機動警察パトレイバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 10:20 UTC 版)
登場人物
- 特車二課第二小隊
-
- 泉 野明(いずみ のあ)
- イングラム一号機の操縦担当。イングラムへの愛着は強い。運動神経に優れている。
- 篠原 遊馬(しのはら あすま)
- 一号機の指揮担当。レイバー製造企業「篠原重工」の御曹司。
- 後藤 喜一(ごとう きいち)
- 第二小隊隊長の飄々とした男。
- 太田 功(おおた いさお)
- 二号機の操縦担当。射撃の腕前はよいが、暴走しがち。
- 進士 幹泰(しんし みきやす)
- 二号機の指揮担当→後方支援担当。気が弱く、太田の暴走に振り回される。
- 山崎 ひろみ(やまざき ひろみ)
- 後方支援担当。身長2メートルを超す巨漢だが、性格は控えめで涙もろい。
- 香貫花・クランシー(かぬか クランシー)
- アニメ版における、進士に代わる二号機指揮担当。レイバーの操縦技術も高い。
- 熊耳 武緒(くまがみ たけお)
- 漫画版における、進士に代わる二号機指揮担当(アニメ版では香貫花の後任として二号機を指揮)。第二小隊のまとめ役。
- 特車二課第一小隊
-
- 南雲 しのぶ(なぐも しのぶ)
- 第一小隊隊長。第二小隊の起こす騒ぎに悩まされる。
- 特車二課整備班
-
- 榊 清太郎(さかき せいたろう)
- 整備班長。「整備の神様」と言われるベテラン。
- シバ シゲオ
- 整備班員。班員たちのリーダー的存在。
- シャフト・エンタープライズ
-
- 内海(うつみ)
- 戦闘用レイバー「グリフォン」の設計・建造を行う「企画7課」課長。
- 黒崎(くろさき)
- 内海の部下で、常に彼の側に控えている。
- バドリナート・ハルチャンド(バド)
- グリフォンの操縦者である少年。
登場メカ
- 特車二課第二小隊
- その他
用語説明
レイバー
本作品におけるレイバーとは、人間が操縦する「多足歩行型作業機械」ロボットのことである。正式名称を「多足歩行式大型マニピュレーター」という(初期OVAでは「汎用人間型作業機械」、テレビシリーズの冒頭では「産業用に開発されたロボットの総称」と紹介されている)。作品世界において最初に登場した「多足歩行型大型マニピュレーター」の名称(商標)が「レイバー90」であり、当初篠原重工が商標を所有していたが、それを手放した後はこれらの作業機械に対する一般名称として(ユンボやホッチキス、マジックのように)普及したとされる。その後は様々な形態のレイバーが誕生し、水中専用のものなどにも目を向ければ、必ずしも多足歩行システムを有しているものだけに限らなくなっている。また、装輪タイプのレイバーも存在し、多足歩行モード以外に一般公道を本来の「車」に近いかたちで走行可能なものも増えつつある。しかし、その破壊力が犯罪に向かったときには既存の警察力では対抗し得ないために作品の主人公が搭乗するパトロールレイバー(パトレイバー)が活躍するのである。
その源流は漫画版において城南工大の古柳教室で研究されていた「多足歩行機械の制御」にあるとされている。他にもこの教室はレイバー開発の中心部に係わる人間を多く輩出している。
作中で登場するレイバーは、主に土木建築機械の延長線上として扱われる。法的には「特種車両」とされており、機体そのものも「各車」などと車両に準じて呼称される。そのため、原則的にレイバーには自動車のナンバープレートが取り付けられており、その操縦には多脚制御機免許が必要となる。作中では自動車と同様に教習所も設立されているが、未だに技術的には黎明期であり一般作業用も警備・軍用の機体も「(火器管制システムなどを除けば)基本的な操縦システムは変わらない」という問題もある。そのため、衝動的にレイバーでケンカや破壊活動を始める者やテロリストになる者もいる。漫画版では後藤がバドを指して「子供のうちから慣れておいた方が実践的」と評している。一方、作品設定の初年である1998年から現実の自動車で開始されたナンバープレートの3桁化はなされておらず、メインロボットであるイングラムも2桁ナンバーを装着している。
