機動戦士ガンダムUC 概要

機動戦士ガンダムUC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/19 02:13 UTC 版)

概要

機動戦士ガンダム』(以下『1st』)をはじめとした「宇宙世紀」を舞台とする作品で、劇場用アニメ作品『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下『CCA』)から3年後の宇宙世紀0096年が主な舞台となっている。物語は宇宙世紀元年から始まり、その年に起こった宇宙世紀誕生や、一年戦争の発端にも関わるラプラス事件が物語の中核となっている。なお、時系列的に『CCA』に近い年代にあたるため、登場人物やメカニックの設定にもその内容が多く反映されているほか、『機動戦士Ζガンダム』や『機動戦士ガンダムΖΖ』(以下『ΖΖ』)などから発展させた設定も多い。アニメ版では、物語の核心を握る人物サイアム・ビストの声優に『1st』のナレーションを務めた永井一郎を起用することで、同作品のナレーションはサイアムによるモノローグであるという意味を持たせる[2][3]など、『機動戦士ガンダム』から続く地球連邦とジオンとの一連の抗争に一応の決着を付ける総括的作品でありながらも、本作品より後年の宇宙世紀を舞台にした『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や『機動戦士ガンダムF91』、そのはるか未来を描く『∀ガンダム』とのつながりを示唆する描写[4]も見られる。また、福井は本作で宇宙世紀の「ガンダム」に一度「句読点」を打ち、そこから改めて『F91』から先を考えていくべきだと思ったと述べている[5]

キャラクターデザインと表紙のキャラクターイラストは安彦良和が担当。第1巻から第3巻までは挿絵も担当していたが、第4巻以降の挿絵は虎哉孝征が担当した。メカニックデザインと表紙のモビルスーツのイラストはカトキハジメ。福井はプロデューサー“的”立場も兼任した。なおガンダムシリーズにおいては、サンライズの監修を受けた公式作品にはサンライズの共同筆名である矢立肇と、シリーズ第1作を手掛けた富野由悠季の名義を入れることが慣習となっており[6]、本作でも小説版には原案者として、アニメ版では原作者として、両名の名前がクレジットされている。

単行本は1巻あたり3回分の連載を収録し(福井がインターネットラジオで1話あたり原稿用紙100枚程度の長さだと語っている)、挿絵は小説の連載1回につきカラーが2 - 3点、残りはモノクロページで、計10カット前後が掲載。カトキハジメによるメカニック解説、設定考証担当の小倉信也による解説なども同時に掲載された。『ガンダムエース』元編集長の古林英明によると、この企画が開始されたのは2002年とのこと[要出典]。雑誌『活字倶楽部』2005年夏号の福井晴敏インタビューでは、2006年頃を目処に新しいガンダムの準備をしていると語られた[要ページ番号]。2007年夏には、書店公開用のプロモーションフィルムが作成されている。

ガンプラマスターグレードで、2007年12月には「ユニコーンガンダム」が、2008年12月には「シナンジュ」が発売された。単行本の第4巻と第8巻の各特装版には、ガンプラに装着可能なオプション装備のキットを同梱するなど、小説作品として類を見ない試みも実施された。本作品は小説作品ながらコミックス流通で単行本が刊行されており、福井は「本好きの方たちだけではなく、その外側に広がる“世間”へ仕掛けてゆく」ための実験といった趣旨の発言をしている[7]

本作品のタイトルを決定した時点で福井は、アムロ・レイのトレードマークとしてたびたびユニコーンのモチーフが使用されていることを知らなかったため、構想段階では本作品との特別な関連性は考慮していない。ファン層としては、特に『1st』世代に人気だという[8]

2010年1月から文庫版のリリースも開始されたが、角川文庫角川スニーカー文庫の2種類の装丁で同時期に刊行という異例の体制で発売された[注 2]。角川文庫版は、ガンダムシリーズ作品であることを極力前面に出さず[注 3]、各種の広告でもあくまで福井の小説作品であることを前面に押し出している。カバーイラストは加藤直之、カバーデザインは樋口真嗣が担当。口絵や挿絵はない。角川スニーカー文庫版は、これまでに同レーベルで発売されたガンダムシリーズのノベライズ作品と同様の装丁と解説が収録。表紙イラストは美樹本晴彦、口絵および挿絵はコミカライズ版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』の著者も務める大森倖三が担当。キャラクター紹介のイラストとメカニック紹介の設定画は、安彦と虎哉とカトキが連載時に描いたものを使用している。

