタイプフィギュア」シリーズとして「武者頑駄無」「武者精太」がリリースされている。これはそれぞれ「モビルスーツ戦国伝」版武者頑駄無、「リアルタイプ武者頑駄無鎧」版武者精太頑駄無のデザインが原形となっており、新規デザインのアソート品「騎馬武者」と組み合わせて乗馬状態および合体したケンタウロス形態が再現できるのが特徴である。

ムシャ戦記以降

SDとしての武者ガンダムの代表格となった「SD戦国伝」完結後、この後釜としてSD戦国伝とは一歩距離を置いた新シリーズ「ムシャ戦記 光の変幻編」が開始された。

「ムシャ戦記」は物語上「SD戦国伝」シリーズの延長線上にあるが、大量のキャラクターによる複雑なサーガと化したSD戦国伝から時代背景を大きく移し、設定の簡素化が行なわれたものである。この姿勢は主人公ら新キャラクターが「武者ウイングゼロ」のように多く名前に漢字名を使わないことにも顕著である。

「ムシャ戦記」完結後2000年、さらに設定を一新した新シリーズ「SDガンダム ムシャジェネレーション」が開始される。このシリーズの世界観では武者ガンダムが生命体ではなく、人間が乗るメカとして描かれているのが従来との大きな違いである。この源流にはゲーム『SDガンダム GGENERATION』の存在があり、本シリーズはいわばこの「武者」版という位置付けであった。ちなみに、ムシャジェネレーションの主役の侶蘭と武者ターンエーガンダムはSDガンダム GGENERATION-Fはある条件を満たすと「SDガンダム GGENERATION-F」にも登場する。

「ムシャジェネレーション」完結の後に始まったシリーズが「SD頑駄無 武者○伝」である(2001年)。現代日本を主な舞台に人間キャラクターとSD武者がからむ大胆な設定と、従来と一線を画すコミカルな世界観が特徴であった。「武者○伝」は続編2作を含む3部作となり、「SD戦国伝」以後では最も長寿のシリーズとなっている。また、『武者○伝III』から武者ガンダムは「水が苦手、かなづち(泳げない)」という設定が追加された。

これと前後して2004年テレビアニメ作品『SDガンダムフォース』が放映されている。SDガンダムフォースはSDガンダム、騎士ガンダム、武者ガンダムが混在して登場する物語で、厳密な意味での武者ガンダム作品ではないがこれがテレビアニメでは初の武者ガンダムの登場となる。この作品は設定上でも「SD戦国伝」シリーズで知られる「天宮(アーク)」や「天地城」が登場するなど、BB戦士系SD武者ガンダムシリーズの設定と親和性が高い[注 4][5]

「武者○伝」3部作の後に開始されたシリーズ「SDガンダムフォース絵巻 武者烈伝」(2005年)は「SD戦国伝 武者七人衆編」のリメイク作品である。武者七人衆を大幅にリファインした「光の七人衆」を中心に、その息子達「烈火隊」を主人公として武者七人衆編の設定を整理・再構成しており、程度の差こそあれ同一時間軸上の物語として描かれていた従来のシリーズに対し、平行世界上の別個の物語という位置付けにある[注 5][5]。本編にあたるストーリーライン「武者烈伝 武化舞可編」と、ホビージャパン誌に連載された外伝的な前日譚「武者烈伝 零」との同時進行二部構成となっているのも大きな特徴である。

こうして様々に形を変えつつも連綿と続いたSD武者ガンダムシリーズは、2006年-2007年に展開した「武者番長風雲録」において一旦の終焉をみる。武者番長風雲録は「武者○伝」に続き再び現代日本を舞台とし、学校と番長の存在を主軸に構成された異色作である。この後継にあたるストーリーラインは「BB戦士三国伝」で、世界観の繋がりを暗に感じさせる描写こそあるものの「武者」の冠は持っておらず、2009年に武田信玄や上杉謙信、直江兼続などの戦国武将をイメージさせた武者頑駄無が登場する「SD戦国伝 武神降臨編」が開始。 その後、「三国伝」の展開終了した2011年にはレジェンドBBとして、武者ガンダムシリーズもリメイクの範疇としてシリーズが開始。「武者八人衆編」という単独タイトルまで冠されて、メインストーリー第一弾として、これまで直接的には語られなかった真悪参による銀の楯強奪事件などが描かれる予定。

他シリーズとのクロスオーバー

SD戦国伝・新SD戦国伝はSDガンダム外伝(騎士ガンダム)やSDコマンド戦記ガンドランダーBB戦士三国伝とのクロスオーバーが行なわれており、これらの舞台は一つの惑星ないし同一次元に存在するという設定となっている。