このレイバーは『鉄人28号』を初めとした既存の巨大ロボット物アニメ・漫画のロボットたちとは違い、一機例外があるがビーム兵器を持つわけでもなく[注 12]、空を飛行できるわけでもない[注 13]。このようなそれまでの「兵器」としてのロボットではなく、『日常生活に溶け込んだロボット』というのが製作側のコンセプトであった。これらについては『ミニパト』第2話で詳しく説明がされている。メーカー各社がモーターショーのような展示会(レイバーショー)を開催したり、保険会社がレイバー向けの保険を販売しており警察もパトレイバー専用の保険に加入しているなど、作業機械としての印象を与える設定も度々登場している。もっとも作品内でのロボットの位置づけこそ日用品であっても、物語の中では結局格闘戦が山場になることが多く、その点では既存の巨大ロボット物アニメ・漫画の伝統の域を出ることはなかった。
ちなみに、本作品では本体にコクピットを持たない無人機であったとしても、有線/無線を介して操縦者の存在が外部にある場合は「レイバー」と呼ばれる。一方でプログラムなどによって半自律的に稼動するものは基本的に「ロボット」としている。
歴代パトレイバー
歴代「パトレイバー」は作品によって異なる。
- 初期OVA版、劇場版第1作では、「篠原重工98式AV(AV-98、AVはAdvanced Vehicleの意)」に「イングラム」の愛称はなかった。ただし、これの流れを汲む小説版にはある。また、漫画版では野明は1号機に「アルフォンス」の命名は行っていない(単行本第2巻133ページでは左上腕部に自分の名前を書いたことはあった)。第一小隊機は「篠原重工96式アスカMPL」で、「95式アスカSSL(通称:大将)」を篠原重工所沢工場で改造したものである。劇場版第1作で、O.S.であるH.O.S.の重大な欠陥の判明・試作機の暴走により、H.O.S.搭載を前提として設計された「篠原重工00式AV(AV-X0)」の導入が見送られた後、小説版に移り、「篠原重工AV-0 ピースメーカー」に改編された。ちなみに、劇場版第1作、テレビ版および新OVA版での各機の呼称は「○号機」であるが、初期OVA版、劇場版第2作および第3作では「○号車」と呼ばれている。
- テレビ版第1話時点では、第二小隊は第一小隊の改編によって余剰となった「篠原重工96式アスカMPL」(初期OVA版とは塗装が大幅に異なる)を使用しており、第一小隊は二代目となる「マナベ重工97式改パイソン」を使用していた。なお、同シリーズでは「最初から警察用として設計された」キャプションは、この「97式改パイソン」に与えられている。第一小隊の後継機は「篠原重工零式AV(AV-0)ピースメーカー」。
- 漫画版の第一小隊機は、映像メディアのシリーズとは全く異なるデザインの「篠原重工95式 ゴリラ」だった。「ゴリラ」が「イングラム」のように固有のネームなのか、それともユーザー間で広まったニックネームなのかは定かでない。第2巻で「96式改」に機種転換されているが、第14巻で、「篠原重工AVS-98」が導入される。
- 劇場版2では機種転換により「篠原重工2式AV(AV-2ヴァリアント)」に全機体が換装されている。
- しかし、これら作品中から抽出できる設定以外にも、雑誌『ホビージャパン』や『B-CLUB』、数々のムックで発表された設定が多く、はっきりとした系譜付けができない。
- また、出渕がデザインしたオリジナルの「98式AV」は初期OVAのもののみで、それ以外の作品のものと大きく異なる。テレビ版以降の「98式AVイングラム」は、漫画版のためにゆうきが出渕のデザインを元に再度デザインし直したものに、出渕らが初期OVA版の設定を加味したものである。
- この他に他の道府県警が導入したレイバーには神奈川県警交通機動隊の「ロードランナー」がある。NY市警も「篠原重工AV-0ピースメーカー」また「AV-02クラッシュバスター」を導入している。
“リアルロボット”としてのパトレイバー
本作品は、当初OVAとしての企画であった上、メインスポンサーも富士フイルムであったため、「玩具メーカーがスポンサーであることによる弊害」というロボットアニメの長年の問題点をもたなかった。そして、テレビ版が放映されるころには作品のファン層が固まり、これに反する視覚的変更を行うことはかえって不利になることが決定的だった。これにより、主役メカ「98式AVイングラム」をはじめとする“パトレイバー”は、“ロボット三原色”と言われたトリコロール主体の派手なカラーリングから解放され、パトライト部分などを除けば警察用車両らしいモノトーンの落ち着いた外装色となっている。警察用以外の他のレイバーも、実際に存在する他の建設機械や自動車と同じような感覚の色使いである。