2016年3月26日には、関連商品に同梱される特典として発表された福井の書き下ろし外伝2作品『機動戦士ガンダムUC 戦後の戦争』と『機動戦士ガンダムUC 不死鳥狩り』をまとめた短編集が、小説版第11巻として発売された。

小説の単行本の第8巻発売時には、オリジナルビデオアニメ(OVA)シリーズとしてのアニメ化を発表し、2009年4月25日に公式プレサイトを開設した[9]

このOVA版はテレビフォーマットに再構成され、『機動戦士ガンダムユニコーン[注 1] RE:0096』(きどうせんしガンダムユニコーン リ:ダブルオーナインティシックス)と題し、2016年4月3日から同年9月11日までテレビ朝日系列のテレビアニメシリーズとして地上波全国放送された。

『月刊ガンダムエース』では、2010年3月号(No.091)から2017年2月号(No.174)まで、本作品の漫画化作品となる『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』が連載された。著者は大森倖三。基本的にはアニメ版をベースとしつつも、アニメ版ではカットされた小説版のエピソードや設定も組み込まれており、原作小説とアニメ版の両方を折衷した作品となっている。また、カトキハジメが新規にデザインしたオリジナルMSや、既存MSの新バリエーションなども登場している。

2010年10月26日に『ガンダムエース』増刊号として『ガンダムユニコーンエース Vol.1』が発売され、Vol.6まで刊行された[注 4]

2012年3月8日には、首相官邸ラプラス跡でのシナンジュとの対決までをアクションゲーム化したPlayStation 3 (PS3) 用ゲームソフト『機動戦士ガンダムUC』が発売。ゲームの特装版には、「袖付き」によるシナンジュ強奪事件を福井が書き下ろした外伝小説『戦後の戦争』が付属した。

2013年8月3日からは「ガンダムフロント東京」内のドーム型映像施設「DOME-G」にて映像作品『機動戦士ガンダムUC One of Seventy Two』が公開。

小説版とアニメ版(OVA版およびテレビシリーズ)を除いたコミカライズやゲーム、また外伝作品を初出としたMSは『UC-MSV』として区分されている[10]


