機動戦士ガンダムF91
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機動戦士ガンダムF91 | |
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MOBILE SUIT GUNDAM Formula 91 | |
監督 | 富野由悠季 |
脚本 |
伊東恒久 富野由悠季 |
製作 | 山浦栄二 |
出演者 |
辻谷耕史 冬馬由美 前田昌明 |
音楽 | 門倉聡 |
主題歌 | 森口博子「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」 |
撮影 | 奥井敦 |
編集 |
布施由美子 野尻由紀子 安藤洋子 |
製作会社 | サンライズ |
配給 | 松竹 |
公開 | 1991年3月16日 |
上映時間 |
115分(劇場公開版) 120分(完全版) |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
作品解説
本作は『機動戦士ガンダム』の映画化10周年を記念して制作された劇場用オリジナル作品である[4][5]。サンライズとしては劇場用単独作として作った2作目のガンダム作品[注 1]となる[6]。サンライズの劇場用アニメとしては初めてビスタサイズの動画用紙で作画された作品であり、これ以前の同社の劇場用アニメはすべて通常サイズの動画用紙の上下を切ってビスタサイズの縦横比に合わせて作画されていた[注 2][7]。
『ファーストガンダム』から始まったアムロ・レイとシャア・アズナブルを中心としたストーリーラインは前作『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で幕を閉じたことにより、本作は新たな時代と人物による新ガンダムシリーズの立ち上げを目指して企画された。時代設定は一年戦争から40年以上、第二次ネオ・ジオン抗争からは約30年の年月が経過した宇宙世紀0123年が舞台である。それまでのシリーズに登場した人物は登場しないが、『逆襲のシャア』等に登場した一部のMSや艦船[注 3]は引き続き登場する。
「新時代のガンダム」として企画された作品で、企画には初めからバンダイのホビー事業部が関与していた[6]。もともとはTVシリーズとしてやるという話もあり、監督の富野由悠季はそのつもりで考えていたが、バンダイなどとの話し合いの結果、劇場作品ということに決まった[注 4][6][8]。そして『機動戦士ガンダム』の劇場公開10周年に合わせ、そのテレビシリーズ用の構想の序盤1クール分にあたるストーリーを劇場用完全新作として映像化したものが本作である[9]。ただし、作品として短期間で消えてしまっては困るので、ゲームを作ったり並行して模型企画『機動戦士ガンダムF90』を展開したりした[6]。当時のサンライズ社長山浦栄二からも「今まで10年来たんだから、この先10年持つものにしよう」という話が出た[10]。
タイトルにある「F」は「Formula(フォーミュラ)」の頭文字であり、この単語には「公式」という意味のほかに「基準」という意味も含まれているので、「ガンダムの新基準を作る」という意味でタイトルとガンダムの名前には『ガンダムF91』と付けられることになった[11]。
前作のシャアとアムロの対決で「ニュータイプ」に関しては一応の決着がついたとされ、作品発表に際し本作の物語の主題は「家族論」であると富野は述べた[要出典]。難解だった前作『逆襲のシャア』に対し、富野によると本作は「解りやすさ」に重点を置いている。主人公も解りやすいヒーローになり、物語もハッピーエンドになった。『逆襲のシャア』ではニュータイプ論がテーマだったが、本作は「家族の問題」という非常に身近なテーマになっており、新世代の観客には解りやすくなっている。この結果、富野は本作を「ストーリー的には成功」としている[12]。
『ガンダム』以来久々に富野との話し合いにより作られたMSは、従来から大きく変わったことにより賛否が分かれた[9]。
バンダイから発売された『ガンダムF91』のプラモデルでは、当時の先端技術である「システムインジェクション」が採用された。これは多色成型により1枚のランナーに複数の色のパーツを納め、模型製作におけるハードルを下げるためであり、若年層への配慮である[13]。
劇場公開後、『機動戦士ガンダムF91 完全版』(ディレクターズ・カット版)が制作されている。これは製作の遅れが発生した事による作画の乱れを直すため、本編フィルムの一部カット修正、約5分の新作カットを追加等の再編集および音声の再ダビングが行われてビデオ販売された物である。
企画書には「F91の続編は絶対に制作します」と記されていたが、テレビシリーズにおける続編は諸般の事情で2022年現在も作られておらず、1993年にはそれに替わる形で、本作からさらに30年後を描いたテレビシリーズ『機動戦士Vガンダム』の放映が開始された。本作のその後は富野原作による漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』である程度描かれている。本作以降もガンダムシリーズでは劇場アニメーション[14]が公開されているが、いずれもテレビシリーズやOVA作品を再編集し、新作カットを追加したものである。完全新作の劇場アニメーションは、2010年公開の『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』まで19年間制作されなかった[15]。
制作
本企画は1988年から1989年の間、元号をまたいで始まり、1990年1月にはほぼ形がまとまって制作に入った[6]。
