次亜塩素酸ナトリウム 利用

次亜塩素酸ナトリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/08 08:36 UTC 版)

利用

上水道やプールの殺菌に使用されている。家庭用に販売されている液体の塩素系漂白剤や、殺菌剤(洗濯用、キッチン用、ほ乳ビンの殺菌用など)などに使用されており、製品によっては少量の界面活性剤(中性洗剤の主成分)やアルカリ剤などが加えられている。また風呂水の殺菌・再利用にも用いられ、業務用が市販されている。

水溶液はアンチホルミンという商品名で食品添加物として使われる。

漂白

家庭用漂白剤は一般に、重量比で3 - 8%の次亜塩素酸ナトリウムと、0.01 - 0.05%の水酸化ナトリウム(NaOH)を含む。水酸化ナトリウムの添加は、次亜塩素酸ナトリウムが塩化ナトリウムと塩素酸ナトリウムに分解してしまうのを遅らせるためである[2]

製紙分野で漂白剤(通称「ハイポ[3])として用いられる。

脱染

次亜塩素酸ナトリウムには脱染特性があり[4]、金型の汚れ落とし、歯のフッ素症の除去[5]、食器の汚れ落とし(とりわけ茶のタンニンによる汚れ)などに利用されている。洗濯用合成洗剤にも添付されている。

殺菌消毒

殺菌料としては野菜果実鶏卵の消毒にも用いられるが、ゴマに対する使用は禁じられている[6][7]。これはゴマを漂白し、より高値の白ゴマとして販売されていたのを禁止したものである[要出典]

消毒にも使用される。適切な濃度で使用すればノーウォークウイルスを含む多くの細菌ウイルス芽胞に効果を示すため、医療器具やリネンの消毒に使用されている。殺菌効果は次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの酸化力に依存している。これらが有機物に触れると相手を酸化すると同時に、自身も分解して殺菌効果が急速に減少してゆく。水溶液はアルカリ性であるが強い酸化力を持つため、金属に使用すると錆が発生する。

有効成分は、水溶液中の次亜塩素酸(HClO)及び次亜塩素酸イオン(ClO)である。消毒対象によって異なるが、「次亜塩素酸」は次亜塩素酸イオンに比べて、殺菌力が数倍 - 数十倍と高い傾向にある。水溶液のpHによって二者の存在比が変化し、それに伴って消毒効果も変化する。次亜塩素酸ナトリウムに希塩酸を加えてpH6程度に調整し、殺菌力を増した製品が市販されている。これは弱酸性電解水に近い殺菌力を持つ。後述の通り、強い酸性に傾けるほど塩素ガスが発生して危険であり、保存性も下がる。

上述のように、水道水には次亜塩素酸ナトリウムが添加されているため、鑑賞魚の飼育にそのまま用いることは出来ない。しかし、水道水を数時間ほど太陽光にさらすことで、次亜塩素酸同様に、次亜塩素酸ナトリウムを不均化・分解することができる。

消臭

次亜塩素酸ナトリウムには消臭能力があり、それは脱染特性と密接に関連している[4]




  1. ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編 平成26年 28頁
  2. ^ Smith WT. (1994). Human and Environmental Safety of Hypochlorite. In: Proceedings of the 3rd World Conference on Detergents: Global Perspectives, pp. 183-5.
  3. ^ (用例)漂白工程の化学物質排出量等管理マニュアル (PDF)”. 経済産業省. 化学物質排出量等管理マニュアル検討委員会. p. 8. 2019年10月31日閲覧。
  4. ^ a b Benefits and Safety Aspects of Hypochlorite Formulated in Domestic Products”. AISE - International Association for Soaps, Detergents and Maintenance Products (1997年3月). 2014年3月閲覧。 “This Support Dossier deals with information on the environmental and human safety evaluation of hypochlorite, and on its benefits as a disinfecting, deodorising and stain removing agent.”
  5. ^ “Clinical efficacy of 5% sodium hypochlorite for removal of stains caused by dental fluorosis”. The Journal of Clinical Pediatric Dentistry 33 (3): 187-91. (2009). doi:10.17796/jcpd.33.3.c6282t1054584157. PMID 19476089. 
  6. ^ 食品、添加物等の規格基準の一部改正について(昭和四六年一一月八日)(環食化第二八七号)(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)”. 厚生労働省法令等データベースサービス. 2020年1月1日閲覧。
  7. ^ 食品、添加物等の規格基準(厚生省告示)「次亜塩素酸ナトリウム」の項”. 厚生労働省法令等データベースサービス. p. 103. 2020年1月1日閲覧。
  8. ^ 健栄製薬 | 5.次亜塩素酸ナトリウム(Sodium Hypochlorite)|消毒剤の毒性、副作用、中毒 | 感染対策・手洗いの消毒用エタノールのトップメーカー” (日本語). www.kenei-pharm.com. 2020年7月5日閲覧。
  9. ^ 次亜塩素酸ナトリウムを含むとの表示がある「ウイルスプロテクター」 の自主回収及びその他の携帯型空間除菌剤の使用上の注意事項につい 消費者庁 平成25年3月29日 (PDF)
  10. ^ 独立行政法人国民生活センター 首から下げるタイプの除菌用品の安全性
  11. ^ 「次亜塩素酸水」の空間噴霧について(ファクトシート) 令和2年5月29日現在 経済産業省 (PDF) のページ2、「WHO「COVID-19 に係る環境表面の洗浄・消毒」(2020年 5月 15日)(仮訳・抜粋) ●消毒剤噴霧等の非接触手法」より。※これは「消毒剤一般の噴霧」に対する警告文であることに注意。
  12. ^ 次亜塩素酸ナトリウム (水溶液) 職場のあんぜんサイト 厚生労働省
  13. ^ 「空気清浄機に漂白剤入れないで」やけど、失明のおそれ : ライフ : ニュース” (日本語). 読売新聞オンライン (2020年5月19日). 2020年6月29日閲覧。
  14. ^ 川井田政弘, 福田宏之, 加納滋 ほか, 「アルカリ性殺菌消毒薬の吸入後に生じた喉頭肉芽腫の1例」『日本気管食道科学会会報』 38巻 3号 1987年 p.309-313, doi:10.2468/jbes.38.309
  15. ^ 日高利夫、桐ヶ谷忠司、上條昌彌 ほか、「次亜塩素酸ナトリウム処理野菜における残留塩素の消失とクロロホルムの生成」『食品衛生学雑誌』 33巻 3号 1992年 p.267-273_1, doi:10.3358/shokueishi.33.267
  16. ^ a b c 次亜塩素酸水 P.8 厚生労働省
  17. ^ クロロホルムに係る健康リスク評価について(案) P.42 環境省





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