  1. ^ a b c d テレビシリーズ版のオフィシャル表記は全角カタカナ表記の「ユニコーン」になっている(EPGでも同様の表記)。
  2. ^ 角川文庫版の方が設定されている発売日の関係上、1週間ほど早く店頭に並んだ。
  3. ^ カバー表紙面および背表紙、扉の書名の下には、小さい文字で『機動戦士ガンダムUC ○○』と明記されている(○○には巻数が入る)。また、カバー表紙面でもデザイン処理によって目立たない形ではあるが『MOBILE SUIT GUNDAM UNICORN』の文字が入り、『機動戦士ガンダムUC-○○』(○○は巻数表記)の文字も帯に隠れる形で配されている。
  4. ^ Vol.3からVol.5は『月刊ニュータイプ』の増刊号として発売。
  5. ^ 「獅子の帰還」に関連する日付は、ドラマCDのチャプター・タイトルによる[18]
  6. ^ 脚本では「バナージらしきパイロットスーツの人影」と表現されるが、単に「バナージ」と表記している箇所もあり、リディもバナージであると認識している。
  7. ^ 小説版ではバンクロフトの生死は言及がないものの、該当場面の爆発は核爆発と表現されており[20]マリーダが「よりにもよって」と不運を嘆くが、それでも反応炉炉心保護のためのIフィールドによって、放射線が漏れることだけは防がれたという描写となっている[20]。アニメ版では爆光が他と描き分けられているのみで、特に言及はない。
  8. ^ 原作小説では、物語序盤でビスト財団の館に飾られた「まっすぐな瞳」を向ける羊飼いを描いた油絵を見たオードリー(ミネバ)が、バナージと少し面影が似ているという印象を受ける描写があり[30]、油絵に描かれた羊飼いがサイアム自身であるとは明言されないものの、サイアムは過去に羊飼いであったと言及されている[27]。また物語の終盤、サイアムから見せられた映像に登場するラプラス事件当時の彼に対し、バナージがその横顔を「自分とよく似た」と形容する場面がある[31]。アニメ版でもサイアムの過去(ラプラス事件前後)の姿はバナージと似た容姿で描かれている。
  9. ^ 名前は不明。カーディアスとマーサの実父であり、アルベルトとバナージの祖父。サイアムの跡目候補筆頭であり、生真面目な男であったとされる。連邦政府の議員や官僚に焚き付けられ、クーデターまがいの財団の乗っ取りを計画していた。
  10. ^ 名前については、小説版4巻でのマーサとアルベルトとの会話中にのみ登場。
  11. ^ 小説版9巻において、マーサの思考の中に肩書きと名前のみ登場。父方か母方かは語られない。
  12. ^ フル・フロンタルの声がシャア・アズナブルと酷似しているという原作小説での設定から、アニメ版ではシャアの担当声優である池田秀一がフロンタル役に起用された。
  13. ^ その経緯の詳細は、福井晴敏が書き下ろした朗読劇『赤の肖像』でも語られている。
  14. ^ アニメではストーリーを担当した福井は、フロンタルに宿っていた残留思念についてシャアの「納得できずにそのまま滞留した“怨念”のような一部分」で、シャアそのものではなく、アニメ版でのフロンタルの最期にシャア本人の魂が現れたのは「“落とし物”を回収しに来た」と述べている。
  15. ^ シャアがジンネマンを選んだ理由と、当時ジンネマンがシャアの周辺にいた理由は描写されていない。
  16. ^ 『機動戦士ガンダムUC パーフェクトガイド』97頁より。小説版では「ヤス」とのみ記載。名前の由来は漫画家の徳光康之から。
  17. ^ どちらも『ガンダムユニコーンエース Vol.3』に掲載された。
  18. ^ 『ガンダムユニコーンエース Vol.3』までは『E.F.S.F. 星月の欠片』表記。
  19. ^ スタッフロールでは役名は表記されずノンクレジット扱い。だが、テレビシリーズ『RE:0096』本放送の際の字幕放送では、台詞に三者の役名が表記されており、また各所インタビューの際にも演者三人や制作者らが、上記三人のキャラクター名を挙げている。
  20. ^ アニメ版では、そもそもLa+の指定座標にダカールが含まれていない。
  21. ^ 同年6月7日付の週間ランキングで、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE.』が35.7万枚で、アニメ・BD総合の最高記録を更新。
  22. ^ 同一アニメ作品のダブル1位獲得は『コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume01』(2008/9/1付)、『サマーウォーズ』(2010/3/15付)に続く3作目。
  23. ^ 上映期間中の2011年3月11日に東日本大震災が発生し、それに伴う計画停電により、一部劇場では3月10日までの上映となった。
  24. ^ 配信、劇場での公開日。
  25. ^ Blu-ray / DVDの発売日。
  26. ^ メ〜テレは3週連続放送ではなかったため、「地上波初!『機動戦士ガンダムUC』完結記念スペシャル」と題して放送した。
  27. ^ DVDではドルビーデジタルの5.1チャンネルサラウンドである。
  28. ^ 第1話で例を挙げると、ユニコーン初搭乗時のバナージの掌の作画の修正、工専講義中のカメラの回転方向が左回転から右回転へ変更、などがある。
  29. ^ ANNフルネット局が存在しない山梨県富山県福井県鳥取県島根県徳島県高知県佐賀県宮崎県を除く。
  30. ^ プラモデル「MGユニコーンガンダム専用ビーム・ガトリングガン2丁セット」が付属する。
  31. ^ プラモデル「MGシナンジュ専用バズーカ」が付属する。
  32. ^ プラモデル「MGユニコーンガンダム専用シールド増加ユニット【アームド・アーマーDE】」が付属する。
  33. ^ プラモデル「MG フルアーマー・ユニコーンガンダム専用シールド増加ユニット【アームド・アーマーDE(発動仕様)】」が付属する。
  34. ^ プラモデル「HGUC ガンダムユニコーン2号機バンシィ・ノルン(デストロイ・モード)専用【ハイパー・ビーム・ジャベリン】」が付属する。






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