本作品はロボットアニメとしては“リアルロボット系”に属する。しかし、従来的な巨大ロボットものにおけるような「異世界からやって来たような」「はるか未来を想像した」ものではなく、「現実の20世紀中に存在した技術からさして遠くない世代の工業生産品」としてのロボデザインが従来作品と一線を画する点である。そのため、それまでの巨大ロボットアニメが描いてきた「スーパーヒーローと悪の戦い」あるいは「戦争」などのような現代日本人にとっての“非日常”ではなく、現実の“日常”に自然に巨大ロボットが溶け込んだ情景描写が、強いリアリティをもっている。
ただし監督の押井はそれでも、世界・時代設定とレイバーデザインとが一致しないとの不満を抱えていたらしく、後に著書『メカフィリア[14]』にて、出渕を「メカ音痴のメカデザイナー」とこき下ろしたり、劇場版第2作でレイバーをほとんど活躍させていないのもその反動であったと記している。押井が脚本を手がけた『ミニパト』第1・2話も本シリーズにおけるレイバーの銃器描写やメカコンセプトが主題になっている。「PATLABOR LIVE ACTION MOVIE」パイロットフィルムでは、押井の意向を基に竹内敦志が再デザインしたパトレイバーが登場している。また、2011年に押井が発表した小説『番狂わせ 警視庁警備部特殊車輛二課』および2014年公開の実写作品『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』では、レイバーという「二足歩行ロボット」は一時的な流行でしかなく、景気が悪化した2013年時点ではコストパフォーマンスの問題から完全に廃れてしまい、しかも無人化・小型化の進んだ世界のロボット市場において日本のロボット産業そのものが後塵を拝する状況を招いてしまったという設定になっている。
特車二課
「警視庁警備部特科(特殊)車両二課」が正式名称であるが、通称「特車二課」と呼ばれる。物語の中核となる組織であり、主人公、泉野明を始めとするキャラクターたちが勤務している部署でもある。漫画版の説明によれば、当初は特科車両隊内の一中隊として「特機部隊」(中隊)が存在し、それが二個小隊体制になるにあたって特科車両隊から独立し、従来の特科車両隊を「特車一課」、レイバー隊を「特車二課」とするという説明がある。
(なお時期により「特殊車両二課」と「特科車両二課」の表記・呼称が混在している。本来は特車一課である実際の特車隊の正式名称は警視庁特科車両隊であるので「特殊車両二課」は間違いである。こういった表記の混乱は作品中に散見され、メディアミックスによって各作品での細部の統一が容易ではなかったことが分かる)
国家的大規模事業「バビロンプロジェクト」により急激に普及した多足歩行式作業機械「レイバー」による犯罪に対抗するため創設された特機部隊を、レイバー犯罪の凶悪・多発化に対抗すべく強化再編されたのがこの特車二課である。現在第一小隊、第二小隊の2部隊による運用となっており、第一小隊の小隊長は南雲しのぶ警部補、第二小隊の小隊長は後藤喜一警部補である。なお、中隊以上の部隊編成がなされておらず、いきなりその上には課長がいる(しかし存在感は薄い)。OVA版は祖父江課長が初代で、その後は福島課長である。テレビ版においては放映当初から福島課長であるが、先代課長として祖父江が登場するエピソードが有る。
特車二課の棟屋は陸の孤島と言ってよい13号埋立地(1988年当時のお台場のイメージで、埋め立て作業が終わって養生中の埋立地)・初期OVA版では城南島の突端にある実在しない埋立地に建てられており、小隊の隊員たちおよび整備班の人間が勤務している。休憩時間には釣りや空き地に作った畑の手入れ、私物のオートバイで飲食物の買出しを行うなど、のどかな風景が描かれている。
実際のお台場の1998年ではすでにフジテレビの現社屋があり(1997年)、東京ビッグサイトが建設され(1996年)コミックマーケット等(同年夏C50から)が開催されている。