  • SDガンダム外伝 ジークジオン編」の騎士ガンダムとサタンガンダムは「SD戦国伝 武者七人衆編」の頑駄無真悪参の善の心と悪の心が分裂した姿である[注 6]
  • SDコマンド戦記」のガンセイヴァーΖは過去の世界である天宮へタイムスリップし、「新SD戦国伝 伝説の大将軍編」で武者頑星刃(ムシャガンセイバー)として活躍した。
  • 「SDコマンド戦記」に登場したヤクザ集団「闇一族」の親分ザクトとその息子コザク・コンザク・シンザクは「SD戦国伝」の殺駆頭および殺駆三兄弟と同名で、同族を連想させる設定となっている。
  • SDガンダム外伝 円卓の騎士編」の麗騎士レッドウォーリアは、「新SD戦国伝 地上最強編」の赤龍頑駄無と顔見知りである[6]
  • ほぼ同時期にストーリーが進行している「SDガンダム外伝 円卓の騎士編」の麗騎士レッドウォーリアは「SDコマンド戦記」の海賊騎士キャプテンレッドの先祖である。
  • 「新SD戦国伝 超機動大将軍編」の武者真紅主・武者鷺主は、それぞれ「SDコマンド戦記」のマゼラン大陸(「SDコマンド戦記」の時代ではなく、武者頑駄無時代のマゼラン大陸) 、「SDガンダム外伝」のスダ・ドアカワールドからやって来た。武者冒流刀も「ガンドランダー」のガンドランド大陸出身である事を強く想起させる設定となっている[注 7]
  • 「BB戦士三国伝」の舞台、三璃紗では、その地に出来た初の国家として、「SD戦国伝」において天宮から海を隔てた隣国として度々描かれた影舞乱夢の名が登場している。また、三璃紗に伝わる正史「G記」には歴代皇帝として「新SD戦国伝 伝説の大将軍編」に登場した白龍大帝の名が記されており、「三国伝」の劉備ガンダムは彼と同じく龍帝の血を引く者とされている。影舞乱夢や赤流火隠といった国々が過去の呼称として扱われているため、「SD戦国伝」で描かれた時代より未来に位置していると思われる。ただし鉄機武者が登場しない等、技術面では退行している状態となっている。

元々が区分けの明文化されていないごちゃ混ぜの状況から分化していったSDガンダムの各シリーズはカードダス、漫画、雑誌、プラモデルなどで頻繁にクロスオーバーを行っているが、媒体によって微妙に設定が違ったり記述に矛盾が見られることもある。この点について文芸設定担当の栗林昌宏は、読者の想像力を喚起するため意図的に曖昧な設定を設けていると説明している[1]

シリーズ / 作品一覧

SD戦国伝シリーズ

SD戦国伝

  • SD戦国伝 武者七人衆編(1988年 - 1990年、プラモデル・文芸設定・漫画ほか)
  • SD戦国伝 暴終空城の章(1989年、アニメーション映画)
  • SD戦国伝 頭虫邸の忍者合戦 / SD戦国伝 天の巻 / SD戦国伝 地の巻 / SD戦国伝 真の巻 / SD戦国伝 理の巻 / SD戦国伝 頑駄無5人衆のもののけ退治(1990年、OVA)
  • SD戦国伝 天と地と(1990年、プラモデル・文芸設定・漫画ほか)
    • 番外的に扱われる特別編で、本編の公式設定と異なる「異説」として扱われる[7]。原則的に実在の戦国武将をモチーフとしないSD戦国伝において、唯一例外的に現実の武将がリンクする物語である。当時角川映画で公開されていた海音寺潮五郎原作の映画『天と地と』のパロディとなっており、「武者七人衆編」後、新頑駄無城「天地城」の完成祝賀奉納模擬合戦の最中、武者と精太にそれぞれ武田信玄上杉謙信の魂が乗り移り「信玄頑駄無」と「謙信頑駄無」に変身し大激闘を演じたというストーリーである。後に SDガンダムフォースに登場する頑駄無達の居城「天地城」の名はこの逸話に由来する。
  • SD戦国伝 風林火山編(1990年 - 1991年、プラモデル・文芸設定・漫画ほか)
  • SD戦国伝 天下統一編(1991年 - 1992年、プラモデル・文芸設定・漫画ほか)
  • SD戦国伝 天下泰平編(1993年、アニメーション映画)
    • 3本立て作品『機動戦士SDガンダムまつり』の1編で、天下統一編の後日譚。

新SD戦国伝

超SD戦国伝

ムシャ戦記

ムシャジェネレーション

武者○伝

武者烈伝

武者番長風雲録

SD戦国伝 武神降臨編

レジェンドBB

  • レジェンドBB 武者八人衆編(2011年 - 、プラモデル・文芸設定・漫画)