『機動戦士ガンダムΖΖ』まではSF考証専門の担当者がいたが、今回はSFというより家族話、また兵器物でありながらロボット物でもあるので、マンガ的発想を持てる人に協力してもらおうということになり、漫画家のためにミリタリーやSF考証を行なっている西野公平の参加が決まった[10]。西野からはMSの編隊構成や集団戦のアイデア、バグ、「分身」の原案となった多重装甲の「十二単ガンダム」などが提案された[10]。
1989年(平成元年)2月、「平成ガンダム」の開発がスタート。メインの流れを汲むガンダム企画だが、富野監督との基本設定作業とは別に、メカ(MSのみ)のデザイン原案という形でプレ企画がスタート[10]。
4月、具体的なミーティングがスタート。これまでとは全く異なる時代設定と舞台の作品となることが確定。この頃にはすでにメカは大河原邦男、キャラクターは安彦良和だろうという話が出ていた[10]。
5月、企画作業は具体的な実現に向けての段階に入る。新しい世界観や敵、キャラクターなどを富野監督のメモから出て来た文章をもとにまたメモを作るという作業が続く[10]。
8月、貴族主義とクロスボーン・バンガード、そしてコスモ・バビロニアという世界観が提案され、主人公のシーブックやベラという名前もすでに出ていた。大河原と安彦の参加が正式決定。TVシリーズなら9月までに設定が上がっている必要があるということで本格的なメカデザインが始まる[10]。
9月、映画かTVシリーズか決まらないまま作業に入り、とりあえずTVシリーズに備えた企画書が書かれる[10]。
10月、TVシリーズ構成案(13話まで)が完成するが、スケジュール的に1990年4月スタートのテレビは無理ということになった。10月中旬に映画で行くことが決まり、まだ話の途中の構成案のラストだけを切りのいいように監督がいじってそのまま劇場版の第1次プロットに転用した[10]。
1990年1月、映画の企画書が作成され、シナリオが完成しないまま富野監督が絵コンテを描き始める[10]。
注釈
- ^ SDガンダムを除く。
- ^ いわゆる「貧乏ビスタ」。
- ^ 厳密には派生機である。
- ^ 劇場作品になった理由の一つとして、同じく劇場版の『逆襲のシャア』のプラモデルのセールスが好調だったこともあった[6]。
- ^ 安彦は『機動戦士Ζガンダム』のキャラクターデザイン以来、大河原は『機動戦士ガンダムΖΖ』以来の参加。
- ^ 前回参加の『Ζガンダム』では一切打ち合わせすることなく、キャラクターだけを描かされた。
- ^ これでアニメの仕事は辞めると決めた自身の監督作品『ヴイナス戦記』は1989年3月公開、『F91』への参加が正式に決まったのは同年8月。その後、2015年2月公開の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』で総監督を務め、約24年ぶりにアニメの現場に復帰した[16]。
- ^ シャアのサザビーなども黒が入っていても印象は真紅というのと同じ。
出典
- ^ 映画販促用ポスターより。
- ^ “MG ガンダムF91 Ver.2.0 & RE/100 ビギナ・ギナ 開発ドキュメント第1回”. バンダイホビーサイト. 2020年2月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月29日閲覧。 アーカイブ 2020年2月29日 - ウェイバックマシン
- ^ “ガンダム映像新体験TOUR『ガンダムF91 完全版』&『ガンダムW Endless Waltz 特別篇』4DX上映、本日よりスタート!”. GUNDAM.INFO. 2021年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月23日閲覧。 アーカイブ 2021年1月29日 - ウェイバックマシン
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- ^ 『機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光』『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別編』『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート』『∀ガンダム 地球光・月光蝶』など。
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- ^ 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会』、1993年12月30日発行、庵野秀明・編、ハッピー興行新社、P37、70、81
- ^ 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会』、1993年12月30日発行、庵野秀明・編、ハッピー興行新社、P81~82
- ^ 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会』、1993年12月30日発行、庵野秀明・編、ハッピー興行新社、P64
- ^ 酒井征勇 編「特別企画 富野由悠季監督インタビュー」『機動戦士ガンダムF91大百科』勁文社〈ケイブンシャの大百科〉、1991年5月17日、209頁。雑誌コード 63549-61。
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- ^ “機動戦士ガンダムF91プリクエル 4”. KADOKAWA. 2022年10月26日閲覧。 アーカイブ 2022年10月25日 - ウェイバックマシン
- ^ “機動戦士ガンダムF91プリクエル 5”. KADOKAWA. 2023年8月25日閲覧。
固有名詞の分類
アニメ作品 き |
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映画作品 |
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