警視庁警備部直轄部隊ではあるが、桜田門の本庁舎から遠く離れており、ある意味場末的な独特の気風を持つ職場である。課長と事務部門のみ本庁舎・警備部内にオフィスがあるが、漫画版では福島課長が埋立地へ出向く頻度を増やすと同時にレイバー隊員・整備班以外の警察官・職員などの描写も増えている。小隊長である後藤や南雲にしても、出世コースから外れ「島流し」と見られる立場であり、特車二課配属が決まった泉は、予備校時代の教官や同僚から「もう出世はできない」と哀れまれている(ただし、コレに関しては後藤の「名刺の裏」計画(後述)により、予備学生から、従来のプロセスを省きレイバー専門に「促成栽培」された『レイバー隊専門警察官』であるためと考えられる)。後藤自らも、自分の小隊を指して「独立愚連隊」と自嘲するほどである。ただし、劇開始時に既存する「第一小隊」は全警察官の中から選抜されたエリート部隊という位置付けもあり、士気、綱紀ともに高く、小隊長の南雲以下、畏敬を持って扱われている。
オペレーティングシステム
本作中では当時のフィクション作品等に登場するロボットでは描かれなかった「オペレーティングシステム」の存在と運用が描かれている。
本項では、「レイバーのオペレーティングシステムの戦いの物語」とも評される漫画版を主として(一部は劇場版も)参考とする。
従来の建機などとは違い、ソフト的にも高度な制御を必要とするレイバーでは、通常の汎用OSやリアルタイムオペレーティングシステムの機能に加え(現実世界では、ROS(Robot Operating System)や、V-Sido OS が持っているような)高度なロボット向けの機能を持つLabor Operating System(略称LOS)がほとんどの場合に使用されている。
LOSはレイバーメーカー各社が自社用に開発しているが、ユーザーの意志で書き換え可能とされている。また、初回起動時に操縦者が自ら設定し、インストールする場面も存在する。そのため、機種専用のシステムではなく、汎用性が確保されており通商産業省によるLOSのフォーマットなるものも存在する。劇場版第2作のオープニング中では「Welcome to L.O.S.」というメッセージなどが見られるLOSの起動シーケンスの画面が流れる。
前述のようにパトレイバーなどの機体では、学習型のシステムにより、パーソナルデータとして個人が運用した際のデータが蓄積されており、これによりレイバーの動作に個体差が生まれる[注 14]。
また、劇場版第1作及び漫画版の作中で登場するHyper Operating System(略称HOS)は篠原重工の子会社シンテックが開発したOSであるが、これはパーソナルデータの並列化と動作の統一化、最適化を売りにしており、ソフトウェアからハードウェアの力を最大限に引き出そうとする設計思想、などと言われている。要は多くの機体から得たパターンデータを統合して最適化した動きを各機体にフィードバックするというシステム。
劇場版においては、かなりの台数のレイバーで使われていた。このHOSに仕込まれていた「コンピューターウイルス」(と作中では呼んでいるが「トロイの木馬とロジックボムの複合」が近い)を巡る事件が、劇場版第1作では描かれている。
漫画版においては、HOSはバビロンプロジェクトのような「巨大工事向けのシステム」であり、特車二課のような部署の運用とは正反対な代物と篠原遊馬やシバシゲオは評している。訓練校のAVS-98に試験的にHOSが使われた模擬戦では、元々細かい操作が苦手な太田は鮮やかな動きを見せて「これは使える」と考えたが、野明は自分の操作イメージとのズレを感じていた。HOSの仕組みをさらに推し進めた試験機AVR-0に乗った際にはグリフォンをギリギリまで引き付けて捕まえようとしても「機体が勝手に避けてしまう」ので思い通りに動かないことにかえって戸惑っていた。
グリフォンが使用しているASURAは、作中の産業界で既存のレイバーのどのシステムともまったく別のシステムで、城南工大で開発されていたが研究費の削減に伴い開発中止された「幻の」と言われるOSをはじめとするシステムをベースに、元研究員がシャフトで完成させたものである。非常に高度な制御が可能とされ、その動きについては「生物的」とも言われている。