派生シリーズ / 作品

  • リアルタイプ武者頑駄無鎧(1989年、玩具)
  • モビルスーツ戦国伝(1990年、プラモデル)
  • 超時空烈伝 真空路守(マクロス)(1990年、プラモデル)
    • 1990年、SD戦国伝の人気にあやかり同じバンダイから発売されていた超時空要塞マクロスに登場するバトロイドに実在の戦国武将の名前と鎧兜を冠したプラモデルシリーズ(計8種)。こちらの組立説明書に掲載されている4コマ漫画もMARSHIこと今石進によるもの。
  • GUNDAM EVOLVE../14 頑駄無 異歩流武../十四 武者頑駄無(2005年、OVA)
    • 「SDガンダムフォース絵巻 武者烈伝」の設定を基に再度リメイクした短編エピソード。
  • 頑駄無大将軍 頑駄無異歩流武版 光の鎧編 (漫画)
    • ボンボン掲載の読み切り作品。異歩流武../十四の続きとなるエピソードになっている。
  • 爆賛歓大将軍(ヴァンサンカンダイショウグン) (2006年 記念企画)
    • ボンボン創刊25周年記念として、体の各パーツを歴代のボンボンのSDガンダム漫画家が担当するという形でイラスト化された。しかし必殺技の募集などはされたものの、特定のストーリーや商品化はされなかった。

関連作品

武者ガンダムを主人公としない、あるいは公式な文芸設定に則らないが、武者ガンダムの登場する重要な作品を記す。




注釈

  1. ^ 一方で、ときた洸一は自身のTwitterにおいてデザインの関与を否定している[2]
  2. ^ 後のガンプラHGシリーズにおける「MSジョイント2」の前身
  3. ^ あるいは「perfect detailed super heavy version」、「ハイメタル」
  4. ^ 公式には『SDガンダムフォース』と「SD戦国伝」系のストーリーラインとの関係性は不明である。同一世界であるラクロア(騎士の国)の設定が「SDガンダム外伝」シリーズでは神であるスペリオルドラゴンが精霊である、騎士ガンダム世界を示す名が「スダ・ドアカ・ワールド」ではなく「ソラディオラーマ」である等異なる事から、平行世界の中に存在する、もう一つの天宮・ラクロアが存在する世界とも考えられる。レイアップ/サンライズによるSD戦国伝シリーズの年表「天宮年表」にはSDガンダムフォースでの事件は記載されていない。
  5. ^ 武者烈伝は武者七人衆編のリメイク作品であるため、武者烈伝の世界の歴史設定も武者七人衆編から派生した他のシリーズの設定に忠実である。この点について、2007年時点でのレイアップ/サンライズによる見解では武者烈伝は武者七人衆編および派生シリーズとは別個の時間軸上の物語とされている(別脚注参照)が、月刊ホビージャパン展開の「武者烈伝 零」等、武者烈伝の世界が過去のシリーズと地続きの世界であると示す資料もある。
  6. ^ 後に騎士ガンダムとサタンガンダムはスペリオルドラゴンが分裂した姿という設定が付加され、悪の心にスペリオルドラゴンの力が宿ったのがサタンガンダム、残る善の心がスペリオルドラゴンによって転生したのが騎士ガンダムという設定となっている。
  7. ^ a b ガンドランダー#概要を参照。
  8. ^ 人名はマックス=真紅主、ローズ=鷺主など。来日する異国武者は天宮語をマスターする事が必須(というより意思疎通が出来ない)。その際武器や技の名前などを天宮流にする者もいる。
  9. ^ 初代大将軍の血族である初代(四代目は養子)、新生大将軍から曾孫の飛駆鳥大将軍までの二代目、現在のファースト大将軍から武者○伝の大将軍(名称不明)の計三代が確認済み。刕覇大将軍についてはファースト大将軍と直接の関連は不明

出典

  1. ^ a b c d e f g h コミックボンボン編集部編『SDガンダムクロニクル SD戦国伝 武者英雄譚』講談社、2007年、144-148頁。ISBN 978-4063646887
  2. ^ ときた洸一 2018年12月21日、21時31分のツイート
  3. ^ a b やまと虹一「やまと屋ブログ堂」 2007年。
  4. ^ 電撃オンライン「『ガンダム無双』完成試遊会開催! あの伝説のガンダムも姿をあらわした!メディアワークス、2007年2月23日。
  5. ^ a b c コミックボンボン編集部編『SDガンダムクロニクル SD戦国伝 武者英雄譚』講談社、2007年、163-164頁。
  6. ^ 『SDガンダム大百科』勁文社、1988年。
  7. ^ コミックボンボン編集部編『SDガンダムクロニクル SD戦国伝 武者英雄譚』講談社、2007年、20頁。
  8. ^ a b コミックボンボン編集部編『SDガンダムクロニクル SD戦国伝 武者英雄譚』講談社、2007年、132-139頁。


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