ロボットを制御するコンピュータシステムの描写としては過去にも『機動戦士ガンダム』における教育型コンピュータ、『銀河漂流バイファム』におけるコンピューターに依存する操縦(宇宙空間などでの姿勢制御、作戦パターンなど細かい操縦は大半コンピューター任せ)、『装甲騎兵ボトムズ』におけるミッションディスクなどがあった。しかしながら、本作品では各作者ら[注 15]が当時のパーソナルコンピュータでの経験や各種情報から、「コンピュータとそれに接続された機器を管理するモノ」であり「システムの要であるが、目に見えるような形を持たないもの」であるソフトウェアであるところの「オペレーティングシステム」を描いたのが特徴である(最初に述べたように、2010年代に入って、「ロボット」を全面に押し出したOSに近いシステムがいくつか現れていることや、また少し以前になるが、SonyのAIBOにおいても、同社CSLで研究・開発されていた分散OSであるAperiosをベースとしたシステムが使われていたことが知られている(en:AIBO#Aperios and Open-R)ことなどから、未来描写としても鋭かったと言えよう)。
バビロンプロジェクト
東京湾を干拓し、用地を確保するプロジェクトであり、川崎から木更津へ向けて巨大堤防の建設が進められている。過去にない超大規模なプロジェクトであったが、レイバー技術の発達によって現実味を帯びて推進された。現実では同様のルートで東京湾アクアラインとして建設が開始されるころであった。
篠原重工
正式には「株式会社篠原重工業」[注 16]であり略称はSHI。レイバーの製造・販売を主とした企業。関東を中心に5つの工場を持つ。
レイバーを含めて重工業メーカーとしては目立造船、菱井インダストリー、皮崎重工といった大企業と比較すれば後進で規模は小さく、前身の「篠原製作所」から社名を変更してから企業買収を繰り返している。そのため、社内には独立した派閥ができており社内の目標すら一枚岩とは言えない。漫画版によると特車二課へ納入する機種に関しても八王子工場と所沢工場で競合が行われたという。主要人物の篠原遊馬の家系が取締役を務めていることから作品との関わりが深い。
シャフト・エンタープライズ
全世界に展開する巨大多国籍企業であり、「つまようじからスペースシャトルまで」というキャッチコピーのもと、家庭用品から自動車、化学製品、果ては武器や兵器まであらゆる製品を製造・販売し、警備や人材派遣のサービス業も行っている。各国に独立した企業体を持って企業活動を行い、地域ごとに指揮管理するマネージャーが置かれている。
その一方、密輸、人身売買、武器・爆発物などの所持、テロリストへの資金提供など非合法活動を組織的に行っているのではないかと、当局に疑いを持たれている。
極東地区は香港駐在の極東マネージャーが、シャフト・エンタープライズ・ジャパン、シャフト・エンタープライズ・コリアなど、極東地区の企業体を指揮管理している。極東マネージャーは、豪華客船「長城号」(英名:GreatWall号)内にオフィスを構え、各国を巡っている。
シャフト日本法人
日本法人はアーケード・ゲーム機やゲームソフトを開発する会社として知られている。東京に本社を持ち、土浦に研究所を持っているが、明確な経営情報が明らかにされておらず、企業活動には不明な点が多い。社長の氏名、素性などは明らかになっていない。
企画7課は、表向きアーケード・ゲーム機やゲームソフトの製品企画や市場調査を行う部署である。企画7課課長の内海は、会社方針から外れる行動が多く社内からは批判も多いが、社長や極東マネージャーなど経営陣の信任が厚くその後ろ盾になっている。内海の部下は、チーフ格の黒崎を筆頭に、赤石、緑川、村崎ら高度専門技術者陣と、青砥、白井ら裏工作活動部隊の二系統に分かれている。監査部の査察により、社内のオンラインシステムを細工し、裏活動資金を捻出していたことが発覚した。
関連子会社
- シャフト・セキュリティ・システム
- シャフト系列企業の警備を請け負う子会社であり、会社防衛だけを目的として組織されている事実上の私兵組織である。通称SSS(スリーエス)。会社に都合の悪い人物の口封じや破壊活動などの非合法活動も行っているのではないかと公安当局に疑われているようである。特別な装備を備えた警備用車両を用いている。
- シャフト・セキュリティ・サービス
- 一般向けの警備会社である。一般向けの多種多様なサービスを提供するため、装備や運用の柔軟さはシャフト・セキュリティ・システムを凌いでいる。また漫画版においてSSSがグリフォンの確保のため土浦研究所に向かっていることを察知した内海たちが脱出する際、研究所の門で阻止しようとした車両はSSSではなくセキュリティ・サービスのものである。
- パレット
- 人材派遣、就職斡旋などを行うシャフトの子会社。海外会社が就職希望者PRディスクにパスワードをかけた人身売買データを潜ませていたことがあり、国際的な人身売買に関わっているのではないかとの疑いが持たれている。
- ホリ・セキュリティ・サービス
- 通称HSS。日本国内最大手警備会社。
- テレビアニメ版に登場。
- ^ 劇場版1やテレビシリーズが制作された1989年以降、缶飲料では環境問題からステイオンタブ式が登場するようになり、90年代初頭までに缶飲料はほとんど切り替わっている。また、ペットボトルは当時の技術力や業界の自主規制から1.5l前後の大型品しか流通していなかった(500mlのペットボトルが登場するのは1996年以降となる)。
- ^ マツダが1989年に5チャンネル化戦略の一環として登場させたブランド名。現実にはバブル崩壊とマツダの経営悪化に伴い、1996年限りで消滅している。
- ^ 漫画版においては、バドがシバシゲオの自宅でゲームをダウンロードする際に「今時のゲームは1ギガや2ギガは当たり前」と明確な数値を含めた発言をしている。漫画版の終盤が連載されていた当時の日本は、ようやくPC/AT互換機が家庭向けパソコンとしてPC-9800シリーズのシェアを切り崩しはじめた時代であり、市販パソコンの標準的なハードディスク容量はおおむね500MBを下回っていた。なお、現実の2000年ではすでにPlayStation 2やドリームキャストなどのDVD相当メディアを利用する第6世代ゲーム機がリリースされており、これらのゲーム機向けのソフトウェアにおけるデータ容量は、ほぼバドのセリフと同レベルまで達していた。
- ^ ゆうき曰く「ラジオドラマみたいなもの」を作っていた[5]。
- ^ ニッポン放送のラジオドラマ募集で賞を取ったこともある[5]。
- ^ とまとによればレイバーマシンのネーミングはバイドールのころ[6]。
- ^ 豊田有恒主催の企画集団で、出渕裕や火浦功などが所属[5]。
- ^ ゆうき曰く「例えば小学館のマンガが原作だと、アニメ誌ではカラー2ページしか特集で組んでもらえない」[7]。
- ^ 高田によれば、著作権の関係でバンダイから要請があった[8]。
- ^ 高田によれば、押井の案[8]。
- ^ 初期案に若手イケメン刑事があったが、これも押井によって却下されている[11]。
- ^ 警察側の武器は回転式拳銃や特殊警棒といった実際の警察官が使用するものを巨大化させたものを使用している。
- ^ 漫画版・テレビ版・新OVA版においてライバルとして登場するレイバー・グリフォンは非常に短時間ながら空を飛ぶが、これはあくまで例外として扱われている。
- ^ この設定は、当時発売されていた日本語ワープロの特徴を反映させたものとなっている。
- ^ 前述のように、本作品は共同の原案にもとづき、各メディア版がそれぞれの作者の主導(映画)あるいはその手により(漫画)作られた作品である。
- ^ メディアによって設定・表記ゆれがある。
- ^ VOL.1-1/2(傾向と対策)は特別価格で980円、VOL.6-1/2(かわら版)は2800円。
- ^ Vol.7のみクレジット。
- ^ 本放送終了後の1990年10月2日に放送を開始し、途中の話数を飛ばして1991年3月26日で終了[24]。
- ^ 放送期間は1990年4月11日から1991年3月13日まで[25]。
- ^ a b c 本放送終了後に放送。
- ^ 後述する新OVAシリーズも同枠で放送され、計63話が放送された。
- ^ 唯一の系列局での放送。
- ^ これは、製作会社が本作品の放映権をもっていたため、このようなことが実現した。系列局の開局後に系列外の同地域の放送局で放送されるのは全放送業界を通して非常に珍しい。
- ^ 『機動警察パトレイバー 25周年メモリアルBOOK』84頁。
- ^ 『アニメージュ 1989年10月号』15頁。
- ^ 『アニメージュ 1989年10月号』14頁。
- ^ 『アニメージュ 1989年10月号』13頁。
- ^ a b c d e f g ポストメディア編集部 2007, p. 212.
- ^ a b c d ポストメディア編集部 2007, p. 213.
- ^ a b c d e f g h ポストメディア編集部 2007, p. 214.
- ^ a b ポストメディア編集部 2008, p. 114.
- ^ ポストメディア編集部 2007, pp. 213–214.
- ^ 伊藤和典 [@Ito_Kazunori] (2011年9月13日). "そういえばパトレイバー原作集団の名前決めるときに、おれは「虚構防衛軍」とか思い切りうさんくさい名前を主張してあっさり却下され、高田明美発案の「ヘッドギア」になったんだっけ、とかいうのを思い出した。うむ。". X(旧Twitter)より2019年5月2日閲覧。
- ^ a b c d ポストメディア編集部 2008, p. 115.
- ^ “ABOUT PATLABOR”. 機動警察パトレイバー公式サイト. GENCO INC. 2021年5月5日閲覧。
- ^ 同じような案が産業計画会議第12次勧告「東京湾の横断堤を~高潮と交通の解決策として~」(S36.7.20)で存在している。
- ^ 押井守; 竹内敦志 (2004-09-10). 押井守・映像機械論[メカフィリア]. 大日本絵画. ISBN 978-4499227544
- ^ 『機動警察パトレイバー 25周年メモリアルBOOK』88頁。
- ^ 徳間書店刊「アニメージュ」1988年11月号「OA歴005年は戦略の時代」p.17より。
- ^ “『機動警察パトレイバー』誕生30周年:原点とこれから - YouTube”. 令和2年12月3日閲覧。
- ^ “がたふぇすVol.11機動警察パトレイバー30周年突破記念「OVA-劇パト1展」開催記念トークショー」 - YouTube”. 令和2年12月3日閲覧。
- ^ VHS「機動警察パトレイバー VOL.6 1/2 かわら版(1988年12月19日、エモーション)」収録の「押井守の隅田川ロケハンレポート」内、伊藤和典との対談より。同映像は初期OVAシリーズDVD版の第2巻にも再録されている。
- ^ 『アニメージュ 1989年10月号』17頁。
- ^ 『ケータイ捜査官7オフィシャルブック カーテンコール』(ジャイブ ISBN 978-4-86176-692-3)p65より
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- ^ 『北海道新聞』(縮刷版) 1989年(平成元年)10月 - 1990年(平成2年)9月、テレビ欄。
- ^ 富山新聞 1990年10月2日付、1991年3月26日付各朝刊テレビ欄
- ^ 『北國新聞』1990年4月11日付、1991年3月13日付各朝刊、テレビ欄。
- ^ CD-ROM『PATLABOR DIGITAL LIBRARY VOL.2』およびDVD+BOOK『PATLABOR OVA&TVA ARCHIVES』の吉永尚之監督インタビューより
- ^ “短編『パトレイバーREBOOT』を制作しました”. スタジオ・リッカ (2016年7月29日). 2015年7月29日閲覧。
- ^ “パトレイバーREBOOTではイングラムの細部も表現 - コミックナタリー(株式会社ナターシャ)” (2016年10月16日). 2016年10月25日閲覧。
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- ^ 文庫版1巻 p.367
- ^ 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』映像特典
- ^ 押井守著『勝つために戦え!監督篇』(徳間書店)
- ^ 「強力な説得」 テレビシリーズが放送中だった1990年1月の花とゆめ4号に掲載。
- ^ 『人と共同作業を目指すロボット「HRP-2プロトタイプ」発表』2002年3月19日 。2012年11月3日閲覧。
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- ^ 『機動警察パトレイバー 3 サードミッション』富士見書房、1992年9月25日、279-284頁。ISBN 4829124628。
- ^ “パトレイバーやビバップ - 角川とアニメイトが名作ラノベ復刊プロジェクト”. マイナビニュース. (2013年4月11日) 2021年6月23日閲覧。
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- ^ ゆうき まさみ [@masyuuki] (2012年9月18日). "『パトレイバー』映像化の話は、アニメであれ実写であれ動いていないはずです。少なくとも僕は何も聞いていません。". X(旧Twitter)より2019年5月2日閲覧。
- ^ ゆうき まさみ [@masyuuki] (2012年9月18日). "いえ、今は映像化を考えてないので何も考えてません(^^) RT @teketeke_s2k: 映画化するとしたらネタは考えてらっしゃるのですか? "@masyuuki: 『パトレイバー』映像化の話は、アニメであれ実写であれ動いていないはずです。少なくとも僕は何も聞いていません。"". X(旧Twitter)より2019年5月2日閲覧。
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